「まだ4部の全体像はできてないけど、そろそろ書き始めても問題ないかな」
礼神
「ついに4部!」
証呂
「まだ3.5部で関係ない話をするけどね。流れとしては……
3.5部(番外編)→3.5部(今後に影響する話)→4部(本編)
………かなッ‼︎」
レオン
「番外編はあと何話だ?」
証呂
「今回(75話)含めて…2,3話くらいかな」
伊月
「どうでもいいから早く75話読もうぜ⁉︎ タイトルからして、オジさん凄く気になるぜ!」
そんなわけで番外編、グダグダっとどうぞ!
現時代に片手で収まる携帯というのは、十分に世界にインパクトを与え広める事ができる。それはいずれビジネスの必需品になる。
その携帯をSPW財団で開発・販売するとなると、やはり他社もその魅力に飛びついてくる。
そこで私は今日、仲の良く話の通しやすいウィルと外交の話を飲食店でしていた。後で他社の交渉人も来る。
そこで、ランチメニューも美味いが私はデザートのみを単品で頼む。
交渉人が来る前に食べておきたい。
「お待たせしました。特盛スイーツオールスターでございます」
「ひゃぁ〜〜。相変わらず食べますねぇ……」
「ウィル。これくらい糖分がなければ、頭は動かんぞ?」
目の前で呆れ顔を浮かべるウィルを前に、私は長いスプーンを手に取り甘味を楽しむ。
だが彼の引いている様子を見て、今日のおかわりは控えようと思う。………2回まで。
「あ、レオンさん」
「…………………む?」
聞き慣れた少女の声につられ、視線をそちらに向けてしまう。
すると声の主が予想通り、葎崎 礼神なのだとわかる。
私達のいる席の通路を挟んだ反対側…そこの窓際の席に座っており、彼女の向かいには花京院が……………
「………………………」スッ
控えめに手を振ってサインだけ送り、私は視線をウィルに戻してビジネスの話をする。
経緯はわからんが、花京院がデートまで漕ぎ着けているのだ。話しかけて邪魔などはしない。
「レオンさん、本当に甘いの好きなんだね」
「………まぁな」
……君から話しかけてくるのか。
あ、花京院が微妙な笑みを浮かべてる。そして彼もこちらに身体を向ける。
「………………」
「あ、ごめんなさい邪魔して……目に入ったので改めてお礼を言いたいと思いまして………」
なんと言おうか悩んでいると、礼神が慣れない言葉遣いで軽く頭を下げる。
つられて花京院も頭を下げる。
「あの時はお世話になりました。ウィルソン・フィリップスさん」
「いえいえ、私はレオンさんに借りを返しているだけですよ。あの時はまさか、空から日本の学生が降ってくるとは思いませんでしたがねぇ」
にこやかにウィルが言葉を返す。
話も一区切りされ、話は早いうちに終わらせる事ができた。
花京院は今が正念場かもしれないのだから、このまま早々に輪から外れ……
「ちなみにレオンさんとはどのような関係なんですか?」
「ん。気になりますかな? お嬢さん」
………またこの娘は余計な事を………
「私は若い頃、格闘技を嗜んでいた時期がありましてね。その時にレオンさんとは出会ったんですよ」
「おい、ウィル…」
「いいではありませんか。思い出話に花を咲かせるくらい…まだ交渉先の社の人も来ておりませんし」
何かスイッチでも入ってしまったのか、ウィルは楽しそうに私と出会った頃からの話を始める。
「そうなんですか。レオンさんは付け焼き刃で格闘技の基礎を学んでたって聞いてましたけど………丁度その時期にプロレス界で出会ったんですか」
「えぇそうです。当時はキャプテンを任されていて、腕に自信はあったんですけどね………レオンさんには勝てず、何度かリベンジ戦を申し込みました」
「……お二人はライバルだった………と、いう事ですか?」
話を合わせて花京院が口を挟む………すまない。本当にすまない、邪魔をして………
「ライバルとは言えませんねぇ。私は負かされっぱなしでしたから………で、気が付けば弟子になってましたよ。つまりは恩師ですね」
「……プロレス……そんな事もあったな………ウィルの腕は確かで、私も気が付けばウィルの指導に熱が入っていた」
「凄いんですよ? レオンさんは基礎しか知らないにもかかわらず、動きの悪い癖をすぐ見抜くんです………トレーニングはハード過ぎた気もしますが………」
