ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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証呂
「よし。子供は3人にしよう」

レオン
「………前に言ってた奴か……冗談か何かだと思ったが」

マライア
「アタシの子ね♡」

ミドラー
「私の子よ!」

証呂
「2人とも違うんだよな……」

いつもより短いですが75話、グダグダっとどうぞ!


第4部
75.彼は父になり、弟を持つ


「おい。本当に連れて行く気か?」

 

「仕方ないだろ。妻はいないが私も父……いつ帰るかもわからんのに、孤独に生きていた子供2人を残せるか?」

 

「テメェがそう言ったせいで、俺までとばっちりで駄々こねられたんだぜ」

 

「お前は元々家族サービスが悪いんだ。いい機会じゃないか。あのまま時が流れれば、娘に見放されるぞ?」

 

「かもな………そもそも娘は、俺よりもアンタに会いたくて駄々こねたんだぜ」

 

「………それは父親として悲しくないのか?」

 

「……………多少」

 

「……まぁ息子はしっかりしているし、いざという時は頼りにしてくれと礼神も言ってくれている」

 

「テメェが残ってガキども面倒見れば、万事解決なんだが?」

 

「そういうわけにもいかないだろ」

 

「………そうか」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 1999年も早3ヶ月が過ぎた。

 今年は あの有名なノストラダムスの恐怖の大予言の年とかで 日本や世界のマスコミは大騒ぎたが 大抵の人々は 晴れ晴れとした気分では ないにしても いつも生活しているように 春を迎えた。

 

 僕の名前はーー(まー…覚えてもらう必要はないですけど) 広瀬(ひろせ) 康一(こういち) 15歳…

 僕の場合は…受験の合格と これから通う 新しい学校への期待と不安で頭が いっぱいの3ヶ月だった。

 

 ………奇妙な男達に出会うまでは…

 

「うわっ!」

 

 よそ見をしていたせいか、僕は誰かに正面からぶつかってしまう。

 小柄な僕は簡単に弾き飛ばされ、持っていたカバンから中身がブチまけられる………

 

「え⁉︎ あっ!あっ!………⁉︎」

 

 気が付けば僕は平然と立っていた。

 二本の足で……今歩いているアスファルトの上を………

 

「あれェ〜〜〜……?…⁉︎ おかしいな…今ぶつかってころんたと思ったのに…? カバンの中身もブチまけたと思ったのに…???」

 

「君……大丈夫か?」

 

「よそ見をしててすまなかったな……この町の地図を見ていたんでな」

 

 混乱する僕を他所に、僕がぶつかった大男とその隣にいた長身の人が話しかけてくる。

 

 ぶつかった人は白いコートを着てガタイが良く、先に心配して話しかけてくれた人は細くモデルみたいな人で白髪と赤い目が印象的だ。

 どっちの人も……で…でっけぇ〜〜〜っ。190以上はあるぞ。

 

「ひとつ尋ねたいんだが…東方という姓の家を知らないか? 住所は定禅寺1の6……」

 

「それなら………」

 

 そう尋ねられて僕は行き方と、この時間帯はタクシーがつかまらないことを伝えた。

 

 そう…1人目と2人目はこの男達だった。

 

 空条(くうじょう) 承太郎(じょうたろう)

 あとで知ったところによると年齢は28

 職業は海洋冒険家 学会ではクジラだかサメだかの生態調査で有名な人らしい。

 

 レオン・ジョースター

 これもあとで知ったことだけど、彼はあのSPW財団に勤務しているお偉いさんらしい。正確な肩書きと歳は「秘密」「何歳に見える?」と、何故かはぐらかされた。

 

 この人達には恐怖は感じなかった。

 知性と物静かな態度があった。

 

 本来なら僕の役目はここまでで終わりだった…道を聞かれて教えただけなのだから…しかし僕はこの人達から目を離せなかった。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「やれやれ。あんたが道を覚えてれば迷わずに済んだんだがな」

 

「すまないな。当時はタクシーに任せて行ったし、気が気じゃなくて覚える余裕はなかった」

 

「それは仕方ないな……おい、行くぞ」

 

「はい…道は分かったんですか?」

 

 承太郎が声を遠くに向けてかけると、少し離れた場所にある池……そこにいた3人の子供と1人と高校生がいた。

 その中にいた身長のある栗色の髪をした中学生くらい男の子が返事をする。

 

「まだ亀見たい!」

 

「徐倫…我儘………ダメ………また今度………ね?」

 

「うぅ〜〜」

 

