ジョースター家と吸血鬼   作:黝 証呂

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ヴィルナ
「………………」

証呂
「…言いたい事はわかる。出番が無いって事だろ?わかってる、だから一先ずスタンドを消してくれ」

ヴィルナ
「…◯◯◯◯(スタンド名)ッ‼︎」

証呂
「スタンド名言うなッ‼︎そして触るな、ちょ、あ、ぶ、くぁwせdrftgyふじこlpッ‼︎‼︎」

ヴィルナ
「…スタンドの名前が伏せ字に変えられた………これが作者のスタンド能力………ッ‼︎」

レオン
「………もしもし仗助か?治してほしい物体があるんだが…」

礼神
「それではそろそろ81話、グダグダっとどうぞ‼︎」



81.不完全な縁

 俺達は東京に住んでいた。

 バブル経済とかいって浮かれてた時代の中、親父は全くついていなかった。お袋は病死し、経営していた会社は上手くいかずに膨大な借金だけ残して倒産した。

 世の中の負け犬だった親父は俺達を理由なくよく殴っていたな。

 

 だがある時…仕事もろくにしてない親父の元に、金や宝石が転がり込んでくるようになった。

 

 後から調べて知ったが、すでに親父はDIOに心を売っていた。今となってはわからないが、DIOのお眼鏡に叶うスタンドを持っていたんだろう。

 

 だがある日の事………俺が学校から帰ると億泰の奴が泣いていた。

 俺はまた親父が億泰を殴りやがったんだと思ったが違った。

 

 台所から聞こえる呻き声を不審に思い向かえば、そこでは親父が蹲っていた。意識が朦朧とするのか手足に力が入っている様子はなかったなあ………

 それをよく見てみりゃどういうわけか、親父の顔は図工の時間の油粘土みてーにグチャっと崩れていた。

 

『救急車呼ぼう!』

 

 そう言った事で俺の存在に気付いたのか、親父は慌てて俺に掴みかかってきた。

 殴られると思い咄嗟に身構えたが、顔に触れたのは拳ではなく涙だった。

 

 親父は言った。

 

『無駄だ…もう……ダメだ………だが…帰ってきていて良かった………すまない形兆………後から、好きに…罵ってくれて構わない………だから………言わせてくれ………すまない………俺は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………兄貴?」

 

「………!」

 

 気がつくと俺は六人乗りの車の後部座席で、頬杖をついて眠っていた。窓から外を見ると、億泰がいつものアホヅラでこっちを覗き込んでいた。

 

 そんな億泰の後ろには、バカみてえにデカいビルが建っている。

 そしてそれは、"杜王グランドホテル"と呼ばれる公共施設だった。

 

 ー

 ーー

 ーーー

 

 静まり返った部屋の中にいるのは、私と承太郎の二人のみ。

 子供達は遊びに行っている。ハルには私の予備のケータイを持たせているし、何かあっても大丈夫だろう。

 

「承太郎…今の学生はコーヒーと紅茶、どっちを飲むと思う?」

 

「さあな。来てから聞けばいいんじゃねえか?」

 

 人数分のティーカップだけをテーブルに並べ、お湯をポットで沸かすだけ沸かす。

 するとここで、部屋に二回だけノックの音が木霊する。

 

「………来たな」

 

 クッキー類を並べた皿を最後にテーブルに置き、私は部屋の扉を開けて客人を出迎える。

 

「よく来たな。君が………虹村 形兆だね」

 

「………………」

 

 私は礼神から聞いた特徴と一致する学ランの男…虹村 形兆に話しかける。すると向こうは、見定めるように私を睨んだ。

 

「………ひとまず中へ…」

 

 促されるまま礼神と客人達は部屋の中へと入っていった。

 ちなみにその中にズィーズィーはいない。スタンドが車なだけあって、ホテルも取らずに車中泊するような人間だ。愛車の運転席で仰け反っている方が落ち着くのだろう。

 

 学生四人は長椅子に並んで座り、テーブルを挟んだその向かいに我々三人が座る。

 

「まずは虹村 形兆…そして億泰の二人に聞きたいことがあるんだが」

 

「その前にコッチから質問させてくれ………いいか?」

 

