ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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礼神
「僕って4部出るの? 仗助に会いたい」

証呂
「もうじき出るで」

礼神
「ヤッター」

伊月
「オジさんは?」

証呂
「そのうち出るかもね」

伊月
「ヤッター」

ドマゾハゲ
「オレェは?」

証呂
「伊月と愛でも語ってて」

ハゲのドM
「ヤッター♡」

伊月
「俺のそばに近寄るなァーーーーーッ‼︎」

77話、グダグダっとどうぞ。


77.あの少女は今………

 わたしはハッキリ言って、ジョースター家を恨んでいる。

 理由は主に3つだ。

 

 1つ目は朋子さんの件について。

 まれに思い出すとその度に泣いてしまう程に愛している。気の強い朋子さんが泣く姿を、うちは見たことがある。

 

 見てるだけで胸が張り裂けそうだった。

 生死の境を彷徨った時…自分の息子である仗助を優先せずに、あくまでも平等に扱ってくれた優しい人……母はもう居ないし、それ以外の人を「お母さん」と呼ぶ気は無い。

 そんなわたしが、絶対に呼ばないが この人なら良いかもしれないと思った。その人が泣く姿が、あんなに恐ろしいものだとは思わなかった。

 

 2つ目はお母さんについてだ。

 うちは生まれつき、呼吸で気配や感情を探る事が出来た。

 お父さんが旅行から戻ってきた時…病に伏していたうちは心細く真っ先に抱きついて泣いた。

 その後に「お母さんは?」と尋ねると、お父さんの呼吸が少し乱れた。そのうちお母さんが死んだ事を誰かが教えてくれたが、それだけで誰も何故死んだかは答えてくれなかった。

 

 成長して中学に入った時、意を決してもう一度聞くとお父さんは真実を教えてくれた。嘘のような話だったが、お父さんは嘘をついていなかった。真実を教える事を恐れるような、そんな怯えた呼吸をしていたからだ。

 

 お母さんは、邪神DIOとジョースター家の戦いに巻き込まれて死んだ。

 それはつまり、半分はジョースター家に殺されたと言っても過言じゃないのではないか?

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が邪神DIOを相手にした際に巻き込まれて死んだ。

 

 何故お母さんがそんな奴らのせいで死ななければならなかったんだ?今でもわからない。事情を聞けばジョセフ・ジョースターは娘を助ける為に戦ったと聞く……息子を捨てた奴が何を言うか………

 

 これは3つ目の理由に関係する。

 

 あの高熱もDIOが原因らしく、DIOが死んだ事で仗助は結果的に助かった。だが結局は()()()じゃないか。

 仗助の命を軽く見過ぎだ………

 

 もし違うなら………何故仗助の側に誰も居てやらない……

 

「この辺でいいか」

 

「……!」

 

 気が付けば白髪の男に連れられ、杜王町の公園に来ていた。公園といっても遊具は無く、広い人工芝が広がってるだけだ。

 朝早くで人の目は無い。少しくらい派手にやっても問題ないだろう。

 

「それで。何の用だったかな」

 

「同じ事を言わせないでください。まずは一発殴らせてほしいんです」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「まずは話し合おう。それじゃダメなのか?」

 

「話し合いは後でもできる。だけどこれは初対面の……今でないとできないッ‼︎」グッ

 

 名も名乗らないまま、竹刀を構えて臨戦態勢に入るヴィルナ。それに呼応して気迫がビリビリと伝わる。

 対してレオンはまだ自然体のまま話しかけるが、念の為にスタンドの入った空き瓶は近くに……それでいて誤って割らない場所に置いておいた。

 

「目的は? 何もわからず挑まれても、自己防衛として対処せざるを得ない」

 

「それで構わない。行きます‼︎」

 

 竹刀を手に突貫を仕掛けるヴィルナ。

 何故話し合いではなく戦いを選ぶのか……それは彼女の性格にもよるものだが、正面からぶつかれば分かり合えるという体育会系の考えだ。

 