「君は付いてこれたじゃないか」
「ジョセフさんから聞いた事あるけど………レオンさんって弟子とか育てるの好きだよね。育成ゲーム好きでしょ」
「否定はしない」
会話を続ける花京院は楽しそうな表情を崩さないが、残念そうな表情も見え隠れしている。
礼神もウィルも気付いていない。
………どうやってこの状況を打破するか。
そう考えていると、丁度良いタイミングである男がやってくる。
「すいません、お待たせしましたぁ」
ケータイを商品として取り扱いたいという会社の若社長だ。
ー
ーー
ーーー
「すみません、お待たせしましたぁ」
「こっちが早く来ただけだ。気にするな」
レオンさん達は仕事でここに来ていたようだ。SPW財団とまではいかないが、大手の企業の人だ。
もっと良いホテルレストランとかで行うイメージがあるが………
「お待たせいたしました〜」
そこで僕の前にカツサンドが出され、葎崎さんの前にはショートケーキが運ばれる。
レオンさん達との雑談が強制的に終わった事もあり、僕らは出されたランチとデザートに手を付ける。
「美味い美味い」
ハムスターのようにケーキを頬張る彼女は、口元を緩めて幸せそうな笑みを浮かべる。
彼女も甘党……とまではいかないがケーキ類は好きなようだ。
こちらが遊びに行く機会があれば買って行くようにしよう。
「失礼、手洗いに………」
「えぇ、お構いなく」
ふと隣の席のレオンさんが席を立ち、それにつられて視線がそちらに向く。
レオンさんが店の奥に消えると、大手企業の若社長の表情が一転する。
「……時に上院議員殿…貴方は良いですねぇ〜、人生楽で」
「ん…何かおっしゃいましたかな?」
「レオンさんに気に入られ、美人な奥さんがいて、オマケに上院議員………後はそれで得た金でなんでも買えるんですからねぇ?」
この男……上院議員を目の敵にでもしているのか?
レオンさんが席を立った途端、ねちっこい口調で彼に話しかけ始める。
「どうせ奥さんも金で買ったのでしょう?」
「前々から思ってましたが、少々失礼ではありませんかな?」
「ハハッ! これは失敬……すみませんねぇ。思った事がすぐに口に出てしまって」
「ワハハ。確かに妻は私には勿体無い程の女性ですがね」
「どうせ金目当てですよ。金、金」
僕の向かいに座る葎崎さんは食事の手が止めて怪訝な表情を浮かべる。僕も同じくカツサンドを皿に戻した。
ウィルソン上院議員は命の恩人でもある。その後も僕らが無事帰れるように、表向きの隠蔽工作までしてくれた。
そんな人がすぐ隣で悪く言われれば流石に腹が立つ。
それを抗議したいが、当の本人は愛想笑いで流している。
相手の言っていることを気にしていないのかもしれないが、これ以上悪く言うなら黙ってはいられない。
「すみませ…「あのッ!」
だが僕が言うのと同じタイミングで、葎崎さんが強めの声を上げた。
その声に2人はこちらを向く。
「その人を悪く言わないでくれませんか?」
「……何だと?」
「恐らくですが……貴方は良く知りもしないのに、ウィルソンさんを悪く言っている。それをやめてほしいと言っているんです」
眉間に皺を寄せる男を前に、僕は葎崎さんの後に続きを言う。
「な…何だ……君達部外者には関係無いだろ! 君達は何なんだ⁉︎」
「えっと………」
「知り合いですよ。些細な事で知り合った知り合い……貴方よりはよっぽど、彼の事を知っています」
最もな疑問に言葉が詰まる葎崎さんの代わりに、僕は適当な事をスラスラと述べる。
「……ははぁ〜ん? 少年の方は兎も角……少女の方は愛人ですかね? 良いですなぁ、金のある人は!」
「なッ‼︎」
思わず僕は目を見開く。
この男………人の言葉を理解できないのか? 上院議員にのみならず葎崎さんまで貶すなんて………
「その歳で自分を売るとは、さぞかし貧しい環境で育ったんでしょうねぇ」
「貴様……!」
立ち上がり若社長の胸倉を掴み上げる。
仕方なかった……それ以上は堪えられなかった。
「ななな、急に何をッ⁉︎」
急にだと? 自分が何を言っていたのかもわからないのか⁉︎
思い切りブン殴ってやりたい気持ちに駆られたが、その振りかざした腕は1人の男に止められる。
