ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

70 / 85
レオン
「みんなー♪レオンの暗殺教室、はっじまっるよー? わたしみたいな人外目指して、頑張っていってねー♪」キラキラ-ダイヤモンド-

礼神
「レオンさん壊れたーーッ⁉︎」

証呂
「それはさておき、達筆の進まない中完成した70話。グダグダっとどうぞ」


本編のレオンはこのような壊れ方をしません。
チ◯ノのパーフェクト算数の替え歌とかは歌いません。



70.天誅

「………頼んだぜ」

 

「……僕、飛び火は勘弁して欲しいんだけど」

 

 承太郎と花京院を残し、他の皆は礼神のケルベロスに乗ってジョセフを追いかけ始めた。

 

 残された2人は、未だ海面に立つレオンと向き合っている。

 

「私の相手は君達2人か……無駄だと思うが最後にもう一度言う。邪魔をするな」

 

「断る。今のレオンをジジイに会わせたら殺しかねないんでな」

 

「随分と信用がないな」

 

 やれやれと首を振ると、レオンは臨戦態勢に入る。

 それと同時に、花京院が法皇の緑(ハイエロファントグリーン)で大量の弾幕を張る。

 

()()()()あげませんよ!くらえッエメラルドスプラッシュ‼︎」

 

「…花京院のエメラルドスプラッシュは高い威力を誇るが、エメラルド1つ1つの威力は銃弾程度……………」ピシィ‼︎

 

 

ガッ…ガン…ガンガンガン!

 

「ッ⁉︎」

 

「銃弾同様、鋭利な先端に力が集まる形状だ。そして銃弾同様……側面から力を加えれば簡単に軌道は乱れる」

 

 レオンへと直進するエメラルド弾幕の先頭の1つを、指先で一度だけ弾き飛ばした。弾いたのはそれだけだったが、それは別のエメラルドにぶつかりソレの軌道を乱す。そしてソレはまた別のエメラルドに………

 

 気付けば連鎖するように弾かれ、擦りこそするがどれも直撃はしなかった。

 

「指一本でッ⁉︎ ならこれでどうだッ‼︎」

 

「収束させても無駄だ」

 

 

ガガンッ‼︎

 

 7,8発を収束して放っても、握り拳を力強く開くように弾かれてしまう。全ての弾幕はレオンの背後へと進む。

 

「クッ⁉︎ なんて人だ。片手で僕のエメラルドスプラッシュを……」

 

「攻守交代だ……」

 

 そう言ってレオンは回し蹴りを放つ。無論…未だに海上に居るレオンのそれが、花京院や承太郎に届くわけはない。

 代わりにその回し蹴りは、レオンの足元の海面を大きく抉った。

 

 勿論波紋を帯びた回し蹴りだ。

 

 蹴りで抉られた海面は波紋の影響で引き寄せ合い、周囲の海水を巻き込みながら盛り上がって高くなっていく。

 

 オマケにレオンはその上に立っている。ボードは見えないが、側から見れば波に乗るサーファーだ。

 

藍色(インディゴ)…」

 

「マズイッ⁉︎ 離れるぞ花京院ッ‼︎」

 

波紋疾走(オーバードライブ)ッ‼︎」

 

 己の乗る波の上で軽く跳び、真上からソレの海面に両足を叩きつける。その両足の裏から放たれた波紋は深く突き刺さり、盛り上がった波は内側から弾けた。

 

「波紋には弾く(プラス)吸い付く(マイナス)がある」

 

 弾けた波のカケラは、サイズがバラバラの水滴となり陸の方へ飛び散る。無論、承太郎と花京院はそこにいた……先程までは。

 

星の白金(スタープラチナ)ッ‼︎」

 

 水飛沫が収まると同時に、今まさに上陸しようとするレオンの顔面に星の白金(スタープラチナ)の拳が迫る。

 

(時を止めて花京院ごと回避したか………)

 

 見てからの反応では星の白金(スタープラチナ)の攻撃は対処できない。

 

 ーーー レオン、僕は昔ダニーに拳銃のオモチャを取られてね、返してくれないから父さんに相談した事があるんだ。そしたら父さんはこう言ったんだ…「逆に考えるんだ。あげちゃってもいいさと」ってね。

 

 攻撃されると理解すれば人は、自然と身を(こわ)ばらせる。だがレオンは逆に全身の力を抜いた。

 ダメージを流すためにこうする事は承太郎も予想していた。その上で崩れた体勢へ追い討ちをかけて組み伏せるつもりだった。

 

