「………………」
礼神
「………………」
証呂
「………怒ってんの?なんで?」
レオン
「ヒロアカの二次小説を始めて更新が遅れたからだな」
証呂
「え、そんな………いや、不定期更新よ?一応」
伊月
「ヒロアカ………あぁ、オリジナルのつもりの主人公がFGOだかFateだかの酒呑童子ってキャラクターに間違えられて「もういっそのことその酒呑童子って事にする?でもFGOもFateも知らんからキャラももちろんよく知らないし無理やー」ってメッチャ悩んだ挙句の果てに結局オリジナルで通す事になったあの二次小説ね」
証呂
「オッさん説明ありがと。礼神は何故に怒ってる?」
礼神
「………前回の対応」
それはさておき80話、グダグダっとどうぞ!
「康一君!…広瀬 康一君ッ!」
「ぅ………ぁ………あれ? 僕は………」
薄暗い屋内の劣化の激しい廊下。
そこには小柄な少年の広瀬 康一と、その少年の肩を揺する女性…葎崎 礼神………
そして周囲を警戒する不良風の少年…東方 仗助がいた。
「よお〜〜〜っ!グレートに危なかったな康一。指は何本に見える?」
仗助は振り向いて安堵の表情を浮かべながら、右手に2本…左手に3本の指を伸ばして質問する。
「5本……た…たしか僕、門の間に首を挟まれてから不審者に助けられて……あれ?貴女は?」
「僕がその不審者の葎崎 礼神…軽く説明すると、今いるここはさっきまで覗いてた空家で、ひとまず僕らは外へ出たい。わかった?」
「え?えっと〜…どうして……」
「今は疑問を抱かず、鵜呑みにする事を推奨するよ」
「シッ!………やはり何かいるぜ……天井の闇の中に何かが潜んでるっスよ」
口の前で人差し指を立て、礼神に向けて仗助がそう言い放つ。
言われて礼神も耳を澄ませると、確かに何かの物音がする。重武装の兵士が歩くような、「ザシュッ」という音だ。
そのスタンドはすぐさま姿勢を低くして仗助達から隠れた。
仗助の頭部より少し高い位置にある角材の上を走り、姿勢を低くしただけで隠れられる………それほどに小さなスタンドだった。
「随分と小さなスタンドじゃねぇか…ちょこっとだけ安心したぜ」
「…小型…遠距離操作型。もしくは………」
小声で推測する礼神をよそに、仗助は次にスタンドが顔を出した時に攻撃しようと心構えをする。
「………群体型スタンド?」ボソッ
ーーー ガシャンッ‼︎ ーーー
「出たなッ‼︎」
角材の影から身を乗り出したスタンドは、G・I ジョー人形のような兵隊のスタンドだった。小さな人形スタンドで、両手で一丁のカービン・ライフルを構えていた。
仗助のクレイジーダイヤモンドはそれに殴りかかろうとするが………
ーーー ガシシャン‼︎ ガシャガシャン‼︎ ーーー
「ッ‼︎ なんだッ! たくさんいるぞ‼︎」
「やっぱりッ‼︎ 康一君ッ!僕の後ろに‼︎」
小型スタンドは一体だけではなく、時間差で同じのが十数体現れる。からの一斉射撃…咄嗟に礼神は康一を抱き寄せて身を呈して守り、仗助は驚く事で硬直した隙にライターを持っていた左手を撃たれる。
「うああああああ‼︎ 何ーーーッ⁉︎」
仗助の左手には無数の小さな穴が空き、そこからダクダクと血が流れる。そして驚いたのはライターの方だ。
仗助が手放したライターは床に落ちる前に、小さな弾幕の嵐で空中分解されてほとんどチリになっていた。
「落下傘でワンサと降りてくる。これが形兆のスタンド……」
(僕のケルベロスじゃ、細かい攻撃は防げないな………)
「2人ともコッチ‼︎」
上からパラシュートで降りてくる小さな軍隊は、落下中もライフルを構えて発砲しようとしていた。
それに気づいた礼神は、撃たれる前に2人を引っ張って部屋に逃げ込む。
