その未来にあるもの   作:spirits77

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「まずは、対策を練らないといけないわね!」

 

そう言って橘が椅子を座る

 

「そうみたいですね」

 

そう言って星崎はお茶を汲んでから椅子に座る

 

「まず、状況把握よ」

 

朝倉もお茶を貰って椅子を座る

 

「取り敢えずわかっている事をそれぞれ言いなさい」

 

みんなに指示をしつつ椅子に腰掛けたルシファー

 

 

「ねぇ、俺の椅子は?」

 

「ないわ」

 

ルシファーが即答する

誰も椅子を譲る気はないようだ。仕方なく立って話を聞く竣。

先ほどから不運ばかりだが、突然目眩が襲ってくる

 

「う………」

 

立っているのが辛くなり、その場にしゃがむ

 

「どうしたの?曽谷君」

 

「いや……ちょっと目眩が…」

 

心配そうに星崎が見つめている

他の3人も心配はしているようで。

 

「ふぅ、私が部屋に連れて行こう」

 

「じゃあ、3人で先に話しましょ!」

 

橘がそう言うと、朝倉が竣の腕を持って肩にかけグイッと持ち上げ自分の方に寄せる

竣の体に柔らかい感触の胸が当たる

少し戸惑いはしているが、今は横になりたかったので素直に部屋まで連れて行ってもらう

 

「ありがとう、もう大丈夫」

 

そう言って部屋のドアを閉めようとするが、

それを朝倉は止めた

 

「え?」

 

「少し話がしたい、入っていいか?」

 

そう言われると断る理由も無いので了承する

すると朝倉はスタスタと部屋に入ってきて、徐にベッドの下や棚の奥を探し始めた

朝倉は男子の部屋にはあるであろう、ああいう系のものを探している

 

「あっ…!」

 

竣は昔、一人暮らしする時にそう言ったものを全て捨てて来た

力を求めるために邪魔だと感じたのだ

しかし何故かクローゼットの奥の方から一冊だけ本が見つかってしまったのだ

朝倉は不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる

竣はとにかく理由を説明してこの場を凌ごうと思うが、

その前に朝倉に押し倒されるそのまま朝倉は竣に馬乗りになって話す

 

「やはり、お前もこういうものを読むんだな」

 

朝倉は恥ずかしがることもなく、普通に中を見ていく

 

「い、いや!それは知らないよ!覚えが無くって!」

 

少し声を張っただけなのに、再び目眩が襲う

朝倉はそれに気づかず、今度はベッドに腰をかけて竣の頭を持ち上げる

そのまま下に膝を滑り込ませる

 

「この本に出でくる人は年上の人だ、年上好きなのかお前は」

 

「だ、だから…!違う…って!」

 

「隠さなくてもいいんだぞ、素直に年上が好きですといえば良いんだ」

 

「違うんだってば…!」

 

「なら……こうされても平気だよな?」

 

そう言うとグイッと顔を近づける

後少し動けばキスをしてしまいそうな位に

 

「………っ」

 

目眩と恥ずかしさで動くことができない竣

しかし何か既視感を覚える。

 

 

これ……前にもあったような…………

 

 

ふと脳裏に浮かぶ、

顔は霧がかかったように見えないが、

体格や仕草が朝倉に似ている…

 

次の瞬間無意識のうちに声が出ていた

 

 

「お姉ちゃん………」

 

 

 

「ほぅ……そうかそうか、お姉ちゃんか。良い言葉が聞けたな」

 

その声を聞いて現実に引き戻される

そして目の前にはニヤけヅラの朝倉が

 

「い、今の言葉……」

 

「ああ、聞いていたぞ。私の事をそう言う風に見えいたととはな。まぁ良いんだ、これからもお姉ちゃんと呼んでくれても良いんだからな?」

 

「だから……先輩に言ったんじゃないから!」

 

必死に誤解を解こうとするが、

話はずーっと平行線のままだった。

 

 

 

その頃橘達は話がまとまる

まずは、三銃士の3人の誰かに会いに行くこと。

神威が一番狙うのは魂だと踏み、まずはアラミスの元へ。

 

「さぁ、明日に備えて寝るわよ!」

 

そう言いながら、曽谷家の夜は更けていった。

 

翌朝

 

朝はまだ早く、

日も昇り始めたという頃、

曽谷家の中は常に賑やかだった

 

「る、ルシファー!早くご飯食べてよ!」

 

竣はまだ眠そうにしながら、

のんびりご飯を食べているルシファーを急かしていた

 

