「余所見は禁物よ…!」
ルシファーはなにやらラファエルαの戦いを見ていた竣に
超スピードの膝蹴りを喰らわす
防御することもなく飛ばされる竣。
少し飛ばされたあたりで態勢を整えた。
「休んでる暇は無いわ」
ルシファーはたちまち攻撃態勢に入ると、
態勢を立て直した竣の背後へ回り羽で打とうとする。
「………はっ!」
竣は羽が自分にぶつかる寸前、
一歩後ろに退く。
そして退いた所に来た羽を両腕でガッシリと掴む。
「っ!中々考えたわね……これをどうするつもり?」
「天使の羽って……取れるのか?」
0距離で両手から羽に向かって衝撃波を放つ
「ぐっ……」
かなりのダメージが入ったらしい、
しかしルシファーも反撃してくる。
羽にエネルギーを貯めて、
そこから無数の小さな羽を放射させた。
「ぐあぁっ!」
羽が腕に刺さる、
痛みに耐えかね羽を離してしまう。
その隙にルシファーはクルッと1回転の軌道を描きつつ、
竣の脳天にかかと落としを喰らわせた。
凄まじいスピードで地面にぶつかる竣。
それと同時に砂煙が上がる。
「………ふぅ…」
披露した表情のルシファー
しかし油断は隙を産んでしまった。
「なぁ、後ろガラ空きだぞ」
「っ!?」
なんと、かかと落としを喰らわせた竣が、
僅か1秒ほどで自分の背後に回り込んでいた。
急いで距離を取ろうとするが、
既に両方の羽を掴まれていた。
しかも、なにやら竣から感じるエネルギーが以前と変わっていた。
「また……力を上げたのね…」
「ルシファー、君は言った。俺が強くなれば自分も強くなれると…その言葉の真意は分からない、だが。今の俺は、そんな競い合える存在を越えた。確実に。」
「…………ええ、その通りよ……」
「もう終わりにしよう……全力で戦えて楽しかった……でも…俺は………俺の怒りは消えない……」
「………そう……でも抵抗はさせてもらうわ」
そして両者一呼吸置く______
一時の間があった、2人以外なにも聞こえない様な研ぎ澄まされた集中力_____
「「はあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」
同時にオーラを爆発させる、
赤色のオーラと紫色のオーラが激しく重なり合い爆風を産む。
その爆風の中で、竣とルシファーは攻防を繰り広げた。
一方がパンチを仕掛けてきたら受け流し反撃、それをまた避けて反撃。
爆風が収まると同時に、2人はオーラを放ちながら距離をとる。
そして真正面から一直線でぶつかり合う。
ぶつかる度に大気は震え、ドオォォォンと低い地鳴りの様な音を響かせていた。
そんな2人も少しずつ傷が増えていく。
スピードにキレが落ちてくる。
2人は悟る。次で最後の一撃になると。
ラファエルαの目の前には、
既に数えられるほどの天使しか居なかった。
みんなボロボロで、飛んでいるのがやっとという状態。
しかし、1人だけボロボロではない天使がいる。
カリエルだ。「罪」を使ってから、ラファエルαとほぼ互角に渡り合っている。
そこに他の天使たちの援護も加わり、少しずつラファエルαが押されかけてきていた。
「はぁっ………中々……やりますね……」
「まだまだこれからよ……絶対に許さないから!!」
そしてカリエルは再びラファエルαとの戦闘を始める。
「行くよ…ルシファァァァァ!!」
「ええ……こっちもよ…竣!!」
真正面から最後の力を貯める、
そして真っ直ぐにぶつかり合う。
「「はあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」」
2つのオーラは混ざり合い白き光となって爆発を巻き起こす
「…竣さん………」
目を離した隙にカリエルの姿が消えていた。
「余所見……するなぁぁぁぁっ!」
真横から強烈なローキック、
回転しながら地面へと落ちるラファエルα
何とか体制を整える。
「くっ……竣さんは……もう…怒っていない……」
ラファエルαは突然頭を押さえてうずくまる。
「…………………」
カリエルはその様子を黙って見ている。
「……………私も……もう……良い……」
その言葉はラファエルの意識の中へと落ちていく……
もう良い?________
良くないわ___まだ____まだやるの______
貴女の気持ちは分からない_____
もう私は良いの______もう____
