エルメェスは千里に勝った後、アナスイとエンポリオに合流して千里を病院に連れて行くかで話しあっていた。
結論から言わせて貰うと先程の鬼神の如き復活から千里が気絶しているフリをしているかもしれないと懸念したため、可哀想だが晴美を倒してから連れて行くことに決めた。
「とうとう俺の番って訳か」
「油断すんなよ、二人とも相当な策があったからそいつも使うと思うぜ」
「でも本当にいるのかな?姿が全く見えないけど」
ようやく出番なのではりきるアナスイ。彼にどの二人も相当の実力者だったので気をつけるよう言うエルメェス。エンポリオは晴美のスタンドが本当に学校内にいるのかと疑問に思うが、確かにいる。学園内のどこかに!!
「心配すんなよエンポリオ。ようは相手はパワーが弱っちいんだよ。能力使わないと殆どカスのスタンドなのさ。ブハハハハハ。気楽に行こうぜ、気楽に」
「「・・・・・」」
彼の気楽な発言は嘘だと思う二人。もちろん正解だ。彼の本心は・・・
(やべーーよ、んなこと言ったけど大丈夫なのか?あの
と、超が付くほど焦っている。一言言おう、そんな考えしているからそうなるんだ。
彼が仲間に見栄を張っている時に、一人の男が近づいてきた。そいつは空条承太郎だった。
「「「承太郎さん!!」」」
「どうした君たち、こんなところで」
「いや、かくかくしかじかでしてね」
遣って来た承太郎にエンポリオが今までのことを話した。
「なるほど、そんなことがあったのか、だから木津千里があんな所で突っ立ってる訳だ」
「それで承太郎さん、徐倫と話しつけたんですか?」
「・・!!ああ、そうだ。話しつけてきた。徐倫にも色々と訳があったそうでな・・・」
彼が全て納得した時、エルメェスが徐倫の説教を終えて来たのか聞いてきた。肯定した承太郎は何やら焦りながら言う。
それに疑問に思ったアナスイが承太郎に質問する。
「承太郎さん・・・。まさかあんた偽者じゃあないですよね?」
「・・・・・・・!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
アナスイは本物の承太郎か揺すりをかけてきた。この承太郎はいつもの様に冷静ではなく、突然の質問に一瞬驚いている。
「おいおい、冗談言うなよアナスイ。私の娘の彼氏だからってそんなこと・・・・・」
「“彼氏”!?認めてなかったんじゃあないのですか?」
「・・・・・!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
この承太郎は怪しいとアナスイは思っている。周りも殺伐とした空気になっている。承太郎を疑っている空気だ。
「もう・・もうお前を認めたのさ・・・徐倫もいい歳だしお前の様な男でもいいかなと・・・」
「へ~~~~~。そうですか、それじゃあ行きましょう承太郎さん。彼方がいれば百人力です」
そう言い、承太郎を手招きするアナスイ。承太郎は先に行って背中を見せているアナスイを追う。ニヤリと笑いながら・・・・・。
その時、目の前の地面から『D』の文字が入ったスーツとマスク、あと酸素ボンベを背負った人・・否スタンドが現れた。
「“ダイバー・ダウン”」
「何ッ!!」
ドゴオオオオオオオン
「ぶぎぐわッ!!」バキバキ
アナスイのスタンド“ダイバー・ダウン”で顔面を殴られる承太郎。そして、割れる音と共に体が裂けた。しかし、血は出ていない。
「やはり、偽者か。だと思ったぜ、雰囲気が違ってたし、何より顎がそんなに尖ってねぇよ!!」
よく見ると、その偽承太郎の顎があまりに尖っている。ほぼ直角の顎がこの世にあるのか。