 実際ヴィルナはそれで理解できる。

 

 呼吸の乱れが疲れか…それとも焦りからくるものなのかを教えてくれる。

 深呼吸で冷静を装うのは集中する為か、嘘を隠す為か………

 

 レオンが脱力して集中力を高めるのと同じで、スタンド能力ではない。

 彼女は呼吸を通して感情を聞く事が出来る……そういう人間なのだ。

 

 ヴィルナが突き出した竹刀の先端は、寸分の狂いもなくレオンの顔面を捉えようとする。

 レオンは頭を右に傾け、右手でそれを掴み止める。

 

(………この少女……私は会ったことがあるのか? このスタンドエネルギーを感じるのは初めてだ……この子を見た事は………)

 

(疑問…考察…………余裕)

 

 突きを片手で止められた事には驚かず、ヴィルナはそう見定める。そして自分の事を観察されている事にも気付くが、それについては気にしない。

 

「貴方は………」

 

「……何だ」

 

「貴方は、大切な人が知らないところで……それも赤の他人に殺されたら、どうする?」

 

 そう言いながらも、ヴィルナは竹刀を力強く捻ってレオンの手を弾く。そこから振るわれる太刀筋は剣道では見ないような…まるで真剣で扱うような技で振われる。

 

「……………真実を知りたくなるな。それだけだ……私に裁く権利は無い」

(屋外でW-Refを使わなかったとはいえ、私の手を弾くか…)

 

 驚きながらも答え、ヴィルナの攻撃は軽く受け流す。真剣であれば厄介だが、使っている得物は竹刀……刃は無い為受けやすい。

 

 そこでヴィルナは顔を顰めた。

 技が通用しなかったからでは無い。

 

「嘘だッ‼︎」ガッ

 

「ッ‼︎」

 

 竹刀を持つ手とは反対の手で、竹刀の刃の部分を握る。その手を鞘に見立ててか、彼女は居合斬りを放って来た。

 それを両手で掴み止めると、レオンの掴んだ手をその上から覆うようにスタンドの手が握った。

 

(これが、彼女のスタンド……)

 

 上から握られて竹刀を手放せないレオンを、ヴィルナはそのままスタンドのパワーで押して行く。更にスタンドの握力でレオンの両手から音が鳴る。

 

(………嘘をついた。嘘の呼吸の音がするッ!)

「貴方は嘘をついている‼︎ 貴方はその時怒りを感じる。そして自分の手で裁こうと考えているッ‼︎」

 

 ヴィルナに押され、踏ん張るレオンの足が人工芝と土を削る。

 

「グッ………いや……そんな事はない」

 

「嘘だ‼︎ わたしにはわかる‼︎」

 

「ウッ……なる…ほど……それは君の能力……か?」

 

(……アンタも結局…自分を優先させる奴らと一緒なんだな)

 

 自白同然の返しに、ヴィルナはスタンドの右手を一度離させ握り拳を作る。そして手でレオンの顔面を殴らせた。

 

「ッ⁉︎」

 

 ガードされても大ダメージを与える自身はあった。それが今しがた解放されたレオンの左手によって防がれ、ヴィルナは多少の同様の色を見せる。

 

「なら弁解させてもらう………確かに今しがたのは嘘…建前だ。直接手で葬りたくもなるだろう。だがしかし‼︎ 君の出した例のような事が起きた時…私はその手段にはでない! 絶対にな‼︎」

 

「なっ⁉︎」

 

 レオンの左手がスタンドの右手を掴み、スタンドの左手がレオンの右手を上から包んでいる。その状態のまま拮抗していると、ヴィルナが口を開いた。

 

「それは何故……」

 

「私が大切と思う人間は皆……自分が死んだ時、復讐を願うような人間じゃないからだッ‼︎」

 

(………嘘じゃない)

「………けるな……」

 

