「さてと、これで眼前の敵に集中できるということですね」
承太郎との通話で布化の能力を解除させた後、望は敵のパルチェを睨みつけた。
音石の事は彼等に任せたので、余計な錘が外れてこちらの現状を打破できるからだ。
一方睨まれているパルチェはそんなことを関係なく、お構いなく彼等との距離を縮めていった。
状況は依然として膠着状態。一進一退を続けていったが、パルチェはある程度離れている望に聞こえる位の大きさで話した。
「おいッ!そこの!てめぇ、何つうんだったけ?」
パルチェの質問をバッチリ聞き取れた望だが、答えようとは更々なかった。
理由は簡単。答えてしまえば言霊を奪われるなら、逆に答えなければいいと思ったからだ。
「おい聞いてんのかあ!?『答えろ』って言ってんだろうがッ!!早くしろッ!!」
望を焦らそうとするパルチェだが、望は断固して答えない。暫くこのやり取りを続けると、パルチェは肩を竦めだした。
「はあ・・・てめぇ・・・一応てめぇの身の事を案じていたのに、いた仕方ないなぁ・・・」
パルチェは何やらブツブツと言っていたので、周囲の人達は聞き取れなかった。その直後、望の携帯が鳴り出した。普通ならそこで携帯を取り出すところだが、望はしなかった。
何故なら・・・・・・・・・・望とマントから言霊が出てきたからだッ!!
ドジャアアアアアアアアアアアアン
「なッ!!何イイイッ!?答えなくても奪われるだとォォォォォ!!」
「それに・・・マントになっていた私もッ!??」
ドサッッ
二人の言霊は“クイズパレード”の壺の中に吸い込まれ、それと同時に二人は白目を向いて倒れてしまった。これを見た彼等は血の気が引いた。
「う・・・嘘よ・・・先生がこんな・・・呆気なく」
「ンフフフフ。これで厄介な奴は倒せたかな」
奈美は自分達の担任がこうもあっさりと倒されてしまった事に戸惑う中で、パルチェは次なる標的を見つけた。
「よぉし。それじゃあそこのチビガキと金髪と女。名前・・・何つうんだ?」
「「「・・・!!?」」」
パルチェの次なる標的はエンポリオとカエレと奈美だった。三人がその事に気付くとある行動をとった。
それは、『逃げる事』だったッ!!途端に彼等は踵を返して走り去さろうとした。
だが、三人が2,3歩進んだ直後、口から言霊が出て来た。
「・・・!?そんなッ!三人一遍にッ!!なんでもありかよッ!!」
「そうだ、全く分かってねぇな・・・逃げも隠れも出来ねぇんだよッ!!“逃げる”ということは回答を拒否したものと同等なんだよ。面接で試験官の質問に答えなくて0点で落ちるように、目上の人が上座に座ってから自分も下座に座るように、“質問をされたら答える”ということは常識レベルで至極当たり前だろうがッ!!」
逃げた三人にパルチェは説教じみた台詞を吐くが、当然ながら言霊を奪われた彼等に聞こえる筈もなく、3つの言霊は壺の中に吸い込まれ、後の亡骸はバランスを崩して倒れた。
それを見て徐倫は“クイズパレード”のチートさにツッコミを入れた。
それらが吸い込まれたのを確認すると、パルチェは辺りの奴等にまるでバカを見下す天才の様な形相で睨みつけた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「これで・・・分かったか?伊達に幹部を勤めてんじゃねぇ。それなりの実力と自信があるからこそ俺は組織で幹部を勤めてんだ・・・。貴様等は俺の“クイズパレード”の前では何もかもが無力だッ・・・」
「組織ィ?私等の命を狙う輩が組織単位なのか」