『なんて事だ!!私の癖が仇になったなんて!!』
何か聞こえたので、後ろを向くと向こうの木の陰から長くて鋭い爪を持って、メガネを掛けているブリキの人形の様なものがひょこっと出てきた。
誰もがそれが藤吉晴美のスタンドだと分かった。
「分かりやすいな、お前の奇襲」
『五月蝿いですよ!!私の“芸術センス”を馬鹿にするなあアア!!』
晴美は自分の奇襲を貶されて怒っている。アナスイは彼女が言った“芸術”という表現に少し疑問に思った。
「もしかしてあれは“絵”か?」
『ええ、そうですよ。私は、“この爪で描いた絵を実体化できるスタンド”、“
「それじゃあ、学校全域が貴女のスケッチブックになるんですか」
『Yes,Yes,Yes,貴方達がどんなカップリングが似合うか・・・グヒヒヒヒヒ楽しみね』
「あっ、くそ!!逃げられた。待ちやがれ!!」
“絵を実体化させる”スタンド、描くための媒介は制限なし。そのことに驚くエンポリオ。そして、その間に逃げる“イマジネーション”。
逃げた彼女を追い掛けるアナスイ。その彼らは校舎の中に入って、暫くしたら見えなくなった。
二人を追い掛けようとするエンポリオとエルメェスだが、行く前に気絶していた日塔奈美が起きた。
「う~~~~~~ん。酸素不足でまだ頭が痛い」
「起きたか“普通”」
「普通って言うなぁ」
奈美が起きた事に気付いたエルメェスは、お決まりの台詞と共に奈美とお決まりの件をした。その後、奈美は千里の方を見て、驚く。
「うわーーーーッ!!!何あれ!!何がどうなったらあんな気絶の仕方になるの!?」
「実はかくかくしかじかで・・・・」
「まぁ大体の事情は分かった。じゃあ今は晴美ちゃんが闘っているのね・・・・」
「はい、そうです」
奈美が気絶してから今に到るまでのことをエンポリオが説明したところ、急に何かを考えている奈美。暫く考えてまとめたことを二人に話す。
「・・・おそらく勝てないよ、アナスイさん」
「「え!?」」
奈美が暫く考えていた事はアナスイでは晴美に勝つ事が難しいと言った。勿論、驚く二人。そして、エルメェスが奈美にどうしてアナスイが勝てないのかを問い詰めた。
「何言っていやがんだ、てめぇ!」
「ぐおお・・・死ぬううう・・・このままだと今度こそ死ぬうううう」
「エルメェス、彼女を放してあげて!!本当に窒息しちゃうよ!!」
問い詰めるためにエルメェスは奈美の胸倉を掴む。だが、それで首が圧迫して息ができていないためエンポリオは彼女を放してあげるようエルメェスに言った。仕方なく、エルメェスは奈美の胸倉から手を放した。
解放された奈美はゲホゲホと咳をして呼吸を整えた。そして、楽になったとき、エルメェスが再び問い詰めた。
「で?そいつが負けねえという確信はあんのか?」
「大いにあるよ!晴美ちゃんは半自動操縦型だから、スタンドが死んでも何とも思わないし、彼女は凄い成長速度で、あっという間に抜け目ない行動をするのよ」
「そんなに強いのか!?」
奈美が言った“イマジネーション”の性能。スタンドを攻撃しても晴美には無傷で、あっという間に成長するスタンドでもある。エルメェスが驚いているところを追い討ちするように奈美は情報を追加した。
「でも、一番恐ろしいのは私ですら先生ですら見た事がない凶暴な面を持っているということです。それは、千里ちゃんしか知らず、彼女曰く、『あんな最悪なスタンドは見た事がない』と言うほどなんです」
「大丈夫かなアナスイ・・・・・」
あの千里ですら“最悪”と言うほどのスタンド能力を持つ晴美。これらの3つの長所を持つ晴美に果たしてアナスイは勝てるのか!?