 しかし!レオンは…

 

「RYAAAAAAAA‼︎」

 

 更におもいっきり仰け反ったッ‼︎

 

「グゥッ⁉︎」

 

 その力を利用して星の白金(スタープラチナ)の肘あたりを蹴り上げる。この蹴り上げの速さはレオンの力ではなく、利用した星の白金(スタープラチナ)の力……虚をつかれた事もあり、承太郎も流石に防げなかった。

 

(遠心力で足が千切れるかと思った……流石星の白金(スタープラチナ))

 

 そう思いながらも攻撃の手を止めず、一瞬の硬直の間に波紋の追撃を与える。

 

(マズイッ……スター…プラチナを……消さねぇと)

 

金糸雀色(カナリア)波紋疾走」

 

 蹴り上げた脚とは逆の脚で顎を掠めるような上段蹴りを放つ。それは狙い通り、承太郎のスタンドの顎を横から捉えた。

 

「すまんな。貴様との長期戦は真っ平御免だ」

 

 

ー ドサッ ー

 

 承太郎は白目を剥いて膝から崩れ落ちた。

 

「承…太郎?」

 

「………私が勝った事が、そんなにオカシイか?」

 

「ッ‼︎」

 

 1人で対峙する花京院は尻込んで一歩退がり、レオンはそれに合わせて一歩踏み出す。

 

「承太郎はジョセフの為に……不倫を庇うという巫山戯た理由で挑んで来た。そんな理由では強い意志を持つ事などできず、星の白金(スタープラチナ)は本来の力を発揮できていない………」

 

 またレオンは一歩踏み出し、花京院は一歩後退する。そして承太郎と自分とで拡散されていた殺気を、その身1つで花京院は受け止める。

 

「君もだ。花京院 典明………君は私に恐怖しているのだろう。無理はするな……私も無駄な戦闘などはしたくない」

 

 また表情は影で隠れ殺意が禍々しく彼を包む。ソレを感じ取る花京院はソレに異常性を感じた。

 

 膨大かつ禍々しい殺気を前にしてなお、レオンからは殺意を()()()()。確かに殺気は自分に向けられているし、文にしてみれば誰が見ても矛盾している。

 だが頭でそう思っても、その矛盾がやけにしっくりくる。

 

 殺気は感じるが殺されたりはしない………本能で花京院はそう思った。

 

「………花京院。知っているか? 波紋の優れた点」

 

(なら僕は………殺されないなら何をされるんだ?)

 

「波紋は……人を癒し、攻撃にも使える。そして加減を誤らなければ、後遺症も傷も残らない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり拷問に適してる

 

 

 

 

 

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 「ウワァァァァアアアーーーーッ‼︎‼︎」

 

 遠くから聞こえた男子高校生の悲鳴を耳にした礼神達は、海岸沿いをケルベロスに乗って走っていた。

 

 礼神は腕にイギーを抱き、イギーは「こんな悲鳴は聞きたくない」と言わんばかりに前足で両耳を塞ぐ。

 ケルベロスの後ろ側にはポルナレフとアヴドゥルが乗っているが、2人とも顔色が宜しくない。

 

「花京院………君の事は忘れない」

 

 誰となくそう呟くと、前方に走る老人の姿が見えた。

 呼びかけて自分達の乗るスタンドの背に乗せると、すぐさまケルベロスは走り出した。

 

「………ジョースターさん。今からでも謝るというのは…」

 

「…謝ったその先…どうなるかはわかるじゃろ」

 

「ジョースターさんッ!コッチは完全に巻き込まれた側だぜッ⁉︎ 被害を抑えようって発想はねぇのか‼︎」

 

「黙れポルナレフ‼︎ 年上をサポートするのは若者の役目じゃろ‼︎」

 

 

…今しがた

 

 汗だくでジョセフが逆ギレすると、森の中から1番聞きたくない声が聞こえてくる。

 見たくは無いが視線をそちらに向けると、木々の天井を突き破るように空へ影が飛び出した。

 

「老いぼれの戯言が聞こえた。随分と遠くへ逃げたじゃないかァ‼︎ ジョセフ・ジョースタァァァア‼︎‼︎」

 

 月光を背にして飛び出した厄災は、ケルベロスの進行方向に着地した。そして拳を振り上げ飛び掛かってくる。

 