康一が倒れていた部屋には罠がある可能性があるので、その隣の別の部屋だ。
「クッ‼︎」バタン‼︎
飛び込むと同時に扉を蹴って強引に閉める。しかしその扉も劣化が激しく、その向こうから銃弾が貫通してくる。
この威力なら、仮に新品のお洒落な扉だったとしても無意味だろう。
「"塵も積もれば山となる"ってのを痛感させられる攻撃だね」
「窓がある。ここは2階だが、窓ぶち破って飛び降りましょう‼︎」
「えっ!」
仗助の提案を無言で頷く礼神は、有無も言わせずに康一の腕を掴み窓へ向かって走る。
窓はガラスの代わりに木の板が打ち付けられているが、先を走る仗助ならスタンドで簡単に壊せるだろう。
しかし仗助は足を止めて、後ろを走る2人にも止まるように手で促す。
「………てのも、あ………甘かった」
逃亡経路に使おうとした窓の両隣には、これまた小さなアパッチが数機飛んでいた。先ほどの小さな兵隊が操縦席に乗っている。
「じ、仗助君 危ない‼︎ 戦車がいるよ‼︎」
康一がそう叫ぶと、礼神が前に出て戦車の射線上に割り込む。
その戦車はまさに今 砲弾を放ち、礼神はそれを両腕でガードして防ぐ。
それと同時にアパッチからもミサイルが発射されるが、礼神は立て続けに防御する。
無論、礼神自身の両手にそんな耐久力は無い。ケルベロスの前足を腕に被せるように発現させただけである。
屋内で小回りの効かないケルベロスでは分が悪いため、一部分のみの発現である。
「グレート…この人、小さいとはいえ砲弾とミサイルを両腕で………ッ⁉︎ ちょっと待て……康一、い…今なんて言った?」
「………へ?」
「
ー
ーー
ーーー
痛いッ‼︎ んでもってアッツ⁉︎
小型弾幕の嵐は細かくて防げないけど、戦車とかの単発なら防げると思って盾になった。でも痛いし熱い…爆破の衝撃は防げたけど、骨の隙間から爆風が流れ込んでくるし………あ、火傷になってる。
「見えるのか⁉︎このスタンドが‼︎」
腕にできた火傷痕を見てみると、そこまで酷いものじゃなかった。少し赤くなってるだけでヒリヒリする。
そんな負傷確認をしていると、仗助からデジャヴを感じさせるセリフが飛び出す。
振り向くと康一君は動揺しながらも、周囲で隊列を組んでいる小さなスタンド達を見ていた。
「康一君。この小さな兵隊達はスタンドで、スタンド使いにしか視認する事はできない。それが見えるんだね?」
「は…はい。な…なんだかわけが…わからないけど見…見えてるよ〜〜〜っ」
「ほう!
声につられてまた振り向くと、そこにはたった今部屋に来たと思われる虹村 形兆の姿があった。
この部屋の出入り口は2つあり、僕らが入ってきた所とは別の出入り口だ。
「スタンド能力を出せるように………
現れた形兆と僕らの間には、すでにスタンドの兵隊が隊列を組んでいる。
窓際に居たヘリも向こうの隊列に戻り、戦車7台、戦闘ヘリ4機………歩兵50〜60人くらいの幾何学模様ができていた。
僕らはそれによって、壁際に追い詰められる。
「そこに居たんスか。本体を晒すなんて勇気あるじゃんよぉ〜〜形兆先輩………ドラァ‼︎」
追い詰められたように見せかけて、仗助はコッソリと板に打ち付けていた釘を抜き取っていた。
そしてそれをスタンドに渡して、クレイジーダイヤモンドに投げさせる。
「………………」
ーーー ドガガガガガガ‼︎ ーーー
「………!」
上空の鳥を撃ち落とすが如く、兵隊達はライフルを上に向けて釘を撃つ。撃つ。撃つ!
結果、数の暴力で釘が空中でチリに変わる。先程のライターのように………
話は変わるけどなんでライター持ってたんだろ。仗助もやっぱタバコ吸うの? 未成年がいっけないんだ〜!
