その未来にあるもの   作:spirits77

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発覚

飛んできたナイフを間一髪で受け止める

 

すると人影が動き出す。

 

「実力行使か…嫌いじゃないよ」

 

右側から迫る人影にパンチを繰り出す、

見事に鳩尾にヒットした、

そして左側からくる人影に対処しようとしたのだが…

 

「効かんなぁ!」

 

パンチを食らわせた男が全く動じることなく、

まるでダメージを受けていないどころか、その攻撃がなかったかのように詰め寄ってきた。

 

「何っ!?がぁっ!」

 

右側の男に気を取られていたせいか、

左から詰め寄ってきた人影への対処が遅れた。

後頭部を掴まれ床に叩きつけられた。

 

「くっ……何て力だ……」

 

とても常人の力ではなかった。

 

「当たり前よ。私の魔術で強化してあるから」

 

声のした方に目だけを向ける。

得意そうな目で笑みを浮かべ見下ろしている高坂だった。

 

「後は好きにしていいわ、後始末はしっかりね」

 

そう言い残すと階段を降りて行った。

 

「だそうだ…よって、お前はここで死ぬ」

 

「やってみろ…」

 

男の1人が竣にのしかかる、

体重以上の何かが掛かっていた。

 

「……フンッ!!」

 

のし掛かった状態で後頭部に何度もパンチを浴びる

食らうたびに脳天がクラクラした。

 

「……はぁ……はぁ……いってぇな……」

 

「ふっ、鼻血を出しながら、まだ強がるか」

 

「強がる……違うな、俺は強い…きっとな」

 

そう言うと拳を握り締める。

歯を食いしばり全身に気を込める。

 

「聖杯……久しぶりに解放だ」

 

赤いオーラが滲み出る。

のし掛かっていた奴も少し驚きの顔を見せた。

 

「少しはパワーアップ出来るのか。楽しみだな」

 

「少し……そんなレベルじゃ……ねえぇぇぇぇぇぇっっ!!」

 

のし掛かっていた奴を振りほどく、

立ち上がりすかさず右頬にストレート。

わずか1秒の事だった。

 

「ぐはぁっ!」

 

大きく仰け反る。

その隙にもう1人の男に蹴りを食らわせる。

 

「ぐあっ!」

 

「ふぅ……どうだ?」

 

しかし2人は起き上がる。

まるで、攻撃がなかったかのように______

 

 

 

「竣君遅いなぁ……様子見に行っても良いかな、怒られちゃうかな」

 

悩んでいるミカエル。

時間はそれほど残されていない。

「へっ…やるじゃねぇか」

 

口から零れる血を拭う竣

2人の相手はほとんどダメージを受けていないようであった。

 

「はああぁぁぁあぁっ!」

 

更にオーラを放出する。

屋上の扉が壊れオーラが屋上にまで吹き出す。

 

 

 

「あ、あれって?竣君のオーラ……何があったの?」

 

異変に気付いたミカエル

急いで屋上へと向かった。

 

「竣君…?」

 

屋上に降り立ったミカエル

すると下へと繋がる階段の所から1人の男が吹き飛ばされてきた。

 

「ぐっ……」

 

「し、竣君!?」

 

竣は蹲っている、ミカエルは慌てて抱き寄せ声をかける。

 

「どうしたの!?ねぇ!?」

 

「……ミカエル…ごめん……今日は修行出来そうにない…や……」

 

 

向こうから2つの影が現れる。

 

「竣君に何をしたの!!」

 

片方の男が答える。

 

「ふん、これも高坂様の命令。この男は高坂様に従わなかった、だから罰を受けているのだ」

 

「どういう事よ!」

 

「貴様が知る必要はない」

 

「っ!……あっそう…!あーあったまきた!!」

 

竣はミカエルを見るが、

その顔はとても怒りに満ちていた。

こんなミカエルを見るのは初めてだ。

 

「私が相手になってやる!」

 

竣を抱きかかえ、フェンスにもたれ掛けさせる。

 

「竣君はここで待っててね、竣君との修行の成果見せてあげる」

 

ニッと笑うと、男たちに向き直る。

 

「ミ、ミカエル…ッ!」

 

男たちのほうを向きながら、ミカエルの声が聞こえる。

 

「邪魔はしないで。私は…怒っているの」

 

