強敵パルチェを撃破した直後に現れた二人の女スタンド使い。一人は見た目20代後半でスタイルはよく、細い体をしているのにジャージを着て、上り台に腰をかけている女性と、スタンドと思われる怪鳥の口から顔を出している女性。
その二人が先程勝利に歓喜していた徐倫や望たちに向かって鋭い眼光を向ける。
「ずいぶんとブッ飛んだ予告を言うものね。そんだけ自信があるとは思うけど、これだけの数よ。無理ってものよ」
「無理ィ?いや可能だわい。確かにあたいはこいつのことをよくは知らないが、こいつの能力の怖さは十分に理解しているわい」
にらんでいる二人に徐倫がさっきの二人が言った台詞を論破する勢いで言い放つが、スタンドを身にまとっている女性から今度は徐倫の台詞を論破する勢いで言い返した。
そう彼女が言うと徐倫は気の抜けた調子で言った。
「へぇ~~~そう。なら来てみれば?私たちの実力も知らないで余裕かましているてめぇらにお灸を添えてあげるわ」
「「・・・!!」」
さすがに見え見えの挑発だが二人にとってはかなり頭にきたようだ。
そして、その挑発を受けて二人は戦闘態勢の構えを取り始めた。
「いいだろう。乗ってやるよ!!だがしかしッ!!『乗りこなす』のはあたいらだッ!!っつうことでいいわよねぇ~~~~~」
「ナメやがって、クソッ!!クソッ!!タンカス程度のてめぇみたいなやつに・・・クソむかつくわいッ!!ゼッテーブッ殺すわい。ゼッテー」
前者はシアン=アミグダリン。 スタンド名―ブラック・ミスト―
後者はセルリー・シチュー。 スタンド名―ストーム・ライダー―
スタンドを身にまとった女―セルリーは徐倫の挑発に頭が来て、徐倫に向かって空中を滑空しながら突撃してきた。
「ブチ殺すッ!!!あたいのスタンドで必ずブチ殺すッ!!!なめやがって・・・幹部トップ5の力を思い知れわいッ!!」
猛スピードで向かってくるセルリーに徐倫は迎え撃つ準備をするが、後ろのシアンが急に大声で言い放った。
「何やってるのよあんたはッ!!そこをどきなさいッ!!あたいの能力に巻き込まれたくなかったらねぇ!!」
「はぁ!??・・・ちっ、仕方ないわい」
ギュウウウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーン
シアンの台詞からセルリーはやむを得ず急上昇した。
否、ただ急上昇したわけではない。シアンから離れるように大きく旋回した。
そして、彼女が旋回するやいなやシアンはまるで『波』のようなものを飛ばすようなポーズを取り、自分の前にスタンドを発現させる。
至る所に管が露出している人型のスタンドで、本体と同じポーズをとっているが、そのうちに掌の管から何やら紫色の気体を出し、球状に固めた後、それを勢いよく飛ばした。
ボウフウウウウゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーン
シアンと徐倫たちとの距離の差は十数メートル程あったが、その発射された「何か」は発射された音とともに、勢いよく徐倫たちの方向へ進行していった。
徐倫たちは身の危険を感じて、右と左の二方向に回避した。そして、徐倫たちがさっきいたところでその「何か」は弾け、拡散した。
この時、徐倫や特に戦闘経験の多い者はしまったッと悟った。
(あの紫の「何か」は私達を「
望がそういうふうに考察するが、そう思った直後、近くの地面に小さい穴が開き始めた。即座に望はその場から離れて、頭上を見ると、セルリーがこちらに向かっていた。
「ギヒヒヒヒ。惜しいわい。あと少しでその足を蜂の巣のようにできたのによぉぉーー。勘のいい奴だ」
「ムムム。・・・この人なかなかやりますね」
セルリーに対して望は少し敬意を表すると、すぐに彼女の能力の解析をし始めた。
(小さい穴が鮮やかにブレもなく空けられている・・・・・彼女・・・一体何を飛ばしたのでしょう?そして、今気づいたことですが、両翼に4つ、骨のような突起物がありますが、能力と何か関係があるのですか?)