「うるさいわねぇ…」

 

「だってみんなもう出発の準備してるんだよ!?」

 

「分かってるわよ……はぁお節介なやつ…お姉ちゃんって言ってたくせにねぇ」

 

「え…?」

 

一瞬で竣の顔が青ざめる

 

「な、なんで知ってるの?」

 

と、そこに歯を磨き終わった朝倉がやって来た

 

「ああ、事か…実は昨日のあの会話をルシファーが聞いていたようでな」

 

「ええー!?」

 

ドアに聞き耳を立てて聞いていたのであった

 

「る、ルシファー…あ、あの…この事は秘密にしててくれないかな…」

 

「それには1つ条件があるわ」

 

「条件…?」

 

なにやら嫌な予感がする竣

しかしこの条件を飲むしか道は残されていない

 

「2人っきりの時で良いわ、私の事をお姉ちゃんと呼びなさい」

 

「へ?」

 

呆気にとられている竣

その横から朝倉がずいっと身を乗り出してきて

 

「ルシファー、お姉ちゃん枠は1人で良いの」

 

「え、そこ!?」

 

朝倉はお姉ちゃん枠は1人で良いと言った

第一、まず竣が朝倉をお姉ちゃん枠にした覚えも無い

ルシファーも何故か対抗心を燃やして反論。

 

「関係無いわ、付き合いが長いのは私達よ」

 

「い、いや…出会って2週間ちょっとなんだけど…」

 

「良いから…お、お姉ちゃんと呼んでみなさい」

 

「えぇ………うーん………お、お姉ちゃん」

 

言い終わるとルシファーは少し嬉しそうな顔をして

 

「ふふ、良いわね…」

 

そう言うと、竣をグイッと引き寄せた

竣はルシファーを見つめることが出来ずに、

目をそらしているが耳は真っ赤だ

そして竣は思ったことを言った

 

「先輩とルシファーって似てるよね」

 

すると2人の間に緊張感が走る

 

「む……」

 

「ん……」

 

2人は軽くにらみ合うと、

 

「「ふん」」

 

そう言ってお互いそっぽを向いてしまった

 

えー、仲悪いなこの2人…

微妙にキャラ被ってるからか?

 

そう思い、この先のチームワークに問題が出るのでは?

と、悩みがまた1つ増える竣であった。

 

出発の時がやってきた

 

「皆んな準備は出来た?」

 

竣がそう聞くと、

全員からオッケーだという答えが返ってきた

 

「じゃあ出発ー!」

 

するとルシファーと朝倉が近づいてきて

何やら話し合っているみたいだ

するとルシファーだけがこちらに来て

 

「どうしたの?」

 

「貴女には関係ないわ」

 

そう言うと竣を抱えて翼を広げる

漆黒の綺麗な翼だ。綺麗と思っているのは竣だけだが。

 

そして一行はアラミスの元へ飛び立ったのだ。

 

 

 

 

ほぼ同時刻

 

「貴様も手応えないな」

 

神威は既にアラミスを倒しかけていた

 

「あ、あなたに…魂を渡すわけには行きません!」

 

「ふん、無駄な事だ」

 

そのまま神威はアラミスの腹に剣を突き刺す

アラミスは気を失い、変わりに体から白い光が飛び出した

 

「ほぅ、これが魂か」

 

その光は神威の体へと吸収されていく

 

「これで聖杯にかざせば最高の力を手に入れる事ができる。ふっふっふ」

 

勝利の余韻といったところか、

神威は少しの間満足そうにアラミスの死体を見つめていたが、

直ぐに飛び上がりダルタニアンが守る聖杯の元へと飛び立つ

そう、この時神威は既にアトス、ポルトスの2人も倒していたのだ。

 

 

 

 

それから10分後

 

「くっ……遅かったわ!」

 

悔しそうに地面を殴る橘

あと少しのところでアラミスを救う事ができた。

その悔しさは相当に応えるものだった。

 

ルシファーはあまり興味がなさそうにしており

 

「なら、早くダルタニアンの所に行った方が良いんじゃないの?」

 

そう悔しがっている面々に言う

それを聞いた橘や星崎は、アラミスを近くの土に埋め墓標を立てた

少しでも成仏の手伝いになれば良いと、

出来ることはこれだけだった。

 

「彼女の仇よ…神威を絶対に倒すわ!」

 

そう橘が言い放つ

そして一行はダルタニアンの元へと飛び立とうとした

 

竣の元には今度は朝倉がやってきた

 

