「お久しぶりになってしまった。どうも黝 証呂です。専門学生になって予想以上に忙しかったので、だいぶ遅くなりました」
レオン
「なんだ………失踪したと期待したのだが?」
証呂
「主人公が期待すんな‼︎ 新キャラ1人導入して、そっから4部や‼︎」
それはさておき73話、グダグダっとどうぞ!
73.新章突入:前半
今日は1994年 5月 4日。
私の名前はケライン・エーデルガルド。
ドイツの女軍人だったが、老いた今は日本で孤児院を経営している。一度は悲惨な事故に遭ったが為に孤児院ツバメは潰れてしまった。しかし我が娘、レイカの尽力あって再建する事が出来た!
私の為を思ってというのも嬉しいのだが、何より嬉しかったのは「僕は捨て子だけど幸せになれた」「次は僕がシスターみたいに幸せにする番だと思うんだ」………と、可愛い笑顔で言ってくれた。
………嬉しすぎる。可愛すぎる。レイカは私の誇りだ‼︎ 私を理由にして私に囚われず! 私を目標にして自分の夢を持ってくれた‼︎
しかも幸せになれた⁉︎ 私はお前の母親になれたのか………うぅ、私も老いたな。涙腺が緩くなっている。
………ハッ‼︎ 違う、私はこんな話をしたいんじゃない。
いや、"こんな"と言うのは間違いだな。実に素晴らしい話だ。
………ゴホン。ま、まぁ、そんなわけで私は今、孤児院を再び経営している。不服があるといえば、シュトロハイムが共に働いている事だな………
だが私は今、そんな不服も忘れるようなショックを目の前にし、現実逃避をしてしまっていた。
………一度意識を現実に戻してみよう。
「………………」モグモグ
「………う、美味いか?」
「………………」コクリ
無表情で無口な少女が、今 私の前でお菓子を食べている。この少女がショックの原因だ。名前は
「ルナ」という。
孤児院で暮らす子供達とはまだ溝があり、馴染めていないようだ。今日初めてここに来たのだからしょうがない。
「シスター、レオンさん来たよ」
「………! 来た?」
「あ、あぁ。迎えが来たようだな。残ったオヤツは持って帰って良いぞ」
「………いい………コレ……ここの子達の………」
そう言い残し、短い足でテケテケ走る姿には愛嬌がある。
私達のいる扉が開き、そこからレオン殿が入ってくる。無口な少女はそのレオン殿の足に抱き着く。
それに気付いたレオン殿は抱き抱えて私の方を向いた。
「今日は急にすまなかったな、エーデル。娘が世話になった」
………私の初恋の相手に娘が出来ていた。
ー
ーー
ーーー
〜2週間前〜
旅を終えて早数年……僕は卒業後、苦難の末に前世の記憶が唯一活かせると判断して、国内のファッションデザイン科の大学へ入学した。それと同時に、レオンさんと取引をして"孤児院ツバメ"を再建。悲しいことに孤児達は最初の一年で3人増えた。
シスターはもちろんのこと、孤児院ではシュトロハイムも働いている。僕とイギーも手伝いはするが、上手く経営する為に稼げる人にならないといけない。その為僕は学業に専念して4年過ごした。
前世の記憶を頼りにして仕立てたデザインは高評価。そして今日……大学を卒業した僕は………
「レオンさん………ゴメンッ!」ダンッ
レオンさんに謝りながら、書類にハンコを押し付ける。それを見届けると、レオンさんの秘書である橘さんは控えめに笑い書類を手に持つ。
「契約成立ね。期待してるわ」
僕はこの日、SPW財団の新たな業界進出という形で小さな会社を立ち上げた。
「仕事増やしてゴメンねレオンさん……じゃなくって会長」
「仕方ないさ。孤児院に援助できる金も無限ではない。礼神の働き口を潰すわけにはいかんだろう」
「予め選抜した人材の資料よ。マライアとミドラーが乗り気だったから、しばらくしたら彼女達もそっちに派遣します」
「はい!」
「話は終わりだ。帰り道に気をつけて」
「わかりました」
切り替えてレオンさんにも敬語で接する。レオンさんならいつも通りで良いって言いそうだけどね。
財団の支部を出た僕はケータイを開いて、親友2人にメールを飛ばした。その2人とは承太郎と花京院……事前に言ってはいたが、僕が子会社を立ち上げたとなれば少しは驚くだろうか。まぁ、会社立ち上げってのも人脈に恵まれてただけだけど………