「我が
本体のオレをやっつけたいだろうがフフフフ………このカンパニーを越えてお前たちの攻撃がこの俺に届く事は決してないと言い切るッ!」
「自分だけの力をその年頃で持つと、やっぱ過信したりするよね。僕も学生の頃はそうだったよ。そんな経験者の僕から言わせて貰えば君は………ただの"井の中の蛙"だけどね」
「………フン」
自信満々にそう言い放つ形兆を、僕は軽く挑発する。貶されたのが気に食わないのか、ピクリと彼の眉が動いた。
そして話題を変えるように、形兆は康一君を指差す。
「ところでオレが出て来たのは………小僧!お前を見るためだ!」
「ぼ…ぼく?」
「そうだ………康一とかいう名だったなァ〜〜っ。おまえ、予想に反してスタンドの素質があったようだな………どんなスタンド能力か、今…そこで発現させてみろ。もしかすると俺が
「探している能力ゥ〜〜? てめーいったい何が目的なんだよぉ〜」
「お前の方から質問すんじゃねぇぞ仗助‼︎ テメェを殺す決定に変わりはない…少しでも長く生きのびてることを感謝しろ!」
「僕のスタンド能力は気にならないの?」
「フンッ、発動に何かの条件が必要なのか…それとも戦力にならん力なのか………戦車の砲弾を弾いたようでパワーはあるようだがどの道、
やれやれと言った様子で首を振る。
自分を過小評価されてるようで少し不機嫌になるが、自身の手札を見せても今はメリットが無いので黙り込む。
「ほら何をしている‼︎ スタンドを出せ‼︎‼︎」
「ヒッ!だ、出すって言ったってそんなの初めてだし…スタンドってのも、何が何だかサッパリ………」
「初めてだとォ〜〜?なるほど…おい仗助‼︎ てめーが使い方を教えてやれよ!もしかするとこの状況を打破できるかもしれんぞ⁉︎」
「確かに、おめーを懲らしめられるスタンドだったらいいよなぁーーーッ!」
本人の意思は他所にして、完全に康一君がどうにかする流れになってしまっている。少なくとも康一君は今の雰囲気をそう捉え、完全に緊張してしまってるみたいだ。
「いいか康一、スタンドの出し方は簡単だ。"自分の身を守りたい"とか"アイツをぶちのめしてやりたい"って気持ちになればいいんだよ。そうすりゃあとは本能だぜッ!」
「そ、そんなあ〜、急にそんな事言われても…」
「ま、気楽にやってごらんよ。最悪の場合、仗助がなんとかしてくれるさ」
「つーかアンタはマジで戦えないのか?ちっとも?」
「肉盾にならなれるけど………まぁ本当にヤバかったら、助けてあげるよ」
「そりゃどーも」
「何余計なことくっちゃべってんだ? スタンドが出せないと言うなら…俺がキッカケを作ってやるよォーーーッ‼︎」
「アッ‼︎」
いつの間に接近したのか、形兆が
口にナイフを咥えて、その学ランを這うように登っていたのだ。そしてそのナイフが康一君の首に何度も突き刺される。
「ああィィィィーーーッ‼︎⁉︎」
傷は浅いが痛みから悲痛な叫び声を上げる。
そんな康一君からは、待ち望んでいたスタンドが姿を現わす。
「………卵?」
現れたのは変な模様の卵だった。
………思い出せないけど思い出した。確かに康一君って昔………高校で旅をしてる最中に一度だけ、レオンさんとの話で上がらなかったっけ?
