曽谷竣
ルシファー
星崎涼子
鴨居京太/神威
橘美沙
朝倉唯湖
アラミス
ダルタニアン
急いでアラミスの元に駆け寄る
まだ神威は吹き飛ばされた壁の中から出て来てはいない
「アラミス!アラミス!」
抱きかかえて呼びかけると、
うっすらと目を開けて何やら口を動かしている。
必死に何かを伝えようとしているが、
声が小さく聞き取れない。
慌ててアラミスの口元を自分の耳に近づける。
するとこんな言葉が聞き取れた
「………魂が…私から抜けます………守ってあげて………下さい…………彼女の事……を………」
きっと、魂というのは、
アラミスが守っていた聖杯のキーとなる魂の事。
彼女というのは、言わずもがなダルタニアンの事だ。
「……アラミス…絶対に守る…君が守ろうとしたものを……絶対に…!」
そういうとアラミスは初めて会った時のような、
優しく柔らかい笑みを浮かべて、そのまま目を閉じた。
神威は思った以上に攻撃が強かったことに驚きながらも、
自分の投げた刀がダルタニアンに当たっていないことを感じ取る。
きっとアラミスとかいう奴が身を挺して防いだのだと。
「……今度こそ仕留める」
神威が崩れた壁の中から出て来た時、
アラミスの体から光が飛び出してくるのを感じた。
神威は気付いていた、
偽のアラミスを倒した時に得た光の力は、
以前に得たポルトスやアトスの力とは随分劣っている事を、
この場にアラミスが現れた事はラッキーな事であった。
そして今、その魂も手に入る。
光は神威の方に近づいていく
しかしその前に1人の男が立ち塞がる
「絶対に守るって……約束したんだ……!!」
またもや、自分を邪魔をする竣。
しかしこの足掻きは無駄だと思い、放置していた。
魂は魂を持つものを殺したものが受け継ぐのだから。
そんな事は気にせず、
竣は光を全身で受け止め少しでも時間を稼ごうとした
そして竣はその光に語りかける
「もし!魂もアラミスと同じ考えであるのなら…!俺にその力を貸してくれ!!」
「無駄だ…」
光は少しずつ神威の方へ近づいていく
「竣!離れなさい!」
向こうから朝倉の声が聞こえてくる
誰もがその説得は無駄だと感じている。
相手は人ではないのだ。
「いや離れない!!魂…いやアラミス!もし君が本当にダルタニアンを守りたいと思っているのなら…俺に力を貸して欲しい!」
「頭がおかしくなったか?…魂がアラミスな訳がないだろう」
嘲笑うかのように神威が言う
声が少しずつ大きく聞こえるようになっているので、
もう後3メートルはないだろう。
「頼む……アラミスの願いを………叶えたい……!アラミスは守って欲しいと言った、俺はアラミスが守ろうとしたものを守ると言った。それはアラミスが守ってきた魂も含まれてるんだ!!俺には守る責任がある!!」
最後の足掻きとばかりに声を張り上げ、
その光に訴えかけている。
「時間切れだ、どけ」
神威が目前に迫っている光を尚も遮る竣を退かそうとした。
と、その時。
「…………力を…貸しましょう」
その場にいた全員が驚きの表情でその言葉を聞いていた。
その光が竣の想いに応えた瞬間だった。
「……………」
神威も驚きの表情を隠す事も忘れ、
ただ事の成り行きを見守っているだけだった。
神威に近づいていた光は、
神威に辿り着く前に大きな光を発する。
「ぐっ……」
神威もルシファーも朝倉達も眩しさに耐えかねて、
目を閉じることしか出来ない
しかし、竣だけはその眩しさも苦ではなかった。
そしてその光は竣の心臓に注がれていった______
神威がやっと目を開けれるようになった時、
目の前には雰囲気が全く違く竣らしき人物が立っていた。
目の色は青。
以前見た赤目とは少し違っているが、
今回は理性はあるようだ。
髪の毛の色が緑色に変わっている、
それもどこかで見た色であった。
「貴様……アラミス……!」
そう、その髪の色はアラミスそっくりであった。
竣の髪型も少し伸び、
アラミスのような長髪ではないが、肩までかかるくらいになっていた。
しかし不潔感はなく、サラサラとしたその髪はまさにアラミスそのものだった。
「貴様!!どうやって…!」
「さぁな、俺にも分からない」
まさか、あの程度の訴えで魂を奪い更に力まで引き上げられるのか…
神威はただただ唖然とするばかりだった
だが、神威はまだ力の差は自分の方が上だと気付いている。
アラミスは戦闘が得意なわけではない、
ポルトスやアトスの戦闘力を手に入れた自分に敵うわけがないのだ。
「星崎!」
「な、なに!?」
竣が後ろにいる女子に話しかけた
「ダルタニアンを守ってやれ、バリアでな」
神威は星崎という女子だけ力が低いことを気にしていたが、
彼女は非戦闘の方なのだ、それでダルタニアンにバリアを張らせたのだと気付く。
「力は確かに神威。お前には及ばない、でも足掻かせてもらうぜ」
竣も気付いていた、
力の差はまだまだ埋まっていないことに、
そして竣は日本の刀を取るとそれを構える。
「でも俺は………絶対にお前を許しはしない!!」
竣の目は怒りに満ちていた
言葉では落ち着いていたので気付かなかったが、
アラミスが殺された事に相当なまでの怒りを感じているようだ。
その怒りが彼の力を更に引き出させる、その証拠が青目だ。
やはり、彼は感情を抑えている。これもアラミスが教えた冷静になる力によるものなのか…?