「尚更頑張らないとな」
両頬を自分で叩いて喝を入れる。
……そういえば。
「レオンさん、なんか………ピリピリしてたな」
ー
ーー
ーーー
「………伊月、ホル・ホース。入れ」
「ん。巫女との話は終わったのか?」
「あぁ」
「ゴメンねぇ〜、めでたい時にこんな案件持ってきて」
部屋に入ってくるや否や、2人はレオンにそう話しかける。
「構わない。コレは私も見過ごせないし………貴様もだろ?」
鋭い目付きで伊月に視線を向けるレオン……それに対し伊月は、沸々と湧き上がる怒りを抑えるように笑っていた。
いつものようにケラケラと……それでいて瞳の奥には怒りが籠っていた。
「今は亡き呪いのデーボ程じゃないが、俺にだってツテはある。その結果、例の組織の尻尾は掴んだ」
「説明しろ」
話の先を促すと、ホル・ホースは1枚の写真を見せてくる。写真には1人の女性の横顔が写っていた。カメラにはまるで気付いていないような表情だ。
「コイツが組織のボスだ。名前は知らんが、ヌールと呼ばれている。覚醒剤の出所だ」
前世で薬に苦しめられた経験のあるレオンだが、見つけたからといって一々首を挟まない。だが今回は、それに見合った理由があった。
「この覚醒剤。オジさん独自の方法で解析したんだけどねぇ、やっぱり引っかかっちゃった〜………俺が手掛けた
「そうか……伊月。君ならこの組織をどうする?」
「それはもちろん………」
ー
ーー
ーーー
不服そうな表情の橘に休暇を要請。私に仕事を休んでもらいたくはないが、休む理由が無視できない内容だから仕方がない…といった感じか?
休暇の理由は「とある組織を潰す」と正直に話した。
SPW財団の製造した薬品が覚醒剤に利用されていたのだ。その事実を使って相手組織と黒いビジネスもできるが、もちろんそんな事をするつもりは毛頭ない。
…となれば、相手組織には消えてもらわなければならない。
「はぁ〜……できれば観光で来たかったわ」
「レオンさん。新婚旅行はここにしません?」
「ホル・ホース、奴との待ち合わせ場所は何処だ?」
マライア、ミドラーの言葉を無視してホル・ホースに話しかける。
すると彼は地図を取り出し、その隣にいた伊月は身を乗り出して一緒に地図を眺める。
「この近くっつってたんだがなぁ……」
「ホル君。アレじゃない?」
そう言って指差す先には少し場違いな大型車が道路沿いで停車していて、運転手と思われる男が空いた窓に太い腕をかけている。
歩み寄って窓枠のフレームをノックすると運転手はコチラに気付き、ギョッとした表情で振り返る。
………両腕はたくましいものだが、相変わらず身体とのバランスが歪だな。
「ヒッ⁉︎………ひとまず…後ろにどうぞ………」
「そこまでビビるな。これでメンバーは揃ったな」
促されるまま後部座席に乗り込む。
最後部座席にマライアとミドラー、その前の席に私と伊月、助手席に乗り込んだのはこの運転手とツテのあるホル・ホースだ。
私を含めたこの5人と運転手の男……計6人が、今回組織の乗り込むメンバーだ。
「久しぶりだな。ズィー・ズィーさんよぉ」
「………………」
ホル・ホースが気軽に挨拶をするが、ズィー・ズィーと呼ばれた運転手は言葉を返さない。
私を前にしてだいぶ緊張しているようだ。
「ズィー・ズィー。敵だったのは昔の話……それも君は雇われた身だろう? 全ては水に流したい………ダメかな?」
「………いえ」
ズィー・ズィーは少しだけ肩の力を抜いた。そしてキーを回してエンジンをつけ、我々を乗せた大型車は
・ズィー・ズィー (男)
1988〜1989年に行った旅で出会わした幽波紋使い。
礼神の治療の為に別行動をとって追いかける道中で戦い、ホル・ホースと伊月 竹刀と当時は組んでいた。
物質同化型のスタンドで、小さなボロ車にスタンドパワーを注入し姿を変えるスタンド能力を持っている
そのスタンドの名は「
「今回の情報提供と案内役としてのサポート、改めて感謝する。よければ、この組織との繋がりを教えてくれないか?」
