ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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不審者
「少し日が開いたけど良いペースじゃ………
っておい作者‼︎ 名前‼︎ 僕の名前‼︎ 礼神‼︎
マイネームイズ 礼神‼︎」

証呂
「まだ名乗ってないし」

不審者
「今話中に絶対 自己紹介する‼︎」

証呂
「じゃあ後書きの頃には直しとくね」

ドマゾハゲ
「オレェの名前も直してくんね?」

伊月
「お前はいい加減に土に還れ」

そんなこんなで79話、グダグダっとどうぞ!



79.再び歯車は狂い回る

ーーー ピンポォーン ーーー

 

 杜王町の住宅街に佇む数ある一軒家の一つ…その家の表札には「東方」の2文字があった。

 私はその家の前にいた。まさに今、インターホンのブザーを押したところだ。

 

「うるさいわね。新聞なら間に合ってるって言ってるでしょ!」

 

「……………」

 

 インターホンについてるスピーカーを通さず、リビングあたりにいるのか大声で返答してくる。

 

 ーーー ピンポォーン ーーー

 

「ったく誰よ‼︎ 」

 

「あぁいい。わしがでるよ………」

 

 そんな会話が中から聞こえ玄関の扉が開いた。

 

 現れたのはジョセフ程ではないが、身体つきの良い老人。年齢の方も老人と言っても若い方だろう。精々50代か?

 

「何の用だね………………ん?」

 

「久し振り…ですね。私を覚えていますか?」

 

 私は戸籍上、ジョセフの息子にあたる。何十年ぶりかの敬語を一応使って話しかける。

 ジョセフ引きずってきた時は、怒りでそれどころじゃなかったしな。

 

「………10年ぶりか。あのクソジジイの息子が何しに来た」

 

 私が東方家に足を運んだ理由。それは……

 

片桐(かたぎり) 安十郎(あんじゅうろう)…通称、アンジェロに付いて聞きたい事がある」

 

「高身長で白髪赤眼(アルビノ)の男……話には聞いとる。アンジェロを捕縛して通報した男性の特徴とアンタは一致するな……わしもアンタに聞きたい事があったところじゃ………」

 

「場所は変え……ますか。車は用意してるが」

 

「それは助かる。娘に貴様の顔は……見せたくない」

 

 そう言って老人……東方 良平(りょうへい)は、「少し出かけてくる」と家の中に向けて声を上げ、こちらで用意した車に乗り込んだ。

 

「せっかく赴いてくれたんだ。そっちから聞いてくれ。それと……苦手なら敬語は使わなくていい」

 

「…そう言ってくれると助かる。では聞くが東方巡査、私が知りたいのはアンジェロが自殺したという件だ。現場の様子を教えてほしい」

 

 いつもの口調でそう聞くと、東方巡査は運転手を顎で指す。運転手にも聞かれるが構わないのか?という意味だろう。

 

「…彼は私の信頼できる部下だ」

 

「そうか………だが、なぜお前がそれを知りたがる。新聞でアンジェロのことを知ったのは別に良い。だが一般人へのそれ以上の情報漏洩は、そう簡単にはできん………が、逆に聞こう。お前はアンジェロの死について、どう思う」

 

 逆に聞かれてしまったが変に反発して得はない。ここは素直に答えるとしよう。

 

「一度脱獄した身だ。それも死刑囚……警備は前より厳重になっているはずだ。私物を持ち込む事などモチロン不可能に近い………そんな状況下で自殺する事ができるとは思えない………」

 

「………ほう。わしと同じ事を考えているようじゃな。わしには何か…犯罪の臭いがするんじゃ…何者かこの町にはやばい()()が潜んどる気がしてしょうがない………それも()()()()()()()()()何かが裏に付いているようにな………」

 

 私の年齢に比べれば小僧だが、中々勘のいい爺さんだ。

 スタンドは知らない様子だが、それでもそこまで勘付くなんてな……

 

「お前さんはアンジェロが自殺したと思うか?」

 

「いや…むしろ自殺は()()()()。そうハッキリ言える」

 

「なら何故死んだと思う?」

 

 それはもちろん………

 

「他殺だ」

 

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 ある日の昼過ぎ…そろそろ学生が帰宅をして自宅でダラけ始める頃………杜王町にある古い空家に、数人の学生と一人の不審者が集まっていた。

 