赤い荒縄(レッドバインド)ッ‼︎」

 

 ジョセフを目の前にして冷静さを欠いたのか、アヴドゥルは容易くレオンを縛る事に成功する。それもただの縄ではなく、魔導師の赤(マジシャンズ・レッド)による赤い荒縄(レッドバインド)…炎で作られた荒縄だ。

 

 縄は火傷痕を残しながらきつく縛る……が

 

「フンッ!」ブチッ

 

「ヘァッ⁉︎」

 

 全身に力を込めたレオンが無理矢理引き千切ったように見え、礼神は間抜けな声を上げる。

 

銀の戦車(シルバーチャリオッツ)ッ‼︎」

 

 縛られてる間に切るつもりだったのか、唯一ポルナレフが行動を起こしていた。

 

「………少し冷静さを欠いてしまったな。にしても……」グッ

 

「何ッ‼︎」

 

 銀の戦車(シルバーチャリオッツ)のレイピアは、W-Refをはめたレオンの右手が掴み止めていた。

 

「いきなり首をはねようとは……少し酷いんじゃないか?ポルナレフ」

 

 穏やかな声だが殺気は相変わらず。微笑んではいるが影で表情は見えない。ポルナレフはただただ汗を流すばかりだ。

 

 そんな彼のスタンドの腹部に手を押し当て、レオンは吸収したエネルギーを放出した。

 

「reflection」

 

「ウグッ‼︎」

 

 放出されたのは今受けた斬撃と、赤い荒縄(レッドバインド)から吸収した熱だった。

 銀の戦車(シルバーチャリオッツ)の腹部の鎧には、火傷痕と傷が生まれる。

 

「安心しろ…火傷したら、()()()()治してやる」

 

 その言葉でトラウマになったばかりの手術を思い出したのか、ポルナレフは表情を引攣らせる。

 

「どけ、J・P・ポルナレフッ‼︎」

 

「速ッ!チ、銀の戦車(チャリオッツ)ッ‼︎」

 

 剣撃のスピードを上げるポルナレフ。それに臆さず、レオンは両手脚で連撃を叩き込む。

 その全てをポルナレフは防ぐが、彼は驚愕した。そしてそれはポルナレフだけではない……その場にいた者は皆、驚きを隠せずにいた。

 

 その原因は、レオンの身体に迸るスパークだった。

 

「あの電流のようなスパークはまさか波紋ッ⁉︎ しかしあのスピードはまさしく吸血鬼の力じゃ‼︎ 両立できないはずの双力を何故ッ‼︎ しかもいつも以上に早く動けている気さえするッ‼︎」

 

 吸血鬼のスペックを引き出しながら波紋を使うレオンを見て、1番よく知るジョセフがそう叫ぶ。

 

 色々と規格外だったレオンだが、"波紋使いと吸血鬼は両立できない"というのは"スタンドはスタンドでしか倒せない"というルールと同じくらいの絶対条件だと思っていたからだ。

 

 その時、レオンはポルナレフから距離を取って拳銃の様に人差し指を向ける。

 

 ー バチッ ー

 

 その指先からは白い光が伸び、ポルナレフはそれを切っ先で叩き切った。それを見てアヴドゥルは、ジョセフの抱いた疑問を払拭する意見を述べた。

 

「…………ジョースターさん。あれは"電流のようなスパーク"ではなく、"電流のスパーク"なのでは?」

 

「………………」

 

「アレって吸血鬼の力というか……柱の男の流法? 神速(カン◯ル)

 

『流石はモハメド・アヴドゥル、聡明だな』

 

 身体を動かすは筋肉…それを機能させるのは誰もが持ち、身体に流れている微量な電流だ。

 

『我が主は今、元々全身に流れる微量な電気をコントロールしてステータスを底上げしている。全身に熱を持たせて酸素を大量に運ぶ技とは比にならない力だ』

 

「…アンちゃん。解説はいいからレオンさん止めて」

 

『無理だ。葎崎 礼神よ』

 

 突拍子もなく現れ説明するアンラベルは、ドヤ顔(を浮かべてるように見える)状態のまま断言した。

 

「礼神。ジョースターさんを頼む」

 

「えぇーーーッ⁉︎ 僕を最後の砦にしないでよ‼︎」

 

「……私だって嫌だ。スマン」

 

「ア、アギッ‼︎」

 

「イギーまでッ‼︎」

 