 少し態度はでかいが、形兆は軽く右手を挙げてそう申し出てくる。それを私は咎める事もなく承諾する。

 

「アンタがレオン・ジョースターで良いんだな?」

 

「そうだ。自己紹介を抜いていたな、すまない」

 

「レオン・ジョースター………アンタは、うちが今どういう状況か知っているのか?」

 

「…いや?」

 

「そうか………そういえばアンタは結婚していないが子供を持っているそうだなあ…さぞかし幸せな家庭を築いているんだろう?」

 

「………何が言いたい?」

 

 強く恨むような口調でそう言われた。

 思わず怪訝な表情を浮かべた私は形兆に聞き返す。

 

「別に。ただ、うちを地獄の様な人生に変えた奴がどんな生活を送っているのか少し気になってなあ!」

 

「あ、兄貴」

 

「おい!そういう言い方はねえんじゃねえのか⁉︎」

 

 これは…鈴原 ヴィルナと同じで、昔の事が繋がっているのだろうな。アンジェロは学ランの男にスタンド使いに変えられた。そしてその学ランの男は恐らくだが虹村 形兆で、彼はDIOについて知っている。

 

「…虹村 形兆。罪から 目を背けるつもりは無い。教えてくれないか?何故、私を憎むのか………」

 

「いいだろう…少し、俺の過去を喋ってやる。アンタには関係のある話だ………」

 

 そう言った形兆は言葉の通り過去を話してくれた。

 

 どうやら彼ら兄弟の父親は、10年前にDIOに肉の芽を埋められ手駒になっていたらしい。

 そして我々が激闘の末にDIOを殺したその時に、肉の芽が暴走して侵食が進んだ。結果、細胞が混ざり醜い化け物と化してしまったという。

 その姿を見てはいないが、重要なのは我々の行動が引き金になり父親を奪ってしまった事だ。

 

 ホリィを助ける為にDIOを倒し、同時に一人の男を私は殺した事になる。

 無論、それは一例で同じ様な事態に陥ったDIOの元手下と、その帰りを待つ者は何人も居る。君もその一人なんだな。

 

「親父はDIOに魂を売った自業自得の男さ………だが同時に父親であり、フツーに死なせてやりてえって気持ちがあんだよ。その為に俺はこれからも求める能力を探す為にスタンドの才能がある人間を探すだろう。そしてそれによってまた、新たに誰かが死ぬだろうよ」

 

「形兆テメェ‼︎まだそんな事言ってんのかよッ‼︎」

 

「もうやめようぜ兄貴。身体は戻んなくてもよお、記憶は昔の父さんに戻るかもしれないんだぜ?」

 

「五月蝿えぞ億泰‼︎俺は諦めねぇぞ!何があろうと後戻りできねえ…能力のある奴らを見つける為にこの町の人間を何人も殺しちまってんだからなあ〜‼︎」

 

「だけどよ兄貴………」

 

「五月蝿えつってんだろ‼︎そこまで言うなら億泰。()()()()辞めればいい!元より足を引っ張ってばかりの出来損ない…既に俺はお前を弟だなんて思っちゃあいねぇぜ‼︎」

 

…"テメェは"か………口は悪いが私にはその罵声する姿が、弟を遠ざけて自分一人で罪を背負おうとしてるように見えた。

 

「………フッ」

 

「………なんだ?何が可笑しいッ‼︎」

 

 つい口に出てしまった。それが聞こえ、敵意むき出しで矛先は私へと向けられる。

 

「すまない…が、ハッキリ言わせてもらう。君と億泰は違うと言いたい様だが、側から見れば二人とも一緒じゃないか」

 

「何だとッ⁉︎」

 

「方や兄と父を思う弟…方や父と弟を思う兄だ。形は違えど同じ人間だ君達は」

 

極悪中隊(バッド・カンパニー)ッ‼︎」

 

「ッ‼︎」

 

 形兆はソファーの後ろに飛び退いて群体型のスタンドを発現させる。彼の周囲に小さな兵隊や戦車が並ぶ。それだけでなく彼の顔の隣にはヘリが飛んでいた。

 

「虹村 形兆…スタンドを引っ込めてくれ」

 