 スタンドにまた力が入る。今度は前に押すような力ではなく、上からねじ伏せるように力を加えて来る。

 

「ふざけるなッ‼︎ それだけ人を思えるアンタが、何故 アイツの側に居てやれなかった‼︎」

 

「速いッ‼︎……グゥッ……‼︎」

 

 スタンドの蹴りがレオンの脇腹を捉えた。認識は出来た………だがそれだけで、ガードは全く間に合わなかった。

 

(このスピード……承太郎の星の白金(スタープラチナ)と肩を並べるぞ⁉︎)

 

「……ジョースター家の人間なら…もちろん知っている筈だ。ジョセフ・ジョースターの隠し子と愛人の存在を」

 

「………仗助から聞いたのか?」

 

「誰から聞いたか、そんな事はどうでもいい。朋子さんは今でもジョセフ・ジョースターを愛し、苦しんでいる………なのに…何故ッ‼︎」

 

 再びスタンドが拳を振り上げ、先ほどのスピードでレオンに殴りかかる。しかし眼前スレスレの所で拳を止めた。

 

「………どうした?」

 

「何故避けない。早すぎて見えないのか?」

 

「……君は仗助達の為に怒ってくれている。今の私には出来ない事だ……だから躱せない。躱せば恥になる」

 

 それを聴き終えると、ヴィルナは躊躇いもせずに拳を振りかざし直す。

 

「カッコつけてるつもりか? さっきのは仗助の分、これは朋子さんの分………手加減はしない……」

 

「生命力はジョースター家トップだ。遠慮はいらない」

 

 

 

 ーーー バギィッ ーーー

 

 

 

 レオンの右ほほを的確に捉えて、彼は空中で半回転する。骨が折れたような…否、骨が折れた嫌な音が響く。

 

(反応は出来なくても、わたしのスタンドの拳は見えていた………なのに殴る瞬間どころか、殴り抜いた後でも目を瞑らなかった………なんて覚悟………)

 

「………クッ…」

 

 殴られた所を手で押さえながら立ち上がるレオン。

 そんな彼の前に立ち、ヴィルナは堂々と告げた。

 

「わたしは、ジョースター家が嫌いです。とくにジョセフ・ジョースターは許せません。これをわたしは偏見だと自覚しています。ですが貴方がどういう人かはよくわかりました。良い音でした」

 

「………良い音?」

(骨が砕けた時の事か?)

 

「気にしないでください………貴方の覚悟の強さ、少しですが尊敬しました。試すような真似をしてすみませんでした」

 

 事が済んで満足したのかなんなのか、彼女はまだトゲトゲしい口調だが急に敬語を使い始める。

 レオンの彼女の印象は、「良くも悪くも仲間思いで真っ直ぐ」だった。そして人の為に動けるのは祖父譲りだなと思った。

 

「構わないが、もう良いのか?」

 

「えぇ……貴方を知れて少しスッとしました」

 

「…仗助の分と東方 朋子の分と………いや、なんでもない」

 

 レオンの言葉にヴィルナはピクリと反応する。

 

「……………わたしが誰か気付いてたんですね」

 

「…途中でな……大きくなったな。ヴィルナ」

 

 ヴィルナは「もう良いのか?」とは「母親の分は良いのか? 」という意味だと瞬時に理解した。

 

「………………」

 

 

 

 ーーー バキッ ーーー

 

 

 

「ッツ………」

 

「………」ペコリ

 

 引くに引けなかったのか彼女なりのケジメなのか、無言でレオンの顔を素手で殴ったヴィルナは、その後に一礼してそそくさと歩き去った。

 

「………サバサバした子だな」

 

 ヴィルナに対する印象が1つ追加された。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「さて、ではコッチを片付けるか………」

 

 ずっと放置されていた水の入ったボトルを手に取る。一見、中には水以外何も入っておらず、スタンドの姿は見えない。

 