「おい、億泰。スタンドというのは車やバイクを運転するのと同じなのだ………能力と根性のないウスラボケはどんなモンスターマシンに乗っても ビビってしまってみみっちい運転するよなあ」

 

 空家の二階から窓越しに見下ろす男……影になっていて、弓を持っている事だけが辛うじてわかる。

 その男を見上げ、億泰と呼ばれた不良は不機嫌に言葉を返す。

 

「兄貴 あんまりムカつくこと言わんといてくださいよ…」

 

 「遊んでんじゃあねーんだぞッ!億泰ッ‼︎」

 

 声量を上げた怒声で、弓を持った男は億泰を指差してキツイ口調で続ける。

 

「おまえが身につけた そのザ・ハンドはこの俺が思い出しただけでもゾッとするスタンドだ…マジに操作しろよ! アンジェロを倒したその東方仗助は、必ずブッ殺せッ‼︎ いいな!」

 

「わかっ………ハッ⁉︎ あっ‼︎ 俺が話してる間に…」

 

 億泰が上を見て話してる間に、仗助は門を開けて敷地内まで入って来ていた。億泰の立っている場所のすぐ近くである。

 

「お前………頭 悪いだろ……?」

 

「なに? 何でっ⁉︎」

 

 ーーー バキィッ‼︎ ーーー

 

「どけっつってんスよ………」

 

「………あらら」

 

 仗助は自身のスタンド…クレイジーダイヤモンド(承太郎が命名した)を発現し、その剛腕で億泰を道路の方へ殴り飛ばす。

 それを見ていた不審者…もとい礼神は、呆れたように呟いた。

 

 ちなみに彼女は未だに自分の事を何一つ説明していないため、未だに不審者として認識されている。

 

「康一! よかったぜ、まだ生きている…これならまだ助けられ…」

 

 億泰が吹っ飛んだうちに康一の元へ駆け寄る仗助だが、億泰はすぐに体勢を立て直し向かってくる。

 

「許さねえぜ、もう許さねえ!」

 

「どいてろって言ってんスよ! 俺のクレイジー・ダイヤモンドに破壊されたものは、顔をなぐりゃあ顔がッ! 腕をなぐりゃあ腕が変形するぜっ!」

 

「やってみろ!コラァーッ できるもんならなーッ‼︎」

 

 ザ・ハンドと呼ばれた億泰のスタンドが、右手で仗助に掴みかかろうとする。

 最初はそれをスタンドの拳で迎え撃とうとした仗助だが、何か危険性を感じ取った。そこで殴るのをやめて正面から掌には触れずに、側面から腕を掴む事で 攻撃の手を文字通り止めた。

 

(こいつ…この右手に異常な自信をもっているぞ…なにかやばい…この右手…直感だが()()()()()()!)

 

 ーーー ドゴォ! ーーー

 

「うぐっ!」

 

 ザ・ハンドの右手を見て考えていると、ザ・ハンドは腕を掴まれたままだが クレイジーダイヤモンドの脇腹に膝蹴りする……ダメージを負った仗助は吐血して体勢を崩す。

 

「右手を離さんかい!ダボがぁ!」

 

「や…はり右手…だ…」

 

 続けざまに放たれたアッパーは、浅いがクレイジーダイヤモンドの顎を捉える。そしてついに腕の拘束を解いてしまい、危険視していた「右手」による攻撃が放たれた。

 

「ッ⁉︎」

 

 上から振り下ろされた大振りの攻撃。

 仗助は崩れた体勢を更に低くして回り込むように移動する。そうする事で右手の軌道上から退き、攻撃は鉄門に被弾する。

 

 その攻撃を避ける事は出来たが、仗助は康一からまた遠ざかってしまった。立ち位置は戦闘前とあまり変わらない。数少ない変化といえば、閉まっていた両開きの鉄門が開いた事……それと、門に書いてあった注意書きくらいだ。

 

「逃げてんじゃねーぞッ! 仗助ェーッ、友達見捨ててんじゃあねーぜ。俺の腕変形させるんじゃあなかったのかよぉ〜〜〜〜っ‼︎」

 

(もう少しだけまっててくれ…康一)

「なぁアンタ。誰か知らないけど、アンタは逃げなよ……詳しい説明はできないが、ここに居ると危ねぇぜ?」

 

「ん、僕? そういうわけにはいかないよ。ちょ……っと僕も、彼らに用事があってね。ん? あの門の文字……」

 

「文字………? ッ! なんだ…あの門の扉……?」

 