「できないね。何故ならこのまま貴様らを我が極悪中隊(バッド・カンパニー)で葬るからだ‼︎」

 

 見るからに一触即発といった空気に見えるが、私はそうには見えない。何故ならこの場にいる中で、形兆が最も苦しい表情を浮かべているからだ。

 

 彼の決意は本物()()()。しかし…

 その場に立ち会っていない為何があったか知らないが、仗助達との出会いで揺らいでしまったのだろう。

 

「悪役にしては君は優し過ぎる」

 

「何?」

 

「君は信じたくなってしまった。否、既に父親が戻ると信じているんじゃないか?だからこそ、自分の罪の大きさのせいで戻れないと錯覚してしまっている」

 

「五月蝿え!アンタに何がわかる⁉︎」

 

「憎しみは連鎖するぞ。君が私を憎むように」

 

「………だからなんだ…もう………手遅れなんだよ」チャキ

 

 兵隊達が一斉に銃を構える。

 

「誰が決めた、手遅れだと。やり直せない?否、やり直せるさ。現に私はやり直すつもりだ。少なくとも輪廻は私で止める。矛先を向けたいなら好きにすると良い…だがこれ以上君に矛は向けさせない」

 

「………………何故そこまで出来る」

 

 いつでも攻撃できる状態のまま、形兆は私に問いかける。

 

「明確な理由はない。強いて言うなら………いや、何を言っても綺麗事に聞こえるな。ただの自己満足かもしれない」

 

「なのに命を張れるのか?」

 

「それは勿論」

 

 そう言い切ると小さな兵隊達は消え、形兆はまだ迷った様子を見せるが元の座っていた所に腰を下ろした。

 

「………兄貴」

 

「話だ‼︎ひとまず話だけは聞いてやる…」

 

 足を組み笑みもこぼさず、ただただ難しい顔をして形兆は言った。信用はまだしていない…審議中…といったところか?

 それに対して短く感謝を言葉にすると、私は早速だが質問にはいる。

 

「まず聞きたいのはアンジェロの事…奴をスタンド使いにしたのは形兆………君で間違いないな?」

 

「あぁ。例の弓と矢でな…」

 

「その弓と矢が見当たらないが………」

 

「ごめんなさいレオンさん…僕がついていながら、新手のスタンド使いに取られたんだよね………」

 

 私の隣に座る礼神が申し訳なさそうに手をあげる。

 

 …弓と矢が回収できなかったのは正直痛いな………だが彼女の予言の力はだいぶ衰えている。責める権利は私には無い。

 

「そうか………では次に、アンジェロが獄中自殺したのは知ってるか?」

 

「あぁ知ってるさ。だが()()()()()()だ!俺はその件に干渉はしてねぇし、自殺した理由に心当たりはねぇ」

 

 ………嘘では無いな。

 

「実はその件…自殺ではなく他殺の疑いが高いんだ」

 

「ち、ちょっと待ってくれよ!兄貴はその日、確かにうちに居たぜ⁉︎だから兄貴は………」

 

「それはわかってる。仗助の祖父…東方 良平の協力により、あるスタンド使いによる犯行が高いからな」

 

「ゲッ、爺ちゃん⁉︎」

 

「東方 朋子には会っていないから安心しろ。だがスタンドについて色々と話してしまった。薄々感じていたようだが、仗助は帰ったら質問責めされるかもな。まぁその話は置いておいて………それで分かったんだがアンジェロが収容されていた独房…その電球が割れていたらしい」

 

「電球………?」

 

「ただでさえ証拠を残さないスタンド使いの犯行となると、見つけ出すのは至難の業だ。数ある可能性の中に"電気系統のスタンド"……という一例が浮上しただけなんだが、心当たりは無いか?」

 

「…グレート」

 

 今度は承太郎が、形兆のみではなく皆に向けて問う。すると仗助がそう呟き、ずっと黙っていた康一が口を開く。

 

「僕達まさにその電気の…えぇと、スタンドでしたっけ?それに会ってるんですよ!」

 

「何?」

 

「特徴と能力は?」

 

「そうだな………推測だが能力は」

 

 

おっと、自己紹介なら自分でするぜ?