「まぁまぁお若いの。ここは1つ落ち着いて………未来ある若者が、そう簡単に起こして良い行動ではありませんよ」
「ですが………ッ⁉︎」
決して手加減をするつもりはなかった……なんてパワーだ。
その振りかざした腕を掴んだ上院議員の手によって、僕の左腕は無理矢理下ろされた。
「…ま……全く。最近の若者は一体どうなってるんだ! 急に話に割り込んだ果てに暴力を振るうとは………」
男はネクタイを締め直し冷静を装うが、腰を抜かしテンパっていた。そんな男に上院議員は驚くべき物を取り出して手渡す。
「………これは?」
「慰謝料です」
さも当然のように笑顔を浮かべるウィルソン上院議員……
僕はその行動が理解できず凍り付いた。確かにそれを受け取れば穏便に済んだ事になるんだろう………だが元は貴方を庇って起きた事だ。それをさも当然のように金で塗り消そうとしているのだろうか……
男はいやらしい笑みを浮かべてそれを受け取る。
「ま、まぁそこまで言うなら仕方ありませんねぇ……………………ん?少し………いや、だいぶ多くありませんか? いえ、私は多くても別に全然良いんですけどね?」
「そんな事はありませんよ。貴方に恥を
まだ凍り付いたままの僕の脳には、その言葉を理解する事はできなかった。
「かかせる?かかせたではなく?………それに………医療費?」
「ご安心を。怪我は
ー
ーー
ーーー
「プケヤパァッ⁉︎」
とある駅前にある飲食店……スイーツなどの評判の良いこの店で今、1人の若社長が宙に舞った。
理由は1人の小柄な男が顔面を殴り抜いたからである。短い腕から放たれた一撃は、若社長の鼻骨を砕いてなお勢いを止めず、窓ガラスを突き破ってダイナミックに店を出る事になる。
その身長差からは想像できない光景に客、店員、通りすがりの皆が足を止めて凝視した。
「お嬢さん。失礼ですが、退いて頂けますかな?」
「………………」
声も出せずに突っ立っている礼神の前を、ウィルソン・フィリップスは通り過ぎる。
「ほ、ほばへ……ばびをひたかわはってるのは? うっはえへひゃる」
「何をしたか?えぇわかっていますとも…訴える? 出来るものならどうぞご自由に」
そう言ってガラス片を敷いたアスファルトの上に立ち、足元に転がっている男を見据える。
「私はね……人道を踏み外し、師の教えに背くつもりはありませんよ。別に私を悪く言うのは構いません……ですがね、
何故お前に未来ある少年少女を貶す権利があるッ⁉︎ ましてや私の前でッ‼︎ よくそんなフザケタ事ができたなッ‼︎」
「ヒィッ⁉︎」
比較的大きかったガラス片が、上院議員の靴底の下で音を立てて割れる。その前で男は仰向けのまま上半身を起こし、尻を引きずる形で下がる。
「う、うっはえへやる! 絶対に
「ですからやれるものならどうぞ? 貴方………受け取りましたよね? 慰謝料………」
「………へ?」
「監視カメラにもその様子は映っているでしょう。それでも私に非がないわけではないので、訴える事は可能ですが………ただ、その程度のダメージは覚悟の上……」
ゆっくり歩み寄るウィルソンだが、背後から誰かに声をかけられる。
「おい、何事だ?」
「へ、へおんさん!」
現れたレオンは店内を見渡してから、律儀に出入り口から外へ出る。
そんな彼に助け舟をこうつもりなのか、男はまたいやらしい笑みを浮かべた。
「レオンさん、この人が……………」
顎も砕けたのか、上手く回らない呂律で必死に男は説明をする。多少盛られた話だが、レオンはそれを聞き終えてから口を開いた。
「成る程………君は私の親友を馬鹿にした挙句、私の友人を貶した………それにウィルがキレたわけか」
「…ひゅ……
片足を付けたレオンは話しかけ続ける。
「君にも非行はあった………が、暴力に出たこちらに非がある」
その言葉待っていたと言わんばかりに、男はウィルソンに向けてまたいやらしい笑みを浮かべる。
しかしその笑みも次の瞬間には凍りつく。
「金で済ませるつもりはないが………
「………え」
「どうした……ほら、
「………ひ………ヒィーーーッ‼︎」
男は金も受け取らずに逃げ去った。
レオンがウィルソンと同じ手順で殴ると思ったからだろう。無理もない………彼の表情を見れば、レオンが激怒しているのは誰にだってわかる。
