「4部に誰出そう…レオンの付き添いで行きたい人〜」
マライア&ミドラー
「「ハイッ‼︎」」
証呂
「どっちが良い?」
レオン
「両方却下で……」
証呂
「じゃあ話は変えて、子供は何人欲しい」
レオン
「いらん」
マライア&ミドラー
「「ハイッ‼︎‼︎」」
レオン
「なんの立候補か知らんが却下だ」
それでは番外編、グダグダっとどうぞ!
3月も終わり僕らは無事に進級した。葎崎さんと承太郎は少し危なかったらしいが、それも今では過ぎた話だ。
そして今日は1学期最初の登校日…校門を潜り、下駄箱で靴から上履きへ履き替える。
「お、おいアレ………」
「あの方が……」
「まさか、噂のッ⁉︎」
小耳に挟んだ言葉につられて首を動かせば、そこには同学年の男子生徒がコソコソと会話していた。そんな3人の視線の先には、人混みに囲まれた男がいた。
背は高くガタイも良い。そして僕の数少ない友達でもある。
空条 承太郎……彼は取り巻きの女子高生達を鬱陶しく思っているようで、嫌な顔をしながら少しずつ前に進む。
「ハハッ、承太郎の奴…遠くからでも誰だかわかるな」
先程の男子生徒3人は、遠目でも目立つソレの事を話していたんだと思いまた前を向く。
承太郎に挨拶しようとも思ったが、あの中に飛び込むのは面倒そうだ。
「…可愛い」ボソッ
「…女神」ボソッ
「結婚しよ」ボソボソッ
「………?」
承太郎に対しての感想とは思えず首をかしげる。そしてまた承太郎の方を見てみると……
「だぁーーーッ‼︎ 承太郎から離れるタイミングミスったぁーー‼︎」
承太郎を取り巻く女子生徒の中から、ポンッと弾き出されたように小柄な少女が飛び出す。
そしてその場を数メートル離れてから、彼女は人混みに流されて乱れたショートヘアを手櫛で直す。
「……葎崎さん」
「およ? 花京院、おはよー」
つい彼女の名前を口に出すと、僕の声が聞こえたのか顔を上げて挨拶をしてくれる。
「ちょっと失礼、上履き脱げた」
有無も言わせずに僕の肩に手を置いてバランスを取り、持ち上げた足の踵部分に指をかけて上履きを履き直す。
その時先程の3人組から嫉妬の眼差しを向けられた気がした。盗み見てみれば、たしかに彼らは影からこっちを見ていた。
あの3人組は葎崎さんの事を言っていたのか。
「よし履けた。ありがとー」
「どういたしまして」
………彼女は酷く鈍感で、僕の気持ちには気付かない。それだけでなく、周囲の視線にも鈍いようだ。
本人は気付いていないが、どうやら彼女のファンや狙ってる人は多いらしい。
「ウッ……女子生徒から嫉妬の眼差しを感じる………ゴメン僕逃げるね、バイバイ」
「え、あぁ………………それには気付くんだね」
遠退く小さな背中を見送り、彼女には聞こえないだろうがそう呟いた。
1学期初日と言うこともあり、新しいクラスで1人ずつ自己紹介をする。それが終われば今後の授業内容などの話を聞かされ、そして午前のうちに下校となった。
「カキョーイーン」
「葎崎さん…3年生も午前で終わりかい?」
「そりゃ初日だからね」
校門を潜り学校の敷地内から出た所で、嬉しい事に葎崎さんが後ろから走ってきて声をかけてくれた。
「にしても葎崎さん………改めて見ると……」
「オカシイ? 僕は割とデザイン気に入ってるんだけどね」
「いや、似合ってるよ」
スカートではない男物の学生ズボンに、上はセーラー服ではなくブレザー。周りと比べれば浮くが、別におかしな格好ではない。
「そういえば承太郎は?」
「人混みの多い所。僕は巻き込まれたくないから逃げてk…「よう」
聴きなれた短い声は、葎崎さんの言葉を遮るように僕の耳に飛び込んできた。気付けば僕らのすぐ後ろには承太郎がいた。
「待って承太郎〜、一緒に帰りましょうよ」
「やかましい‼︎ 鬱陶しいぞッ‼︎」
「「「「キャーーーッ!」」」」
黄色い歓声が上がり、承太郎と葎崎さんの歩行速度が少し早くなる。
「よく来れたね」
「葎崎テメェ……よくも俺を囮にしてくれたな」
「もともと彼女らは君狙い。僕を女性避けに使おうとする承太郎に言われたかない」