「繋がりってほどじゃないですよ。DIOに雇われた一件以来、俺は仕事を選ぶようにしまして……今は運び屋に転職し、その道では名も売れたんす。そしたらある日、この組織から依頼がきましてね。運ぶ内容物はSPW財団の薬品と、それを加工した違法薬物………こういった物も運んだ事はありますが、貴方を敵には回したくないので断りましたよ。それから3週間後あたりに、ホル・ホースから連絡が来た次第です」
「なるほど………情報を得た経緯はわかった。が、内容物も知っていて、君は組織の本拠地も知っている………もしかしてだが」
「えぇ。アンタの想像通り組織は
やはりな………運び屋を雇うなら、内容物を教えるのはリスクしかない。
「ねぇレオンさん。情報を簡単に流すようなザル警備の組織なら、私達が動かなくても潰れるんじゃない?」
後部座席から身を乗り出したミドラーがそう言って……おい、さりげなく抱きつくな。
「確かにな。だが最悪の事態を危惧するとそうも言ってられない」
「どうゆう事よホル・ホース」
続いてマライアも身を乗り…おい、お前までくっ付くな。
「ズィー・ズィーの旦那が言うには、その本拠地があるのは私有地の山の中だそうだ。法の上で捜査する警察は、手をつけるまでに時間がかかる。それよりも早くどっかの別の組織が目を付けて、この組織を吸収されたら面倒だ」
「ホル・ホースの言う通りだ。警察に捜査を要請したところで、捜査の進行度はさして変わらん。我々が直接、迅速に非合法な手段を取った方が都合が良い」
後部座席の2人の手を引き剥がしながら、ホル・ホースの言葉に私が補足する。
「だとしても、会長の立場であるレオンさんが直接ってのは危ないんじゃないかしら?」
「まぁな。あわよくば問題になって、財団を抜ける事が出来れば願ったり叶ったりだ」
「………レオン様。もしかしてそっちが狙い?」
「どうせ足がついても、橘がせっせと隠蔽してしまうさ……覚醒剤に繋がってるなんて噂が流れるのを嫌った結果、組織を潰す為の行動を許された。が、私が動くと言った時は渋々だった」
だが迅速に終わらせる為の苦渋の決断だったのかもしれない。橘にとってはな………
「んじゃ、改めて確認だが……
その1、組織を潰す。
その2、極力足をつけない。
その3、迅速に行う。
………それが今回の仕事内容で良いんだよな?」
自身のスタンド、
「その認識で構わない」
「シンプルだねぇ〜」
足を組み直して答えると、彼のルーティーンなのか、片手でアクションを決める。
ー
ーー
ーーー
その後、道中はなんの問題もなかった。
強いて言うなら、乗り物酔いが酷い伊月が朝食を山の肥料に変えたくらいだろう。
6人は現在、人の手の付いてない山中にいた。
無論、先程の話に上がった組織のある所有地。ここからは見えないが、更に進んだ所に廃ビルと言うのか廃屋と呼ぶのか、コンクリート剥き出しの建造物が建っている。
「コイツがねぇのは、ちっとばかし落ち着かないな」
いつも愛用しているカウボーイハットを助手席に残し、車を降りたホル・ホースは頭を掻く。
「伊月。白衣は脱いで行け、お前のトレードマークだろう?」
「了ッかーい」
そう言って脱いだ白衣を、ホル・ホースと同じように座席に残す。
一応皆仮面を被っていて、突入中はスタンドの名前で呼ぶことになっている。素性を明かさない為の工夫だが、良い意味でも悪い意味でも正直言って意味は無い。
その程度で隠しきれるわけはないし、最終的には殺すか記憶を改善する予定なのだ。
「イヤホンくれ」
「ヘッドホンね」
「サンキュー、小麦肌ちゃん♪」
ホル・ホースはマライアに投げ渡された片耳用ヘッドホンを受け取ると、右耳にはめて口元までマイクを伸ばして位置を調整する。
「行ってらっしゃいの、チューー」
「今すぐ引っ込めないと唇、千切るぞ」
レオンがマジトーンで言えば一瞬想像したのか、ミドラーは素直に口を引っ込める。だが懲りずにまたやるのだろう、と、レオンはため息をつく。
(……なんか緊張感ないなー)
それがズィーズィーの率直な感想だった。
作戦…と言うほどでもないが、彼ら3人がヌールを確保(もしくは殺害)するだけというもの。
残りの3人はその場で待機だが、役割は一応ある。
「マライア、周波数は合ってるか」
「ちょっと貸して………」
ズィーズィーのスタンド車の助手席に乗り込み、スタンドエネルギーで通信機に改造された備え付けラジオを弄る。
『レオン様聞こえる?』