「おっと、お喋りが過ぎたな・・・まあ知ったところで如何もならねぇがな」
パルチェが言った「組織」という言葉に徐倫が反応し、有力な情報を得た。このことに気付いたパルチェは露見してしまったにも拘らず冷静さを保ち、余裕の態度を見せた。
「何事も冷静が肝心だぁ。物事を思案するときも熟考するときも冷や汗掻いて慌ててやるよりは余計な考えを捨てて頭ん中を整頓させた方が十中八九・・・良い」
常に自分が冷静な態度を示す事は、より相手を術中に嵌めさせ、術策の通りに動かす為のミーンズだという意味で解釈出来るパルチェの人生哲学。そして彼は、そのことを述べた後、次の狩りを始めた。
「そ~~~れ~~~では~~~と、そこの包帯女。お前の名前は一体なんだ?と問う」
「・・・!!」
「あ・・・びる・・・」
次なる獲物、小節あびるに目を付けたパルチェは彼女を指名する。それで、徐倫は指名されたあびるを心配して、彼女を見ると、あびるは離れるどころか、怯える様子もなかった。
只彼女は前へ進んでいった。一歩一歩、パルチェに近付く為に。
「フッフフフ。まあそうだろうな。逃げも隠れもできねぇんだから間違ってはいねえよ。後は“答える”だけだぜ君ィ」
あびるは彼との差を3メートル程まで開けた後、残り少ない時間で熟考する。
(・・・くっ、どうする。どうやって“答える”?どうやって抗う?どうやって・・・ダメ・・・やはり私の名前を言うしか・・・でも、それだと私が・・・いや、結局同じかぁ)
「お~~~~~い・・・そろそろ時間だぜ~~~」
あびるは何とかじっくりと抗う手段を考えようとするが、それといった良い案が出てこない。時間だけが流れていく。パルチェが制限時間間近だと伝えてくるので、あびるは万策尽きて素直に自分の名前を答えようと大きく息を吸った。
その時、声を発するより前にあびるは咄嗟にある推測が脳裏に浮かんだ。そのことが脳全体に循環したとき、発する言葉を変更した。
「
辺りにいた生き残り達は揃ってきょとんとした顔をした。何故なら彼女は“嘘をついた”からである。
「ば・・・馬鹿野郎ォ!!“中の人”の名前を言う奴がいるかぁ!!結果として死んだだろうがあああ!!!」
「いやアナスイ。“中の人”って何?ってか、そっちじゃあないでしょう!?」
アナスイの一部の人しか分からないボケを徐倫が捌いたあと、この事について深く考え始めた。
(あびるはさっき嘘をついた。確かに『嘘をつくな』とは奴自身の口から言ってはいなかったが、奴のスタンドの実体は完全に掴めちゃいないのに・・・何故だ?自分を捨て石にするつもりなのか?)
あびるの行動に疑問に思う徐倫だが、そうこうしている束の間にその勝負の勝敗が確立した。
「ぼげろろろーーーッ!!」
「あびるッ!!!そんな、嘘を言ってはいけないのか!?」
勝利者はパルチェ・トミート。敗北者は小節あびる。敗れたあびるは口から言霊を取られて地に伏せてしまった。徐倫が“クイズパレード”の脅威を目の当たりにしたとき、パルチェは徐倫の台詞に一部訂正をかけた。
「違うさ徐倫。別に嘘はついても構わない。只、人が質問に答えるという事は、必ずしもその答えで間違えないという確固たる自信があるのだよ!さっきの娘は自分の名前を答えなければならないと自覚していたが、ぎりぎりであの策を思い浮かんだのだろう。だが、いくら嘘をついたところで、一度でもこうだと自覚すれば、意味はないのだよ」
あびるの敗因は気付くのが遅かったことだった。たった1つの単純なミスが自分の首を絞める羽目になったのだ。