 

 

「「「「「「「ーーーッ⁉︎」」」」」」」

 

 ーーー プルルルル…ガチャ ーーー

 

 その場にいる誰かの声ではない。

 声からして男…ソイツは電話を通して話しているような声で、何処からともなく話しかけて来た。

 

 そして本当に電話越しに話しかけて来たのか、部屋に置かれた据え置き型の電話が鳴る。それも長く続かず、一人でに受話器が外れた。

 

 声はその受話器から聞こえる。

 

「………お前が"電気のスタンド使い"か?」

 

『誰でもいいさ…だが質問に敢えて答えるなら、そうだ。虹村 形兆から"弓と矢"を頂いた者ですよ』

 

 承太郎が会話を試みると、そういう返事が返ってくる。それに続けて承太郎は立ち上がって質問をした。

 

「…弓と矢で何をするつもりだ?」

 

『別にあんた達にメーワクはかけませんよ。だからこの町から出てってくれません? 東方 仗助も虹村兄弟も、邪魔さえしなければコッチからは何もしやしません。俺はせっかくスタンド能力つーもんを身につけたんだ。ちょいとおもしろおかしく生きたいだけです。()()だ就職だって煩わしい人生はまっぴらなもんでね』

 

(………受験?)

「学生か?お前………」

 

『…ンなこたあどーでもいいだろうッ‼︎いいかいッ⁉︎あんまし俺の町に長居するよーだったらよォ…ここにいる全員…更に子供三人も含めて殺しますぜ!いいですねッ⁉︎』

 

「待て、この町に何人のスタンド使いが………ウッ⁉︎」

 

「承太郎さんッ!」

 

 声が流れ出ていた電話に電流が走り、急にスパークしながら爆発する。

 一番近い位置にいた承太郎は軽症を負うが大した事はない。

 

「………レオン、葎崎。何かわかった事は?」

 

「本体は遠くにいたがパワータイプのようだ。電気が流れる所を移動できるのだろう。逆にそれ以外の場所への単体での移動は出来ないだろう。間違いない」

 

「スタンド名は……ハトポッポ?…な訳ないか、思い出せない。ただ本体は………確か音………楽………かな?そういうのが関係してる気がする」

 

 W-Refで感知した質からパワータイプよりだと宣言すると、礼神は自信なさそうに記憶をひっくり返して答える。

 

「えっと…スタンドって僕よくわからないんですけど、今のだけでそんな事が分かるんですか?」

 

 恐る恐る手を挙げ、康一が質問を投げかけてくる。良い機会だし説明しておくか………

 

「スタンドにはそれぞれ固有の能力がある。そして私のスタンド能力は少し異質でね…射程に入ったスタンドのエネルギーを感知することができる。長年の勘だが、それでどんなスタンドか大雑把に知る事ができるんだ」

 

「………………?」

 

「………スタンドを調べる能力…とでも認識しててくれ」

 

 少しわかり辛かったようだ。

 

「礼神さんのもスタンド能力っスか?」

 

「それは違うぞ仗助…アンタが噂に聞く"スタンドを奪うスタンド使い"だな?」

 

 質問の矛先は私から礼神へ…しかし仗助の問いに答えたのは形兆で、興味深そうに礼神に確認する。

 その次に口を開いたのは億泰だった。

 

「俺、頭良くねえからよくわかんねえんだけどよ〜、色々知ってたのは能力じゃねえって事か?名前とかスタンドを知るのもよお〜」

 

「えッ⁉︎…えっと………………」

(それって原作知識なんだよな〜。え?どうしよ、なんて答えるべき?)

 

 回答に困っている彼女の視線を受け、溜め息を零してから私が説明する。

 

「彼女は昔…()()()()()()()()()()()()使()()に会ったことがあり、そのスタンド使いに予言してもらった過去を持っている。その予言に逆らって生きてきた為、今となっては外れる事も多い。君達はそこまで気にしなくていい」

 

「そ、そうなんだよ〜。僕の能力は詳細を省くと、形兆の言っていたとおりだよ」

(レオンさん、よく即席でシナリオ作れたな)

 

 便乗して彼女が言うと、学生達は少し驚いた表情を浮かべる。

 

「それってよお、また予言してもらえばいいんじゃねぇのか?」

 