「ん、問題ない」
「大丈夫だって……あんたの能力も便利ねぇ」
助手席にあったホル・ホースの帽子をなんとなく被り、マライアは再び外へ出る。
それと同時にレオンが短く言葉を吐く。
「行くぞ」
「へいへい」
そう言ってレオンと伊月、ホル・ホースと共に歩き出した。
「………………」
山中に佇む灰色の建造物。
若干縦に長い長方形としか言い表せないソレは、有刺鉄線を上に着けた塀でぐるりと囲われていた。
そこの唯一の出入り口である門の前には銃を持った2人の男が立っている。
そんな正面から、3人は堂々と現れた。
「あ?おい。誰だアンタら……」
声がまるで聞こえないのか、止まるどころか歩くペースを全く乱さない。そんな彼らに銃口を向け、再度声をかけようとするが………
「ちょっと待てよ。随分と態度がでか……ぁ………?」
「……え、ちょっ。おまッ! 何こっちに銃向け「パァン」
「ァ……ェ………リュッ………」ドサッ
先に声を出した男は自ら構えていた銃を仲間に向けて頭部を撃ち抜く。そして撃った方は静かに膝から崩れ落ちた。
「………波紋で脳味噌を少々弄らせてもらった」
「うわー、エグーい。君はチートキャラのフレンズなんだね!」
「………? わかる言葉で言ってくれ」
「え、マジ? お前ソレでも転生者かよ。礼…巫女ちゃんには通じたネタだぜ⁉︎」
ありえないものを見た。とでも言いたげな表情を仮面の奥で浮かべる伊月。
その伊月の隣を歩くホル・ホースは「どうでも良いから、さっさと終わらせようぜぇ〜?」と、軽々しく提案する。
「そうだな。だがエンペラー…お前は奴が撃てるのか?」
「仕事なんだから仕方ねぇよ。女を撃つのは気が引けるんだがなぁ………」
ー
ーー
ーーー
このビジネスを始めたのは半年前……その前はただの女医だった。
患者の為にせっせと働いてはみたものの、救いようのない患者が増えて嫌気が指した。
麻薬や覚醒剤に依存した中毒者を治す為に働いても、結局は麻薬に手を出して振り出しに戻ってしまう。
処置を施す事で依存の振り幅が大きくなったのか、患者は皆麻薬に手を出した。麻薬を売った犯罪者どもに利用されてる気分だった。
そんなある日、私は決めた。
ー
才能ある美女である私は勝ち組じゃないといけない。
勝ち組になれる才能と美貌があるんだからね……事実、私は薬学界で上位のSPW財団の新薬だって分析できた。
最初は自分で売り捌いていた。
売れるようになって面倒になった私は、依存した者を何人か集めて部下にして売らせた。
「ホンット、病院で働いてた時に比べて楽な仕事よねぇ〜」
高級品の家具で飾り付けられた私の部屋で、椅子の背もたれに全体重を預け両腕を上げる。
「楽な仕事だけど………」
恨めしそうにデスクの上の3つのモニターを見る。私の
そこの映像の1つに映った
どんな手を使ったかわからないけど、門の飼い犬2匹が殺された。
(また
「こう言うことがあるから面倒よねぇ〜」
このビジネス始めてから今回ので
面倒だと思いながらも、天才美女の私はマイクの電源を入れた。
ー
ーー
ーーー
『ーーー御機嫌よう。私の可愛い飼い犬達』
アジトの玄関を潜った所でアナウンスが耳に入る。音質も悪くノイズが混じっているが、憎ったらしい口調の女の声が聞こえる。
『実は私の城に汚いネズミが3匹……迷い込んでしまったようです。招待した覚えはありませんし、歓迎する気はありません』
「ウザったい声だねぇ〜。オジさん知ってる。性格ブスなんだ、んで外見もブス」
「いや旦那、外見は写真見せたろ?」
隣にいる2人の会話はどこ吹く風でアナウンスは続く。
『そこで飼い犬の皆さんには、この3匹を殺処分して欲しいのです。無事、処分できたいい子ちゃんには報酬と…だーい好きなおクスリをプレゼントします。それではーーー』
そこでブツッと、一際大きな音を立ててアナウンスは切れる。
「大物ぶってるねぇ〜。オジさん知ってる。実は雑魚なんだ、んで更にバカ」
「おい、そろそろ真面目に頼む」
レオン
「私は誰だ?」
ルナ
「………お父さん」
エーデルガルド
「……私は?」
ルナ
「………お婆ちゃん?」
エーデルガルド(76)
「………………」
レオン(127)
「………なんかすまない」