ストライク・ザ・ブラッド --------ハゲの監視   作:ワンパンチマン

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※アスタロテ▶アスタルテに修正しました。


「聖者の右腕篇Ⅴ」

夏休みは終わりを告げて、姫柊と共に朝食を食べているとニュースはある案件で持ちきりだった。

 

絃神市で謎の爆発事件。

破壊された倉庫街が映されていた。

 

被害にあったのは大手食品会社の倉庫などが60練あまり。停電したのは二万世帯におよび、そのうちの半分は今朝になっても復旧の目処が立っていないのだという。

 

アイランド・イーストとサウスを結ぶ連絡橋とモノレールの軌道が大破し直接的な被害額だけでも70億円。間接的なものまで含めると500億円にまで上るといわれている。死傷者が出なかったことが唯一の救いだろう。

 

「昨晩嫌な感じがしましたが、まさかこんな事態になっているなんて」

 

「被害額70億って....」

 

「やはり先輩は、そこに食いつくんですね...」

 

雪菜はジトーとした目でサイタマを見るが、サイタマは気にせずに食べ進める。

 

「そういえば、嫌な感じって言ってたけど。何か感じてたの?」

 

「はい。遠かったので確実では無かったのですが。魔力の行使があったと思われます」

 

「まじでか」

 

「はい。この距離でも感じ取れたのでかなり大きな魔力の持ち主だったと思います」

 

「ふーん」

 

朝食を食べ終えた雪菜とサイタマは、学校に向けて走っていた。そう走っていた。

 

「はあはあ....先輩。どうしてわたし達は走っているんですか?」

 

「仕方ないだろ、ここら辺には交通網が全くと言って良いほど無いんだから。それに走った方が速いだろ?」

 

現在二人は、20㎞/hのスピードで学校に向かって走っている。雪菜は汗をかき、肩で息をしながら走っており体力的に限界が近いことが分かる。

 

「なあもう少しスピード上げていい?」

 

「先輩...もうそろそろ無理です」

 

「え?まじで?」

 

雪菜は常人に比べれば体力面でも抜きん出ている。だが規格外とは存在するものだ。雪菜は少しずつスピードを下げていき止まってしまった。

 

「はぁはぁ...先輩すいません。わたしは後から追いかけるので先に行ってください」

 

肩で息をしながら呼吸を大きくして落ち着かせる雪菜。それを心底困ったと思ったサイタマは雪菜を抱き抱えて走ることにした。

 

「えっ!?せ、先輩!?」

 

「悪い。少し我慢しててくれ」

 

サイタマは雪菜を抱えたまま走り出す。抱き抱えられている雪菜はあまりのスピードに驚きと羞恥の入り交じった顔になっていた。

 

僅か10分。されど10分。抱き抱えられていた雪菜は、降ろされると胸を守るように両手でおおい、顔を紅く染めている。

 

「先輩は本当にいやらしい人なんですね!!」

 

あのまま置いていったら間違いなく遅刻だったため、少し位感謝もして欲しかったが雪菜は先に歩いて学校に行ってしまった。

 

「おい、サイタマ。朝から何やってんだよ」

 

「あー古城か」

 

精神的に疲れ、ため息を吐いていた時に後ろから友人の声がして振り返る。

 

「なんか疲れてねえか?」

 

「あー昨日からちょっとあってな。....それより古城の後ろにいる奴誰?」

 

「あー....こいつは」

 

古城の後ろには雪菜と同じようなギターケースを背負った女の子が立っていた。

 

「羽波 唯里です。今日から私立彩海学園高等部に転校してきました。えーと...」

 

「ああ俺はサイタマだ」

 

「サイタマさんですか。よろしくお願いしますね」

 

礼儀よく挨拶をしてきたのは雪菜と同じ獅子王機関の剣巫である羽波 唯里。武器は六式降魔剣・改(ローゼンカヴァリエ・プラス)を使っている。そして雪菜とは異なり暁古城の監視役として獅子王機関が派遣した剣巫である。サイタマの事を第四真祖ではないと知っているが、雪菜には、サイタマが第四真祖ではないとバレないようにするという任務も課せられていた。のだがサイタマも雪菜もまだ知らない。

 

「ていうことだ。俺達と同じクラスになるらしいぞ」

 

「はい。もう担当の先生に話は聞いて1年B組になると言われました」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

「それよりもサイタマ。なんか疲れてたみたいだけど何かあったのか?」

 

「いや居候がちょっとな....」

 

「は?あの人が住めないような場所に居候?」

 

「いや住めてるだろうが」

 

「サイタマだからだろ?」

 

「俺を人間じゃないみたいな言い方は心外だ」

 

サイタマと古城は、話が合わないとどんどん会話がヒートアップしていく。何時もなら浅葱か矢瀬が止めに入るのだが今はどちらもいない。

いるのは慌てて二人を交互に見ている唯里だけ。

 

「ハゲ!」

 