しかし、そこで立ち止まる訳にはいけない。彼女の屍を踏み台にして前に進まねばならないッと思っている人物ーーナルシソ・アナスイが颯爽と前に現れた。
「徐倫・・・何も言うな・・・何もだ。仮に俺が負けたとしても決して君は激情してはならない。考えなしで勝てる相手ではないからな」
アナスイは後ろに振り返り徐倫に忠告をしたあと、聳え立つパルチェという名の壁へ向かうのだった。
「ほほぉ・・・自ら名乗り出てくるなんて・・・大した玉を持っているじゃねぇか。その玉に免じてちょっと質問を変えてみるか」
アナスイの根性を見込んでパルチェは質問を変え始めるようだ。
一体どんな質問が飛んでくるかとアナスイは息を呑んで待った。そしてパルチェの口から発射された質問が辺りに響き渡った。
「おい。ほんのちょっとでいいからファイルを見せてくれないかぁ?」
アナスイや周りにいた人が聞いた質問は何とも不思議なものだった。何か意味があるのかとアナスイは思うが、一先ず答える事にした。
「ああいいぜ。好きにしなよ」
「サンキュー」
アナスイが許可した事で早速ファイルをペラペラめくってパルチェは眺め始めた。
そのとき口からさっき言った言葉が出ていって“クイズパレード”の壺の中に入った。
(ちっ、こんな事でも取られるのかよ)
とアナスイが思っているとパルチェはものの五秒程でファイルをパタンと閉じた。
やはりパルチェには何らかの狙いがあるとみなし、アナスイが問おうとしたが、それはパルチェの新たな質問によって遮られた。
「ところでもう一つ訊ねてもいいか。実はもう喉がカラカラなんだよ。だから水を飲むことを許可するか?それともしないのか?先に言っとくが、質問に適する答えなければならないからお前は『許可する、しない』しか答えられないぞ。別に全く意味が違う事を言ってもいいが3回までだ。それ以上は命の保障はない」
「ふん。別に許可してもいいぞ」
「サンキュー」ゴクゴクゴク
又しても少し変な質問を繰り出してくるが、アナスイはその質問に対して肯定し、パルチェに水を飲ませてあげた。その後、又してもアナスイの言葉の言霊が取られる中、パルチェは懐からペットボトルを取り出し、豪快に飲み、ボトルの中の水が空になるまで飲んだ。
それを飲み干したあと、プハーと息を吐き、パルチェは満足そうな顔をして、急に言い出した。
「それでだアナスイ。水を飲ませてくれた礼に今まで奪った言霊を返して、お前等を助けようではないか。お前はそれを許可するか?それともしないのか?」
それを聴いた瞬間、誰もが仰天した。こいつは一体何を言っているのかと。
普通人質となった人達を返す強盗はいるだろうか。返すとしても何らかの罠があるに違いない。しかし、答えなければ死んでしまうので、アナスイは答えるしか出来なかった。
アナスイは自分を捨て身の特攻をするかの如く発言した。
「『ひょは』する!」
「あれっ?『ひょは』する・・・『ひょは』するッ!・・・『びょば』ずるッ!『びょば』ずるッ!!『びよば』ずるーーーーーッ!!!」
アナスイは『許可する』と言いたいが、何故かそれが言えない。周りは不思議に思う中、アナスイは汗をにじませて叫ぶのだった。
「おいおいアナスイ。何言ってんだぁ?もう一度言うぜ。お前は言霊を返しててめぇ等を助けてやろうか?それともいいのか?」
「うぃうぃです・・・・・えっ!?」
質問を繰り返されたが、尚もアナスイは上手く答えられない。タイムリミットはもう直なのに。
(何故だ!何故俺はこんなに上手く話せるのに『許可』と『良い』が喋れねぇんだ!?)