表情は見えなかったが、手出しをしたら怒られるくらいじゃすまないような雰囲気を感じ取れた。

手を出そうにもあの男たちは的確に急所を狙ってくるせいで、数分の間は立ち上がる事も難しそうであるのだが。

 

 

「女が相手かよ、興醒めするぜ」

 

1人の男がハッと鼻で笑う

その刹那。

 

「舐めないでね」

 

男の頬に膝が入る

冷酷な瞳をしたミカエルが技を叩き込んだ。

 

「ぐふっ!」

 

フェンスまで吹き飛ばされる

フェンスが衝撃を吸収したが、ミカエルはすかさず追撃する。

羽を広げ右羽で男のアゴ下に叩きつける。

フェンスはこの衝撃は吸収しきれず、男はなす術もなく地面へと落下……

 

「終わりじゃないよ」

 

する最中、ミカエルもその男を追いかけ

落下する男に自分のスピードを足した踵落としを鳩尾に見回せる。

 

「げはぁっ!!」

 

高速で地面へと叩きつけられた男は砂煙を巻き上げた。

 

 

その様子を見ていたもう1人の男は、

身の危険を感じ取った。

そしてフェンスにもたれかかっている竣を盾に取った。

 

「…人質って訳?」

 

相変わらず瞳は冷たい。見ていると震え上がってしまう。

 

「この男を殺して欲しくなければ、大人しくしろ」

 

竣の脇腹にナイフが当てられる。

 

「ミカエル、俺の事は気にする「殺せば?」

 

竣の言葉に被せるようにミカエルは言う。

しかも助ける気はない、そう言っている。

 

「な……そ、そうかよ!なら遠慮なく…!」

 

ナイフが脇腹に食い込む感触がする。

血が出でいるのかもしれないが、見たくもない。

 

「あばよ」

 

横から男の声が聞こえる。

抵抗しなくては…………抵抗を_________

 

 

「死ぬのは貴方よ」

 

その声で意識が現実へと引き戻される。

 

いつの間にか自分を絡めていた男の圧力は無くなっていた。

 

それよりか、男自体居なくなっていた。

 

 

今この場にいるのは、自分と……

 

「助けてくれたのか…?」

 

「もちろん、竣君を目の前で見す見す殺されるなんて嫌だもの」

 

「で、でも!あの時…!」

 

「殺せばって言ったのは嘘、そう言えばあの男は竣君に意識を向けるでしょ?その隙を狙って攻撃したの」

 

「そ、そうだったのか……いててっ!」

 

脇腹を抑える。

 

「助けてくれたのは良いんだけどさ……だいぶ痛いんだけど……」

 

「ごめんなさい、油断を最大限にするために少しは傷を負ってもらったの」

 

「そうか……」

 

ふらっとよろける、慌ててミカエルが支えてくれた。

 

「お、男は?」

 

「ん?居るよ後ろに」

 

後ろを振り返る、

フェンスのネジが外れて壊れかけている。

そのフェンスの所に首がありえない方向に向いた男が倒れていた。

 

「お、おい…お前がやったのか?」

 

「そうだよ?」

 

何の躊躇いもなく首を捻じ曲げ男の息の根を止めてしまった。

そんなミカエルは自分の横でニコニコ笑っている。

 

「……………………」

 

「どうしたの?」

 

「ん?あ、何でもない。保健室へ行こう…」

 

ミカエルが竣を支えながら保健室へと向かった。

 

向かいながら竣は思考を巡らせていた。

 

 

ラファエルやガブリエルは同じ天使だけど、あそこまで残酷な行為はよっぽどのことが無いと出来ない。ルシファーは堕天使だし戦闘に関しては容赦は無いが醜い姿にする前に消し炭にするタイプだろう。

あの3人とは違う、簡単に言えば「狂気」。それをミカエルは秘めていると感じた。

 

 

 

保健室____

 

「よし、これで手当ては出来たよ!」

 

「ありがとう…でもまだ痛むな…」

 

「そりゃあ少し刺さったからね、だから今日の修行は無しでいいよ!」

 

「はは、そうしてくれると助かるよ」

 

竣は思った、

今まで修行をしてきてはいるけれど、

肝心なことに気づいていなかった。

ミカエルが修行を申し込んできた、その事実のおかげですっかり自分の方が上手に立っていると思っていた。

しかしそれは全くの嘘。先ほどの戦いからしても、明らかに戦闘力はミカエルの方が上だ。

竣は修行を付けていたのではなく、付けられていた。

 