そのまま僕らは、流れで一緒に下校する事になった。友人と呼べる人のいなかった僕にとってそれは新鮮で、大したやりとりをしてるわけじゃないがとても楽しい時間だった。
しかしその時間も長くは続かない。
「それじゃ、僕はここで……」
僕がそう切り出すと、前を歩いていた2人は足を止めて振り向く。
「ん、花京院
僕の家の前で自宅を見上げると葎崎さんがそう呟く。するとその時、玄関が開き僕の母親が出てくる。
「あ、こんにちは」
「…………」ペコリ
母さんに気付いた葎崎さんは挨拶し、承太郎はつられて頭を下げる。
それを見た母さんは少し硬直し、驚きの眼差しを僕に向けて手招きする。
ー
ーー
ーーー
「……………なに話してんだ、アレ」
花京院は「少し待っててくれ」と2人に告げてから、自分の母親と何か会話を始める。
「花京院って…ほら………大声で言えないけどボッチだからさ………僕らと一緒にいた事に驚いてるんじゃない?」
礼神の推測は当たっており、花京院は照れ臭そうに「彼らは友達だ」と説明していた。
やがて話がひと段落したのか、花京院は2人の方へ振り返る。
「突然だけど、良かったら上がっていかない? だってさ」
また照れ臭そうに、不慣れながらも2人を誘う。
それを聞いた承太郎と礼神は顔を見合わせてから上がらせてもらう事にした。
「葎崎さんは事情を知っていたよね。気を遣わせてしまったかな?」
「そんな事ないよ。いつかは3人で遊びたかったし」
(葎崎……………3人は余計だぜ)
玄関で靴を脱ぎ、3人は二階へ上がって彼の自室へと入る。
机がありベッドがあり、番組は見れないがアナログテレビも置いてある。一見片付いていてキレイな部屋だが、テレビの前にはTVゲーム機とカセットが3個ほど散らばっていた。
「ごめん、すぐ片付けるよ」
「……花京院、コレって確か………」
承太郎が手に持ったゲームカセットには"F-MEGA"と書かれている。
2,3ヶ月前の旅の終盤…DIOの館にいた執事、テレンス・T・ダービーはゲームで勝負して負かした相手の魂を奪うスタンド能力を持っていた。
そしてその勝負に使ったゲームが、この"F-MEGA"というレースゲームだ。
「F-MEGAだね。やってみるかい?」
「やり込んでる花京院とスタプラを持ってる承太郎……面白い勝負になりそうだね」
「やれやれ……まだ俺はやるなんて言ってねぇぜ」
「じゃあ花京院。僕と勝負する?」
そう言って座り込み、礼神はコントローラーを手に取った。
「葎崎、テメェやった事あんのか?」
「うん。このゲームは持ってるんだ。花京院!本気でこい!」
(……………このゲーム
「準備できたよ。僕はこのマシンを使おう」エイカァァァァ‼︎
礼神の含みのある言葉に引っかかる承太郎を他所に、花京院は自身がレースに使うマシンを選択する。
テレンスとの戦いでも使った"A車"である。
「葎崎さんは何にするんだい?」
「僕はこれ〜」ピッ
「………正気かい?」
礼神が選択したのは見た目からして可笑しかった。
このゲームのマシンの中には女性レーサーが乗っている(設定の)女性向けマシンもある。
しかし礼神が選んだのはまず形から他のマシンとは大きく違った。
「そのマシン……1番
花京院の言う通りパワーはある……更に重量もあり、クリスマス仕様で電飾が施されている。その電飾に電気を使っているという設定で、それはスピードのあまりでないモンスタートラック。
クリア後解放される、いわば格ゲーでいう"ネタキャラ"だった。
(………全コースクリア……解放………ッ)
そこで承太郎はある事に気がついた。だが驚く程の事でもないし、今は口を開かない。
「コースNo.1で」
「テレンスと戦ったコースだ。君もこのコースは得意なのかい?」
「まぁね。それと………罰ゲームどうしようか」
「罰ゲーム?」
「ないと面白くないじゃん。じゃあ……"負けた方がなんでも言う事を聞く"ってのはどう?」
「「ッ‼︎」」
礼神の提案に花京院の心臓は飛び上がる。なんせ花京院も男であり、片思いの相手にそう言われては下心の1つや2つは浮かび上がる。
(………葎崎、タチが悪すぎるんじゃねぇか?)