「フフフ。時間オーバーだッ。ナルシソ・アナスイ」
パルチェがそういった後、アナスイの口から言霊が出てきてしまって又もや彼に奪われてしまった。
「ふはははは。偶にはこんな質問をしてスリルを味わうのもいいな」
「何故・・・こんな・・・・・」
「聞きたいか徐倫?単純な話さ。2つの質問で『許可する』と『いい』の言葉を奪ったことで、あいつの中からその2つを消したんだよ。それによって奴は2つの言葉が言えなくて俺の質問に答えることができなくなったって訳さ」
徐倫はアナスイが敗れたことに落胆させられ、それに加えて、パルチェがダメ押しにもう一撃をくらわされ、深い絶望感が募った。
徐倫だけではない、周りの生き残っている子達も希望の光を失っていた。
「駄目だ・・・勝てないッ。こいつをどうやって倒せばいいの?“質問され”れば終わりだッ!かといって奴を倒せば奪われた糸色先生、あびる、アナスイ達の魂が死んでしまう・・・如何すれば・・・」
誰もが一寸先はどんな光も届かない闇にいる状態だった。この場で動くものはいなかった。一歩踏み出せば落とし穴があるかも知れない。躓いて転ぶかもしれない。
そんな視えない恐怖に怯える徐倫立ちの中で一人が一歩を歩み始めた。
「皆さん。希望を捨ててはいけません!気をしっかり持ってくださいッ!!」
徐倫たちの耳に聞こえた凛々しく慈愛に満ちて安心する声で語る者がいた。徐倫は今にも崩壊しそうな目でその人物を見た。
その人物は独特な耳のように大きい2つの団子して、左の前髪に十字型のバレッタをした少女、風浦可符香がそこにいた。
ドーーーーーーーーーーン
「例え照らしてくれる光が無いなら貴方達自身が光となれば、自ずと道は照らされます。足下だって見えます」
「可符香・・・あんた」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
可符香の演説は今にも衰亡しそうな彼、彼女達に希望の光を照らし、奮起させた。その光景を見て、さっきまでニヤけながら眺めていたパルチェは眼光を鋭くし始めた。
「風浦可符香・・・てめぇを真っ先に葬る必要があるようだなあ、こりゃあ」
「はなっからあなたとはやりやうつもりでしたよ。今の私は情報通りの電波さんとは訳が違います。私の精神状態は今ッ!!極限状態に達しています。私の師と級友、そして仲間を無残に殺した上、残された者達を失意のドン底に落としたことで怒りがグツグツと煮えたぎってますからねぇ!!そして!!私の口から申し上げるのは抵抗がありますが、彼方を絶望の二番底、三番底に叩き落ちて地獄に行ってもらいますッ!!パルチェ・トミートさん!!」バーーーーーーーーン
可符香の熱弁こもった宣戦布告をする瞬間、彼女の背後から人型のスタンドが出現した。そのスタンドは拳の第三関節に石がはまっており、太腿や腕や頭にパワースーツのようなものを装着しているスタンドだった。
そのスタンドをも出しての宣戦布告を可符香が申し上げてパルチェは額に血管を浮き出させた。
「ヌヌゥ・・・・・この俺をコケにしやがってぇーーーーー。いいだろうッ!!かかってこい小娘がァーーーーーーーーーーッ!!!その生意気入った態度に敬意を表して1つだけ質問させてやるよッ!!!」
可符香の態度にプッツンしてしまったパルチェは彼女に一度だけ自分に質問するチャンスを与えてくれた。そして彼女は少し考えた後、彼に質問した。
「私のスタンドは“デッド・ラインダンス・デス”と名づけているんですよ。近距離パワー型で能力は“岩石を自在に操れる”能力なんです。そしてその距離は4~50メートル・・・」
「おい。質問って意味知ってっか?それってただの雑談じゃねぇか。常識あんのかこの野郎!」
可符香の『質問』はまったく質問と言えるものではないただの自分のスタンドの説明のことなのでプッツンしているのにパルチェは更にプッツンしかけたのだ。
周りもそうだ。きっと彼女は何やら頓知の効いた質問を繰り出すと思いきや全く違うものになっているので気が抜けてしまった。
しかし、周囲の温度とは違う可符香はニコニコ(悪い意味で)していた。
「これから彼方を殺すのに何の情報も与えないのは不公平ですよ。だから教えて上げたんです。それ以外で彼方に伝える情報なんてありませんよ」
「プッツ~~~~~ン。頭にきたぞぉ!!嘗めやがって!そんなに死にたいなら直に殺してやるッ!!てめぇの名前を答えろォォ!!この小娘があああああ!!!」
可符香の挑発に彼は二度目のプッツンをしてしまい、最早さっきまでの冷静な態度は存在していなかった。
彼が可符香に名前について質問したあと、彼女はなんぴとたりとも表情を変えずに返答した。
「風浦可符香」
「何ッ!?何言ってんだああああああああああ!!!可符香ぁああああああああああ!!!」
可符香はあろうことか何の偽りも無く、自分の名前を言ってしまったのだ。徐倫はそのことを何故ゆえに言ったのか分からず、思いっきりシャウトした。
彼女が何を考えているのか、何の意図がそこにあるのかと徐倫が思っている時に、徐倫とは対照的にパルチェは笑い出した。
「ぐわははははは!バカがあああ!!何をしたいのか分からんが・・・食らいやがれーーーーーッ!!」
彼女の愚かとも言える行為にパルチェが失笑しながら言霊を取り出し、壺の中に押し込んだ。
「ウウィィィハハハハハ!!こんでもっててめぇ等の生きる希望は消え去った。あとは算数の問題を解くように楽に殺し・・・「それで・・・次は何ですか?」・・・ッ!!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
パルチェは最初幻聴だと思った。しかし、その生々しいドスの効いた言葉は存在感が有り触れていた。
その天からの声のような音が彼の脳を響くごとに彼は冷や汗を掻き始めた。
(何故・・・だ。何故・・・何故なんだ。何ゆえにこんな事が起きているんだ!?)