望は彼女の能力の解析を急ぎますが、いかんせん隣の方は大丈夫かと心配して、あまり集中できませんでした。
今のところ戦力は半々となっており、向こう側はまだ紫色の「何か」で充満していて、視界が悪く気になる望。
その彼の心配をよそにそっち側の人たちは隣の心配をしていなかった。ただ、決して薄情だからではない。
エンポリオやアナスイ、エルメェスや奈美、カエレといった者たちは前の敵―シアンにものすごく警戒しているからである。
いつまたあの「何か」を飛ばしてくるかで緊迫なムードになっている場で、シアンはスタンドを出したまま話の口を切った。
「どうも、改めて言うけど・・・あたいはシアン=アミグダリン。気安く“アミン”って言ってもいいつうことよ」
変な語尾をつけるシアン、通称アミンは、こちらに近づきながら軽い挨拶をすると、自分が放った「何か」に指を指した。
「あえて言うけど、それには触らない方がいいつうことよ。好奇心で触ってみようかなとか思ってんなら別にいいけど・・・」
彼女の話を聞こうが聞くまいが、もとから誰もそれに触りたいと思う者などいない。当然ながら、命の保証がないからだ。
誰もがそんなことを思っていたとき、数羽の鳩が何の警戒もなく恐ろしいその「何か」の近くにやってきた。
そして、とんでもない光景を見てしまう。ある一羽の鳩が急によたよたと千鳥足になったかと思うと、多量の血を口から吐き、苦しみながら倒れていった。ほかの鳩も同様に倒れていった。
「何――――――――ッ!!鳩がぁーーーーーーーーッ!!」
「こんなもの一生のトラウマものだよ・・・」
「ま・・・まさか奴の能力っつうのは・・・」
あまりにも悲惨な光景にエルメェスは大声が出るぐらい驚き、奈美は目をそむけた。そして、アナスイはアミンの能力の本質に気づき、彼女の方を見た。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「フフ。そう・・・それは『毒』よ。細胞をあっという間に壊死させて殺しちゃうっつう『毒』を持った霧っつうことよ。命拾いしたわね」
誰もが驚くその能力。『毒霧』を生成する能力ッ!!その圧倒的にまで、無残で、狂暴で、恐ろしい能力に誰が立ち向かえようか・・・。
その能力にたじろいでいる彼らを見てアミンはからかい始めた。
「ギシシシ。あんたら本当に腰抜けっつうことねぇ。あたいの『毒霧』にビビっておびえるなんて、かすかな物音で体を丸めるダンゴムシみてぇなものだぜ。ゲヘヘヘヘ。どおうだい??くやしくないのかぁい??くやしいだろう?ムカつくだろう?このあたいを倒すために死中の活を求めてぇなら来るんだなぁ!!まあ、そんな根性のへったくれもないだろうがなあ。ギハハハ」
アミンは警戒していたアナスイたちをひどく嘲り、目に涙を浮かべるほど笑ってやった。しかし、ここでずかずかと前へ行ってはいけないのは確かだ。それこそ死にに行くようなものだ。アナスイやエルメェス、そしてほかの人たちもそう思っている。
しかし、たった一人―エンポリオを除けば・・・
「お・・・おい!やめろッ!てめぇッ!!無茶にもほどがあるッ!!いくらガキでも手ぇー出してはならないことぐらい分かるだろうッ!!」
「うん、そうだよ。わかっているよアナスイ。でもね・・・それじゃあ僕らの『明るい未来』は永遠に・・・決して訪れないよ・・・」
アナスイは前進するエンポリオの肩を押さえて進ませないようにするが、エンポリオはその手を払いのけて、前進する。
ただ『明るい未来』の方へ―――アミンを倒すことしか考えていなかった。
アナスイはこの小さき少年の誇り高き志とまなざしを見て動くことができなかった。それは刑務所で徐倫がしていたものと同じだからだ。だから是が非でも止めようとする気になれなかった。エルメェスも同じ気持ちだ。
前へ進むエンポリオはとっさに心の中で思った。これまでの自分をだ・・・。
(僕はあの頃はただ逃げていた。恐怖から・・・現実から・・・“ホワイトスネイク”に勝てないという現実から・・・ただ逃げただけだったんだ)