返答に困る花京院を尻目に、承太郎は溜め息をつく。
「……葎崎さん。女の子が軽々しく言っていい言葉じゃないよ。ちなみに何を頼むつもりだったんだい?」
「ちょっと欲しい物があって………」
(何か買って欲しいのか? いや、葎崎さんはそんながめつくは無いと思うんだが……)
「はぁ……僕は勝っても何もしないが、君が勝ったら願いを聞くよ」
コースセレクトのままだった画面は、花京院がボタンを押す事で次に進む。そしてようやくレースは始まった。
"コースNo.1"
スタート後2000メートルの直線コースがあり、そして6つのカーブ!その後「加速トンネル」がある!
「加速トンネル」に入ることができれば最大850キロまで加速可能になる‼︎
コースアウトは爆裂!
4週してタイムの早い方が勝利者だッ‼︎
『両者位置につきました‼︎』
「ちょっと失礼……」
「………?」
コントローラーを床に置き、その上から指を添える。
「葎崎さん……まさかッ‼︎」
「花京院………本気で来い」
『スタート5秒前‼︎』
ー タタタタタタタタッ ー
(こ…この指の動き…このスゴイ早さで小刻みにアクセルボタンを押すやり方はッ!
親指の連打だけでは間に合わない。その為彼女は床に置き、右手の指2本……人差し指と中指の2本で交互にボタンを叩いていた。
(左手で押さえて固定しても、交互に押す分精密動作を必要とされる………それができると言うことは…彼女はこのゲームを
「やっぱりな……旅の最後の会議で言ってた"自信のあるゲーム"がこれか」
「だが僕も………同じ失敗はしない‼︎」タタタタタタタッ
『2秒前‼︎……1秒前‼︎………
2人はそれぞれ、全力のスタートダッシュに成功する。しかしマシンの性能の差によって、僅かながら礼神が出遅れる。
(僕はシスターと2人で暮らしている。決して裕福な暮らしではない。それでも僕が必死にせがんで買った唯一のゲームがこれだ。
今度はアクセルボタンを押したまま右手でコントローラーを固定し、左手の人差し指で十字キーをグルグルと回し始める。
「これはッ、花京院も使っていたスピンのテクニック‼︎」
礼神のモンスタートラックは横回転し、花京院のマシンを弾き飛ばす。ここまでは"テレンス VS 花京院"の再現のようにも見えた。だがここからの展開は違った。
スピンによって弾かれたA車はガードレールに突っ込んだため、一度バックして走り直す。しかしその頃…礼神のモンスタートラックは既に先の方を走っていた
「何ッ⁉︎………そうか! パワーと重量のあるマシンだから、そっちの方が弾かれ難いのか‼︎」
性能が相手より優れたマシンだが、花京院が追い付いた頃には最初のカーブに差し掛かっていた。
重量級のトラックでは減速しなければ曲がりきれないが、十字キーを左右に素早く入力する事で車体を傾けさせ無理矢理曲がる。
(残りのカーブはあと5つ……葎崎さんが同じように傾けて曲がるなら、そこに隙間ができる。次のカーブでそこを通るしかないな)
そして次のカーブまで、花京院のマシンはトラックのすぐ後ろにつく。そして待ちに待ったカーブで、A車はモンスタートラックの下を潜ろうと加速する。
「甘いッ!」カチッ
曲がる方向とは逆方向に十字キーを入力し、今度は傾けていた車体を元に戻す。すると必然的に、A車はモンスタートラックの下敷きになったまま走ることになる。
「なっ⁉︎ エネルギーがドンドン削られて……マズイッ‼︎」
すぐさま減速し、トラックの後ろにまたつける。
「一度たりとも抜かせない気だね………」
「相手がミスしない限り、このマシンじゃ追い付けないからね」
花京院は下手に前へ出ようとせず、そこからはトラックの後ろをついて走る。そして二台のマシンはトンネルへと入る。
(トンネルから出ると850キロまで加速する事ができる………つまりトンネルの中を進んでる間はまだスピードはこちらが上)
「この暗闇に乗じて抜き去ってやる!」
「暗闇?なんのこと?」
「何ッ⁉︎」
………礼神の使うモンスタートラックはクリスマス仕様。
電飾のおかげで、周囲に暗闇は存在しなかった。
『ゴォォォルッ‼︎』
「………………」
「ドヤッ!」
トンネルの中でもチャッカリ進行を塞ぎ、終いにはマシンのエネルギーが礼神のラフプレイによって削りきられてしまう始末………
花京院は敗北した。
ー
ーー
ーーー
僕は彼女に負けた。
絶対に勝てると豪語するだけの力が彼女にはあり、僕の実力ではとてもじゃないが勝つことなんてできなかった。