声が聞こえた方へパルチェは向くと、風浦可符香の姿は、さっきまでとは何も変わらず、凛々しく聳え立っていた。
「あり得ないッ!!合っている筈だッ!!お前の名前はあれで
「えぇそうですよ。半分正解です。ですがその名前は〔P.N〕なんですよ。要するに偽名です。私の本名ではありません」
今になって分かった新事実がパルチェの調子を崩していった。そのことで焦ったパルチェはファイルを取り出し、ページを捲りながら考えた。
「偽名だとぉ!?嘗めやがってッ!!徐倫達は偽名で呼んでいたのかあ?くそッ!・・・おっ、あったぞ。ククク、
ファイルのページを捲って探りついたあるページに可符香と同じ姿の写真があった。その事に確信したパルチェは再度質問した。
「小娘ぇ・・・お前の名前は何だ?本名だぞ、本名を言えよ!!」
「えぇーーー。本名!?」
笑顔が崩れて不気味笑いになっているパルチェは再度同じ質問をすると、可符香は少し嫌がりながらも答えた。
「丸井円だけど・・・・・・・・・・・・・・・・・ウプッ・・・」
答えた事で再び言霊を奪われた可符香。しかし、今度はやけに苦しそうだった。
(やった!勝った!バカめッ!今度こそ俺の勝ち・・・「ゲホゲホ。うぇぇ・・・
噎せて咳き込む可符香を尻目にパルチェの頭の中は暴風雨の如く荒れていた。
(何故だ・・・何で・・・もうわからねえ・・・何がどうなっているのか・・・ウケ、ウケコ、ウケケケケ。ウケハハホホホハヒヒヒホホハ)
訳が分からなくなり、珍語を頭の中で駆け巡ったパルチェを可符香は細い目で見るようになった。
「ネタが無くなってしまったんですか?それじゃあ私の番ですよ。先ず彼方の名前は何なのか?いくつなのか?誕生日は?生まれは?身長は?体重は?血液型は?・・・」
「いや待て待て待て。質問は1つずつだ。いいか、1つずつだ。俺はパルチェ・トミート、25歳独身、生まれはアメリカのノースカロライナ州、5月26日に生まれ、身長は173cm、体重は63キロでA型の男だッ!」
パルチェが質問しなくなったので可符香がマシンガンの如く質問を流していったが、彼は途中で遮り、律儀に答えいった。そして、彼女はフッと顔の影を濃くしてもう1つ問いた。
「ねぇ、パルチェさん。『解除』って彼方が言えば、能力は解けるの?」
「ああ!?決まってんだろう。『解除』って言ったら・・・ハッ!!」
パルチェは可符香の質問に答えたとき、実は頭に血が上っていた。散々自分を小馬鹿にする態度が気にくわないのと彼女の名前を答えさせても彼女の魂を奪うことが出来なかったからだ。
だが、ふと冷静になって自分が言ったことを瞬時に思い出すと、パルチェは冷や汗が止まらなかった。何故なら言ってはいけない“あれ”を言ったからだ。
『禁句』。それを言ってしまえば、能力が解き放たれて奪った言霊があるべき場所へ還ってしまう。そのことが脳裏に映ったときに“クイズパレード”を見ると、今まで多くの言霊を閉じ込めた壺の蓋がガタガタと鳴り出し、勢いよく蓋が吹っ飛び中の言霊が飛び出してきた。
「言ってないッ!!俺は一言も『禁句』を
「認めてもらってよかったですよ。
壺の中から今まで奪ってきた言霊が噴出しているのを見ながら、パルチェは自分が禁句を言ってしまったことを否定するが、逆にこの否定が禁句を言ってしまったことを肯定していることに当の本人は気付いてはいない。
無事パルチェに禁句を言わせることに成功して安堵する可符香は言霊が本来の持ち主の元へ戻り、魂の言霊が戻って息を吹き返す仲間を確認する。