何故_____何故だ!____怒りは憎しみは無いのか!?____
ある____でも___もう殺したく無い_____
きっと_貴女と私の憎しみは______
言うな_____それ以上言うな_____
憎しみは__________
「言うなアァァァァァァッ!!」
うずくまっていたラファエルαは頭を押さえながら起き上がり、
突然虚空へと咆哮した。
「……………………もう時間切れ…」
カリエルは咆哮したラファエルαに攻撃を叩き込む。
「ぐふっ!…」
防御もままならず吹き飛ばされ地面を削り仰向けになる。
「言うな……………」
憎しみは____違っていた_____
質も_____量も______対象も________
全て違っていた_______
「ぁ………ぁぁ…………っ…っっ!!」
ヨロヨロ起き上がる。
すると一瞬オーラのようなものが見えたが、
次の瞬間にはそれはラファエルの体から抜け、天へと昇華していった。
そう、リュエルがラファエルの体から精神から抜けたのだ…
「………何が起こったの…?」
一瞬事態を気にするカリエルだったが、
すぐ様自分のすべき事を思い直す。
「いいえ…関係無い。今はチャンス…叩き込む!」
放心状態のラファエルに向かって攻撃を仕掛けようとしていた。
白き爆発は収まり、
やがてあたりを覆っていた白煙も消えゆく頃。
その白煙の中に2つの影があった。
やがて、1つの影はゆっくりと地面へと降り始める。
降りるといえども、自力では無い。もう飛ぶ力が無いのだ。
ドサッ_______
そして、地面に横たわる。
黒紫の羽を閉じ、眠るように意識を失った。
そしてもう1つの影は自力で地上へと降り立つ。
もうオーラは出せなかった。
力も殆ど入らない、立っているのがやっとである。
そんな彼の目に映ったのは、一方的に攻撃を受けるラファエルの姿だった。
「っ…………ぐっ……がっ……」
突き飛ばされるラファエル。
リュエルの精神が霊体が抜けた事で、
力も失われ放心状態のままであった。
そしてそんな事も構わず、
カリエルは確実に重く怒り込めた攻撃を加えていく。
「……ラ……ラファエル………」
1歩、また1歩。
ゆっくりではあるが、ラファエルの元へと歩みを進める。
自分は言った。
ラファエルを守ってみせると。
自分が生きている限り、守ってみせる…それが覚悟だ。
一方的な攻撃を加えているカリエルにも時間が迫っていた。
彼女は「罪」を使っている。
もう命の灯火も消えかかっている時間だった。
その事をカリエルも把握している。
カリエルはラファエルの胸倉を掴むと、
そのまま地面へと押し倒す。
「次で最後よ………」
そんなカリエルの左胸からは血が滴り落ちている。
カリエルはラファエルから少し距離を取り、
自分の体に残っている力を手に集める。
特大のエネルギー玉を作るつもりだ。
「…………く……ぅ……」
言葉も出ないラファエル、
ふと視界の端っこに動く人影を見つける。
やがて、その正体が分かった。
「…っ!………竣……さん……」
無意識のうちに視界が揺らいだ。
そして頬に熱い液体が流れ落ちる。
ラファエルは涙を流していた______
「はぁっ……はぁっ……間に合え……!」
ラファエルまであと10歩。
しかしそれが果てしなく遠い道のりに見えた。
ふと、周囲が光る。
カリエルがエネルギーを貯め終わったのだ。
彼女の手の平には収まらない、手の10倍はあるかと言うほどの大きさのエネルギー玉があった。
「くそっ……歩け……歩け………歩け……」
後少し____
しかしその時を待つ事なく、
無常の声は響いた。
「ラファエル………そして人間……!裁きを受けなさい!!」
カリエルがエネルギー玉を放った。
一直線にラファエルの元へと向かっていく。
「ラファエル…!」
エネルギー玉が放たれたのとほぼ同時にラファエルの元へたどり着く。
竣は最後までラファエルを守ろうと、
ラファエルを抱き締め自分が最後の盾に成ろうとした。
その時初めて、ラファエルが泣いている事に気付く。
「…………ごめん…!」
エネルギー玉が迫っているのが分かった。
背中に強烈なエネルギーを感じた。
竣は目をつむり抱きしめる力を強める。
「竣さん……」
ラファエルが手を頬に添えた。
「ふふ……貴方なら………私の全てを…捧げれます……」
そしてそのまま竣の唇へと自分の唇を重ねた。