話した事実は思い出したけど、内容が断片的にしか思い出せない。たしか………
「………成長性の高いスタンド」ボソッ
「なんだと?」
「あ………」
またやっちゃった?余計な事言っちゃってた?僕。
「………何やらスタンドについて色々と知っているようだな」
そう言って右手を上げると、幾何学模様を描いて整列していたスタンド達が銃口を僕の方に向けて来る。
「まぁいい。手足を撃って動けなくなったところでユックリ聞くとしよう」
「そいつは合理的っすね〜。絶対に不可能だって点に目を瞑ればよぉ〜」
ー
ーー
ーーー
礼神を守ろうと仗助が前に出る。その内に礼神は康一を連れて後ろへ下がった。
すると形兆は仗助にある宣言を始めた。
足を打ち、腕にダメージを与え、その後に頭を吹き飛ばすと………そこからは長いようで短い攻防の始まりだ。
極悪中隊の横殴りの雨のような一斉射撃を、仗助は大海を割ったモーゼの様に突き進む。全ての弾幕をスタンドのラッシュで弾いていたのだ。
しかし仗助は足にダメージを受けた。
ーーーボゴオォオン‼︎ ーーー
「何ィ⁉︎」
「地雷…撃ってないじゃん嘘つきー‼︎」
礼神の言葉も虚しく、仗助に向けてアパッチが計四つのミサイルを発射する。
(このままでも仗助は勝ちそうだけど………)
「右二つは任せて‼︎」
「ッ⁉︎ グレート!」
これ以上は大人しく下がっていようと考えていた礼神だが、性に合わず前へ出てしまう。そしてまた両腕をクロスしてミサイルをガードし、左から迫る二つはクレイジーダイヤモンドが殴って破壊する。
「予告通りに事を進めさせない気か…だがその腕であと何発受けられるかなァーーーッ‼︎」
「………だってさ仗助。後何発受け止めれば良い?」
「結構っスよ。俺の作戦はよーーー、既に終了したんだよ」
投擲の遠距離攻撃は形兆に届く前に撃ち落とされてしまう。ならその遠距離攻撃が、
「ッ!何ィーーーッ⁉︎」
クレイジーダイヤモンドが破壊したミサイルの残骸は、破壊すると同時に治され始めていた。
形兆の前に転がった頃はまだ残骸だった………しかしそれが時間差で能力によって治され、二つのミサイルが形兆の前に現れた。
「そ、狙撃兵‼︎ このミサイルを撃ち落と……」
ーーー ドグオォォオン‼︎ ーーー
「間に合わなかったね」
自分のミサイルを顔面で受け止めた形兆は気絶し、後から膝をついて前のめりに倒れた。
「危なかったぜ。早えーとこよー、この家を出よーぜぇ」
「じょ…仗助くん。僕を射った弓と矢は………」
「それは僕が責任を持って回収するよ。それが目的だからね」
「………………」
一足先に今いた部屋を出た礼神は廊下を見渡し、屋根裏部屋へと続く階段を見つけた。
(少しずつ思い出してきたぞ…弓と矢、確か誰かに奪われるんだよね。その時に形兆が………原作では形兆が手にしているところを、殺されて盗られた………のかな?うん、そういう流れの可能性大だね………ん?)
階段を登っていると、後ろから二人が付いて来るのに気付く。無論それは仗助と康一だった。
「どうしたの?」
「たしかこいつら父親がいるっつってましたよ?一人じゃ危ねぇって」
「ぼ、ぼくも…ここで一人で帰るわけには………」
「………そ。頼りにしてるぜ、男の子?」
軽く笑って前を向き、礼神は屋根裏部屋の前まで足を運んだ。
すると中から何かを引っ掻くような音が聞こえてくる。オマケに扉は少しだけ空いており、隙間から鎖が見えた。微かに動いている事から、何かが繋がれている事がわかる。
そしてその隙間からは壁にかかった弓と矢も見える。
「弓と矢だ。壁にかかってるぜ」
「でも、な、何かいるよ仗助くん!」
「………………」
ーーー ドガッ‼︎ ーーー
「ヒッ!」
怖気付かずに礼神が扉を蹴破ると、その音に驚いた康一が短く悲鳴を上げた。そしてそれと比にならない悲鳴が中から聞こえた。
「ブギュゥーーーッ‼︎‼︎」
………それも人間とは思えない声で。
「礼神さん、アレは………」
扉の開く音にビビったのか、悲鳴を上げた生物は部屋の隅で丸くなっている。そんな姿も人間とは思えないものだった。
肌は緑色に変色し、イボのようなボコボコが全身にあった。大きさは康一より少し小さいだろう。そして手足や胴体の比率もまたおかしかった。
「見て…しまったな………見てはならねぇ、ものを、よぉ………」