「ん??戻ってきたのですか、私達は・・・」
「うぐおおお・・・気分が悪いぜ・・・」
「望ッ!!エルメェスッ!!甦ったッ!!全員甦ったよおおお!!」
気が付いた望とエルメェス達に徐倫達が駆け寄った。正に絵になる光景が広がる中、パルチェはずるずると近付いてきた。
「ぐううう・・・よくも・・・しかし、次こそは・・・「彼方に次はありませんよ」・・・ッ!!「ボカァアアン」グゲバァア!!!」ドシャアア
近付くパルチェだが、突然地面から出て来た“デッド・ラインダンス・デス”に殴り飛ばされた。そして痛みに耐えながら体を起こそうとするパルチェに可符香が近付いてきた。
「あなたには『星』になっていただきましょう。燦然と輝く『一番星』にね」
「いぎ・・・いぎぎぎ」
可符香がパルチェの処刑を執行しようとするが、パルチェはそれに待ったをかけた。そして、かすれた声で彼女に尋ねた。
「風浦可符香。いや丸井円か?どっちでもいいが・・・本当にお前の名前は何なんだ?頼む。能力は使用しないから・・・答えてくれッ。お前は一体何者なんだ!??何者なんだああああああああ!!!」
彼の必死の叫びに彼女の心が響いたのかは分からないが、彼女は包み隠さず答えた。だが、その瞳は黒くくすんでいたが・・・・・。
「
ドタタタタタタタタタタタッ
パルチェはその名前を聞いた瞬間、尻餅をつき、後方に下がった。そして、瞳孔を思いっきり開けて可符香を見た。
「ばかな・・・そんな・・・そんなことがある筈が無いッ!!その名前は・・・その名前は!!」
パルチェが何故挙動不審になっているのか徐倫やアナスイ達は分からなかったが、それ以外は顔の影を濃くして沈黙していた。
「俺は3年前まで、組織に入るまでは警察官として働いていた。だが、俺の仕事は現場で手がかりを探す捜査官や死体から何かを検出する検査官といったものではなく、ただ単に死体を保管するだとか、死体の遺族に連絡するだけのクソ役にも立たねぇ無意味な仕事だが、頑張って続けていけば、部署の移動もあるだろうと思っていたが叶わず辞めたのさ。だが・・・5年前、丁度日本で仕事をしている時に、俺は運び込まれた死体の中に“赤木杏”という名を見たことがある。同姓同名かぁ?もし違うなら、どうして5年も前に死んだ奴が出てき・・・待てよ。まさか・・」
パルチェが自分の過去について語っていた時に、突如脳裏にある推測が浮かび上がった。そして、懐からファイルを取り出すと、ページを捲りだした。
そして、あるページでパルチェは止めると、急に気をおかしくしたらしく、発狂しだした。
「エハハハハハ・・・そうかッ!そういうことかッ!何故2のへ組に執着し、居座り続けるかが今になってわかったぜッ!!クハハハハハ・・・てめぇ等・・・いずれお前等のせいで、全世界が激しくうねりだすッ!!その時代で、平和に生きれるとは思うなよッ!!エヴァアアアハハハハハハハハハハッ!!!」
「おいッ!!てめぇ、一体何のことを言ってやがるッ!?」
「エア!??知らねぇのか徐倫?こいつ等はただ単に学園ライフを送ってんじゃなくて、たいな「ブギヂョッ!!」・・・イウエエッ!!」
パルチェが言う事の意味を問いただそうとする徐倫だが、完全に彼が言う前に、可符香が彼をスタンド能力で地面を拳状に浮き出させ、彼を空中に巻き上げた。
「申し訳ございませんが、彼方にこれ以上漏洩される事は許しません。何も知らないチンピラ如きに何が分かると言うのですかーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