「………………波紋疾走」パチッ

 

『ピギャアァァァア⁉︎ ブハァッ⁉︎ ハァ……ハァ………』

 

「よしよし、ちゃんといるな…「ピッ」………私だ、承太郎か?」

 

『レオンさん。遅かったですね』

 

「ハルか……承太郎に変わってくれ」

 

『はい』ゴトッ

 

 短くそう答えると、受話器が台の上に置かれたのか「ゴトッ」と音が鳴る。そして数秒もかからずにまた「ゴトッ」と、受話器が持ち上がる音がした。

 

「承太郎か?」

 

『………ルナ……』

 

 承太郎かと思ったら、何故かルナの声が聞こえてくる。

 

「ルナか……承太郎は?」

 

『ハルノ……呼び行った』

 

「そうか………」

 

『………………』

 

「………………」

 

『………戻ってきた』

 

「実況ありがとう ルナ。承太郎に代わってくれ」

 

『ん……』

 

 いつも役に立とうと頑張ってくれる子だが、たまに面白い事をするな。

 

『悪い。待たせた』

 

「アンジェロのスタンドを回収した。利用して本体を捕縛する………その際に彼女の力が必要になると思うんだが」

 

『どうしてもか? 俺としては、できれば呼びたくは………徐倫、ダディ今レオンとお話し中なんだ。あっちでハルノ達と遊んでてくれるか? あ、コラ』

 

『レオン? もしもーし、聞こえるー?』

 

「………聞こえるよ。今ダディと話してるから、代わってくれるかな?」

 

『うん‼︎』

 

「………………」

 

『………この通りだ。お守りの手が欲しいところだったし、奴を呼ぶ事に異論はねぇ』

 

「見事な手のひら返しだな 承太郎。ではこれから財団の支部に寄ってから帰るとするよ……忙しそうだし、彼女には私から連絡しておく」

 

『あぁ、わかっ…「スッ」…レオンさん、僕はプリンが食べたいです』

 

 突如として承太郎の声からハルノの声に変わる。

 毎週水曜日はオヤツの日……ウチのルールだ。

 

「ハルはプリンだな。他の2人は?」

 

『………チョコ-!…クッキ-………だそうです』

 

「わかった。承太郎は?」

 

『……ジョウタロウサン...ハイ……俺はいらねぇ。あと……あんまり甘やかすな』

 

「あぁ」プツッ

 

 ………伝えたい事は短かったはずなのに、少し長電話してしまったな。

 子供ができると、こうも変わるのか………

 

『……ふむ。鈴原 ヴィルナ……彼女が出していた感情は敵意か……始末した方が良いのではないか』

 

 後頭部からそう声が聞こえ、私の肩に黒く長い髪がかかってくる。背後の少し高い位置で浮遊し、第2のスタンド…アンラベルが私にピッタリついてきているようだ。

 

 急な登場にも慣れたもので、その行動には何も突っ込まずに会話を始める。

 

「………アンラベルか。確かにヴィルナの感情は敵意に該当するものだ。だが彼女は敵ではない」

 

『………敵意があるのだから敵だろう』

 

「敵意はあったが、彼女は敵じゃない。人間を理解するのは、まだまだ先だな」

 

『………………』

 

 鈴原 ヴィルナ。鈴原 海斗とアルシアの娘。

 あの子は………強いな。心身共に。

 

 アルシアが死んだのはジョースター家が原因……完璧な回答ではないが間違いでもない。ジョースター家を嫌う事に疑問はない。

 

「だが彼女は……嫌いだと決めて完全に拒絶せず、歩み寄る努力を初対面でしてきた。勇気を出して歩み寄る奴はいるが、初対面で喧嘩吹っかけてキッカケを作る奴は初めて見たな」

 

『彼女は強いぞ。最初こそ手加減していたのはわかっている。波紋もスタンドも使わなかった………が』

 