彼は生まれてから数ヶ月前までずっと・・・ずっと刑務所の中で暮らしていた。外への憧れはあった。刑務所の外へ出てみたかった・・・だが、“ホワイトスネイク”というスタンドの存在に怯え、外へ出るという考えせず、こっそりと誰にも見つからないように生きていた。徐倫と会うまでは・・・。
(今思えば、どうして僕は外へ出なかったのだろう。いや、『外へ出る』という勇気を持てなかったのだろう。もしかしたらその勇気がそのときあれば、早く刑務所から出られただろうに)
そう。その勇気さえあれば“ジェイル・ハウス・ロック”に引っかかる前に出られたかもしれない。いつまでも恐怖におびえることもなかったのにだ。しかし、エンポリオは出なかった。たとえ出ても、彼は天涯孤独の身。母親は“ホワイトスネイク”に殺されている。そんな恐怖から彼はどうしても出られなかったのだ。
(だけど・・・今の僕にはそんな『恐怖』という者は存在しない。あるのは『仲間』と『闘志』だけだ。もう刑務所にいた頃の僕じゃない。今は徐倫お姉ちゃんや承太郎さん、アナスイやエルメェスたちがいるそんな『明るい未来』が僕の目の前にあるんだ。決してその『未来』は自分からはやってくることはない。自分自身で行かなきゃ・・・手に入れることはできない。だから僕は逃げない。たとえどんな困難が待っていようとも一歩ずつ一歩ずつ行かなきゃ・・・逃げても意味がないんだから、進まなくちゃッ!!)
その輝かしい覚悟を心中に秘め、着々と一歩を踏み出すエンポリオ。アミンはそれを見て半分あきれた調子で話しかける。
「あらら。肝が据わってるっつうことね。でもねボーヤ・・・あたいの能力は触れたもの全てを滅殺する霧っつことなのよ。つまりッ!あたいの霧にかなうものなぞないッ!!あんたのその信念を『毒霧』でボロボロにして殺してやるわッ!!」
そう言うと彼女はエンポリオに向かって『毒霧』を圧縮して、固めたものを飛ばした。あえて名付けるなら『毒霧弾』と言おう。その『毒霧弾』はかなりのスピードでエンポリオに向かっていった。しかし、それはエンポリオの目と鼻の先で大きくカーブし、軌道が逸れた。
アミンはそれを見て驚きを隠せなかった。しかし、彼女の行動には一分の無駄もなく、更なる『毒霧弾』を連射した。だがこれもすべて軌道が逸れて、エンポリオに着弾しなかった。そして、何発か打った後、アミンは何かを思い出して、攻撃をやめた。
「そうだったわね。あんた・・・“天候を操れる”能力だったわね。気流を操り、全ての『毒霧弾』をはじいたのね」
「そうですよ・・・それで?どうするんですか?あれだけ豪語していたのに僕を倒せないなんて・・・」
「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」
あれだけ自信ありげに宣言していたはずなのに殺すどころか倒せていないアミンにエンポリオがダメ押しすると、アミンは悔しがり、彼に向かって走り出して、接近戦を挑んだ。
エンポリオは彼女に対抗するために“ウェザー・リポート”を出して、彼女のスタンド、“ブラック・ミスト”のラッシュの嵐をこちらもラッシュの嵐で向かい入れた。
「がぁぁぁああああああああああああああッ!!!ちっっっくしょおおおおおおおおがああああああああああッ!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ ドゴゴ
壮絶なラッシュの嵐の中、二人の息は全くと言うほど乱れなかった。的確に拳を叩き込み、拳と拳の威力を相殺させている。スピードももちろんのことほぼ互角だ。だがあまりに長続きするのでしびれを切らしたアミンは大きく右手を振り下ろした。だが、その腕はエンポリオが後退したことによって大きく空振りし、空気を裂いた。しかし、そこで終わりではなかった。スタンドの手の甲から小さいながらも『毒霧弾』が発射された。
エンポリオはそれを気流ではじこうとするが、その前にアミンは素早く、懐からマッチを一本取り出して火をつけた。そして、後方へ下がるとともにマッチを飛ばし、『毒霧弾』に命中させた。
ドカァァアアアアアンッ!!
「おぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!!」ドンガラ ドンガラ
あろう事か『毒霧弾』はマッチに接触した瞬間いきなり爆発し、エンポリオは吹っ飛ばされてしまった。爆破規模が小さかったためかエンポリオはそこまで負傷せず、体はふらつくがなんとか堪えた。
そんな彼にアミンは自分の茶色い髪をいじりながら近づいてきた。
「ぶっっとんだでしょう?さっきのが『毒霧』のさらなる性質。この性質を利用させてもらったのよぉぉん」
「ぐは・・・耳鳴りがひどいな・・・これは水素並みかも・・・・・」
「えははは・・・おそろしいでしょう。だから無敵と言ったのよ。でだよボーヤ。君は焼けて死にたい?それとも毒に犯されて死にたい?ねぇどっち?どっちでッ!!墓碑銘を刻まれたいッ!!?」
かなり疲労が蓄積されているエンポリオにアミンは大量の『毒霧弾』を発射しまくった。エンポリオは同じように気流を発生させて向かい打つが、今回は途中で拡散し、エンポリオの周囲に停滞した。かろうじて自分の体を覆うように気流を発生させているため、霧は入ってこないが別の問題が発生した。
その問題とは爆破されることだ。
エンポリオは『毒霧』のないところへ移動しようとするが、すでにここまでの範囲まで散布されてしまったら、逃げ切れても爆発の余波をくらうことになり、重傷を負うことになるだろう。
つまり、今彼は万事休す―王手前だということだ。そうこうしているうちに上空に十数本の火のついたマッチがあった。こんな時こそ天候を操ってマッチの火を消せばいいのだが残念ながら今のエンポリオのスタンドパワーでは気流を操るだけで精一杯だったので、彼には落ちるマッチをただ見ることしかできなかった。
ドボオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン
さっきの爆発とは桁違いのパワーが発生し、その爆風であらゆるものを吹っ飛ばした。隣で戦っていた徐倫たちでさえも例外ではなかった。アナスイたちはすでにある程度の距離を置いていたので、爆撃の巻き沿いにはならなかった。徐倫は何が起こったのかと隣を見た。隣を隔てていた『毒霧』はさっきの爆発でともに爆散したか知らないが、はっきりと見えるようになった。そこで目にしたのは爆煙にまみれながら歩くアミンだった。
「ボーヤなら・・・徐倫。もうこの世にいねーっつうことよ。今の爆発で灰も残らなかったかもね」
「・・・・・・・・何だ・・・・・と・・・おい」
「現実を受け入れわい、徐倫。ガキは死んだ・・・よくやったよーなのは確かだがな~~。チェックメイトされたがあがいた方だと思うわい」
徐倫は爆心付近にいるアミンからエンポリオの死亡を告げられ、驚愕している。それを空中にいるセルリーがお世辞にもエンポリオを敬うことを言うが、その直後、ふとアミンの前方に『ゴミ箱』があることを見つける。アミンもそれを発見するがどうしてこんなものがと不思議に思っていると、その中から声が聞こえてきた。
「日本の『将棋』ってチェスと違って、とった駒を自分の駒として使えるらしいですよね。まあ・・・そこにはいろいろなルールがあるとは思うけど、今の僕は“そんな感じ”ですよ。『王を守るために駒を召喚し、王手を免れた』・・・っていう」
「ま・・・・・ま・・・・・まさかッ!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その声は聞き覚えのある声だった。そう・・・エンポリオの声だ。アミンがそれに気づいたときには、“ウェザー・リポート”の渾身のラッシュを叩き込まれた。
ドゴドゴと殴られ、アミンが吹っ飛ばされるとエンポリオはゴミ箱の中から出てきた。
「おそらくあんたは聞いていないだろう。僕の本来のスタンドはこの“バーニング・ダウン・ザ・ハウス”だ。“ウェザー・リポート”はただのもらい物だ。あんたは他人を見下しすぎなんだ。そこからスキにつながるんだ。あんたは人を見かけで判断しすぎだッ!!そこからあんたは敗北につながることをまるっきり理解してなかったッ!!」
相当痛いところををつかれたアミンはスタンドを出現させながらまぶたをピクピク震わせて怒鳴り散らした。