エンポリオとエルメェスがそう思う中、その決着が着く時間は一刻、一刻と近付いていた。
「ああ・・・・・疲れた・・・・・」
場所は変わって校舎2階の廊下。徐倫は疲れた足を動かして歩いていた。さっきまで承太郎に説教(長時間正座で座らされていただけだが)されて、くたくたの徐倫。家に帰ろうと思っていると、ふと声を掛けられた。
「あの、SPW財団の使者さんですか?」
「うん?誰?」
だるそうに振り返るとそこに髪留めをした女子生徒がいた。その少女は徐倫の質問を無視して再び質問する。
「SPW財団の使者さんですか?」
「貴女、日本語通じる?質問を質問で返さないでくれる?」
「ああ、確かにそうですね。私は2のへ組の
「あらそうだったの、私は空条徐倫よ。よろしく」
可符香という少女は昨日学校を休んでいたため自己紹介の時にいなかったためわざわざ挨拶に来てくれたのだ。それだから徐倫も名前を言った。
名前を言ったら、急に紙とペンを用意して彼女は徐倫の名前を書いた。そして、あることに気付いた。
「“ジョジョ”、ジョジョさん!」
「私を“ジョジョ”って言うな!!」
徐倫は自分のことを“ジョジョ”と呼ばれたくはなく母親しか呼ばれたくない。その事を指摘した可符香は、この時、顔の影を濃くした。彼女はそういう性格だ。
「それで・・・・・これだけなの?」
「はい、そうです。すいません、わざわざ・・・」
「いいのよ別に。あと、私を“ジョジョ”っていうなよ!!」
「は~~~~~~~い」
自己紹介するだけが用件だった可符香は徐倫に詫びたが、徐倫自身は別のことを詫びて欲しかったと思いながら、歩を進めた。そして、可符香は彼女が廊下の端まで行くまで手を振り続けた。
「ふう~~~~~~。凄い警戒心ですね。流石はあびるちゃんを倒すほどのお人ですね」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
さっきまでの軽い空気が重くなった。そして、目つきまでもまるで獲物を見つけた狼の様に恐ろしい。
「昨日は本当にびっくりしたよ。急に先生からメールが来て、『学校に来るなッ!!』って書いていたものですから。フフ、面白い人が来たんですね」
そう言い、彼女は窓から空を見上げて呟くのだ。
「彼等を『計画』に巻き込むつもりなんですね。先生・・・・・そこまでして、“時期”を早めたいんですね」
出席番号14番。風浦可符香{P.N}。スタンド使いであることが判明。しかし、徐倫達と交戦するつもりはない。
「ちっ、待ちやがれこの女郎!!」
『くっ、まだ追い掛けて来るんですか』
戻って校舎1階。広い校舎でアナスイと“イマジネーション”の追走劇が繰り広げられている。スピードは両者ほぼ互角、一向に差が広がらない“イマジネーション”は痺れをきらして、振り返り、絵を描き始める。
空気を切り、高速で絵を描いた。その絵が立体的な男になり、アナスイを襲った。
「しつけえ!!」バゴオオ!!
『ギャアアアア!!』バラバラ
襲って来た絵の男はアナスイのスタンドのパンチで木っ端微塵になった。そして、アナスイも痺れをきらして、“ダイバー・ダウン”の脚で走って、彼女との差を縮める。
『・・・・・!!うわあああああ!!』
「これで終わりだーーーッ!!」
ドッコーーーーーーーーン
スタンドのパンチを決めるアナスイ。命中した“イマジネーション”はバラバラに砕け散った。だが、その散り方が彼女の“絵”と同じだった。
「まさかとは思うが・・・・・『偽物』か?」
アナスイは立ち止まり、辺りを見渡す。が、どこにも見当たらない。本当に倒したかと思っていると、
『ウフフフフフ・・・・・』
という声が聞こえる。やはり、倒されていない。何処かにいる。そう思い捜していると、少し離れた壁から鋭い爪を持った手が出てきた。
そのままズルズルと壁の中から出てきた“イマジネーション”。しかし、雰囲気が何やら違う。
『アナスイィーーさァーーん、まだまだですねェーー。“分身”と本物の見分けがつゥーーいてなァーーいなんてねェーー!!ウハハハハハハハハ!!』
「性格が変わったな・・・頭のネジが飛んだのか?」
『えェーー?私が
「なるほど、そういう仕組みか」
スタンドの口調が変わったため、ちょっと驚いたアナスイ。自動操縦に晴美が切り替えたと理解してひとまず一件落着したが、それによりある問題が浮かび上がる。