少し血の味がした。
そしてエネルギー玉は2人を飲み込みその場で爆発した。
「終わった………わね……」
カリエルは膝をつく、
もう戦う力は残っていなかった。
続々と周りに居た天使たちが寄ってくる。
「か、カリエルさん!大丈夫ですか…?」
「……大丈夫……じゃないわ……でももう良いの…」
「そんな……ダメです!カリエルさん!」
天使の腕の中に身を預ける。
少しずつ息が浅くなっていく。
鼓動が遅くなっていく。
この短い間、ルノエル、ミラエルの為に戦えて幸せだった。
その幸せを噛み締めて。
最後にうっすらと目を開ける。
「…………………ぁ……は…はは……嘘………」
視界に映るのはどこをどう見ても立ち上がっているラファエルであった。
そしてその横には意識は朦朧としながらも、しっかりとラファエルの肩を支えている人間。
カリエルの胸に再び怒りの炎が湧き上がる。
しかし力は残っていない。
彼女は最期、自分の力で___禁断技なんかに頼らないで。
再びエネルギー玉を作り出す。
「ダメです!力を使わないでカリエルさん!」
必死に制止しようとしてくれる天使たち。
それがとても心地よかった。
自分は慕われている、信頼されている。そう思えたから。
だからこそ、戦わなきゃいけなかった。
「喰らえ……これ…が……私の……力…!!」
渾身のエネルギー玉は先ほどと同じく一直線にラファエルと竣に向かっていく。
「竣さん……大丈夫ですか?」
心配そうに顔を覗き込むラファエル。
そんなラファエルにニッと笑いかける竣。
「大丈夫……俺たちの…契約した力……見せてあげよう…!」
「はいっ…もちろんです!」
ラファエルも手にエネルギーを貯める。
先ほどまでの放心状態などではない、しっかりとした眼差しで。
「行きます…!はぁっ!」
エネルギー玉ではない、レーザーを向かってくるエネルギー玉に当てる。
少しの間それはぶつかり合ったが、
レーザーが次第にエネルギー玉にのめり込み、
そして貫通した。
「逃げなさい………」
トンッと天使を押すカリエル。
自分以外を巻き込む事なく、彼女だけが真っ直ぐにそのレーザーを受けた。
レーザーは彼女も貫き、
遥か彼方へと飛んで行った。
そしてカリエルも光となって、天へ消えていった………
「終わりましたね…竣さん…」
複雑な表情で竣を見るラファエル
「ああ…仕方ないよ…俺たちだって、あの天使だって自分の義理を責任を…使命を通しただけなんだから…」
そう言って座り込む竣
ラファエルもその横に腰を下ろす
「竣さん…ありがとうございます、最期…契約してくれて」
「こっちこそ、ありがとうな。ラファエルが契約してくれてなかったら、確実に死んでた」
2人は自然と手を重ねあっていた。
そこに2人の天使が寄ってきた。
「……ルシファー…」
「ガブリエルさん…」
ルシファーは竣の目の前に、ガブリエルはラファエルの目の前に立つ。
「………竣、今回の事もう何も言わないわ。その代わり、落ち着いたらまたご飯を作りなさい、史上最高に美味しいご飯をね」
「ラファエル…貴女は悪くない、でも……分からない…一体何が正しいのか……でも、それでもね!私は…ラファエルが生きてて良かった!」
そう言って2人は微笑む。
そして竣とラファエルに手を差し伸べる。
竣とラファエルは差し出された手をしっかりと握り立ち上がる。
「竣、取り敢えず帰りなさい。今貴方がここに居てもする事はないわ、もちろんラファエルも一緒にね。貴女も今はここに居るべきじゃないし、一旦気持ちを整理させなさい。それとガブリエルも」
「ガブリエルも?」
「ええ、この場は私が仕切るわ。貴方達2人はもうボロボロ、心配だからガブリエルを付けるのよ」
「任せて下さい!」
そしてルシファーを天使界に残し、
竣、ラファエル、ガブリエルは一足先に人間界へと帰った。
人間界の時刻にして午後6時
「こ、ここが人間界なのですか…!」
ラファエルが物珍しそうに竣の部屋を物色する。
「はは……久し振りに帰ってきた気分だよ……」
ベットの上ドサッと乗っかる、するとベットが妙に膨らんでいるのに気づく。
「ん?」
布団をめくってみると、そこにはスヤスヤ寝ているアヴァロンの姿が。
物音に気付いたのかゆっくりと目を覚ます。
「………んぅ…?あ……ぅ……あぅ」
竣の脳内には声がしっかりと聞こえてきた。
(あれ?竣…帰ってきたの?)
