その未来にあるもの   作:spirits77

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聖杯編
目覚め


今日からこの雲雀ヶ丘高校で授業を受ける、

何より大事なのはクラス分けだと竣は思う。

やはり、良い友人に出会わないとな。

 

「俺の席は………」

 

竣の席は一番端っこにあった、

窓際の一番後ろだ。

 

「気持ちよく寝れそうだな」

 

もう既に、勉強を真面目にやる事を放棄しているようだ。

それも後々放棄を辞めざるを得ない状況になるのだが、それはまたのお楽しみ。

 

「あ、隣の人見るの忘れてたな」

 

うっかり隣の人の名前を確認し忘れていた、

しかしクラスにはもうかなりの人が着席している。

騒がしいのなら良いのだが、なかなかに静かだ。

これでは前まで行って戻るのは………無理だ。

 

そう考えていると、横から椅子を引く音が聞こえた

 

「あ」

 

思わず声を出してしまった。

しまった…!

そう思った時には、既に遅し。

 

「何?」

 

話しかけることには成功したが、

この微妙な空気。竣は取り敢えず挨拶をする事にした。

 

「お、俺は曽谷竣って言うんだ。よろしく。君は?」

 

星崎「私は星崎涼子、よろしくね」

 

話してみると以外と優しそうな人であった

 

 

_______________

 

目の前の男子を見ていると、

ふと頭の奥から何かが湧き出てくるような、そんな感覚がした。

 

_______________

 

 

 

「ただいまー!」

 

……………

 

「お母さん?」

 

……………

 

 

「!!?」

 

 

______________

 

 

次は何を話せば良いのか、

そう考えていた竣だったが突然目の前の星崎さんの顔が歪んだ

 

「どうしたの?」

 

しかし星崎さんの目は確実に俺を見ていた

その目から読み取れるものは…………

 

恐怖。

 

 

私は急に目の前の男が怖くなった

 

「近寄るな!」

 

大丈夫か?と気にしてくれてきた彼の手を振り払い

更にはドンと肩を押して引き離す

 

彼が驚いて目を丸くしているが、

それでもまだ。恐怖は消えない。

 

「来るなっ!!」

 

気づいた時にはイスを掲げて彼に詰め寄っていた

 

そしてそのまま______振り下ろす

 

 

が。

 

椅子の足を誰かが持っているようなそんな気がした

 

すると後ろから何者かの声がした

 

「そこまでにしておけ」

 

慌てて振り返ってみると、

そこにはいかにも優等生な雰囲気が漂う青年が立っていた

彼の名前は鴨居京太。

この高校一年生の中ではズバ抜けた優等生で、3年生と同じレベルとも言われている。

 

彼は私を一瞥した後、

曽谷君の方へ向かっていった

 

「彼女に何をした?」

 

「俺は何もしてない!星崎さんが苦しみだしたから…」

 

「今の彼女を見てもそうは思えんな、それに先ほど来るな近寄るなと言っていた。お前だけに」

 

「そ、それは。近くに俺だけがいたからだろ」

 

「いいや、後ろにほぼ同距離で女子と男子が立っていた。だが、彼女の攻撃はお前だけだった」

 

「…………………」

 

 

まさに論破したといったような表情で、

鴨居は曽谷の手を引っ張り、どこかへ連れて行ってしまった

 

 

「…………いけない…!彼の誤解を解かないと…!」

 

急いで後を追うことにした

一体彼らはどこへ行ったのだろうか…

 

 

「一体2人はどこに行ったの?」

 

星崎は2人を探し回っていた

しかしどこを探しても見つからない

 

「後は外?」

 

校庭に出てみるが一見なんの変化もない

 

「……………変化がない?」

 

そしてある特異点に気づく

 

「おかしい、学校で恐れられている鴨居が生徒を連れ出したというのに全くの騒ぎにもならない」

 

そこで鴨居の経歴について、

自分の頭の中の記憶から探り出す。

 

鴨居京太_____

 

親はどちらも財閥関連の社長で、

お金も地位も名誉もあり力もある。

完全なエリートだった。

そして、剣や銃や弓を使いこなすが…彼の本来の力は「魔術」

 

「魔術………」

 

騒ぎのない静けさ漂う学校

1つの乱れもなく時を刻んでいる。

だがそれは。

 

「ここ自体が……あいつの作り出した世界の中…!」

 

試しに自分の魔力で鴨居の魔術を破ろうと試みる

 