『もしかしてェーー、“自動操縦型ってことは、コイツを攻撃しても全く意味がない”とかかんがえてるんでしょォーー?」
「・・・・・」
『エハハハハハ、図星の様ねェーー。ええ、そうよ。そういうタイプだからァーー、何しようがマスターは傷つかねーしィーー、マスターは私が遣っている所を見れるゥーー。つまり、遠隔操作と自動操縦の長所の塊が私よォーー。マスターと闘いたかったら、まず私を倒すことねェーー!!因みに、マスターが今描いているのは“BL、ボーイズラブ”の同人誌なのさァーーー。ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ』
自分の考えていたことが読まれた事に動揺する。まあ別にそれだけしか動揺した訳ではないが。
「いい趣味してるぜ。おめーのマスターはよう」
『ハハハ。同感だねェーー。でも、そのおかげで私は強いのだァーー!!』
アナスイは『BL』を描いている晴美を嫌味を言う様に言った。スタンド自身も同感のようだ。
しかし、そのおかげで自分は強くなっているスタンド自身はそうと断言できる。スパパパパと腕を動かし、絵を描く“イマジネーション”。
『マスターが漫画を描いてくれたことは、私にとっては誇りだよォーー!!例えそれがどんだけ卑猥なものでもねェーーーーーー!!』
そして、絵が実体化し、“ウェザー・リポート”、“キッス”、“ストーン・フリー”の3体になった。顎はやはり、尖っているが。
『流石に3対1じゃあ、あんたでも無理があるかァーー。私の絵は、本物と同じ性能を持つ。上手ければ、上手いほど、より正確に再現が可能。つまりィーー!!この3体どものパワーは本物と差ほど変わらねェーー!!さあ、どれを防ぎ、どれを食らうゥーー!!』
3体のスタンドの絵が襲って来た時、アナスイは地面を殴り、後退する。
『はっ!何してんのさァーー!!下がったところで逃げられるかァーー!!』
「“ダイバー・ダウン”は『潜行する』能力を持つ。それは、スタンドだけでなくパワーもなッ!!」
『はっ!!まさかァーー!!』
アナスイの言葉で後退する前に地面を殴った理由が分かった。理解した時には3体は、もうその場所にいた。
「その場に触れたら、それが解き放たれるッ!!」
バッコオオオオオオオオオオオオン
“ダイバー・ダウン”の能力で潜行していたエネルギーが解き放たれてバラバラと崩れる絵たち。幾らなんでも絵のため耐久力はない。
そして“イマジネーション”は、再び逃げ始めた。それをアナスイは再び追い掛け始めた。
“イマジネーション”とアナスイは2階に上がり、追走劇を再び始める。が、2人が上った階段の壁が裂け、そこから“イマジネーション”が出てきた。またアナスイは偽物を追い掛けている。
『危なかったわ・・・・・私が早く気付かなかったら、倒されていたわ。』
今度は、晴美自身が操っている。本体とスタンドの精神は別離しているため、考えを互いに共有出来ないので、スタンド自身は隠れるという策を考えていなかった。
そのことに逸早く気付いた晴美は、自分で操作して今に到る。そして、呼吸を整えてアナスイを倒す方法を暫く考えた後実行した。
「くそ、偽物だったとは」
5分ほど鬼ごっこをして“イマジネーション”を倒した後、ようやく偽者だったと分かった。スカに無駄な体力を奪われたアナスイは、廊下を歩いていた。暫くしてから、アナスイはある者と偶然出会った。
それは徐倫だった。
「あらアナスイ、こんな所で何やってんの?」
「・・・!!徐・・・徐倫・・・」
アナスイは徐倫が“絵”ではないかと思った。けど、顎の尖りは普通だった。出会うまでの時間差があるため確認で彼女の至る所を触った。別にいやらしいことはしていない。頭とかほっぺとか肩とかを触った。
「ちょっ!!アナスイ何してるの!!」
「すまん徐倫、偽者かと思ってな」
「偽者!?」
「そうだ、実はかくかくしかじかなんだ」
アナスイが急に自分の体を触ってきてびっくりして構える徐倫だが、アナスイから今までのことを説明されて一応構えは解く。
「なるほどね、そういうこと」
「いいか徐倫、君も俺と一緒にいるってことは標的になっているかもしれねぇ。兎に角、あまり俺の傍・・・「えっ!?アナスイ!?」・・・!?」
何かおかしいことが起きている。絶対にここに2人はいないはず。そう思ってアナスイは振り返ると、やっぱりいた徐倫がッ!!