 礼神に続き、仗助も変化に気付いたらしく疑問を口にした。

 

「立…禁止……?」

 

「立入禁止の「入」の文字が無いね………そっか、能力で消したんだね。空間を消滅させる能力……それが億泰のスタンド!」

 

 記憶が戻ってはいないが、そこまでのヒントがあって部分的に思い出す。それを聞いた億泰は間を開けて口を開く。

 

「(誰かは知らねぇが)その通りだ…厳密に言えば、この右手が掴んだものは削り取ってしまう。そして断面は元の状態だった時のように閉じる…もっとも! 削り取った部分は…この俺にもどこに行っちまうのかわからねぇがよぉ〜〜〜っ」

 

 そう宣言したお陰で億泰の能力が明確になり、仗助は警戒心を高め、礼神は仗助の近くに移動する。

 

「逃げるヤツにゃあこうゆうこともできるんだぜッ!」

 

 ザ・ハンドの射程距離には誰も居ないが、それでも彼は右手を縦に振るった。

 

「空間を削り取る!………するとお〜〜〜っ!」

 

「ッ‼︎」

 

 十分な間合いがあった筈だが、気付くと仗助と近くにいた礼神は 億泰のすぐ目の前に立っていた。

 

「ほお〜〜〜〜ら寄って来たァ〜。瞬間移動ってやつさあ〜〜っ! そして死ねい! 2人まとめてなぁッ‼︎」

 

「やっぱり……おまえ…頭悪いだろ?」

 

「何で⁉︎」

 

 呆れ顔の仗助に億泰は聞き返すが答えず、仗助は姿勢を低くして()()()()()()()()()を待った。

 

「………アッ⁉︎ ドゲッ‼︎」

 

 空間を削り取って2人を引き寄せた結果、2人の後ろにあった家に飾ってあった3つの植木鉢………それまでもが引き寄せられて、億泰の顔面に重なって命中する。

 

「削り取るスタンド…マジで恐ろしいやつだ……こいつがバカでなければ負けていたぜ。だがその前に………」

 

 礼神の方へ振り向いて、仗助は怪しげに睨みつける。

 彼は礼神に何か伝えたわけでは無い。最後の植木鉢を利用したのもアドリブ………にも関わらず礼神もちゃっかり避けていた。

 

「アンタ……まるでそうなるって()()()()みたいな動きだったっスねぇ〜〜。それにスタンドも見えてるようじゃねぇか」

 

「そう警戒しないでよ。それとアンタじゃなくて、僕の名前は礼神…承太郎やレオンさんの知り合いとだけ、今は言っておくよ」

 

「ッ‼︎ 承太郎さん達の?…って今はそれどころじゃなかったっスね」

 

 会話を切り上げ、再び空家の方へ視線を戻す。

 しかしそこには血溜まりしかなく、血痕は空家の玄関へと続いている。

 

「ハッ! こ…康一がッ!………」

 

 そしてたった今…矢が刺さったまま痙攣する康一が、ズルリと屋内に引き摺られて行くのが見えた。

 それを見た仗助は、フツフツと込み上がるものを感じる。

 

「いい加減にしろよ…てめえらッ!」

 

 怒りを隠さずに仗助は堂々と玄関から乗り込み礼神もそれに遅れずについて行く。

 

 すると入ってすぐの所に、引き摺っていたためか康一の足を掴む男子高校生の姿があった。

 仗助に続き億泰も不良のような容姿をしていたが、例に漏れずこの男も改造学ランを着ていて不良のようだった。

 

「この矢は、大切なもので一本しかない…おれの大切な目的だ。回収しないとな………」

 

 ボロボロな事もあり、壁の隙間から日光が差し込む屋内……その光源によって照らされた不良は男にしては髪が長く、ポルナレフの後頭部に束ねた髪を足したような髪型だった。オマケに前髪は花京院のように少しだけウェーブがかかっている。

 

「…虹村の兄……形兆。名前だけだけど、やっと思い出した」

 

「なんだと?………」

 

 礼神はそう言ってフードを外し、傍にあったボロボロの(おそらく花瓶などを置く所であろう)台にかけていたサングラスを置いた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「テメェ……今朝のッ‼︎」

 

「そうそう今朝あったよね。無視してくれちゃって酷いんじゃ無い?」

 

「知り合い…っすか?」

 

 形兆は驚いた様子で僕を睨む。

 何故自分を知っているのか疑問に思っているみたいだね………っていうか、「思い出した」とか予言という原作知識に関連する事って、あまり言わない方がいいんじゃない?