そう考える神威。そんな神威にも竣の怒りは少し驚く程凄まじかった。
アラミスと竣の間にどんな関係があったのか?
それは竣とアラミスの2人にしか分からない、
2人でさえ言葉では表現するのが難しいような、そんな優しくて脆い絆なのかも知れない。
「行くぞ…」
「…来い」
竣の足掻きが始まろうとしていた。
竣と神威が戦いを再開した。
星崎と橘はダルタニアンと死んでしまったアラミスを守るべく、
2人で協力してバリアを張り巡らしている。
力は神威の方が上だ。
少しずつ押され始める竣。
その様子を見ていた朝倉もついに動き出す。
「……はっ!」
神威と鍔迫り合いになった時、
真横から閃光が神威にぶつかっていった
「くっ…!」
神威は竣との鍔迫り合いを上手く受け流し、
その閃光を切り裂いた。
竣が閃光が放たれた方を見るとそこには朝倉が立っていた
「せ、先輩!」
「私が援護する、お前は神威との勝負に集中しろ!」
心強い援護だった
朝倉の閃光弾は神威に傷を付ける威力はなくとも、
神威の妨害には十分になったからだ。
閃光のせいで思うように攻撃が出来ない神威は、
少しずつ竣の攻撃を受け始めてきている。
しかし、竣もあと一歩の所で神威に決定打を浴びせられないでいる。
そして、そんな焦れったい勝負に嫌気がさして来たのか、
黙って事の顛末を見ていたルシファーさえも口を開く。
「…竣!さっさと決めなさい?」
「そんな事言われたって…!」
竣も、神威の攻撃を防ぎ朝倉の閃光で作られた隙を突くのが精一杯なのだ。
すると、今度は朝倉がルシファーに対して話しかける
「お前も援護したらどうだ?」
「……ふん、私が出る程でもないわ」
その言葉に朝倉が眉をひそめる。
「そうか、ならあいつのお姉ちゃん枠は私のものだな」
その言葉を聞いた竣は、
「まだそんな事言ってるの…?!」
と、自然に声に出てしまっていた。
「……いいえ、それは違うわ」
「なら、援護したらどうだ?」
朝倉はルシファーと話しているので閃光が途切れてしまっている。
神威はここがチャンスとばかりに、
竣に猛攻を仕掛けていく。
「うわっ!」
怒涛の攻撃の末、
ついに竣の脇腹に神威の全力が入った。
凄まじい威力の為、
そのまま横の壁へ吹き飛ばされる竣。
全身に痛みが走り少しの間起き上がる事が出来なかった。
そこを神威は逃さない、飛び上がると刀を構え竣の心臓めがけて突きたてようとした。
「終わりだ…!」
ガァンッ!
そう音がした時、刀の先に血は愚か竣さえ刺さっていなかった。
神威は急いで竣の場所を特定しようとするが、
360度見回しても見つからなかった。
すると、上空から声が聞こえた。
「こっちよ」
神威が声のする方を見上げると、
そこには竣を抱えたルシファーが飛んでいた。
大きな黒紫を広げて。
「良いわ、竣を援護してあげる」
ルシファーは下にいる朝倉に向かって声を発する。
「援護で終わらなければ良いけど…」
ボソッと呟いたその声は、
抱えられていた竣にしか聞こえていなかった。
「1人で戦うのは無駄だ」
神威はそうルシファーに告げる。
しかしルシファーは涼しい顔でそれを無視した。
「まぁ良い…望み通り殺してやろう」
「それは、私のセリフよ」
そう言って右手を神威の方へ向ける
するとまず、ルシファーと抱えられていた竣の周りをバリアが覆う。
朝倉はそのバリアの質に驚いていた。
「な、なんてバリアなの…!あの子や橘が作るバリアと比にならない…!」
そう、
ルシファーの作るバリアは上級の魔法使いや魔術使いが作るバリアよりも、
圧倒的に厚く硬いものであった。
それには神威も気づいたようで、
警戒はし始めたが所詮は防御面が強くなっただけ、
神威のスピードには敵わないと考えているのだ。
そして次に、
ルシファーのての周りに高密度のエネルギーが集まる。
「そこから打つのか……」
神威は避けるのは簡単だが、
ここは力の差というものを味あわせてやろう、そう思い弾きかえす事にした。
神威も力を持った事によって、以前のようなストイックさは少し薄くなっていたのだ。
そうしている間にも、
ルシファーの手にはエネルギーが集まる。
「す、凄いエネルギーね…」
バリアを張っている橘が驚きの声をあげる。
「は、はい…!私達も移動した方が良いんじゃないですか…?」
「それもそうね…!」
橘達はダルタニアンを守っている事もあり、
危険を少しでも低くしようと、