「なぁ」

 

「ん?」

 

竣は素直に思っていることを伝える。

 

「………確かにそうかも知れない、でもね。私は修行したいのもそうだけど…貴方の側にいたいの」

 

その瞳は、修行を申し込んできた時と一緒だった。

前のように契約したいから近くにいたい訳じゃない、

理由は聞けなかったがしっかりとした理由で側にいたいと言っていたのだ。

 

「ミカエル……帰ろっか」

 

「……うんっ」

 

近くも遠くもない距離で2人は学校を離れた。

 

 

 

 

「っ!!これは何事?」

 

「…………す、…すみません………男の他に……女が…………」

 

「ど、どういう事!?」

 

「………は、羽の………は……ぇ………っっ………」

 

「ちょっと!しっかりしなさいよ!!」

 

この時、高坂は初めて竣に対して恐怖を抱いた。

 

「あの男……一体何者…?」

 

すっかり日が暮れて夜になってしまっていた。

 

「ただいまー」

 

家に帰るとガブリエルとアヴァロンが迎えに来てくれた。

 

「おかえりなさい!」

 

「ラファエルは?」

 

「今ご飯食べてる!」

 

時計を見ると午後8時、戦いの後話しながら帰ってきたのでかなり時間を食ってしまっていた。

慌ててリビングに行くとラファエルの他にもう1人。

 

「ルシファー!?」

 

「随分と遅かったわね」

 

「え、あ、まぁな…準備が時間かかって…」

 

すると呆れたようにため息をすると、横に座って食べ進めているラファエルに向かって

 

「だそうよ?貴女も何か言ってあげたら?」

 

「いいえ、別に何も言うことはありません」

 

何やら様子がおかしい。

ガブリエル達は普通だが、ラファエルもルシファーも。

 

「お、おい…」

 

するとルシファーが椅子から立ち上がる。

 

「貴女が言わないなら私から言うわ、竣」

 

「な、なに?」

 

「隠し事してるわよね?」

 

バレている______思わず黙り込んでしまう。

 

「話さないなら言うけれど、私達に隠れてどこぞの天使と一緒にいるみたいじゃない」

 

完全にばれていた、何もかも。

 

「昨日、朝倉に聞いてみたわ。放課後の準備はここまで遅くなることは無いみたいじゃない?嘘が下手ね」

 

「………………」

 

「それと…3秒待つわ、すぐ出てきなさい」

 

ルシファーがカウントを始める、

すると庭の木がガサガサと震えて、そこからミカエルの姿が現れる。

そして窓を開けて中に入らせた。

 

「バレてたね…竣君」

 

ミカエルが残念そうな目をこちらに向ける。

思わずミカエルの方を見ると、反対側から殺気を感じ取る。

 

「そ、そうだな……」

 

慌てて目をそらす。殺気を発したのはラファエルだ。

恐ろしくてそちらを見れない。まさに修羅場だ。

 

「まず、なんでミカエルを生かしておいたのかしら?なぜ見逃しておいたのかしら?」

 

「…………ミカエルは、前に見たいな奴じゃない…真っ直ぐな瞳だったんだ…」

 

「へぇ……そんな理由で竣さんは………私を傷つけた奴と一緒に居るんですね」

 

「!……その…修行してって言われて……俺も強くなりたかったし…断れなくて……」

 

「それで、私やラファエルに隠れて修行していたと。もしバレたらミカエルを生かしておいてくれないから」

 

「そ、その通りだよ……ごめん………でも…俺が責任を持ってミカエルの事は監視する!だから……」

 

「私はミカエルについてはどうでも良いわ、隠し事をしていた事が気に食わないだけ。でも、彼女はどうかしらね?」

 

ルシファーは後ろにいるラファエルを見る。

 

「ら、ラファエル……ごめん……」

 

「………………竣さん」

 

優しい声が聞こえる。慌てて伏せていた顔を上げると。

 

「………ユルシマセンヨ?」

 

 

 

気づいた時には体は宙に浮いていた。

 

気づいた時には体は庭の塀に埋まっていた。

 

気づいた時には腕を折られかけていた。

 

折ろうとしているラファエルの瞳は。無。だった。

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

腕がピキピキと鳴る。普段とは逆の方向へ曲げられている。

 

「ラファエルっ!!ミカエルを……認めては……」

 

「……………………」

 