 ケルベロスから飛び降りたアヴドゥルは、ポルナレフの隣に立ちレオンと対峙する。そしてそれに乗じてイギーも立ちはだかる……何処と無く投げやりだ。

 

 残された礼神はアヴドゥルへ向けて悪態をつきながら、仕方なくジョセフを連れて来た道を逆走し始めた。

 

「………次は貴様らか」

 

「レ、レオンさん…確かにジョースターさんがした事は許し難い行いです。ですがここはどうか寛大に……」

 

「寛大に?……ガキの悪戯じゃあ無いんだ。それも不倫………ジョースター家の名に泥を塗るだけに留まらず!相手の人生さえも変えてしまう犯罪なのだぞッ‼︎ 安易に貴様らはジョセフを庇うが、事の重大さが分かっているのかッ⁉︎」

 

(………ヤベェ、反論できねぇ)

 

 至極もっともな正論を述べられ、2人は思わず黙りこくる。

 

「そ、それはそうですが、流石にやり過ぎなのでは………」

 

「何が?」

 

「……アヴドゥル、もう通しちまおうぜ。正しいのはレオンで、ジョースターさんには悪いが自業自得だ」

 

 飛び火を恐れるポルナレフがそう言うと、アヴドゥルは難しい顔をして考え込む。

 

「………………」

 

「通してくれアヴドゥル」

 

「通しちまおうぜ。そもそも何で俺らが庇わないといけねぇんだ? あの時はその場のノリというか…勢いでつい庇っちまったが、俺らは無関係なんだぜ?」

 

「………」

 

「アヴドゥル…」

 

「アヴドゥルッ!」

 

「………わかりました」

 

 影LEONに睨まれ、仲間のポルナレフには必死に説得される始末……そして今気付いたが、イギーは敵前逃亡ときた……アヴドゥルは流石に折れた。

 

「ですが最後に約束してください。ジョースターさんもご老体ですのでやり過ぎないように」

 

「………………………………わかった」

 

「………今の間は何ですか? 念の為に聞きますが、殺したりは勿論しませんよね?」

 

 用心深く聞くアヴドゥルに呆れながらも、レオンはちゃんと宣言した。

 

「勿論、殺す(殺さない)わけないだろう。約束する」

 

「「………………」」

 

「………ん? どうした、もう通って良いか?」

 

「ち、ちょっと待ってください! もう一度…もう一度だけ今のセリフを言ってくれませんか⁉︎」

 

「ハァ……面倒くさいな。このレオン・ジョースターはジョセフ・ジョースターを殺さない(殺す)。必ず殺す(生かす)

 

「「………………」」

 

「………それじゃあ失礼す…「魔導師の赤(マジシャンズ・レッド)ッ‼︎」「銀の戦車(シルバーチャリオッツ)ッ‼︎」………」

 

 再びジョセフを追おうと足を踏み出すと、2人はスタンドを出して改めて立ちはだかる。ハッキリとレオンが断言したにも関わらず、幻聴でも聞こえたのか言葉の真偽がわからなくなってしまったからだ。

 

 それを見てレオンは、流石に無関係の彼らにも怒りを覚え始める。

 

「……何がしたいんだ貴様ら………やはりジョセフの肩を持つのか?」

 

 溢れ出る殺気の矛先が2人に向けられる。

 

「………すみませんレオンさん。やはり今の貴方をジョースターさんの元へ向かわせるわけにはいきません」

 

「俺は……こんな損な立ち回りしたくねぇんだけどな………」

 

「………はぁ〜〜〜、もうイイ…」

 

 一際大きな溜息を吐いてからそう言い、それを最後にレオンは黙り込んだ。

 

 ー バチッバチッ ー

 

 スパークが音を立て、元々白い髪が薄く光る。

 暗闇に浮かぶその光源は小さいがよく目立つ。それでも2人は一瞬、人外の姿を見失った。

 

魔導師の赤(マジシャンズ・レッド)ッ‼︎」

 

 本業は占い師だが、アヴドゥルは決して非戦闘員ではない。

 相手の動きを読む…予測するのは戦闘の基本であり、アヴドゥルの予測は見事に当たった。

 

「……攻撃してくる方向までは、分からないと思ったが」

 

「私のスタンドはあまり早くは無いので……一工夫させて頂きましたよ」

 

 冷や汗を流すアヴドゥルの前には火の集合体があり、レオンのいる方向に位置する火がバチバチと音をたてて燃えている。

 それは生命に反応し、その方向を示す役割を持つアヴドゥルのスタンド能力の応用。

 