 

 確かこの戦い終わったら形兆が死ぬんだっけ? どうやってかは知らないけど、そこの警戒を続けないとな………もしかしたら戦闘中に殺されるかもしれないし…

 

「何故俺を知っているかは後でいい………まずは」

 

「矢を抜くんじゃあねーぞッ! 出血が激しくなる‼︎」

 

 僕が考えてる間に、康一君の首に刺さった矢……それを引き抜こうと手をかけた形兆に仗助が怒鳴った。

 

「………弟がマヌケだから貴様らをこの俺が(バラ)さなきゃあならなくなった……

 

 …となると、この小僧の体をこのまんまにしておいて この矢になんかあったらやばいだろ? 近所のオバサンに見られるとか、もしかして折れたりしたら大変だ。キチョーメンな性格でね…お前らを(バラ)す前にちゃんと矢を抜いてキチッとしまっておきたいんだ…

 

 一枚のCD(シーディー)を聴き終わったら、キチッとケースに閉まってから次のCD(シーディー)を聞くだろう?」

 

 一度矢から手を離し、両手で開いた物を閉じるようなジェスチャーをする。そして……

 

「誰だってそーする。俺もそーする」

 

「はぐっ」

 

 そして矢に再度手をかけ、勢い良く引き抜いた。

 生きてはいるが恐らく気絶している康一は、首に刺さってたものが抜かれて、自然とそんな声が飛び出た。

 それと同時に、喉と口からは夥しい量の血液も飛び出す。

 

 その光景を見た仗助は目を見開き、相手の能力もわからないまま前進する。

 僕は様子見で、玄関からまだ動かない。

 

「ほほう。この屋敷に入ってくるのか⁉︎」

 

「考えて物を言え! 入んなきゃ…てめーをブチのめして康一のケガを治せねえだろうがよぉ〜〜っ‼︎」

 

 そこで足音が前でなく後ろから聞こえた。振り向けば植木鉢を食らって倒れた億泰が、起き上がってすぐ後ろまで来ていた。

 所詮は植木鉢にぶつかっただけ。気絶したのも一瞬で、眠りは浅かったようだね。

 

「兄貴! 俺はまだ負けてはいねーっ! そいつらへの攻撃は待ってくれっ‼︎ 勝負はまだ……」

 

 すぐさま僕に攻撃すればいいものを、億泰は形兆に向かってそう告げる。ただ形兆は攻撃を止める気はなさそうだ…一切の動揺も、迷いも無いように見えた。

 

「攻撃ッ⁉︎ 天井の闇の中から…何か来る‼︎」

 

「危ないッ‼︎」

 

 仗助は攻撃をいち早く察知して横に飛び、僕は億泰の胸倉を掴んで倒れ込む。

 

「イタッ!」

 

「「ッ⁉︎」」

 

 完全には庇いきれなかった。クソーッ! 形兆のスタンドはどんなんだっけ⁉︎ 出番が少なかったんだろうな…全然思い出せない。いや、群体型だったかな? 多分。

 

 攻撃が当たったのは僕の左肩からうなじに掛けて……後ろ側だから傷口も見えない。僕が押し倒した億泰は………足だ。右足がやられている。小さな穴がいっぱい空いていた。小さな穴だが数があり、出血量が凄い。

 

「なん…テメェ⁉︎」

 

「億泰ゥ〜〜ッ。どこまでバカな弟だ………お前がしゃしゃり出て来なければ、俺の極悪中隊(バッド・カンパニー)は完璧に仗助に襲いかかった。しかも攻撃の軌道上にてめーが入ってくるとはな………だがその女が庇ったのは嬉しい誤算だ」

 

 僕を見て驚愕する億泰と、面白くないモノを見た表情を浮かべる形兆。

 

「なんだこの傷………いったいどうすればこんな傷がつけられるんだ⁉︎」

 

「億泰よ…人は成長してこそ生きる価値ありと何度も言ったよなあ………お前のザ・ハンドは恐ろしいスタンドだが……お前は無能だ!無能なやつはそばの者の足を引っ張るとガキのころから繰り返し繰り返し言ったよなぁ〜〜」

 

 またもやキツイ口調で言う形兆だが、表情はそこまで険しくない。対して億泰は叱られた子供のような表情を浮かべ、床に手をつき立ち上がろうとする。しかし右足が使い物にならないようで立てない。