「このビチグソがァァーーーーーーーーッ!!!なめやがってッ!!ガキのくせに・・・ガキの分際で・・・非難しやがって・・・この畜生がァァーーーーーーーーッ!!!」
ブチぎれたアミンはスタンドの全部の管から空気を吸い込み始め、力をより込める。セルリーすらそれを見て恐怖の感情を抱いた。
「あたいの『毒霧』は溜めればためるほどより広範囲に噴射できる。っつうことわよぉ。ムハハハハ。いくらてめぇでも止められる訳ねぇだろう?えぇ?」
「まずいわい。『あの目』はマジだッ。マジでやる『目』だッ。あたいもろとも否、それだけじゃない・・・民間人さえも殺る『目』だッ。こうしてる場合じゃないわい。逃げなくてはッ!!」ドォーーーン
セルリーは力を溜めているアミンの『毒霧』を恐れて、安全なところまで移動する。だが徐倫たちは逃げることはできなかった。いつ発射されるかわからないからだ。下手したら逃げる瞬間に噴射されるかもしれないからだ。だが、この状況を打破するためにエンポリオは後方にいるある人物を呼んだ。
「奈美さぁーーーーーんッ!!早く来てくださぁーーーーーいッ!!あいつを倒す方法を考えつきましたッ!!」
「・・・ッ!!?」わ・・・分かった!!」
声をかけられた奈美は一瞬動じるが、全速力でエンポリオのところに向かった。しかし、アミンはこれを見逃さなかった。
「“あたいを倒す”だぁぁぁ!??不可能だと言いてぇが・・・てめぇだけは本気で殺さなければならないからなぁ・・・死ねぃッ!!クソガキどもォ~~~ッ!!!」ドブシュウウウウ~~~~~ッ
後者を包み込むほどの『毒霧』が噴射されて、超絶なスピードでエンポリオたちに向かう。本体のアミンも毒きりの中に入っているが、アミン自体には無害のようだ。
「ぐははははは・・・。あたいだけがこの毒に耐性があるっつことよ。それ以外はあの鳩のように毒に触れてくたばりなッ!!がーははは・・・「ガクン」・・・はぁ!?」
勝ち誇っていたアミンだが、彼女の体が急に体勢を崩してしまい、仰向けに倒れてしまった。
(何ッ!??バカな・・・・・何が起きているのだ。急に足がしびれてきた。何が起こったんだぁ!??)
訳のわからないことが起きてアミンは戸惑うがあたりを見渡すと霧の流れがおかしく、まるで球を描くように流れていた。アミンはまさか“ウェザー・リポート”の術中にはまっているのかと思ったとき、エンポリオの声が聞こえた。
「残念・・・ですが・・・あなたはここまでです。『毒霧』を球を描くように流し、二酸化炭素で覆って、外へ出て行かないようにしました。そして、その空間の空気を純酸素にしたので動けないはずです」
「ばかなッ!!いくら“ウェザー・リポート”でもそんなにたくさんのことをできるはずはないだろうッ!!」
確かにその通りだ。“ウェザー・リポート”でもここまで精密で大がかりなことは決してできない。しかし、エンポリオは苦しそうに言った。
「ええ。だから奈美さんに来てもらったんですよ・・・・・彼女の能力の『普通アレルゲン』で“ウェザー・リポート”の動作力を普通にしてもらったんですよ。・・・でも賭けでもあった。一度このアレルゲンに感染しているので・・・アナフィラキシーショックで死ぬかもしれなかったから・・・勇気が必要だったんです・・・だけど・・・僕を殺すためにあなたは手段を選ばなかった。だから・・・僕も・・・あなたを倒すために手段は選びません」
「こんの・・・ガキの分際がァァァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ」
姿は『毒霧』で見えないがアミンが悔しがる声を発したあと、エンポリオは奈美に支えられながら立ち上がり、ポケットからライターを取り出した。そして、そのライターの火を点火させる。すると、目には見えないが覆っていた二酸化炭素の膜に小さい穴が空いて、そこにライターを投げ込む用意をした。
「よくもぉ~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!・・・クソッたれっっがァァ~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」