ルシファーと神威の戦いの衝撃が届きにくいところへ移動した。
その間もダルタニアンは、
怯えきっていて声も出さず、ただガクブル震えているだけであった。
「そろそろか」
神威の方も気合を入れ始める。
いくら力に差があるとはいえ、適当に跳ね返せるようなエネルギーではないと思ったのだ。
「良い判断ね、全力を出しなさい」
そう言う、ルシファーのての周りには既に高密度エネルギーが貯まり、
その質と量が多い為、少しての周りにスパークオーラが散り始めている。
もちろん、手にはオーラも覆っていて黒に近い紫色である。
「………勝って…ルシファー…」
抱えていた竣がルシファーの服を掴んで声を振り絞る。
「…………任せなさぁい」
竣に対して微笑を浮かべるルシファー。
そんな微笑を見せたルシファーに、竣は勝利を確信したのだ。
理由は分からない、何故か自分の心と記憶が勝利すると告げている。
不思議な感覚だったが気持ち悪くはなかった。
まるで、昔そうだったように_____
「食らいなさい」
そしてルシファーの手から高密度のエネルギーが放たれる。
同時に神威も力を解放し弾きかえそうとしたのだが…
「こんなに強大なエネルギー見た事がない…!」
ルシファーの放ったエネルギーは、
ただ手の大きさレベルの物では比にならなかった。
神威の身長の2倍以上はある程の大きさであった。
神威の身長は190cmだ。ようは4m近くの特大なエネルギーであった。
迫り来るエネルギーに対し、
刀を振り下ろす神威だったが、
到底太刀打ち出来るエネルギーでは無いのをすぐに感じ取る。
すぐさま、少しでもダメージを減らす体勢に変更するが、
当然、エネルギーを全て避けきることは出来ず、
神威を中心として大々的な爆発が起こった。
その時、
爆風と吹き飛ばされた瓦礫が唯一バリアに入っていない朝倉を襲う
爆風と瓦礫が朝倉を襲うが、
誰もそれを助けに行くことは出来なかった。
バリアを張っている、ルシファーや橘、星崎は身動きが取れず。
怯えきっているダルタニアンにそんな行動力は無く、
唯一自由な竣も助けに行けるほどの力が残されていなかった。
そして、朝倉自身も、避けても無駄だと思い瓦礫を数発、食らうことを覚悟した。
そんな朝倉をめがけて、ある物が飛んできていた。
それは爆風によって吹き飛ばされた、神威の刀であった。
刀にはまだ力は残っており、
朝倉がすぐさまそれを構え飛んできた瓦礫に向かって振り下ろす、
すると、瓦礫は粉々に割れ朝倉の眼の前で粉砕される。
それを見た朝倉は、
他の飛んできた瓦礫も全て刀で粉砕した。
「す……凄い!」
それを見ていた橘が感嘆する。
さすが会長だ、そう改めて思った瞬間だった。
しかし当の会長さんは、
少し不服そうな顔をしていた。
それもそうだ、何故なら自分の命を救ったのがよりにも寄って神威の刀だからだ。
そしてそうすると1つの疑問が浮上する。
持ち主の神威はどこへ…?
そう思っていると、
前方の瓦礫が崩れ落ちて中から手が飛び出した。
「生きているのか…」
神威は瓦礫から這い出てきた。
しかし既に体は傷だらけで顔につけていた仮面も半分削れている。
そこから覗く神威の目は赤くギラついていた。
しかしルシファーの冷静な声が再び上空から聞こえた。
「もう終わりのようね」
そう言った途端、
神威が不意に浮かび上がった。
もちろん、神威が攻撃をする為でも逃走する為でもない。
ルシファーの指の動きに合わせて神威がどんどん上空へ浮かび上がっていく
「……一体お前は何者なんだ…」
神威が声を振り絞りルシファーに問いかける。
するとルシファーは、
「………ただの天使よ」
そう言うと神威を上空から地面に叩き落とし、
その上からトドメのエネルギーを放った。
今度は確実に神威の体を捉える。
その証拠に神威の装甲がバラバラになり周囲に飛び散った。
神威の肉体はエネルギーによって消し去られ、跡形も無くなっていた。
「……終わった」
安堵した竣。その数秒後気を失ってしまった。
「よく頑張ったわ」
ルシファーはそう言い気を失った竣の髪をスッと撫でると、
そのまま地上へ降り立った。
星崎や橘も安堵したようにこちらへ歩み寄ってきている。
朝倉も少しふらついてはいたが、全員何とか無事であった。
ただ1人、アラミスを除いては……
登場人物
曽谷竣 聖杯獲得
ルシファー
星崎涼子
鴨居京太/神威(死亡)
橘美沙
朝倉唯湖
アラミス(死亡)
ダルタニアン