エピローグから約二年後のお話。
「…。」
「…暇だな。」
「そらそーか、看板娘12人がいなくなっちゃなぁ…繁盛なんてしないか。」
「…。」
「…コーヒーでも飲むか。」
コポポ
「よっ…と。」
「ふう…。」
ガチャ
ち「こんにちわー…。」
渚「ちまり、なによそよそしくしてるのさ。あ、店長やっほー!」
「おう、ちまりに渚央、お疲れ様。卒業式終わりか?」
渚「うん!そのまま真っ直ぐここに来ちゃった、店長寂しがってないかなーって思って!」
ち「な、なんだかお久しぶりで緊張しちゃって…、店長、元気にしてましたでしょうか…。」
「相変わらずだよ、俺は。二人は元気だったか?」
ち「はい、おかげさまで。」
渚「ボクもいつも通りだよ!」
「はは、それは何よりだ。」
ち「はい、良いことが変わらないことは良いことですね!」
渚「にしても相変わらずお客さんいないね、店長大丈夫?」
「あんま大丈夫じゃないけどなんとかな。」
ち「私たちも今日はお客さんなので。あったかいココアをいただいてもいいですか?」
渚「あ、ボクはミルクティで!」
「へいへい、ちょっと待ってな。」
ガチャ
沙「てーんちょーやっほー!」
美「沙織、いきなり大声だしちゃ他のお客さんに失礼なの。」
渚「お、沙織にミッチー!珍しいね二人で!」
美「あ、二人とも来てたんだ。」
ち「二人ともお久しぶりです!元気にしてましたか?」
沙「そんな久々だっけ?最後に会ったのってちまり達が店を辞めて以来だよね?」
ち「そうですね、渚央くんとあたしは二人で試験勉強か忙しくなってきた時期に辞めたので…でも年明け前だから随分時間は経ってる気がします。」
沙「ほえー、そっかそっか、そんなに経つんだね。」
美「ハカセは試験勉強しないからってギリギリまでここにいたもんね。」
渚「う、羨ましい…。」
沙「ふふーん!あたしはもう進路決定してるしね!」
「二人とも、お疲れさん。」
沙「あ、てんちょーやっほー!あたしコーヒーで!ブラックでね!」
美「こんちわなの、あたし紅茶。ほっとで。」
「あいよ、ちょっと待っててな。」
渚「沙織って進路は結局どうすることにしたの?」
沙「えーと、あ、でも大学とかに通うんじゃないんだけどね。」
ち「ど、どこかの研究所でリアル博士になる…とかですか?」
沙「あ、ちまちゃん近いぽよ!あたし大学院に行って、色んなこと研究したいなって。」
渚「だ、大学院??」
ち「本当にリアル博士ですね…。」
沙「うん!詳しいことよく分かんないけど、色んなこと研究出来るから楽しそうなんだー!」
ち「それは良かったです。」
沙「ちまちゃんはどーするの?進路とか。」
ち「い、一応なんですが、実家の神社を継ぐことになりまして…。」
沙「ほえー、すごいね!」
ち「そ、そんな大それたことじゃないですよ?ただまぁ、その、神主として継ぐことができたらなぁ…とか。」
美「すごいの、ちまり。」
ち「普段からお手伝いしてましたしね。でも、家計を継ぐことになって、良かったなって思います。」
美「うん、頑張ってね。毎年事ある毎に行くね。」
ち「い、言い方はあれですけど…正月とかですよね?」
美「もちろん。」
渚「ふーん…すごいなぁ二人とも。ミッチーはデザイナーになるために専門学校行くんだもんね?」
美「うん、近くの学校だからここにも通いやすいの。」
渚「あ、そーなんだ。あそこの駅前の?」
美「こくこく。やっと夢に近づけるの、ユイナとカオのお店の制服、つくるんだ。」
渚「あはは、すごいねミッチーは。」
美「ちなみにもうアイデアは出てるの。楽しみ。早く学校通いたいな。」
渚「す、すごいねほんとに…。」
ち「なおくんは卒業したらどうするんでしたっけ?」