 その時に僕も立ち上がり、右側に回って肩を貸そうとする。

 

 無論、億泰はそれに応じないけどね。

 

「まさか、敵の女の足を引っ張るとは思わなんだ……本来ならしゃしゃり出たお前が傷を負い倒れている筈だし、その時は…()()()()()()()()()()()()()()()()()()‼︎」

 

「ウッ⁉︎」

 

 そう億泰に話しかけていたにも関わらず、先ほどの攻撃が仗助に向けられる。危険を感じた為 横に飛んで避けたが、背後にあった古い壺に無数の穴が開けられる。

 例の如く小さな穴だ。

 

「いったい⁉︎ どんな攻撃してんだ⁉︎ 闇の中から………攻撃してくる⁉︎」

 

「危なッ!」

 

「ッ! テメェ…また………‼︎」

 

 億泰を強引に引っ張って後退すると、立っていた床に無数の穴が空いて崩れる。

 

「弟君ごとヤル気?」

 

「礼神さん! コッチ‼︎」

 

 仗助が壁を破壊して外へ出て、振り返ってこちらに手を伸ばしている。

 強引に引き摺る形で、僕は億泰ごと外へ飛び出した。

 

「クァ………‼︎」

 

 外へ出ると、着地できずに転がった億泰が 苦しそうな声を出す。

 また庇いきる事が出来ず、億泰はまた被弾していた。被弾部位は顔面………出血量も増えていた。

 

「大丈夫? まだキツそうなところ悪いんだけど、形兆のスタンドを教えてくれないかな」

 

「………………」

 

 そう聞くが億泰は答えない。

 

「おい、スタンドの正体だよッ! しゃべれば傷を治してやるぜ」

 

「だれ…が………言う…もんか…よ………ボケが…」

 

「やっぱりな……そう言うと思ったぜ。それじゃあやっぱり…」

 

 出来損ないの弟と実兄に称されても、億泰は決して裏切らなかった。たった今 自分ごと攻撃され、もろ被弾したにも関わらず……その攻撃で自分が危うく死ぬところだったにも関わらず、億泰は形兆を裏切らなかった。

 

 その行為を仗助は最初(ハナ)からわかっていたようで、然程驚きもせずにスタンドを発現する。

 そして発現されたスタンド…クレイジーダイヤモンドは右腕を振り上げた。

 

「しょうがねえなあーーーッ!」

 

 スタンドの右手が億泰の顔面と重なり、2秒程の硬直……その2秒が過ぎてスタンドの右手が横にずれると、億泰の顔から傷が消えていた。気が付けば、足の傷も同じように綺麗さっぱり消え失せていた。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

「これからもう一度屋敷ん中に入るが邪魔だけはすんなよな。億泰……おめーとやり合ってるヒマはないっスからなあ! 康一にはもう時間がないからだ」

 

「⁉︎⁉︎…?………」

 

 治った自分の顔に触れながら動揺する億泰を他所に、仗助と礼神は屋敷の玄関まで戻る。

 

「勝手してすみません」

 

「いいよ。それより仗助、僕が先に行こう。訳あって攻撃にはまわれないけど、肉盾にはなれるよ」

(形兆と遭遇したら、彼が死なないように"何か"から守らないといけないし)

 

「いや、俺が先行します。レディーを壁にできるわけないっスからねぇ」

 

「ヒューッ!おっとこまえ〜〜‼︎」

 

「お…おい待て!なんでだ?仗助⁉︎」

 

「あ?」

 

 進む2人は呼びかけで足を止め、億泰の方へ顔だけ向ける。

 

「なんでだ?なぜ俺の傷を治した?」

 

「うるせえな、あとだ。あと」

 

「テメーを攻撃するかもしんねーぞ! 俺はテメーの敵だぜッ!」

 

 適当にあしらい前を向く仗助だが、億泰がそう噛み付くので再度振り返る。

 

「やるのかい?」

 

「テメーの答えを聞いてからだ! なんで治した? 俺は兄貴のスタンドの正体を喋っちゃあいねーぞ! 俺は頭あんまりよくねーんだからよッ! バシッ!と答えてもらうぜッ!……それに」

 

 仗助から視線を礼神にうつし、彼女の手を指差す。

 

「(もう治ってるが)(アマ)ッ! 俺を外へひっぱり出す時に、テメーは手に傷を負ったよな? なぜそこまでして俺を助けたのか聞きてえ‼︎」

 