 徐倫と呼ばれた小学生くらいのお団子ヘアーをした女の子は駄々をこね、無表情の銀髪の女の子………ルナがそれをなだめている。

 

「徐倫。本当は母さんの元で待たせるはずが、お前が駄々こねるから仕方なく連れてきたんだぜ。ダディとの約束は覚えてるか?」

 

「うぅ……ダディ達のいうこと聞くこと」

 

 承太郎は徐倫の元へ歩み寄ると、両脇に手を差し込み抱き抱えた。

 

「お、偉いなジョリーンちゃん。亀さんはまた今度見に来なよ」

 

「うん」

 

  残された男子高校生に手を振る徐倫とルナ。

 

「誰かは知らんが、娘の世話をしてもらって悪いな」

 

「全然イイっすよ、別に気にしなくても」

 

 その男子高校生は地元の人だろう。()()()()()が特徴的な不良だが、見るからに温和そうな男だ。

 

 その様子を見ていたレオンは、栗色の髪をした少年に話しかける。

 

「ハル。彼は?」

 

「徐倫ちゃんと一緒に亀を見てた地元の高校生です。見た目は不良ですが、良い人でしたよ」

 

 ハルと呼ばれた少年は顔も見ずに、口先だけでそう答えた。それを聞いたレオンは不良を見つめながら少し考え込む。

 

「道を尋ねる意味がなかったな」

 

「へ?」

 

「ん?俺の顔になんか付いてますか?」

 

 疑問に思う広瀬 康一と不良を他所に、レオンは不良の前まで歩み寄る。池の近くにまだいた承太郎達も、レオンの行動に疑問を抱きながら見る。

 

「人違いだったら悪いんだが、東方 仗助君…だね?」

 

「え……」

 

「何? 彼が東方………」

 

 自分の名を呼ばれた事に驚いた不良…東方 仗助は驚き、承太郎も多少の驚きの色を見せて仗助の方へ身体を向ける。

 

「なんで俺の名前を………」

 

「他にも知っている。1983年生まれ。当時21歳で東京の大学に通っていた母の名前は朋子。生まれた時よりこの町に住んでいる…1987年、当時4歳の君は原因不明の発熱によって50日間 生死の境を彷徨っていた。そんな君の父親の名は………"ジョセフ・ジョースター"」

 

「………………」

 

 レオンの言葉を聞き終え、仗助は黙って聞いていたが驚いているのか終始 口を開けたままだった。

 

「やれやれ、自己紹介が遅れたな。俺は空条 承太郎……ジョセフ・ジョースターの孫にあたる」

 

「私はレオン・ジョースター。戸籍上は君の兄にあたるな」

 

「お兄さん?…はぁ………どうも………ってえッ⁉︎ もしかして………俺が4,5歳の時に会ったことありますか? 俺………」

 

 一段と驚愕の表情を浮かべ、仗助はレオンを見てそう尋ねる。尋ねられたレオンは少し嬉しそうに答えた。

 

「覚えていてくれたか。君が4歳のころに一度会いに来た事がある。抱っこもしたぞ」

 

(や……やっぱり………)

 

 仗助にとってそれは忘れるはずのない記憶だった。

 

 それはジョセフとレオンが訪ねて来た日の事だ。

 ジョセフを前に♡を飛ばしながら抱きつく母 朋子……それを受け止めながらも命の危険を感じ取り慌てるジョセフ。

 その後ろでレオンはジョセフの肩をギリギリと掴んでいた。

(仗助は知らないが、この時ジョセフは右肩を脱臼している)

 

 朋子の父…つまり仗助の祖父にあたる男、東方 良平は娘に手を出した外道が現れた事により怒りを爆発させた。

 台所から包丁を持ち出してジョセフに襲い掛かったのだ。朋子は必死に止めて包丁は取り上げたが、良平はジョセフに殴りかかった。

 

 その時の祖父の顔より、レオンのあの冷たい表情をよく覚えている。

 殴りかかる祖父…それを避けようとするジョセフ…そのジョセフの後頭部を掴み、逆に前に突き出したレオン……

 

 そのせいでジョセフの鼻の骨が折れ、鼻血を流したのもよく覚えている。

 

 覚えていてくれた事をレオンは嬉しそうに言っているが、覚えていたところはトラウマのような内容のみであった。

 

「……それで…今日は何をしに?」

 

「お前に会いに来た理由は2つある。1つは遺産分与の話だ。君にはいずれジジイの財産の1/3が行くことになるな。その事を俺達が代わりに伝えに来た。浮気がバレた時もそうだが、遺産分与の話でそれを思い出したのか ジョースター家は騒ぎになってる」