(………影LEONさんだ…)
「………すまないオーナー」
「はぁ………まぁ、社長兼常連客として大目に見ますよ」
ー
ーー
ーーー
「あの店ってSPW財団の所有する会社の支店だったんだね」
「レオンさんの言葉から察するにそうだろう。にしても、どっと疲れたな」
ランチを済ました後、買い物を済ませた葎崎さんと共に僕は帰路についていた。
「レオンさん良かったのかな………仮にも交渉相手に………」
「あの若社長…父親である前社長のコネで社長になったらしいよ。ただそれだけの男で実力は並以下…はなから取引する気は無かった………そうレオンさんは言っていたよ」
「へー。あの人お坊っちゃんだったんだ………だとしたらダメな意味でおかしな人だね……支離滅裂で人の話を聞かない」
「だね」
気が付けば僕らは、葎崎さんの住むアパート前まで来ていた。目的地についた僕は玄関前に、持っていた買い物袋を置く。
「今日はありがとね」
「ふー。このくらいならまた頼んでくれて構わないよ」
「それは悪いよー」
「そこは素直に、感謝を述べておけばいいんだよ」
「アハハ、そっか。ありがと」
名残惜しいがこれで終わりだ。買い物袋を置いた僕は、僕の家に帰ろうとする。
「あ、待って」
「ん?」
「良かったら上がってかない? お礼というか………お茶くらいは出すよ」
不意に誘いを受けた。もちろん僕としては喜ばしい事だが、僕は彼女の家庭事情を知っている。今日は休日………葎崎さんを女手一つで育てているエーデルガルドさんは、きっと疲れているだろう。そんな所に訪問するのは気がひける。
素直にその事を口に出すと………
「シスター? シスターは今いないよ」
「………え?」
「休日出勤なの。いたら花京院に頼まず、シスターと一緒に買い物するよ」
………これは………期待して良い………のか?
いや彼女の事だ。どうせ僕の事を男でなく友達として見ているんだろう。だがそのガードの緩さは不安になる。
しかし………
「じゃあ………お茶だけ」
「オッケー。友達がうちくるのは承太郎以来かな!」
折角の誘いだ。チャンスは無駄にはできな…
「ただいまー」
「オォォオ‼︎ ヨーヤク帰ッタカァ‼︎」
「………………」
「シュトさん、これ台所まで運んで。こっちは押入れのペットシーツとかの所」
「ヨシ、ワカッ……ン? 君は………」
「改めて紹介するよ。花京院 典明、旅を一緒にした幽波紋使い…花京院、この人は元ドイツ軍人のシュトロハイム…通称シュトさん。無人島で会ったでしょ?」
…やはり期待はしない方が良かったな。
「………ごめん花京院。もてなすつもりが、逆に疲れたんじゃない?」
「なかなか面白かったよ。流暢ではないが日本語も話せるんだねあの人」
「そういえば上院議員さんも話せてたね。そしてシュトさんは、嘘か本当か武勇伝が多すぎるんだよ………」
「……何故シュトロハイムさんが君の家に?」
「結婚してないからドイツに帰りを待つ家族居ないんだって。それで軍人時代の部下だったシスターの元に寂しいから転がり込んで来たらしい。『私は自分の手掛けた部下を我が子の様に思っている。つまりレイカ……お前はこのシュトロハイムの孫というわけだ』ってこの前言われた」
「……それもまた支離滅裂だね」
彼女の家でお茶をご馳走してもらった後、僕は今度こそ帰路についた。何故葎崎さんがまだ僕の隣にいるかというと、「シスターに傘届けに行くから途中まで一緒に…」との事………
そういえば今夜は雨と予報が出ていた。エーデルガルドさんは傘を忘れたらしい。
「たしかにシュトさんは支離滅裂だけど、シュトさんは必要な良い人材だよ」
「人材?」
いつもの彼女なら「良い人」などと表現すると思ったが、彼女は「人材」と言った。そこに違和感を感じ首を傾げると、葎崎さんは察して口を開く。
「僕ね……夢が2つ有るんだ。1つはもう達成したけどね」
「それは前に聞いた。全員での旅の生還だよね」
「うん。それでもう1つの夢はね……ツバメを復活させる事!」
「………ツバメ?」
その言葉にまた首をかしげる。
一般的に聞くツバメといえば、玄関の壁や軒下に巣を作る野鳥の事だけど………………
「ツバメは、僕が拾われた孤児院の名称だよ」