徐倫はアナスイの後ろに自分がいることに驚いている。つまり、今まで話していたのは・・・・・
ズシャアアアアア
「ぐは・・・偽者か!!」
「アナスイ!!」
『そうですよ!!今更気付いたんですか?』
徐倫の絵を纏っていた“イマジネーション”で自分の肩を斬られたアナスイは、斬られた肩を押さえ、後ろに倒れた。徐倫はそんなアナスイに近付いて、傍についた。
“イマジネーション”は“徐倫の絵”から出ると、二人に対峙する。
「その口調は、今は晴美の方か・・・バカな・・・全く区別がつかなかった・・・・・どういうことだ」
『どうって“成長した”んですよ。千里も私の成長速度を一目置いている程、私は成長性が高いんですよ。既にもう私は、“クセ”を克服したのよ!!そして見分けがつかなくなる程正確に描ける様になったんですよ!!これならどんな絵でも再現できるわぁ、ワハハハハハ!!』
奈美が恐れていた『脅威の成長力』。その力でそれほど成長してしまった晴美は、二人に突っ込んで来た。狙いはアナスイではなく、徐倫!!
『この子は少し預からせて貰いますよ!!』
「なっ!!徐倫!!」
「うおっ!!くっ・・・“ストーン・フリー”!!」
晴美のスタンドに首を掴まれた徐倫はスタンドを出して倒そうとするが、その前に“絵”で縛られた。
「なっ!?速い!!」
「徐倫の“ストーン・フリー”よりも速く!!」
『素晴らしいわ!!ここまで成長しているの!?正に、私は成長しているッ!!同人誌作家としてもッ!!スタンド使いとしてもッ!!」
恐るべき成長速度。“ストーン・フリー”よりも速く描く事が出来た晴美。
スタンドを絵で縛られている徐倫は成す術なく連れて行かれる。しかし、向かう場所は推測できる。アナスイはそこへ走る。
(体育館、何故体育館かは知らねぇが兎に角行くしかねェーーーーーーーーーーーーーーッ!!)
徐倫のために廊下を走るアナスイ。規則違反だが彼には知ったこっちゃない、彼女を助け出す事しか今は頭にない。
体育館の近くに来たアナスイ。丁度その時スタンドが徐倫と入った。そして、鍵を掛けた。
だが、アナスイはその扉をスタンドで叩き壊し、入った。そして、その中で見た物に驚愕する。それは・・・・・
わらわらと群れている徐倫だ!!!
「徐倫が・・・徐倫が・・・徐倫が“いっぱい”いるッ!!!グヘへへへへへへヘ」
アナスイはそう叫ばざるを得なかった。だって、誰でも同じ人がいっぱいいたらそうするだろう。
何だか天国だなあと一瞬思ったがその考えを振り払い、晴美のスタンドを捜す。だが、徐倫の量が多すぎて中々見つからない。
『ウヘヘヘヘへ。アナスイィーー!!てめェーーにはこいつらにぶん殴られて再起不能なりなァーー!!』
すでに自動操縦に変え、徐倫の量産していく。何処からかそいつの声が聞こえるアナスイだが、見つけるより前に徐倫達が5、6名襲って来た。
「うおおおおお!!“ダイバー・ダウン”!!」
自分のスタンドで襲った彼女達を返り討ちにしたが、1名だけ完全に倒せておらず、スタンドの顔を殴る。
「ぐほお!!」
『私が作ったんだからスタンドにも直接攻撃できるぞォーー。ほらほら早くしないともっと増えるぞ。さァーーて、本当の徐倫と私は何処にいるでしょうか?』
「アナスイ!!本物は私よッ!!ここにいるわよ!!」
しかし、徐倫の叫びも空しく至る所から同じセリフが出てくる。アナスイの頭はパニック状態だ。もうまともに思考出来ない。
「うわああああああ!!!本物はどれだァーーーーーーーッ!!!どれが本物なんだァーーーーーーーーーー!!!」
『無理よ・・・あんたが私に勝てる筈がない。ここまで正確に素早くしかも丈夫な絵が描ける時点でもう終わりよ・・・成長した私達の勝ちよ・・・さようなら』
パニックになっているとどんどん徐倫が襲い掛かって来た。幾ら何でも数が多いため全てを捌ききれず、アナスイはどんどん傷をおった。
それを見て、“イマジネーション”も勝ち誇っていた。そのとき何処からか徐倫の声が聞こえた。
「しっかりしなさいアナスイ!!気をしっかり持つのよ!!よく考えて、“本物と偽者”で惑わされちゃダメ!!ようは“絵と私”だけなんでしょう!!」
「・・・!!そうか・・・そうだったな。所詮、偽者は“空想”、“絵”でしかねぇ!!」
ビヨヨヨ~~~~~~~~~ン!!