「あ、ああ…ただいま。それと、1人で暮らしたのか…?」
一番気になっている事だった。
しかし下から物音がする事に気付く。
(いいえ、星崎さんや朝倉さん達が日替わりで来てくれて…というか泊まってくれてるの)
「そ、そうだったのか…そいつは申し訳ない事をしてるな……」
すると、ガブリエルが不思議そうに聞いてくる
「竣君?何の話してるの?」
「ん?ああ、取り敢えず下に行ってから教えるよ」
そして、竣は寝起きのアヴァロンを抱きかかえ、
一階のリビングへと降りていった。
ガチャ
ドアを開けると、
キッチンに立っている朝倉の姿があった。
朝倉はドアが開いた事に気づいてこちらを見る。
「せ、先輩…」
朝倉は一瞬驚いた表情をしたが、
すぐ真面目な顔になりこちらへ歩み寄ってきて。
「…………」
いきなりデコピンをしてきた。
「いてっ!」
「ふん、一体何日開けたと思ってるんだ?アヴァロンを放置して…一体何を考えている」
「そ、その……」
「だが…無事でよかった」
そう言うとフッと微笑む
後ろからかっこいい人だなぁって声が聞こえた。
「ん?後ろにいるのは?」
「あ、紹介します。こっちの天使がガブリエル、こっちがラファエルです」
「よろしくね!」
「よろしくお願いします」
2人ともペコリとお辞儀をする。
しかし朝倉は天使が来た事に驚いていた。
しばらく無言の時間があった後、
咳払いを1つして、朝倉が話し始める。
「と、とりあえず……ご飯作らなきゃな、少し座ってろ」
そう言って再びキッチンへと戻っていった。
竣達はソファーに座って、のんびりし始めた。
その後、朝倉は橘と星崎も呼び出して8人で夕飯を食べることにした。
竣はその時、天使界で起こったこと全てを話した。
皆んなそれぞれ驚きであったり、時には怒りを示す時もあった。
「でも、竣が無事で良かったわ!」
橘は安心した様に、ニッと笑いかける
「心配かけてすみません…」
申し訳なさそうに竣は謝り返す。
「良いのよ別に!」
天使達はアヴァロンとダルタニアンと話をしている。
ラファエルのふんわりとした雰囲気のおかげで、2人ともリラックスできている様であった。
「それでだ。竣、お前は明日1日休め。明後日からは学校の修復作業とかを手伝ってもらう」
「わ、分かりました。じゃあ明日はゆっくり休みます」
久しぶりの現代。
1日ゆっくりできるのは嬉しかった。
まだ癒えていない傷もある、それも少しは癒えるだろうか。
そして、ご飯を食べ橘たちは帰宅した。
朝倉も家に帰し、アヴァロンと天使達、竣の4人だけが残った。
「はぁー…明日1日休みだ」
大きく伸びをして欠伸をする。
「明日は何するの?」
膝の上にアヴァロンを乗っけているガブリエルが聞いてきた。
「んー…休む!これしかない」
「えー!休むの?遊ぼうよ」
「ガブリエルは子供か、俺は疲れたんだー」
ソファに横たわる
すると、ソファの横にラファエルがやって来て
スッと竣の首を持ち上げ、自分が座りそのまま膝の上に頭を置いた。
「ラ、ラファエル?」
「膝枕です、寝てしまっても大丈夫ですよ」
ニコニコと笑いかけてくる、
契約するとこんな感じなのか。と夫婦みたいだなぁと軽く口に出す。
すると、ラファエルの顔が赤くなって。
「ふ、ふ、夫婦……け、契約と!婚約は!違います!」
「あ、ラファエル照れてるー!」
ケラケラとガブリエルは笑う
その様子を少し微笑みつつ見上げているアヴァロン。