無言の瞳が物語っていた、決して認めてはくれないだろう。

そして今更謝っても許してはくれないだろう。

単にいえば肉体関係はないにしても浮気まがいの事をしたのだ。

 

「…くれないよな…………なら………」

 

聖杯の力を解放する、近所への迷惑も気になったが気にしていたら腕が折られてしまう。

 

「俺が………俺の力で……ミカエルを制御できる事を…証明してやる!!!」

 

「!!竣君!」

 

心配そうにミカエルがこちらを見ている。

そのミカエルに頷きを返した。

 

「………………………」

 

その隙をつきラファエルが特攻を仕掛ける。

目の前には膝、右頬に膝蹴りをもろにくらう。

 

「ぐふっ!」

 

口の中に血の味がしみる、

しかし踏みとどまる。ラファエルを睨み返し左拳に力を貯める。

 

「だぁっ!」

 

拳をラファエルの鳩尾にヒットさせる。

ラファエルは目を見開いた後、反対側の塀へと激突した。

塀が壊れて道路まで飛び出てしまっている。

 

「わわっ、2人とも止めてください!家が壊れてしまいます!」

 

ガブリエルが距離をとった2人の間に入る。

近所の家からも何事かと人が出て来てしまうであろう。

するとルシファーがガブリエルの横に立ち2人に言う。

 

「人は気にしなくて良いわ、私が対処する。存分にやりなさい」

 

「ど、どうしてですか!?家が…」

 

「ガブリエル、貴女は家が大切なの?2人の絆が大切なの?」

 

「そ、それは……もちろん絆ですけど……」

 

「じゃあ黙って見てなさい、何、ただの夫婦喧嘩よ」

 

「えっ…」

 

「ちょっと過激な…ね」

 

 

突風が吹く、

2人が度々ぶつかり合うたび辺りに突風が吹き荒れる。

塀はボロボロ、電線も強く揺れ木も台風が来た時のように揺れている。

 

「くっ……契約してるから…俺が力を上げると、ラファエルも強くなる…」

 

上空に飛び上がる、オーラの推進力を使ったのだ。

しかし飛び上がった先にラファエルが待ち構えていた。

神々しい羽を広げて。

 

「しまっ……がっ!!」

 

羽で叩きつけられてしまう

凄まじいスピードで地面へと激突する。

 

しかしすぐに窪んだ地面からオーラが爆発する。

 

「行くぞ……!」

 

 

「……………赤目…」

 

「えっ?」

 

ルシファーがぼそりと呟いた。

 

神威との戦いの前、彼はこの状態に陥っている。

追い詰められると自分の限界を勝手に超えた力を使ってしまう。

確かに強いのだが、同時に理性を失いかけ体を傷つける諸刃の剣だ。

 

「流石に止めないと…!」

 

「いいえ、まだよ」

 

ルシファーはただこの戦いを見ているわけではない。

もっともっと深い訳が有りそうな意味深な表情をしていた。

 

 

上空でぶつかり合う2つのオーラ。

青と赤のオーラが激しくぶつかり合い、その度にドォンと大きな音を立てる。

しかし不思議と近所から人は出て来ていなかった。

 

「くっ………まだだ……まだだあぁぁぁぁっ!!」

 

さらに力を上げる、紅に染まったその瞳は真っ直ぐにラファエルを睨みつける。

赤目になった事でラファエルに少しでもかけていた情がなくなった。

もう目の前にいるのは敵であって味方ではない。

 

「……くっ……はっ!!」

 

体が軋む、悲鳴をあげる。

痛みを堪えラファエルの背後に。

しかしラファエルも羽を振るい攻撃を仕掛けてきた。

 

「ぐっ!!捕らえた……ぞ!」

 

振るった羽を掴む、ラファエルはくるっと回転し踵落としを食らわせるがビクともしない。

 

「この至近距離、俺の力を受け続けられるかな……覚悟しろ……」

 

そして羽を掴みながらどんどん力を引き上げる。

空が赤く染まる。

空気が震え地震のような揺れも生じる。

 

何か工作していたルシファーも、少し苦悶の表情を浮かべる。

事態を隠すにしても範囲が大きくなりすぎている。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

全身が痛い、しかしここでやめたらラファエルにトドメを刺されてしまう。

ラファエルも抵抗しているが、あまりの強大な力を受けているせいか制御出来ていない。

 

上空にいた2人が少しずつ落下していく。

 