「老齢で礼神を予言した翌年に他界した。もう質問は無いか?」

 

 少し長々と話してしまったと気付き、そう言って話を切り上げようとする。

 だが今度は形兆が手を挙げ質問を投げかけてくる。

 

「そんな簡単に教えて良いのか?俺はアンタ達の仲間になるとは限らないんだぜ?」

 

 仗助がその言葉にウンザリした様子で詰め寄るが、それを制して私は彼に答える。

 

「自分を信用して欲しい時、自分は相手を信用する…まぁ、私の流儀といったところか?」

 

「………俺を優し過ぎると言っていたが、アンタ…人の事言えないな」

 

 そう言って立ち上がると、形兆は億泰を連れて部屋を出て行った。

 

「…今日の所は二人も帰るといい。それと康一君…スタンドについて何か聞きたかったら気軽に来てくれ。葎崎とレオンほどじゃあねぇが、君達に比べればその道の知識に長けている」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

 仗助と康一も帰って行き、部屋には私と承太郎、礼神の三人が残された。

 私はソファーに座り直し、明日からの予定を話す。

 

「明日から私は町を歩きまわってみようと思う。二人は子供達を頼む」

 

「レオンさんと一緒に行くッ!…って言うと思うよ?特にルナちゃん」

 

「だな」

 

「ただいまーーー!」

 

 そんな事を話していると、今しがた学生達が出てった扉が開き元気な声で帰宅を伝えてくる。視線を向ければ、そこには子供達が立っていた。

 

「徐倫、ルナ…凄い格好だぞ」

 

「遊んだ………凄く………」

 

 派手に遊んだ徐倫と、その相手をしたと思われるルナは服のあちこちを土色に汚していた。

 先程までいた学生達に出したままだったお菓子に手を伸ばす徐倫だが、私がピアノの鍵盤をタップするように軽く叩いて阻止する。

 

「シャワー浴びてこよっか。あ、ハルノも一緒に入る?」

 

「嫌です」

 

「遠慮しなくても……」

 

「嫌です」

 

 土色に汚れている女児二人を礼神が連れて行く。そんな礼神に誘われたが、ハルはキッパリと断って私の隣に腰を下ろした。

 

 冗談だったとはいえ、ハッキリ断られた礼神は拗ねたように口を尖らせていた。

 

(子供達だけでも帰したいが………存在を知られているのだ。離れない方が安全か?)

 

「レオンさん。どうかしましたか?」

 

 立ち去る娘達と隣に座る息子を見て、私は難しい顔を浮かべていたのだろう。

 それに気付いたハルノは横目で質問してくる。

 

「我が子は可愛いな。と思ってな」

 

 ハルの頭に手を置き優しく撫でると、鬱陶しそうに嫌がる素振りを()()()きた。見せるだけで満更ではないようだが………

 

「…はぐらかさないでください」

 

 だが同時に私が誤魔化そうとしてるのに勘付いたようで、撫でる手を軽く払いながら追求する。

 

「新手のスタンド使いが現れて、考える事が少しあってな」

 

 通電した場所を道にして移動するスタンドだとすれば、その条件さえ満たせば距離に制限は無いかもしれない。

 ルートさえあれば何処にいようと…それこそ、地球の裏側まで追ってくるかもしれない。

 

 もしそうなら、この場から離れさせたところで守れなくなるだけじゃないか。得策とはとても言えない。

 

「もしかして………僕らが邪魔になる事態ですか?」

 

「…いいかハル。親とは子を育てる存在だ…そこに愛は有っても、邪険に思う気持ちは一切無い。邪魔に思うはず無いだろ」

 

 払われたがまた頭に手を置き、今度は少し強めにクシャクシャと栗色の髪を乱すように撫でた。

 

「…………………」

 

 その時の私は、乱れた髪に隠れたハルノの表情に気付いていなかった。

 





【挿絵表示】


証呂
「ハーメルンに投稿始めてから初めて支援絵を頂きました‼︎やっぱこういうのは嬉しいですね。匿名でとの事なので名前は出せませんが、ありがとうございます‼︎」

仗助
(グレート…前書きの出来事を何もなかったかのように)

礼神
「お、高校時代の僕だ。わーい!」
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