 

「え!………騒ぎ………ですか?」

 

「あぁお婆ちゃんのスージーQが、またも怒りの頂点だぜ」

 

「すいませんですーーーッ‼︎俺のせいでお騒がせしてッ‼︎」

 

 急に頭を下げられ困惑する一同。

 それを見てレオンはハル…本名、 初流乃(ハルノ)・ジョースターの方へ振り向く。

 

「ハル。2人を連れて先に帰りなさい」

 

「わかりました」

 

 承太郎が徐倫を下ろすと、ルナが徐倫の手を引き歩き出す。その前をハルノが歩き先導していた。

 

「…おい仗助、お前は何を謝っているんだ?」

 

「いえ…えと…やっぱり家族がトラブル起こすのはまずいですよ。俺の母は真剣に恋をして俺を生んだと言っています。俺もそれで納得しています。俺たちに気を使わなくていいって、父さんですか…えーとジョースターさんに言ってください。以上です」

 

(なんだ?こいつ⁉︎ 俺はジジイの代わりに殴られる覚悟で来た…それをこいつは逆にあやまるだとう?………肩すかしをくったというか、人間がよくできたやつというか…)

 

「君が気にすることじゃない。それに大した騒ぎじゃないさ」

(ジョセフはまた右肩を脱臼したが………)

 

「あ、仗助じゃん」

「本当だ。仗助くーん♡」

「一緒に帰ろー」

「今日も髪型カッコイイわよー」

「うん、カッコイイー」

 

「お前…部活帰りか」

 

「………………」

 

 突如として湧いて出たように現れた女子高生達。全員同じ学生服を着ていて、何人かは髪を染めているのか金髪だったり、茶髪の子もいる。

 

(………昔の承太郎を見ているようだ)

 

 レオンは懐かしそうにそう思うが、話を続けたいが為に割って入る。

 

「すまないが話の途中なんだ。後にしてくれないか?」

 

「仗助……この人は?」

 

「え?……えーっと………兄…で、イイんすよね?」

 

「えぇー!お兄さんいたなんて初耳!」

「綺麗な髪の色ですね!」

 

「………………」

 

「………やれやれだぜ。おいレオン、テメェまで巻き込まれてどうする。まだ話は終わってない…こいつら追っ払えよ。くだらねー髪の毛の話なんて後でしな」

 

「「「はっ!」」」

 

「ッ‼︎」

 

 場の空気が一瞬にして変わる。

 同様に仗助の雰囲気もまた変わり、先程のような温厚な様子は消えて気配が荒々しくなる。

 

「テメー…俺の髪の毛がどーしたとコラ!」

 

(承太郎……礼神から聞いたタブーを忘れたか?)

 

「な、なんだあの人……急に態度が……」

 

 未だにそこにいた康一は後ずさり、承太郎は軽く身構える。

 

「待ちな仗助、何も俺はお前を貶したわけじゃ…」

(マズイ……スタンド使いだとは聞いていたが…攻撃がくる!)

 

 ーーー バシィッ ーーー

 

「ッ⁉︎」

 

「な……なんてスピード……」ボソッ

 

 仗助が攻撃を繰り出すより早く…承太郎は星の白金(スタープラチナ)を発現してジャブを放たせる。

 それを見た女子高生の1人が小声で呟き息を呑む。

 

「見えるか仗助…これはスタンドと呼ばれるものだ!ジョセフ・ジョースターも、そこのレオンももっている…スタンドはスタンドを使う者にしか見えない。その能力はお前が4歳の時身につけたものだ」

 

 仗助がジャブを食らってよろけている間に、承太郎が口頭で説明する、しかしそれに対して聞く耳を持たなかった。

 

「この自慢の頭をけなされるとムカッ腹が立つぜ!なぜ頭にくるか自分でもわからねえ!きっと頭にくるってことには理由がねえーんだろーなッ!本能ってやつなんだろーなッ!」

 

「………やれやれこいつ…マジであぶねえやつ」

 

(丁度いい。どれだけの力量があるか直接見れる。それに………)チラッ

 

 レオンは人知れず、女子高生の集団に目を向ける。

 

(………気になることもある)

 

 いつのまにかW-Refをはめた右手を下ろし、そのW-Refは姿を消した。

 

(………! アレが仗助のスタンドの姿)

 

「ドララララーーーッ‼︎」

 

 仗助のスタンドが承太郎にラッシュを仕掛ける。それを星の白金(スタープラチナ)の両腕でガードするか、予想以上のパワーでガードした腕が弾かれる。

 

「何ッ!このパワーはッ‼︎」

 

「ケッ! ボディからアゴにかけてガラ空きになったようだぜぇーーーッ!」

 

(…野郎ッ!)