「炎の生命探知機」

 

「便利な能力なのだな」

 

銀の戦車(シルバーチャリオッツ)ッ‼︎」

 

 二撃目を放つ前に、レイピアがレオンの眼前を通り過ぎる。

 予測すれば初撃を受け止められるが、その体勢から次の攻撃を防ぐのは難しい。

 それを知るポルナレフが攻撃を仕掛けたのだ。

 

「2人とも確かに強いが、承太郎や花京院のように本来の力が出せていないな。ポルナレフのスタンドもだいぶ遅くないか?」

 

「グッ、確かに……だがッ‼︎」

 

 突如として銀の戦車(シルバーチャリオッツ)の鎧に亀裂が入り、ポルナレフのスタンドは破裂する。

 

「本来のスピードをお見せしようッ‼︎」ズラッ‼︎

 

 ポルナレフの背後には5体の銀の戦車(シルバーチャリオッツ)が整列して剣を構えている。ポルナレフは群体型の幽波紋使いではない…アレは恐ろしいスピードによって生まれた残像体だった。

 

「……話には聞いていたが」

 

「今度の剣捌きはどうだァァァッ⁉︎」

 

「確かに速いが……reflection」

 

 

ー バチバチバチッ‼︎ ー

 

「グアァァァァァァア‼︎‼︎」

 

「……チッ……()()()()()()なかったか」

 

 身に付けたばかりの電力操作で出力を高めれば、スピードは更に上がるだろう。しかしその電圧に耐えられる可能性はまだ無い。

 故にW-Refで溜めた電力を一括に放つが、レオンが思うほど溜まってはいなかったようだ。

 

「気絶まではいかなかったが、しばらく動けないだろう」ギロッ

 

 そう言ってアヴドゥルに目を向けると、アヴドゥルは既に攻撃モーションに入っていた。

 

C(クロス)F(ファイア)H(ハリケーン)S(スペシャル)ッ‼︎」

 

「………そう来るか」

 

 アンクの形を模した小型の炎の群れがレオンを襲うように見えるが、それは全てレオンに当たらずに周囲を覆う。

 

 それに続き、アヴドゥルの魔導師の赤(マジシャンズ・レッド)は一際大きな炎を吐き出す。それはレオンを容易く飲み込む程の大きさだ。

 

(まずは逃げ場を潰し、そして飲み込む………か)

「甘いッ‼︎」

 

 レオンは大振りに右腕の手刀を振り下ろし、何かを放つ。

 すると炎とソレがぶつかり合い、拮抗する事もなく炎の波は縦に裂けた。

 

「reflection……風力を放出した」

 

「グッ……カマイタチで炎を……しかし、私の炎は消えませんよッ‼︎」

 

「ムッ」

 

 逃げ場を潰す為に放ったアンク型の炎は、未だに消えずにレオンの周囲を漂っていた。

 

「炎を自在に操るからこその、魔導師の赤(マジシャンズ・レッド)です」パチン

 

 彼が指を鳴らすと共に、それらの炎は一斉にレオンへと飛来した。

 

「アンラベルッ‼︎」

 

『………ムッ』

 

 

ボゴォォォン‼︎‼︎

 

 レオンがいた場所は爆炎で包まれる。無論手加減はしたが、相手が人ではない為少し強めだ。

 放った本人も「…少しやり過ぎたか?」と不安になる。

 

「アヴドゥル………やったのか?」

 

 痺れがまだ取れていないポルナレフが、座り込んだ体勢のまま尋ねる。だがアヴドゥルは答えず、爆炎の中心を見つめる。

 そして、そこに居るのは。

 

 

 

 

『……熱いな』

 

 

 

 

 レオンが持つ第2のスタンド、アンラベルだった。

 

「何ッ⁉︎ アレを避けたのかッ⁉︎」

 

(レオンさんは爆炎に包まれる寸前、彼女の名を呼んでいた……一体何をしたんだ?)