「じゃあ、天使って結婚するのか?」
わたわたしているラファエルに問いかける。
するとラファエルは落ち着いたのか真面目な口調になって返す。
「うーん…もちろん、形式的なものは出来ますけれど…」
「やっぱり、契約=婚約なんじゃないかな?だって、基本1人としかできないでしょ?」
ガブリエルがこれまた何気なく言った言葉。
竣はまたデジャビュを見ることになった。
「そうかも……?………あっ!?」
内心納得していたラファエル、
納得するということは、契約した竣とは婚約者とも取れるわけで。
「わ、わ、私!先お風呂入りますから!!」
そう言って、ぴゅーっとリビングから姿を消してしまった。
「あははっ、からかいすぎたかな?」
「はは、まぁ…たまには良いんじゃない?俺も面白かったし」
久しぶりに自然に笑ったなと思えるほど、
ごく自然に笑みがこぼれていた。
すると、アヴァロンがスタスタと歩いてきて、
今度は竣の膝の上に乗っかった。
竣はアヴァロンの頭を撫でつつ、
ガブリエルともう少し他愛のない話を続けるのであった。
「……………ん」
閉めたカーテンから差し込む光。
時計を見ると7時過ぎであった。
昨日はガブリエルと話した後、
風呂に入りそのまま寝てしまったのだ。
のそのそとベットから起きようとすると、
自分の横に誰かいることに気づく。
「…………アヴァロンか…」
目をこすりながら、
毛布をめくってみると。
「………んぅ………?」
彼女はうっすらと目を開ける
「ん?」
「………?」
そのまま数秒見つめあう2人。
「いや、なんでガブリエルがここに?」
「……!!」
ガブリエルはガバッと飛び起きると、
そのまま部屋を出て行こうとする。
「待て」
グッとガブリエルの手を掴む。
ガブリエルはビクッとして振り向く。
「なんでガブリエルが横で寝てるんだ?」
「そ、それは……え、えーっと…………き、昨日!リビングで寝てた竣君をここに運んで……えっと、そしたら一緒に寝て欲しそうだったからしかたな~く添い寝を……あはは」
てへぺろ。
「よし、要するに勝手に潜り込んだたんだな。デコピン3回で手を打とう」
「や、やさしくだよ?ね、ねぇ?」
眠かったのもあって、割と痛めでデコピンを3回した。
「うぅ……痛い」
おでこを摩りながら、リビングに降りる。
リビングに入ると、キッチンにはラファエルが料理を作っていた。
「おはよう、ラファエル」
ラファエルに近づきつつ挨拶したが、返事は返ってこなかった。
「ラファエル?」
近くまで行ってもう一度おはよう。と、言ったが無視されてしまった。
どうも、ツンツンした様子のラファエルである。
何かあったのかガブリエルに聞くが、全く心当たりがないそうで。
そのまま朝食になってしまう。
アヴァロンも起きてきたようで、少しピリピリした空気のまま4人は食べ進める。
「な、なぁラファエル。なんでそんなに機嫌悪いんだ?」
するとムスッとした表情のラファエルが初めて竣の方を見て言った。
「竣さんが浮気性だとは思いませんでした」
「え?浮気……?」
少し考えるが思い当たる節は1つしかない。
ラファエルに話す前にギロッとガブリエルを睨み付ける。
そのにらみで全てを悟ったようで、ごめんと手をあわせるガブリエル。
「そ、その…ガブリエルと寝てたことか?」
「………そうです!ガブリエルさんが良いなら、ガブリエルさんと契約すれば良いじゃないですか!」