「誰がハゲダァアアアア!!!今の話にハゲ関係ねーだろうが!!」

 

「その頭が太陽の光を反射させて俺にダメージ与えてるんだよ!!」

 

暁古城の正体が分かっていない人なら良く分からない理由で怒っている古城は更に追い討ちをかける。

 

「ハゲ主夫!!」

 

「んだとぉおおおお!!」

 

ハゲ主夫とは、サイタマのアダ名だった。付けたのは、言わなくてもわかると思うが浅葱であり、たまたま通りかかった浅葱がタイムセールに並んでいるサイタマを見かけたことからこのアダ名が広まるようになった。アダ名を付けたのは浅葱だが広めたのは矢瀬でもあるのだがサイタマが知るすべはない。

 

「先輩」

 

冷たく、まるで体が凍ってしまったかのような感覚に陥ってしまうほどの声がサイタマのすぐ後ろからかけられた。

 

「姫柊....?」

 

「何をやっているんですか?怒声が校舎の方まで響いてましたが」

 

「ゆっきー!!」

 

「唯里さん?あれ何故貴女がここに?」

 

「久し振りだね!ゆっきー!」

 

「は、はい。その質問の答えが....」

 

唯里の勢いに呑まれた雪菜が狼狽えている隙にサイタマと古城は、教室に向かうのだった。

 

 

「おはよう古城。それにサイタマも」

 

「ああ、浅葱おはよ」

 

「おはよう」

 

教室に入ると浅葱に挨拶をしてサイタマと古城は自分の席についた。

 

「ね、ねえ古城。昨日夜に女の子と歩いてなかった?」

 

席についた古城に浅葱近付き声をかける。その言葉に古城は表情を険しくした後に何て言えばいいのか分からないのか誤魔化していた。

 

時間になると学校が始まるように担任の教師も教室に入ってくる。だが今日は担任の教師ともう一人生徒が隣にいた。名前は羽波 唯里。自己紹介が簡単に終わり微笑むとクラスの二人の男子以外が騒ぎ始める。二人の男子の一人である、サイタマはボーとしながら今日の晩御飯を考えて、もう一人の男の子である古城は、浅葱からあの女の子と一緒にいたわよね!?と更に質問攻めされており頭を抱えていた。

 

HRが終わると男女問わずに唯里の周りに集まり

色々な質問をしていた。他の教室からも来ているのは、彼女が可愛い類いの人間だからだろう。

 

きっと男ならこうはならない。

 

「ねえねえ唯里さんって好きな人とかいるの?前の高校でさ」

 

「特にいませんね」

 

「好きな食べ物を教えてください!」

 

「うーん。カレーかな」

 

短い休憩時間に、これだけの人が集まるのは彼女が可愛いからだけではないようだ。どんな質問にも言葉を返し蔑ろにしない優しさこそ彼女の持ち味なのかもしれない。

 

そんなこんなで放課後になると雪菜と唯里は用事があるらしくサイタマの家に雪菜が帰ってくるのは夜の7時を回るとのことで、サイタマは一人、家に向かって道を走っていた。

 

走っている途中で不思議な格好をした人を見付けて立ち止まる。一人は金髪を短く刈った外国人風の男。もう一人は青い髪を持つ少女。

 

「貴方は何者ですか?」

 

いきなりの問いに困惑するサイタマ。

 

「まあ良いでしょう。所詮人工島の人間。贄は必要なのですから。アスタルテやってしまいなさい」

 

命令認識(リシーブド)命令受託(アクセプト)薔薇の指先(ロドダクテュロス)

 

巨大な虹色の眷獣の腕が少女の背後から現れてふり下ろされる。サイタマはいきなりの出来事に避けることもなく地面にめり込むような形で殴られる。殴られた場所は大きく穴があき、砂埃が舞っている。

 

「終わりましたか。行きますよ、アスタルテ」

 

命令認識(リシーブド)、ただし前提条件に誤謬があります」

 

「何?」

 

「よいしょっと。いきなり殴ってくるなよな。危ないだろ」

 

サイタマは無傷のまま大きく穴が空いた場所に立っていた。無傷のままで。

 

「アスタルテ。命令します。全力をもって奴を倒すのです!」

 

命令受託(アクセプト)薔薇の指先(ロドダクテュロス)

 

先程までの腕だけとは異なり虹色の眷獣は巨大な人形になった。

 

アスタルテの眷獣は人形ではあるが生物ではない。その実態は巨大な魔力の塊。

 

その拳は最大級の威力を持ち呪砲の一撃に等しくその蹴りは儀式魔術が引き起こす爆発をも凌駕する。そして、その腕は分厚い特殊合金の隔壁すら引き裂いて見せる。

 

特区警備隊(アイランド・ガード)の攻魔官たちを一撃で粉砕してきた圧倒的な力---------------。

 

 

今サイタマにふり下ろされる。

 

 




唯里のしゃべり方が分かりません!すいません!
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