「……………」
「……前々から思ってた。そして旅から帰ってきた時、シスターに抱き締められてより強く思ったんだ………両親に捨てられたけど、僕は幸せなんだなぁーって」
彼女の話を僕は黙って聞く。
「…知ってる花京院。日本で保護を必要とされる赤ちゃんは、年間で数千人いるんだよ………もちろん全員を保護できるわけじゃない。中には捨てた事がバレない様に、孤児院に届けない親だっている………僕はその中の1人で、奇跡的に現在に至る………僕はその奇跡を当たり前にしたい………いや、捨てられる前提の言い方だねこれじゃ………でも親に捨てられた子達に、胸張って「大丈夫!」って言える人になりたいんだ。シスターみたいな人になりたい。子供達に絶望を………感じさせたくないんだ………」
最後の言葉を口にした時、一体何を考えていたのかはわからない。だがあまり良い事を考えてはいなさそうだ。
「………だからさ。シュトさんみたいな元気な人は必要だと思うんだよね。歳が心配だけど、まだまだあの人長生きしそうだし」
「アハハ、そうだね」
「きっと毎日が大変だけど、僕みたいなボーイッシュは嫁にも行けそうにないからね。孤児院を維持する為の収入は不安だけど、独身だと身軽に動けるはず………」
………そうか………葎崎さんは僕を男として見ないんじゃない。恋愛自体眼中に無いんだね。
「人手が足りなかったら、その時は是非呼んでくれ」
「それは悪い……じゃなかった。その時は頼りにしてるよ………あ」
「ん?………あぁ、葎崎さんはアッチか」
「そうだよ。花京院の家は………そっちだったよね?」
「あぁ。それじゃあ、また学校で」
「うん。またね………って、オワァッ⁉︎ 降り始めた⁉︎」
別れた途端に降り始めた雨。
別れを告げてから葎崎さんは、傘を差して小走りで去ろうとする。
「………葎崎さん‼︎」
「え?………なーにー⁉︎」
大声で呼び止めれば彼女は振り返り、遠くからでも返答してくれた。
雨の中、僕はそんな彼女の元へ駆け寄る。
「………?」
「大好きです」
「………………」
………ムードも何も無い。
そんな中、僕はストレートに伝えた。
それでも君には届かないと知っているのに。
何故今言ったのか…それは僕にもわからない。
「……プッ……アハハ! 急にどうしたの?」
「いや……君は自分を過小評価する癖があるみたいだから……」
「そうかな……なら頑張って治すよ。ありが………なんか感謝してばっかりだね。本当にありがと! 僕も大好きだよ♪」
そう言って、彼女は今度こそ走り去った。
僕は君の様に酷く鈍感ではない。勘違いはしない。
それが「Love」ではなく「Like」だとはわかっているし、君が僕の言葉をLikeとして受け取っているのもわかってる。
これで諦めたつもりはないが、また僕が同じ事を言っても、きっと君も同じ事を言うんだろう。
なんの躊躇いも、恥ずかしげもなく当たり前に……
友人としてそれはとても嬉しい……だが同時に悲しくもある。
「………雨が降ってよかった」
おかげで誰にもバレない。
僕は服全体にシミを作るように、時間をかけて歩いた。
ー
ーー
ーーー
「……で?レオン。交渉に応じなかったのは構いません。ですが、問題を起こしては困ります」
「訴えられて私の首が飛べば御の字だったが………仕方ない。ウィル。次は窓ガラスではなく、通路に殴り飛ばしてくれ」
「レオン殿……そう言うことではない気が………」
「えぇ、ウィルソンさんの言う通り、そう言うことではありません。あの場では一度堪えて、社会的に殺してください。暗殺でも構いませんが………得意でしょう?暗殺」
「………橘。君が1番怖いな」
礼神
「上院議員さん。奥さんバカにされても起こらなかったのに、僕らの時は怒るんだね」
ウィルソン
「えぇ。妻は「金目当てと思われて当然、それでも貴方を愛する」と言ってくれました。それなのに怒りに身を任せて暴力を振るっては、妻の決意を疑うようなものですから」
レオン
「ウィル。ジョセフの代わりにジョースター家に産まれないか?」
承太郎
(レオン……今回は花京院の慰めに後書きを使ってくれねぇか?)
伊月
「典明君。飴ちゃん食べる?」
花京院
「食べない」