「くっ……まだだ……まだ……!!」

 

もっと力を上げようとした。

 

胸が高鳴る____

意識が遠のく_____

 

竣はラファエルに覆いかぶさるような体勢になる。

しかしラファエルもそれを振り落とせない、受ける力は同じだったからだ。

そしてラファエルも胸の高鳴り、意識が遠のいてきた。

 

「なん……だ……これ…」

 

心地良い_____

 

あれだけ強大な力を放っているのに、全く苦では無い。

 

安心する______

 

気付くと心の中にラファエルの気持ちが流れ込んできた。

どうしてミカエルを庇うのか。

どうして黙っていたのか。

私を信じてくれていないのか。

不安と憎しみと怒りと悲しみ。

全部が流れ込んできた。

 

ラファエルの心の中にも竣の気持ちが流れ込んできた。

ミカエルの瞳を信じたかったこと。

皆んなに行ったらミカエルは殺されてしまうんじゃないかということ。

黙ってこんな事をしていた罪悪感。

それでいて修行相手がいた喜び。

ミカエルとの純粋な会話、楽しみ。

 

お互いの心にお互いの気持ちが流れ込む。

2人は言葉すら交わさなかったが、しっかりと相手の気持ちを汲み取った。

そして許した。

 

 

2人が地面へと落ちる。

 

ガブリエルが慌てて駆け寄る。

しかしそれを慌ててルシファーが止めた。

 

 

重なった2人から違う色のオーラが滲み出る。

紫…いや、少し青よりの……群青。

 

爆発したそのオーラ、

その中から1つの影が見えていた。

 

その後。

 

目を覚ますと部屋の中にいた。

 

横にはミカエルが心配そうに顔を覗き込んでいたので、

少し起き上がって声をかける。

 

「心配させてごめんな」

 

するとホッとしたような表情でミカエルが答える。

 

「ううん、竣君が大丈夫なら良かった…」

 

「ラファエルは?」

 

「他の部屋で寝てるよ、ガブリエルが付き添ってる。アヴァロンはもう寝ちゃった」

 

「分かった……ミカエルも疲れたら寝て良いからね?」

 

「うん……それじゃあお言葉に甘えて」

 

そう言って立ち上がった竣と入れ替えに、

ミカエルがベッドに横になって眠ってしまった。

 

「疲れたよな……ありがとう」

 

髪をひと撫ですると、痛む身体を引きずって屋根の上へ

 

「やっぱりここに居た」

 

座って夜空を見上げているルシファーの姿があった。

 

「何しに来たのかしら?」

 

「まずは、ごめんなさい…隠していたこと謝ってなかった……」

 

「別にもう良いわよ」

 

「それと、ありがとう。あそこまで戦えたのはルシファーが周りの人が気付かない様に工作してくれたからでしょ?」

 

「……少し疲れたわ」

 

そう言って立ち上がる、屋根を降りて部屋に行こうとする。

その後ろ姿に話す。

 

「おやすみ、ルシファー」

 

「……………ふん、おやすみ」

 

一瞬立ち止まって、そのあとすぐに下へ降り自分の部屋へと入って行った。

 

 

「ラファエル居る…?」

 

ラファエルが寝ている部屋に入ると、

既にラファエルは起きていてガブリエルと静かに談笑していた。

 

「あ、竣さん」

 

「ラファエル、ガブリエル。ごめんなさい……沢山迷惑掛けた……」

 

すると2人とも微笑みながら

 

「気にしないでください」

 

「そうそう、心配はしたけど2人とも仲直り出来たでしょ?」

 

「………ありがとう」

 

不意に目頭が熱くなる。

慌てて2人に見えない様に上を向いて誤魔化す。

 

「竣さん、泣いてます?」

 

「えっ?」

 

しかしすぐにバレた。

ラファエルもガブリエルもクスクスと笑っていた。

 

「な、泣いてない…!おやすみ……2人とも」

 

恥ずかしさもあっておやすみと言ってすぐ部屋を出た。

 

そして自分の部屋に行くと、ミカエルがうっすらと目を開けていた。

 

「あ、あの…竣君…」

 

「……今日だけな」

 

何を言いたいかは分かっていた、

今日だけ。

そう言って毛布をめくりミカエルと並んで眠りにつく。

 

「おやすみ」

 

「うん、おやすみ」

 

暖かい温もりを感じながら、2人は隣り合わせで目を閉じた。

 

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