堕天
ある時代のある場所に人間と交流がある天使族がいました。
その力は強大で、人間たちは太刀打ちが出来ないほどの勢力がありました。
天使族はある人を中心に機能していました。
その天使族のリーダーの名はルシエル。
彼女は類まれなる戦闘センスと明晰な頭脳を活かし、
天使の頂点、大聖天使に上り詰めました。
ある時、ルシエルの元に訃報が飛び込みます。
仲間の1人が人間に無残な殺され方をしたとのこと。
駆けつけてみるとその死体には見覚えが。
ルシエルとも交流がある、それ以上にとても仲が良かった天使。
その時から、
ルシエルは心のどこかに穴が開いたような気がしました。
人類はこれをきっかけに天使族との中が険悪になり、交流も減っていきました。そして天使族の住む天使界へ行く方法はたった数年で封印されてしまったのです。
人類は天使族の力を目にしていたので、若いうちから戦闘を教え込む方針をとったのです。
そしてその対象となる高校にこの春から通うのが、
曽谷竣。
彼は文武両道なんて言葉は似合わない。
まさに平凡という彼がおりなす波乱万丈とも言える高校生活が幕をあけるのだ。
竣はふと窓の外から何者かの視線を感じる。
「……………はぁ」
しかし特に驚きもせず、
むしろ呆れているような表情で窓の鍵を開ける
ルシファー「お腹がすいたわ」
そう言ってずかずかと家の中に侵入してくる
「……………」
今の竣にはこめかみに怒りマークがついているようである。
「あのさぁ……」
ルシファー「何?」
「いつまでうちに来るつもりなの!?」
ついに言ってしまった、この頃思っている事を。
と言うのも、この天使。
2週間前
「ん?」
いつものように学校から帰る道を歩いていると、
道から少し外れた茂みの中に人が横たわっているのが見える。
もしかしたら、急病の人なのかもしれない
そう思い恐る恐る近づいてみると
「羽………?」
そう口にした途端、
その羽の持ち主が目を覚ます
「あ……あの………」
「お腹がすいたわ…」
「へっ?」
これが天使との初めての会話となった
時は戻って現在。
ここ2週間毎日竣の家に来ては、
飯を食べてまたどこかへ行ってしまう。
竣は一人暮らしをしている。
何故しているかって…?
それは_____親が居ないから____________
ルシファー「ねぇ、お腹が空いたの。ご飯を用意しなさい」
「なんで命令口調なの?ねぇ?ここは俺の家なんだけど!」
ルシファー「あら、そうかしら?」
「そうかしら?じゃないんだよ!いつになったら、自立してくれるのかな!?」
半ば痺れを切らし始めていた。
最近はいつもそうだ、
話していると結局ルシファーのペースに飲み込まれてしまう
ルシファー「お願いよ」
そしていつもこのお願いという言葉に惑わされ、
まんまとご飯を作ってしまうのだ
「はぁ………分かったよ。作るからちょっと待ってて」
時刻は夜の7時
まだ春先なのでもう外は暗闇である。
竣がキッチンへ行ってしまった後、
ルシファーはなんとなしに2階の部屋へ行ってみることにした
ドアを開けまず目に飛び込んできたのは、
新品のカバンと制服だった
ルシファー「…………………綺麗ね」
ルシファーはその制服に魅せられ、
ハンガーから外して興味津々に見つめていた。
十数分で簡単な晩御飯を作り終えた竣
ルシファーの姿がリビングに見当たらないので、
「2階に上がったのか?」
ご飯出来たよー、そう言いつつ自分の部屋のドアを開けると…
「……………なにしてんの」
目の前には男物の制服を無理やり着たであろうルシファーが少し苦しそうに立っていた
ルシ「これ、なかなかキツイわね」
何を言っているんだろう、それは。
「当たり前だよ!!」
しかしよく見てみると、胸元はガバッと開いている
普段からまぁまぁ露出の高い服を着ているせいで、意識してしまいがちなのだが。
今回は意識せざるを得ない状況になった。
「と、とにかく…それを脱いでくれないかな?ご飯出来たから」
ルシ「あら?どうして目をあわけないのかしら?」
こういうところの勘は鋭い
気づいて欲しくない時に気づかれてしまうパターンのやつだ。
「な、なんだっていいでしょ!とにかく脱いで!」
ルシ「ふーん」
ルシファーの目が妖しく光る
そして口元には薄っすらとにやけ笑いが広がっていた
「何がおかしいんだよ…」
ルシ「今の台詞だけ聞いたら、貴方相当破廉恥なことしようとしてるみたいよ?」
「あ…………」
顔のあたりが熱くなるのを感じる
それとは真逆にルシファーは涼しい顔…………いや、それも間違いだ。
相当に人を馬鹿にしている顔だ。
「お前なぁ…!」
ルシ「面白いわね、ご飯頂くわ」
そう言うと制服を脱いで、
スッと竣の横を通り抜けてリビングに向かっていく
「なっ…!ちょっと待て!」
こうしてまた竣は明日も来るのかなと思い、
憂鬱な気分になるのであった。
登場人物
曽谷竣
ルシファー