「あぁ……W-Ref…無意識に使ってしまった。彼女は気付かなかったようだが」

 

 スタンドが初めて顔面を殴ろうとした時、私は咄嗟にW-Refを出してしまったのだ。

 

「私の血筋を、海斗は話したかがわからないな

………彼女が聞くなら、答えなければならないな」

 

『………主よ。また考え込む癖が出ているぞ…おかげでタクシーが通り過ぎた』

 

「何ッ⁉︎ あまり捕まらないというのに‼︎」

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 ーーー ピロリン♪ ーーー

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 件名:お願いがある

 

 ある脱獄囚のスタンドを捕獲した。改心の余地無し……殺しても良いが、すぐに殺さず法律で檻の中に打ち込みたい。

 その際にスタンド能力を取り外したいのだが、力を貸してもらえないか?

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 ケータイが急に震えるもんだから、僕は条件反射で画面を覗き込む。そこには新着メールが1件あり、差出人はみんな大好き 我らが会長さんからだった。

 

「うーん………」

 

「レイ君、少し顔上げてください」

 

「はーい」カシャ

 

 指示に従うと、僕に向けてフラッシュが焚かれる。少し眩しいけど、もう慣れた。

 

「もう1枚いきまーす……で、それ誰からですか?」カシャ

 

「んあ? いやー、ちょっと知り合いにお呼ばれしちゃってねぇ」

 

「そうなんすか〜、そのまま自然体でお願いします」

 

「はーい」カシャ

 

 僕がそう返答して従うと、またフラッシュが焚かれる。それが最後だったのか、間延びした声で「オッケーでーす」と終了の合図がスタジオの中で反響する。

 

「お疲れ様です。じゃ、お先失礼します」

 

「え? ちょっとちょっと待ってよ〜。この後 一緒に飲むって約束したじゃん!」

 

「え? してないですけど?」

 

 レオンさんから連絡があり、仕事もちょうど切り上げられた為ひとまず帰ろうとする。すると先程までシャッターを焚いていた小太りのカメラマンが、馴れ馴れしく僕に話しかけてくる。

 

 前々からしつこいんだよな〜この人〜〜。

 全然気はないのに、猛アタックしてくるし……下心丸出しだし、そんな人と飲み会に行くわけないじゃん。

 

「まぁまぁ、そんな細かい事は気にしないで……一回だけで良いんで!一回だけッ‼︎」

 

「でも用事あるんで………いやホント……あぁー

………"サヨナラッ‼︎"」

 

「………………」

 

 ーーー バタッ ーーー

 

 僕を前にしてその場に倒れこむカメラマン……そんな人を指差して僕は振り向く。

 

「ディレクターさん。この人………」

 

「え? あぁー()()気絶したのかよ。すいませんねぇ、コイツ社長の大ファンみたいでご覧の有様っすよ」

 

()()気絶しませんでした? 仕事終わってからでしたけど、仕事に差し支えかもしれないので、別のカメラマンお願いしたんですが………」

 

「そ…それに関しては本当にすいません。コイツに「後一回だけ!最後でいいから‼︎」って泣きつかれちゃって………でも安心してください。本当に最後ですから」

 

「そうですか」

 

 白々しく微笑んでから、僕はスタジオ前に迎えに来ていて車に乗り込む。その車にはSPW財団のロゴが入っている。

 

「オッツー」

 

「ズィーさんお迎えありがとー。えい」ビリッ

 

 気付けば僕の手の中にはお札が……僕がそれを両手で千切ると、お札は1人でに燃え始める。それが燃え尽きると、僕が先程までいたスタジオの玄関が急に開き、カメラマンが飛び出してくる。

 

「ズィーさん出して」

 

「あいよー」

 

 車は軽快なエンジン音を鳴らし、優しく走り出した。

 そして後ろでは、さっきのカメラマンが必死に追いかけてくる。

 

「ま、待って‼︎ レイ君……僕は……ァァァァアアアア‼︎‼︎」

 

 ようやく諦めたのか、両膝をついて発狂気味に泣き出すカメラマン。

 

「おー怖ッ……モテる女は辛いねぇ」

 

「僕もこんな事になるなんて思ってもみなかったよ」

 

 みんな驚いてたけど、こうなって僕が1番驚いてるんだよ?