だが僕は、彼女に負けた事が決して悔しいわけではない。というよりは、悔しさより喜びが今の僕の心を満たしている。
葎崎さんとゲームで対戦した数日後の休日。
僕は駅前のベンチに座り、ある人物が来るのを待っていた。
学校以外で外出するなんていつぶりだろう……久しぶりに身に付けた私服は、昨夜の内にアイロンがけして完璧な状態だ。
左腕に巻かれた腕時計を見れば、すでに12時を過ぎていた。
そしておもむろに立ち上がり周囲を軽く一瞥してまた座る………この動作も何回繰り返したんだろう。
「花京院お待たせ〜。ゴメンね遅刻して……」
不意に聞こえた彼女の声に反応して、心臓が一瞬跳ね上がりそうになる。その心臓を無理やり抑えるように冷静を保ち、いつも通りに彼女に挨拶する。
「大丈夫、僕も今来たところだよ」
「君も遅刻か……失望したよ」
「……その言い方は酷いんじゃないか?」
彼女は腕を組んで文句を言うが、僕がそう言葉を返すと無邪気に笑う。仁王立ちしているが、身長が低い事も私服という事もあり、彼女にはいつもとは違う愛嬌があった。
もうわかっていると思うが、僕が待っていた人物は彼女……葎崎さんだ。
「罰ゲームとはいえゴメンね。買い物付き合ってもらっちゃって」
「別にいいよ。でもその前にランチにしようか」
「うん」
そして僕らは歩き始める。
まさか自分が彼女とデートができるなんて……負けた甲斐がある。
……本当はただの買い物の荷物持ちだが………
葎崎さんは育て親のケライン・エーデルガルドさん2人暮らしをしていて、彼女は毎週週末に1週間分の食材を買い溜めしているとのこと。
だが今回は、イギーのペットフードも同時に切らしてしまい荷物が増えて困っていたらしい。
そしてあの日、流れで承太郎も葎崎さんに荷物持ちを頼まれたが、気を利かせてくれたのか…はたまた単純に面倒だったのか…真偽はわからないが彼は彼女の願いを断り今に至るというわけだ。
「罰ゲームと言わず、荷物持ちくらいいつでも手伝うのに………」
「アハハ、ありがと。でもそれは花京院に悪いよ」
そう言って首を振るたびに、暗い藍色の髪が左右に揺れる。
「どうかした?……やっぱ服………変?」
「そ、そんな事ないよ。とても似合っている」
「女の子なんだからオシャレしろってシスターが………うぅ、恥ずい」
無地のTシャツの上から羽織った春物のコートと、足首までかかる白のロングスカート…それが今の彼女の服装だった。
普段は着ないのか、スカートの裾を抑えて初々しく顔を逸らす。本当に恥ずかしいのか少し耳が赤い。
「あ、花京院。ここにしない? ここのケーキは絶品って友達が言ってたんだ」
「じゃあここにしようか」
店内に入れば、店員に連れられて向かい合わせの席に案内される。そしてテーブルに立て掛けてあったメニューを広げて何を頼もうか決める。
「僕この苺のショートケーキ」
「………僕はカツサンド」
デザートを主食にするつもりかい?と口に出しそうになったが、彼女は余程楽しみにしているのか鼻歌を歌っている。そんな彼女を見て、僕は言いかけた言葉を飲み込み注文をする。
注文を終え店員は去ったが、葎崎さんは未だにメニューを見ていた。そしてメニューをこちらに向け、あるデザートを指差す。
「見て花京院。"特盛スイーツオールスター"だって」
「これは……凄いな。本当に食べる人いるのか?」
「………噂をすればだよ、花京院」
今度は僕の背後を指差し、振り向いて見れば店員の方が高さ30cmはありそうなパフェを運んでいた。
色取り取りのフルーツ…ミルク、ビター、ホワイトの3種類のチョコ…そしてバニラアイスにホイップクリームかな?それぞれが階層ごとに分けられ、1番上にはマカロンがトッピングされている。
「一体誰があんな物を………」
そんな言葉を零しながら、パフェを運ぶ店員を目で追う。
すると………
「ひゃぁ〜〜。相変わらず食べますねぇ……」
「ウィル。これくらい糖分がなければ、頭は動かんぞ?」
「あ、レオンさん」
「………………む?」
証呂
「1日でどれだけの糖分とってんの?」
レオン
「そうだな……昨日は朝にシュークリーム3つ、昼にチーズケーキとモンブラン、オヤツにエクレア……夕食はレストランでパスタだったが、デザートにまたショートケーキを2つ………」
礼神
「栄養価考えて!」
レオン
「私のような人外にとって、血液以外は全て同じようなもんだ」
伊月
「……今度人外にも効くサプリメント作ってみるね」