渚「ん、うーん…それがまぁ、働きながらまたアイドルを目指したいなぁ…とね。」
ち「こないだのオーディションは残念でしたね。」
渚「あ、あれはでも対象がフリフリの似合う女の子のオーディションだったからね…場違いだったかなぁ。」
美「そんなことないの、ナオはフリフリ似合うの。」
渚「そ、そっかな?えへへ…。」
沙「そういえばミッチー、ユイニャとカオちゃんは卒業したあとどうしたんだっけ??」
美「えーと、カオは大学に行って、すごく勉強してるの。最近会えてなくて…寂しいの。」
沙「ふーん、カオちゃんらしいね。」
美「努力家だからね、そゆとこ好き。」
沙「本人はなかなか認めないけどね!あたしもカオちゃんのそーゆーとこ好きだったぽよ!」
美「こくこく。」
沙「ちなみにユイニャは??」
美「ユイナは…就職したらしいの。」
渚&ち「就職?」
美「そうなの。メイド喫茶をオープンさせるには資金が必要だって言ってて…おふぃすれでぃーになったらしいの。」
渚「お、オフィスレディ…。」
ち「な、なんだか想像つかないです…。」
美「会社でにゃーって言ってないか心配なの。」
渚「そこは大丈夫でしょ流石に…。」
「ほら、ブラックコーヒーと紅茶な。」
沙「あ、ありがとーてんちょー。」
美「ありがとなの。」
沙「ここのコーヒーって美味しいよね、なんかインスタントの味がしてさ!」
「そ、それ褒めてるか?」
沙「もちろんぽよ!」
美「…っく、あ、そういえばてんちょ。ミナミのことなんだけど。」
「ん?あぁ。」
ち「ミナちゃんがどうかしたんですか?」
「あれ、ちまりは南海と話してないのか?」
ち「そうですね、卒業してからはあまり。」
美「あたしも正直分からないの。」
「時々この店に来てるぞ、手伝いに。」
ち「あ、そうだったんですね。」
美「卒業しても手伝いたいって言ってたもんね。」
「あぁ、正直助かってる。大学に通いながら夢を追いかけてるらしいな…まだ何になりたいかは秘密らしい。」
ち「なんで秘密なんですかね?」
「さぁ…なんかびっくりさせたいのかね?」
沙「あ、ちなみにレイとコマちゃんも大学に通ってるぽよ。」
「無事合格してたみたいだしな、良かった良かった。」
沙「あ、でも最近小町が良い写真撮りたくて旅に出たっきり音信不通なんだよねー、沙織特製GPS持たせれば良かったかなぁ。」
「沙織が作ったやつなら正確に場所分かりそうだな。」
沙「あたしのなら海底にいても雲の上にいてもわかるよ!」
「す、すげーな…。」
沙「でもコマちゃん、すごくわくわくした顔してた。すごく良い顔だったぽよ。」
「そっかそっか…。皆、一歩ずつ踏み出してるんだな。寂しいけど、俺もちゃんと送り出してやんなきゃ。」
渚「何しんみりしてるの、送り出してくれる店長がそんなんじゃボク達も心配になっちゃうよ?」
ち「そうですね、店長さんが背中を押してくれれば、あたし達は強く前に踏み出していけます!」
美「うん、きっと皆そう思ってるの。もう二度と会えなくなるわけじゃないから、ほら、にっこり。」
沙「そうそう!いざとなれば沙織特製どこでもドアで…!」
「版権を気にしなさい。」
沙「じょーだん!でも、店長がいてくれたから、皆12人で上手くやってたと思うのだ!今までも、そしてこれからもね!」
「そんなもんかね…。」
沙「そーだよ、JKが12人でバイト先で仲良しって、なかなか無いと思わない?」
「自分でJK言うなよ。…まぁ、でも最終的には12人皆の人生だ、俺がとやかく言う権利はないけど、背中くらいなら押してやれる存在になりたいな。」
沙「うん!あたしも、感謝してるよ?今まであたし達を見守っててくれて。」
渚「うん、ボクも!ありがとね、店長。」
ち「ありがとうございます、店長。」