眉をピクピクさせ、激しく憤怒している可符香は、その場の地面を殴りつけてパルチェを見上げた。
「“冥土迷鳥”ッ!!」
彼女がそう叫んだ時、地面が割れ、崩壊していき、その断片が彼に向かって一斉に突撃しに行った。
「ウギグゲゲッ!!!」
地面の断片に彼は纏わり付かれてしまい、終いにはそれを球体の形に形成させて閉じ込められてしまった。そして、可符香は手を満面なく開いた右腕をそっと振り上げたと思うと、すぐさまぎゅっと閉じた。
バキバキ バキバキ バキバキ バキバキ バキ バキバキ
「ぎゃあああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」ドブグシャアアアアアア
バキ バキバキ バキバキ バキバキ バキ バキバキ バキ
その後、意志の集合体の球体は瞬く間に収縮し、パルチェの囂々とそいつの何かが砕け散る音と破裂する音が響いた後、石と石のわずかなスキマから鮮血が迸る。
「最低なんだったけど、八面六臂な人には変わらない。だから『パルチェの墓星』と名づけておきましょう」
可符香はその塊を見て、独り言の様に呟いた後、その墓を後にして徐倫の所に向かい、少し頭を下げた。
「すいません・・・でも、そうせざるを得なかったんです。私は・・・」
「別に怒ってはいないけどらしくないわね。一体何があるの?」
「それは・・・「ハッ!死にやがったぜ。あの野郎」・・・ッ!!」
一戦終わって気が落ちている時に、全く聞き慣れない声が聞こえた。
彼等は声がした方向、上り台の方へ見ると見た目からして20代のいかした女性が一人、否、それだけではない、上から降りてきた大型の鳥がそこにいた。
「本当だわい。幹部になって日が浅い青二才が!!あたいを嘗めるんじゃないわいッ!!」
降り立った鳥は流暢に人語を、否よく見たら嘴の中に女の顔が見える。
まあともかく彼女は死んだパルチェに文句を垂れる。
「結局の所、詰めが甘かったのよあいつは・・・でも私等は違うわよ。泣こうが喚こうがてめえ等をぶっ殺す!!」
「そうわい!その体をズタズタにして猛禽類のエサにしてやるわいッ!!」
突如現れた二人の女のスタンド使い。校庭での戦いは更にヒートアップ。
今、一世一代のサバイバルバトルが始まろうとしていた。
パルチェ・トミート -ースタンド名:クイズパレードーー 死亡。
To Be Continued・・・・・⇒
ーープロフィールーー
・パルチェ・トミート 25歳。独身。男性。
アメリカ、ノースカロライナ州、5月26日生まれ。A型。
職業はギャング。元警察官。
性格は慇懃無礼。冷静沈着。パニくるとボロが出る。
スタンド名:クイズパレード
【破壊力:なし スピード:なし 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:E 成長性:E】
能力:質問に答えた時の言葉を奪う スタイル:近距離操作型 分類:人型
次回予告
??? 『幹部トップ5の力を思い知れわいッ!!』
??? 『触れたもの全て・・・』
エルメェス 『何ーーーッ!!!鳩がぁーーーッ!!!』
??? 『滅殺する霧・・・』
アナスイ 『やめろッ!無茶にも程があるッ!!』
??? 『私の霧に敵うものなぞ無いッ!!』
エンポリオ 『あんたは人を見かけで判断しすぎだッ!』
??? 『このビチグソがァァーーーーーッ!!!』
『第拾七話 侵入者を討て!!その⑤』