 

「ドラァッ‼︎」ブォン‼︎

 

 仗助のスタンドの剛腕が空を切る。そこに居たはずの承太郎はすでにそこには居なかった。

 

「な………いつの間に……⁉︎」

 

「あ…い…いつの間に…背後に………見えなかった」

「何が起こったの⁉︎」

「あの人も………………」

 

「………………」

(レオンの野郎…実力を見るためか、全然止めやしねぇ。だがこんなところで満足だろう)

 

 ーーー ドガァッ‼︎ ーーー

 

「仗助ッ!」

「キャーっ仗助ッ⁉︎」

「仗助くん大丈夫ーッ?」

 

 「やかましいッ‼︎

 俺は女が騒ぐとムカつくんだッ‼︎」

 

「「「「………………はぁーい…」」」」

 

 承太郎の怒号で女子高生はその場を後にして帰っていった。

 

(……あの女子高生………何もしなかったな)

 

 その背中を見送ってから、レオンは仗助に話しかける。

 

「仗助、会いに来た理由は2つあると承太郎がさっき言ったな。もうひとつは………これだ」

 

 懐から数枚の写真を取り出し仗助に見せつける。その写真の全てに1人の男と、スタンドの顔が写っていた。

 

「その写真はジジイがスタンドで念写した物だ。この町には何か潜んでいる。息子のお前を念写しようとしたらコイツが写った」

 

「ただ危険な奴だ…用心してくれ。警察にいっても無駄だ。私達はそいつを見つける事も目的にしている………君には何の事かわからんだろうが、見かけたら決して近づくな」

 

 レオンは未だにそこにいた康一にそう伝えた。

 

「俺達はそいつを見つけるまで この町のホテルに泊まる事にするぜ」

 

「ちょいと待ちな。この男はいったい?」

 

「明日また会おう。仗助!テメーの能力はすげえ危険だ…むやみやたらと カッとなってつかうんじゃあねーぜ いいな」

 

「………………」

 

 その言葉を最後にレオンと承太郎はその場を後にした。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「その帽子はどうするつもりだ?だいぶユニークになったが」

 

 私は仗助達と別れた後、帰路の途中で承太郎の帽子を指差す。それはアルファベットのJとハートがトレードマークの帽子だったのだが、今はそれが歪み、直線だった帽子のツバも波線になっている。

 

「テメェが止めに入らないからだぜ」

 

「礼神の予言を忘れたお前の責任だろう。それに止めに入らなかったのは、少し気になる事があってな」

 

「気になること? アンジェロの事か?」

 

 アンジェロとは先程仗助達に見せた写真に写った男だ。

 仗助達には詳しく教えていないが、こいつは日本犯罪史上最低の犯罪者と称されている。

 

 だが私が気になってるのはそっちじゃない。

 

「あの女子高生の中に1人、スタンド使いがいた」

 

「………なんだと?」

 

「薄い金髪の子だ。仗助の事を呼び捨てで呼び、仗助が女子高生の中にいるその子に「部活帰りか」と話しかけていた。おそらく仗助の友人だろう。先程の争いで割り込むと思ったが、何もしなかった」

 

「要するに俺をエサに使いやがったな?」

 

「エサは食われて初めてエサだ。まぁ悪かったとは思ってるよ」

 

「…はぁ………やれやれだぜ」

 

 さて、子供達に何か買って帰るか。

 




◯空条 徐倫(6)
承太郎の1人娘。
髪型は6部と同じお団子2つと三つ編み。
前髪だけ緑色をしている。
ルナとハルノを兄と姉のように慕っている。

◯ルナ・ジョースター(13)
レオンに保護され、戸籍上はレオンの娘(養子)。
最初は危ない言動もあったが、最近になって常識を理解し始めた。
常にレオン達の為に何か行動を起こそうとする。
無表情で日本語とフランス語が話せるが、どちらも何故かカタコト。
銀髪で、外出時はパーカーのフードを被っている。

◯ハルノ・ジョースター(13)
10歳の時にレオンに保護され、戸籍上はレオンの息子(養子)。
レオンには感謝しているが、どことなく距離がある。
髪の色は栗色。黒でも金髪でもない!

証呂
「ハルノの正体は、無論ジョルノです。レオンとの出会いとかは5部の冒頭あたりで書きます」

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