美「元一年組もこれで卒業だけど、泣かないでねてんちょ。あたしも感謝してるの。」
「…別に泣きはしないよ。」
渚「あー!泣いてるー!あはは、…店長が泣いてるなんて、っく、め、珍しいよね…!ぐすっ」
ち「…そ、そういうなおくんも…ぐすっ、泣いてるじゃないですか…!」
美「…てんちょ、皆になでなでしてあげて…すん」
沙「てーんちょー!寂しいのだー!」
「ああわかったよ!はいはい…まったくもう。」
…。
…。
…。
三時間後。
「…ふう。」
「さて、店じまいするか。」
ガチャ
「あ、すみませんもう店じまい…。」
泉「あ、お兄ちゃん。」
「おう、泉水じゃないか。どうしたこんな時間に?」
泉「ん、学校の帰り。店の電気がついてたから。」
「そっかそっか。」
泉「ん。」
「…なんか飲むか?」
泉「え、いーの?やった、あたしオレンジジュースね!」
「卒業しても味覚は変わらんのな。」
泉「い、良いじゃん別に…。」
「はは、ちょっと待ってな。」
泉「うん、ありがと。」
…。
…。
「ほい。」
泉「わーい、ありがと!」
「350円な。」
泉「お、お金とるの。」
「当たり前だ、これで生計経ててるからな。」
泉「ぶー、けちー。」
「何とでも言いなさいな。」
泉「むーん…。」ズズ
「…なんかあったか?」
泉「…え?」
「いや、何となくな。」
泉「…うーん、何かあった訳じゃないけどね。」
「ん?」
泉「…ほら、あたしが卒業して一年経ったじゃん?少しだけ、ほんの少しだけ寂しくなって皆に会いたくなっちゃってね…えへへ。」
「そかそか。」
泉「でも大学はカオちゃんとか怜ちゃんとかいるから、全く会ってない訳じゃないんだけどね。」
「ああ、そういや同じ大学だもんな。」
泉「うん、たまたま一緒の受けててさ、すごいよね。…でも二人とも、二人の夢があるから。凄く忙しそうなの。」
「怜は保育士、薫子は経営学だもんな。」
泉「うん、…夢に真っ直ぐな二人が羨ましくも見えてきてさ。…ちょっと置いてけぼり感、勝手に感じちゃって。」
「そういやイリーナと亜矢香とは連絡とってるのか?」
泉「んーん。あやちゃんは別の大学、というか専門学校だし、イリーナさんに限っては…。」
「ああ、まぁ…そうか。連絡なんてなかなか取れないよな。」
泉「うん、ロシアに帰っちゃったしね。いつ日本にまた来るか分かんないらしいし。」
「意外だったよな、ロシアに帰るって聞いた時は。」
泉「うん、あのゆいちゃんがあんなに怒るなんて…ちょっとびっくりだよね。」
「あはは、あれにはびっくりだったわ。」
泉「…皆、離ればなれかぁ、って思っちゃって。実際にはそんなことないんだけどさ。」
「そうだな…。」
泉「…。」
「…。」
泉「…ねぇ、お兄ちゃん。」
「ん?」
泉「いつかまた皆でここに集まって、パーティしたいね。」
「ああ、そうだな。」
泉「その時は、貸し切りでお願いね!もちろんただで!」
「貸し切りとなるとその日の売り上げが無くなるから…、一日の平均売上から計算して…。」
泉「お、お兄ちゃん!」
「はは、そこは流石に冗談だよ。…いつかできるといいな。」
泉「うん、そだね。同窓会って、どういうタイミングでやるべきなのかな…大体10年後とか?」
「別に決まってないし、泉水のやりたい時でいいんじゃないか?」
泉「そんなものかな。」
「そんなものだろ。」
泉「ん、じゃあそうしよっかな。」
「ああ。」
泉「…あたし、そろそろいくね。」
「ん、あぁ気をつけてな。」
泉「うん、ばいばい。」
「…。」
ガチャ…
「あ、泉水。」
泉「うん?」
「あ、えーと…。」
泉「?」
「またな。」
泉「…うん!またね!」
ばたん
「…。」
「ばいばい、じゃなく、またね。…か。」
「…。」
「…はは。よし、頑張るか。」