「「………………」」

 

 その質問を聞いてから数秒黙り込み、まずは仗助が口を開く。

 

「別に深い意味はねぇよ。"なにも死ぬこたあねー"…俺はそー思っただけだよ」

 

「僕は職業柄…子供の命を容易く見殺しにできない奴でね。()()()()()()()()()…それだけなんだよね」

 

 そう言い残し、今度こそ2人は中へ入った。

 壁から外へ飛び出す前と違い、血溜まりがあるだけで形兆と康一の姿はない。

 

「康一君の血だよね……二階のあの部屋につづいてる」

 

「まだ聞くことあんだよ仗助〜〜〜〜っ」

 

「ッ‼︎」

 

 完全に話は終えた気でいた仗助の肩が跳ね、その後ろにいた礼神はまた億泰の方へ振り向く。

 

「な…なんだよてめー。頼むから康一を助けさせてくれ」

 

「なんでなんだよォ〜〜っなんでお前、自分の傷をスタンドで治さねえ?」

 

 上手く袖で隠していたが、仗助も手首に傷を負ってた。穴数も少なく軽傷だが、それでも流血しているのは確かだ。

 

「……俺のクレイジーダイヤモンドは、自分の傷は治せないんだよ。世の中……都合のいい事だらけじゃあねえってことだな」

 

 その言葉に絶句する億泰に追い討ちをかけるように、睨みつけながら続きの言葉を放つ。

 

「そしてなにより、死んだ人間はどうしようもねー()()()。ひとつだけ言っとくぞ億泰! もし康一が死んで取り返しがつかなくなった時、俺はテメーの兄貴になにすっかわかんねーからな……逆恨みすんなよ! こいつはオメーの兄貴が原因のトラブルだ………わかったな?わかったら………外に出てろよ」

 

 今度こそ話を終わらせ、血痕がつづく二階の部屋の前へ………そして意を決してその扉を押し開ける。

 

「………罠だね」

 

 中の様子は、家具のほとんどないだだっ広い部屋だった。その真ん中に康一を無造作に置かれていて、誰がどう見ても罠だった。

 

 そうとわかっているが 康一を助ける為に突っ込もうかと仗助は考え、礼神は圧倒的な防御力を誇る自身のスタンド…ケルベロスを使用するべきかと思考する。

 

(でもそれを形兆がみすみす逃す? 彼は僕のスタンドを知らないはずだし、下手に出したくない………彼を殺す"何か"だって見てるかもしれないし………)

 

 ………今度こそ話を終わらせたはずだった。しかしそう思ったところで、相手がそれに合わせて引っ込んでくれるわけではない。

 背後にまた現れた気配は礼神を押し退けてザ・ハンドを発現させる。

 

「なにッ! 億泰! きさまッ‼︎」

 

「仗助ぇ〜〜〜〜ッ‼︎」

 

 攻撃されると思ったようだが予想は外れ、ザ・ハンドの右手は虚空を通過する。そして虚空のその先には倒れた康一がいた。

 

 そのまま空間が削り取られれば無論………

 

 ーーー ギャオォン‼︎ ーーー

 

「こ…康一が瞬間移動ッ‼︎」

 

 仗助のすぐ目の前に、依然 瀕死の状態だが康一が瞬間移動してやってくる。

 

「俺はバカだからよぉ〜〜〜〜心の中に思った事だけをする。一回だけだ。一回だけ借りを返すッ! あとは何もしねえ! 兄貴も手伝わねえ! オメーにも何もしねえ。これで終わりだ」

 

 自分の中では苦渋の決断だったのか、億泰は尋常じゃない程の冷や汗をかいてそう言った。

 

「…………グレートだぜ…億泰!」

 

「ありがと億泰ーーーッ!」ガバッ

 

「ブッ⁉︎」

 

立ち去ろうとする億泰に礼神は飛び付き、彼の頭を強く抱きしめる。正面からだった事もあり、億泰は窒息とか別の意味で色々と危なかった。

 

「………グレート」

 

早速 康一を助ける為にスタンドを使う仗助だが、視線は礼神と億泰に釘付けになっていた。




証呂
「今回ほぼ原作だったな……」

伊月
「話は変わるけど「後書きまでに直しとく」って言っといて後書きに登場させないとか、作者の悪意を感じるぜ」

証呂
「仕方ないな……」

ゾル
「よぉ」

伊月
「テメェじゃねぇよ」
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