「なっ!形兆ッ!」
「傷が浅い…着弾すると同時にミサイルを消したね?少し間に合わなかったようだけど」
「どうゆうことっスか?」
「弾丸もスタンド………ってわけだよ」
投げやりに礼神が答えていると、ダメージが無いわけではない形兆が壁にもたれながら移動し、ついには壁にかかっていた弓と矢を手にする。
「弓と矢が………」
「形兆…それを渡して」
「弓と矢を、か? ダメだね。コレは…親父のために必要な………ものだ………」
「…親父………?」
「あぁ、そこに居るのが…俺達の親父だぜ」
部屋の隅にうずくまっていた化け物を顎で指し、形兆は途切れ途切れそういった。
そしてうずくまっていた化け物は今は移動し、近くにあった箱の中身を漁っていた。
「言っておくが病気じゃねぇぞ………食欲もあるし至って健康だ…唸り声上げるだけで俺が息子だっつーのはわかんねーがな〜〜」
「親父さんを治すスタンド使いを探してたっつーわけか?」
「治す?…フフフフフフ。おめーが治すってか? それも…違うね………」
仗助の問いに自傷気味に笑うと、弓を握りしめる彼の拳に涙を落として否定した。
「
「………でしょ?」
暗い表情を浮かべたまま、形兆の言葉を礼神は紡いだ。
一瞬驚いた表情を浮かべた形兆だが、すぐにキッと睨みつける。
「何故知ってるか知りたい?それは僕が10年前に、邪神DIOを討伐する為に旅に出たメンバーの一人だから…」
承太郎からアンジェロの件と同時にDIOの事を少し聞いた仗助だが、少し聞いたくらいなので話についていけてない。康一に関しては言わずもがな。
「ほお〜〜…アンタが………そうか、アンタが親父を
再び極悪中隊が形兆の前に並ぶ。先程より数はかなり減っているようだが………
「礼神さん‼︎ 俺の後ろに……」
「いやいい。僕はここで良い」
軍隊を前に一歩も引かず、礼神は形兆の話に耳を傾ける。
「DIOは信用できない奴に肉の芽を植えて操っていた。そしてDIOが死んだその時、本体が死んだ事で肉の芽は暴走した」
「あぁそうだ。10年かけて調べたよ…だが調べるうちに親父は決して治らないと信じなくてはならなくなった。不死身の細胞が一体化しちまったんだからな……!」
ーーー ガッシャーン! ーーー
「………一日中こうやってるだけだ。毎日毎日…来る日も来る日も10年間………無駄にガラクタ箱の中をひっかき回しているだけさ。箱を取り上げると何日も泣きわめくしよ………
先程から箱の中を漁っていた化け物は、バランスを崩して箱をひっくり返す。それでも漁る事をやめず、苛立った形兆はそんな化け物を蹴りつける。
「おいやめろ!お前の父親だろーによーっ」
「ああ…そうだよ…実の父親さ…血の繋がりはな…だがこいつは父親であって、もう父親じゃあない!………そして
また一方で父親だからこそ、やり切れない気持ちっつーのがお前らにわかるかい?だからこそフツーに死なせてやりてえって気持ちがあんだよ。コイツを殺して初めて………俺の人生は始まるんだよ‼︎」
「人生が始まる?………それなら僕にもわかるよ。10年前の僕もそう思った………旅を終えて初めて人生がスタートするって」
「………だからなんだ?仕方のない事?テメーの都合で周りに何が起きたのかは知らんぷりってわけかッ⁉︎」
「そんなんじゃないよ!………仗助、見える?箱の中身………治して」
「う………ウス」
仗助は形兆を警戒しながらも、化け物が漁り続ける箱にクレイジーダイヤモンドの拳を叩きつけた。
すると底の板の隙間に挟まっていたのか、何かの切れ端がハラハラと落ちて集まる。
やがてそれは"一枚の写真"に修復された。
「オ…オオ………オオオォォォォオーーー‼︎‼︎」
「な………」
「家族の写真だ‼︎意味が無いように思えた10年間の行動に、意味はあったんだよー!」
化け物は写真を拾い上げると大事そうに抱え、その目からは大粒の涙を流した。
「DIOを倒さなければならなかった…仕方なかったとも言える事だ。でも僕は………僕
両手を広げて歩く様は、昔のエーデルガルドの姿と重なる。彼女は間違いなく、エーデルガルドの娘というわけだ。
ゆっくりと歩み寄る礼神を前に形兆は後退る。
「兄貴………もうやめよおぜ、なあ〜〜」
「億泰………」
隠れていたのか、形兆が逃げようとする扉から億泰が現れる。