徐倫の言葉で気が付いたアナスイ。そして彼は思いっきりジャンプした。
「脚をバネに『改造した』!!そして、このまま殴りぬけるッ!!」
弾性エネルギーで天井までジャンプしたアナスイ。そして、そこの“火災報知機”を叩き壊す。
ジリリリリッと非常ベルが鳴り、天井に設置されていたスプリンクラーから水が出てきた。その水でどんどん徐倫達が崩れていっている。
「そうだよな、所詮“絵”だから水に濡れたら崩れるんだよなあ。あんがとよ徐倫」
「どういたしまして」
絵は濡れたら絵ではなくなる。そんな当たり前のことを教えてくれた徐倫に感謝したアナスイ。
そして、アナスイが床に着地したときには全ての絵が崩れて残ったのは、アナスイ、本物の徐倫、そして、
『ひええええええええええええええええええ!!!』
“イマジネーション”だ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
絵を描こうとしても放水はまだ続いているから描けない。何も出来ない“イマジネーション”は只のスタンド、爪から黒いインクが漏れながら怯えているだけのスタンドだ。
そして、無能なスタンドに近付くアナスイ。
「なるほど、爪からインクを出して描いていたのか。通りで色んな所に描けるはずだ」
『あわわわわわわわわわわわわ』
もうすぐそこまで来ているアナスイに冷や汗が止まらない“イマジネーション”。逃げ道はもうない。あるのは・・・・・
「さてと・・・・・それじゃあ・・・・・始末するッ!!」
ドォーーーーーーーーーーーーン
『死』だけだ!!
『ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!』
「“ダイバー・ダウン”」
怯えているスタンドに“ダイバー・ダウン”が入り込んだ。
『何・・・・・何をしたんだ・・・・・私に・・・・・』
「てめぇーの肉体そのものに『潜行させた』」
『え・・・・・それっ・・・・・ぎょぼおおおおお・・・・・!!!』
次の瞬間“イマジネーション”の体が穴だらけになった。これは怯えている“イマジネーション”にとってはかなり恐怖ものだ。死に対する恐怖がより強くなった。
「内側からブッ壊すんだぜ!!」
『うるわああああああああああ!!!』
「本体に伝えておけ、“次はてめーの番だ”と」
ドカアアアアアアアアアアアアン
“イマジネーション”の体は粉々に吹き飛び、消滅した。もう放水は止まっている。そして、アナスイは体育館から出ようとする。
「行くぜ徐倫、
徐倫は今の今までのことが分からないけど頷いて、体育館を一緒に出る。そして、エルメェス達と合流し、晴美の家へ急ぐ。
“イマジネーション”・・・・・再起不能 しかし、すぐに復活した。
「ふう~~~~~。やっと終わった~~~」
場所は晴美の部屋。同人誌の原稿を描き終えた晴美。かなり清々しい気持ちの彼女は笑うことしか出来なかった。
(今頃、アナスイさんは倒されているだろうな、あれほど有利な状況を作ったんだから特別スタンドがヘマしない限り、大丈夫のは・・・・・うっ!!!)
そう思っていると、晴美に突然の吐き気が襲った。これは“悪阻”ではない。スタンドが倒された事を知らせる症状だ。
スタンドが経験した事が本体に伝わってきた。晴美は吐くのを必死に耐えて体を起こす。
「や・・・やりますね・・・私のスタンドをここまでするとは・・・いいでしょう。ここは、私のスタンドの“真の力”でアナスイさん、彼方を倒してみせましょう」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
彼女の言う“真の力”とは、千里も恐れる脅威で未知の力だ。
そして、晴美は家を出た。部屋が滅茶苦茶になるのは御免だからだ。後、見られたくないから。
こうして、晴美とアナスイの最終決戦の幕が今、開きつつある。
To Be Continued・・・・・⇒