「あれ?ルシファーじゃないの?」

 

「む……嫌なのか?」

 

「い、いや!そう言うわけじゃないけど…」

 

「なら、大人しくしてろ」

 

そう言うと、グイッと足を持ち上げる

いつもこうだ、朝倉が竣を運ぶ時はお姫様抱っこで運ぶのだ

意図はもう理解しているつもりだ。

ただ単に、恥ずかしがる顔が見たいそれだけだろう。

そしてお姫様抱っこにも少し慣れてきてしまっている自分もいる事が恐怖でならない。

 

ふと、視線を横に移すと

不機嫌そうなルシファーが立っていた

しかし竣にはなぜ機嫌が悪いのか分からなかった。

ただ、アラミスが殺された事がやはりああは言っても悔しかったのだろうか…?

 

「じゃ、行くぞ」

 

朝倉を先頭に一行はダルタニアンの元へ。

 

ダルタニアンの所まで、

残り3分の2といったところを飛行中の面々。

しかし突然竣が朝倉から逃げ出して地面に飛び降りる

 

「!?」

 

突然のことに一瞬反応が遅れる朝倉

竣のそのままくるくる回転して地面に着地すると、

朝倉達の方を見上げて

 

「俺………戻る!」

 

一同、竣が何を言っているのか分からなかった

しかし竣は説明する暇もないのか、

そのまま踵を返し進行方向とは逆向きに走り出した

 

後ろから星崎や橘の呼び止める声が聞こえる

しかし今時間を少しでも無駄にする訳にはいかない

心の中で謝りつつそのまま走って行く

 

星崎が連れ戻すと進言した時

ルシファーが口を開く

 

「放っておけばいいわ」

 

「えっ?……で、でも!」

 

「神威と戦うのが怖くなったんでしょ、そんな腰抜けは勝手にさせておけばいいわ」

 

すると朝倉もその意見に賛成し

 

「そうだ、今はダルタニアンの元へ行くのが先決だ」

 

渋っていた星崎と橘だが、

2人に押し切られ、渋々ダルタニアンの元へと移動を再開する

 

 

 

 

「くっ……はぁはぁ………もう少しっ!」

 

自分でもどれ程の速さで走っているかは分からないが、

普通の人が見たらきっと、その動きは見えないであろう。

その代償に、木にぶつかり根でこけたり。

たくさんの傷を作りながらも、来た道を引き返して行く

 

「……………あそこだ…っ!」

 

辿り着いたのは、

さっきまでみんなが居たアラミスの拠点。

何故ここに戻ってきたかというと________

 

 

アラミスの拠点にいる時。

 

俺は違和感を感じていた。別に建物に対してではない。

アラミスの死体に対してだ。

明らかに神聖な存在にしては、来ている服がガサツ過ぎる。

まるで急ごしらえで繕った服みたいに…

 

 

アラミスの服を思い出す竣

そしてその思いは確信へと変わる。

 

「やっぱりな……」

 

そしてズカズカと奥の方へと歩いて行く

そして壁の前に立って大声で叫ぶ

 

「アラミス!!ここに居るんでしょ!!」

 

壁の中から返答はない

その後も呼びかけてみるが一切の返答は無かった。

竣は自分が勘違いをしていたのではないかと、

そう思い始めた。

 

そして諦めて立ち去ろうとした時、

壁の中から小さく声が聞こえた

 

「……………………なぜ……分かったのですか…」

 

自分の勘違いでは無かったことが分かり、

急いで壁に駆け寄り、壁に向かって話しかける

 

「死体だよ!どう見ても不自然な服装だった!あれはきっと…影武者!」

 

「…………………正解です」

 

竣はまずアラミスの顔が見たかった

 

「お願い!アラミス!君に合わせて欲しい!」

 

暫く。返答はない

しかし竣は諦めずそこに立って待っていた。

 

「……………良いでしょう………お入りなさい」

 

すると壁が2つに分かれ始める

そしてその中にまた1つの扉が現れる

 

竣はその取っ手に手をかけ、

その扉を開く_______

 

中はひんやりとしていて、

光もほとんどなく暗かった

しかしアラミスが目の前にいることは分かった。

 

「ふふ……こんにちは………竣さん」

 

目の前に緑色の瞳を持った

ふんわりとした雰囲気の女性が現れた

そう、この人がアラミスだ。




登場人物
曽谷竣
ルシファー
星崎涼子
鴨居京太/神威
橘美沙
朝倉唯湖
アラミス
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