少し怒ったような口調で箸を置き話す。
「ご、ごめん……あれは、ガブリエルが勝手に布団に潜り込んでて……」
「そ、そうだよ!私が勝手に潜り込んだの!」
ガブリエルも必死にフォローするが、
ラファエルは依然としてムスッとした表情である。
そのまま黙ったまま時間が経ち。
「じゃ「じゃあ…」
竣の言葉に被せるように、
ラファエルがやっと口を開く。
「……今日は私と寝て下さい、明日も…明後日も!」
少し顔を赤らめていたが、
今からかったら全てが台無しなので弄らないで置くことにする。
「わ、分かった。それで許してくれる?」
「ちゃんと約束守って下さいね!」
「うん、もちろん」
そう言うとやっとラファエルのムスッとした表情が晴れて。
「さっ、じゃあ朝ご飯食べましょ」
すっかりご機嫌になったようで、
柔らかい表情で食事を再開する。
純粋で単純なんだろうなぁと思った竣なのであった。
「あーー…綺麗な青空だ」
竣が居るのは屋根の上、
時間にして10時過ぎである。
「そうですね、とっても綺麗です」
横にはラファエル。
ガブリエルはアヴァロンと部屋で遊んでいる。
「ラファエルもこうやってさ、ぐだーっとしようよ」
屋根に寝転んでいる竣、
ラファエルは正座をして座っている。
「汚れてしまいますよ?」
「え?あ!服が汚れた……ふあぁぁ……」
フッと起き上がって大きく伸びをして欠伸をする。
その様子を見てクスクス笑うラファエル、
平和な時間が流れていた。
12時になろうとしていた頃。
家のチャイムが鳴った。
「はーい」
ガチャッとドアを開けると、
ダルタニアンが1人で立っていた。
「ダルタニアン、1人で来たのか?」
「は、はい……だ、ダメでしたか…?」
「い、いや。ダメじゃないけど………あ、そっか今家に誰もいないんだ!」
そう言うと竣は家の中にダルタニアンを招き入れた。
「ラファエルー」
キッチンで料理をしているラファエルの元に行き、
ダルタニアンが来たことを伝える。
「じゃあ、1人分増やして作りますね」
「うん、ありがとう。頼む」
そしてダルタニアンと共に、
リビングで遊んでいるガブリエル達の元へ。
「あ!ダルタニアンだ!」
ガブリエルがふわっと近寄ってそのまま抱き着く
「ガ、ガブリエルさんっ……」
恥ずかしそうに引き剥がそうとする
「ガブリエル……どんどん子供になって行ってる気がする…」
「む……聞き捨てならないよ!私は子供じゃないもん」
ダルタニアンから離れて、竣の前に座る。
ホッとするダルタニアン。
「第一、よくそんなに遊んでて飽きないな」
「飽きないよ?ね!アヴァロン!」
コクコクとうなづくアヴァロン。
「アヴァロンは子供だからな、ガブリエルは別だろ?」
ガブリエルがまた言い返そうとした、
しかしその前にアヴァロンが竣の膝の上に来て。
「……………あぅ…あぅぅ…!」
私見た目は子供だけど__精神年齢はとっても大人___
「あ、そうか……あーもう!なんでも良い!」
「いぇーい!勝った!」
嬉しそうにハイタッチするガブリエルとアヴァロン。
「あのなぁ、俺は勝負なんてした覚えないぞ」
「あ、こういうのなんて言うんだっけなー」
「なんて言う?」
「……あぅ……う…?」
言い訳____?
「…って、おい!勘違いするな!ガブリエル!」
わーっ!と言ってキッチンの方へ逃げていくガブリエル。
皆んなそれぞれ、長閑な休みを過ごしていた。