そして迷いながらも、億泰は弓と矢に手を伸ばして掴む。
「億泰………なに掴んでんだよ………?」
「兄貴………」
「俺は何があろうと後戻りすることはできねえんだよ…スタンド能力を見つける為にこの町の人間を何人も殺しちまってんだからなあ〜‼︎」
兄弟同士で一歩も引かぬ中…仗助がある変化に気づく。
それは足元の影…異様に感じて上を向けば、天井にある天窓に人間の両手が張り付いていた。
「おめーら、この親父の他にまだ身内が誰かいるのかよッ⁉︎」
「ッ⁉︎」
その言葉には形兆も疑問を感じて天窓を見る。そして億泰は自分達は三人家族だと無意識に呟く。
ーーー バチバチッパチッ ーーー
「ッ‼︎」
突如聞こえた電気のショート音がする方を向けば、億泰の後ろにあるコンセント………そこがスパークし、中から四頭身程の鳥の頭をしたスタンドが現れた。
(億泰………‼︎)
真後ろだという事もあり反応が遅れた億泰は、まだ自分が攻撃されようとしてることに気付いていない。
現れたスタンドは既に拳を振り上げている。
「億泰ゥーーー‼︎ ボケッとしてんじゃあねぇぞーーーッ‼︎」
気が付けば走り出していた。自分の弟でありながら死んで当然と言っていたにも関わらず、形兆のその動きに迷いは一切無かった。
結果…億泰を弾き飛ばしたが、代わりに形兆の腹を拳は貫いた。
「ケルベロスゥーーーッ‼︎」
ーーー ドゴオォォオン‼︎ ーーー
「………ッ⁉︎ガフッ‼︎」
形兆の直ぐ真後ろ…ギリギリ掠らない位置に、太い骨をした生物の前足が突き刺さった。
何が起こったか理解していない様子だが、腹に風穴を開かられている形兆は吐血。そんな彼を礼神は抱き止める。床がケルベロスの攻撃で抜けているからだ。
『な、なんだこのスタンドはッ⁉︎』
すると別のコンセントから先程のスタンドが現れる。攻撃を躱せたわけではないのか、頭部が少し陥没している。
「死にたくないなら………失せろ、クソ野郎」
形兆の前で両手を広げた時の様子から豹変した礼神に、一同は思わずたじろぐ。その目付きは獲物を見る猟犬のようで、それでいて極度に冷たい視線だった。
真の能力は死を与えるものでは無かったが、過ちでも彼女は死神の肩書きを受け入れる覚悟があるのを忘れてはならない。
『ヒッ……調子乗ってんじゃねぇぞ‼︎』
突如現れたスタンドはそう言って殴り掛かってくる。その攻撃は生身で受ければ死亡確定であろうが、それ故に礼神にはスローモーションに見えた。
「消えろ」
今となっては得意技とも言える亜音速を超える突きの攻撃。
それはスタンドの右肩に被弾し、骨が砕ける鈍い音が聞こえた。
あられもない悲鳴を上げてから、そのスタンドは本当に姿を消した。
「弓と矢は持ってかれたか………仗助!治療‼︎」
「は、はい!」
目撃した豹変ぶりに、先程よりも丁寧に返事をする仗助。
未だ抱き止められたまま動けない形兆は、何故それ程に力があるのに今まで使わなかったのかを疑問に思った。それの答えは見出せなかったが、自分が井の中の蛙であった事は間違いないと理解した。
「………あ、もしもしズィーさん?ちょっと車寄越してちょ。うん。五人なんだけどね? 大丈夫?
………はいはーい」
一方その頃、SPW財団本部。
橘
「レオンはいつ戻るのかしら。そろそろ迎えに行くころね」
ラバーソウル
「………橘さん。こんなメールが」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
件名:親愛なるパワハラ秘書殿へ
そろそろ君らが迎えに来ると思って先手を打たせて貰った。橘、君のデスクの一番下の引き出し…そこに入ってる仕事は全体を見ている君とラバーソウルくらいにしか捌けないものだ。面会の予定もある。無視して私の所へ来ようものなら、財団がどうなるか………わかるな?
PS.お土産は何がいい?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
橘
「………なんですかこのデスクにギチギチに詰まった書類は」
ラバーソウル
「ゲッ⁉︎ 俺の所にもあります」
橘
「………仕方ありませんね。すみません、誰か…コンビニにある栄養ドリンク、全種類有るだけ買い占めてきてください」
ラバーソウル
「………まじか…」