 

 誰が想像した? 孤児院経営を本業としてる葎崎 礼神が、ファッション業界で上位に躍り出る会社の若手社長だなんて誰が想像した?

 

 いや、承太郎や花京院………昔から僕を知るレオンさんなら想像できたかもしれない。でもその先にあった未来は想像できなかったはずだ! というか「それは想定外」とみんな言ってたしね‼︎

 

「別に良いじゃねぇかよ。世間からしたらアンタ勝ち組だぜ?」

 

 僕の名前は礼神…葎崎 礼神。

 孤児院を経営する為の資金を、SPW財団の子会社で稼いでる。そして僕には、それとは別の副業があった。黒歴史から生まれたと言っても良い。

 

 ある日僕は、ボーイッシュという題材を取り込んだファッションを、美人のミドラーとマライアに着せて写真にし、ファッション誌に掲載して宣伝する予定だった。

 

 しかしミドラーが着てもシックリこず、マライアに唆されて試しに僕が着た。さぞかし似合っていたらしい。

 僕の反対を押し切り、マライアは僕の写真を提出………誰も突っ込まずに掲載………そしてバズった。

 

「おかげさまで巷では「モデルのレイ君」で通ってるよ。ハァー、泣きそう」

 

「その話は置いといて、会長からメール来なかったか?」

 

「あ、そうだった。ズィーさん! このまま杜王町まで‼︎」

 

「えッ⁉︎ 今から⁉︎」

 

 運転手のズィーさんに言われて思い出し、僕はメールの返信を送った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 件名:Re.お願いがある

 

 御意ッ! (`・ω・´)ノシ

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 僕はズィーさんの運転する車で、そのまま杜王町を目指すのだった。




キャラ説明

○葎崎 礼神 (28) 165cm
11年前の打倒DIOの旅では預言者として参加した2人目の転生者。4部の記憶もあったが、前回言っていたようにほぼ忘れている。出来事が終わった後で思い出すかもしれない。
服を作る→ミドラーに着させる→イマイチ→自分が着る→調子にのってジョジョ立ち→バズる……の流れで、たまにモデルの仕事が飛び込んでくる。SPW財団が出しているファッション雑誌「JAN!JAN!(ジャンジャン)」の仕事しかモデル業はしないが、ファンは結構いる。

スタンド能力は"魂の操作"
声を聞いたものを気絶させて魂を札にして剥ぎ取る。
スタンド使いに能力を使うと、スタンドを藁人形にして奪う事もできる。
しかしこの能力は礼神より精神力が極端に弱い者にしか効かない。

○ズィーズィー
新米マフィアを潰した後、レオンにヘッドハンティングされた。今では礼神の送り迎えと、彼女を乗せてパパラッチから逃げるのが彼の日常。
彼のドライビングテクニックに不可能は無い‼︎

伊月
「嫌ならやめたら?」

礼神
「僕がファッション誌にのらなくなったら苦情とファンの要望が来たって橘さんが鬼の形相で………今のJAN!JAN!に出るモデルで人気なのは、僕、ミドラー、マライア………あと一度だけ出た謎の美女の4人だよ………」

伊月
「最後の誰?」

礼神
「モデルやる予定のミドラーとマライアが撮影日に風邪引いた時に、一度だけ土下座して頼んだ事があってね。その人が"謎の美女"………彼女が生まれたのは11年前の海の上で……」

レオン
「礼神、ストップ」

伊月
「……………ッ⁉︎」

レオン
「………妙な散策はするな」

礼神
(いやーー、当時は悪い事をした)
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