だが、確かに何かにぶつかる力は感じるのだが、

それがビクともしなかった

一刻も早くこの魔術を解かなければ、曽谷君が何をされるか分からない

きっとこの学校の掟を彼は知らない…

 

 

 

 

「掟だと?」

 

傷だらけになった少年が目の前の男に向かって言い放つ

 

「そうだ、教えてやろう。この学校はな、力こそが全てなんだ。例え、何かイザコザが起きようと力が強いものが正義となる。反発すれば処される。ただそれだけだ」

 

目の前の男は冷たく言い放った

彼は息一つ乱れてはいないが、傷だらけの男は息も乱れに乱れ意識を失う直前だ

 

「じゃあ………お前は…知っていたのか……星崎さんが俺に何か…………された訳じゃ無いって……」

 

「ああ、当たり前だ。俺はなんであろうと、女をあんな風にしたお前を処する事にした」

 

「ちっ…………壊れた掟だな…」

 

「ふん、壊れているのは貴様さ。貴様……昔に人を殺した事があるだろう?」

 

 

 

 

星崎はあれから何度も繰り返し魔術を解けないかと試している

しかし一向に鴨居の魔術が破れる気配は無い

 

少しずつ、星崎に焦りが出始めた

周囲の人間は普通の光景だと思っているこの世界、

そもそもが鴨居の作り出した世界なのだとすれば。

きっとどこかに真の世界との差によって綻びが生じるはず。

だが、鴨居の世界にはその「綻び」。これが一つもなかった。

 

星崎の中級魔法では、

完璧なる上級魔術を打ち破る方法は無かった。

 

打ち破るには上級魔術を超える何か。

最上級の力をぶつける、もしくは上級の力を複数加える。

これしか無いのだが、他の人間はこの異常に気付いていない

よって星崎が何を言おうと、ただの虚言だと思われてしまう。

 

「私はどうしたら……」

 

 

 

しかしたった数人ではあるが、

この異常に気づくものがいた。

 

「鴨居の奴、何をしたの」

 

「さあな、とにかくあいつを探し出すぞ」

 

「まずは、これを破らなければいけませんね」

 

「手荒にやっても良いのかなぁ?」

 

「落ち着け、とりあえず状況把握だ」

 

女が3人、男が2人。

全員、腕章に生徒会と書かれている。

本校の生徒会人数は6名。

この5人と、鴨居だ。

 

 

立て続けに魔法を使ってきた星崎に限界が訪れた。

 

ついには膝をつき立ち上がる気力も無い程に。

 

「もうダメかも………」

 

 

 

と、その時。

 

「そこをどきなさい!」

 

やって来たのは生徒会副会長。

橘美沙。

2年生でありながらも上級魔術を使う。

鴨居とランクで言えば同じだが、2人の間にはかなりの差がある。

無論、鴨居の方が上である。

 

「き、気付いたんですか?」

 

星崎が少しホッとしたように尋ねる

 

「ええ、もちろんよ!今から鴨居の魔術を吸収するわ!」

 

そう言って懐から取り出したのは、

丸い形をした、強いて言えばレストランで店員を呼ぶ時のボタンの様な。

そんな不思議な機械が飛び出してきた。

 

「これで魔術を?」

 

「そうよ!今からやるから、少し下がってなさい!」

 

「は、はい!」

 

フラフラとした足取りながらも何とか邪魔にならない場所に移動する。

 

 

「良し!行くわ!」

 

そう言ってスイッチを押そうとした瞬間の事だった。

 

 

突然世界に亀裂が生じる、

その亀裂は辺り一面に広がり少しずつ真の世界との綻びが出来る。

そしてどんどん侵食を始め、

ついには半分ほど真の世界と融合してしまっていた。

 

「い、一体何が起こってるの!?」

 

橘にも想像が出来なかった、

鴨居のこれほど精密な魔術を破れるのは、

会長しかいない。

しかし会長は今、生徒会室で昼寝をしている…!

 

「………………」

 

考え込む橘の視線がふと前方の亀裂へと向けられる、

するとその直後そこに人影が現れる。

 

「曽谷君だ!」

 

背後から先ほどの女の子の声が聞こえる。

 

「なるほど、取り敢えず命は助かった訳ね!」

 

ホッと一息ついた橘。

しかしその数秒後には一息なんてついた自分を馬鹿だと言いたいほど、

恐ろしい事実が襲いかかってきた。




登場人物
曽谷竣
ルシファー
星崎涼子
鴨居京太
橘美沙
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