 

 神経を尖らせて周囲を警戒するが、2人はレオンの姿を完全に見失ってしまった。

 

「何処へ消えた………」

 

「まさかジョースターさんの方に………」

 

『………主ならすぐそこに居るぞ』

 

 2人の言葉にそう答えるアンラベルを見て、2人はある事に気付いた。

 

 炎で見えにくかったが、彼女は()()()()()砂浜に立っていた。

 

 何度も言うようだが彼女の能力は反比例……100が60に減れば0が40に増える………100が0になれば0が100に………つまり場合によっては()()する。

 

()()の逆転。スタンド体となり、砂中をすり抜けた」

 

 スタンド体のアンラベルに実体を持たせ、実体のあるレオンがスタンド体になる。その性質を見出して砂浜の下から現れたレオンは背後を取り、アヴドゥルを波紋で気絶させた。

 

「……………」ザッザッ

 

「チョ、待てッ‼︎ 何する気グェッ‼︎」

 

 這った体勢のまま離れようとするポルナレフの腹を軽く踏みつけて行動を制限。そして右腕に波紋を収束させる。

 

「痺れが取れたら復活するだろう? それに庇った貴様らも共犯だ……それ相応の罰を………な?」

 

 ………ポルナレフ曰く…未だに表情には影がかかっていたが、薄っすらと見えたレオンの表情はこの上なく笑顔だったらしい。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 「ギャアァァァァァア‼︎‼︎‼︎」

 

 遠くで聞こえた悲鳴の残響を、僕はジョセフさんと一緒に聞いていた。

 アヴドゥルさん達と別れてからそう時間はかかってない。それだけ早く事が済んだという事なのだろう。

 

「………逃げはするけど、追い付かれたら僕助けないから」

 

「そんな殺生な………」

 

「僕がレオンさんに勝てるわけないでしょ」

 

 でも僕も怒られるんだろうな…隠してた事と、逃走援助について。

 

 

ーーー止まれーーー

 

「ッ‼︎」ゾッ

 

 DIOと対峙した時の既視感を感じ、僕は思わず立ち止まる。僕の後ろに乗ってるジョセフさんは「止まるな」と言ってるけど、あんな声を掛けられたら無理無理。

 

「………レオン……さん」

 

 いつ先回りしたのか、僕らの前にはレオンさんが立っていた。容姿に変化は無く、相変わらず影LEONさんだ。

 

「……礼神。君もジョセフを庇うのか?」

 

「滅相もございません。どうぞお納め下さい」

 

「礼神ーーーッ⁉︎」

 

 僕は、自分の保身に走るぜ☆

 ゴメンなさいジョセフさん。レオンさんを見て気が変わった。

 

 ………だけど、このままは可愛そうなのでダメ元で説得を始める。

 

「……でもレオンさん。結果論だけど、ジョセフさんの息子である東方 仗助は4部主人公……つまりジョナサンや承太郎と同じく必要な存在なんだよ。それを考慮して……許してあげれない?」

 

「………礼神、問題は子がいる云々では無く、ジョセフの行動自体だ。そんな結果論ではなく、過程が問題なのだ」

 

「………だよね」

 

「礼神ーーーッ‼︎」

 

 諦めが早いって? そんな事ないよ。普通だよ。

 

「さて……覚悟は良いな? ()はできてる」

 

「待って、できてない‼︎ ワシはできてなッ」

 

「金糸雀波紋疾走ッ‼︎」

 

 ケルベロスから飛び降り再び逃亡を図るジョセフさんを捕まえ、レオンさんは天高く掲げたその拳を振り下ろした。

 

 その威力からジョセフさんは顔面から砂浜に頭を突っ込み、首から上が埋まる。

 

 そこで僕は思い出す。

 

「……戻ったらシュトロハイム掘り起こさないと」

 

 花京院、アヴドゥル、ポルナレフ、イギー………今、終わったよ。

 

「…後は礼神、君1人だな」

 

「………What?」

 

「君にも考えがあったんだろうが、隠蔽は共犯だ」

 

 僕の視界に映った最後の光景は、デコピンを構えるレオンさんだった。

 




アンラベル
『オリジナル波紋に、脳内キャパーオーバーを引き金に流法の習得……さらに我の能力のコントロールも自分のものにしつつある。この成長を我は、DIO戦で見せて欲しかったのだが』

レオン
「私も内心複雑だ」

空条 承太郎
・本調子を出さずに波紋により気絶

花京院 典明
・最後まで抵抗を見せたが、波紋により気絶

モハメド・アヴドゥル
・アンラベルの応用で背後を取られ、波紋により気絶

J・P・ポルナレフ
・流法の電撃で硬直してる間に、波紋により気絶

イギー
・敵前逃亡

葎崎 礼神
・敵前降伏

ジョセフ・ジョースター
・天誅
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