「悔やみなさい・・・・・あなたが今まで殺めてきた人達の魂に・・・・・懺悔しろ・・・」
ポイッ
ライターは火が消えないぐらいゆっくり正確に投げられ、霧に着火した。
ドバァアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーン
『毒霧』が着火したので大いに爆裂し、大規模な破壊エネルギーを生み出した。しかし、不燃性の二酸化炭素によって引火の規模は抑えられて、且つエンポリオがそれを操作しているのでエネルギーが外に漏れ出さないように踏ん張った。
爆発がおさまり、爆心地がクレーターのような大きな穴が開いているのを発見したとき、エンポリオはスタンドパワーを使い果たし、気絶してしまった。
彼が倒れたので奈美は仰天し、即座に“オレンジミント”の能力を解除する。解除したことによってエンポリオの脈と呼吸が平常と同じに戻ったので彼女はひとまず安堵した。
アミンはおそらく一粒の灰も残らず、燃え尽きてしまったのだろう。奈美はそう思い始めた頃、何やら風切り音が聞こえ始めた。
一体どこからだろうかと思っていたが、その場所がようやく分かった。頭上だッ!!と奈美はとっさに思った。
「やばいッ!!戻ってきやがったッ!!弱ってるエンポリオ君を始末する気だッ!!」
奈美の言う通り頭上からさっきまで避難していたセルリー・シチューが猛スピードで降下してきた。狙いはもちろんのことエンポリオだ。
「あああ・・・あいつめ・・・敗れやがったな。まあいいわい。奴が狩り損ねた獲物をあたいがもらうよぉ~~~~~~」
近づくセルリーからエンポリオを逃がすべく奈美は彼をかばいながら進むが、セルリーには関係なかった。
翼にある計8本の突起物の照準を奈美にした。つまり、奈美ごとエンポリオを打つつもりなのだ。徐倫たちも二人を助けたかったが距離が離れすぎていて、間に合う要素がなかった。
「エンポリオ・アルニーニョ・・・3万ドルの報酬はもらったわぁーーーーーーーいッ!!グヘヘ・・・「『オラッ!!』ベギィィ」・・・ブヘェェッ!!」
ドガァァーーーーーーーーーーーーーーーッ
まさにセルリーが二人に攻撃しようとしたその時、いきなり彼女は殴り飛ばされ、体が地に落ちた。
彼女を殴った男はそっと地面に降り立ち、エンポリオを見る。
「よくやったエンポリオ。そして、日塔。後のことは私に任せなさい」
「じょ・・・承太郎さんッ!!」
「ふッ・・・」バァーーン
二人を助けたかったが承太郎は二人を徐倫や望たちのところに行かせ、自分は殴ったセルリーを凝視する。また、ちょうどそのときに遅れて千里達も校庭にやってきた。
「どんな気分だ・・・さっきまで飛んでいたらしいが、地に落とされた気分は・・・」
「承太郎・・・。そうか『時止め』かぁ・・・。『時』を停止させている間にあたいに攻撃を・・・クソッ!!よくもあたいの体に傷をッ!!~~~よくもッ!!」
セルリーは承太郎に殴られて、かなり苛立ちを覚えて、苦虫を噛み潰すような顔をして、上空へと飛び立つ。
「てめーだけは許せねぇぜ承太郎。必ずこの苦しみの千倍は与えて、じわじわと殺してやるぅ~~~~~」
「やれるものならやってみるんだな。せいぜい口先だけのはったりにならないように気をつけるんだな」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
互いに互いを挑発する二人。片や『時』を止められる最強のスタンド使い。片や未知数の力を持つスタンド使い。
二人の戦いは予測不能なことになりそうだ。
その頃校舎内では、リーダー格のスコッチ・ウイスキーが小森霧のスタンド、“ステープル・ステーブル”の襲撃を受け、飛来してくるものを手当たり次第に切り裂いて進んでいた。
(あの爆発・・・おそらくアミンの『毒霧』で間違いないだろう・・・奴の生死はどうでもいいが、何人奴が殺したか・・・5、6人は仕留めなきゃさすがにプロとして失格だな)
先程の二つの爆発でスコッチはアミンが闘っていることを知った。しかし、彼には彼女がすでに死亡して、尚且つ誰一人として殺せていないということは知る由もないが・・・。
さっきからスコッチは霧を捜すべく校舎内を徘徊しているが、一向に見当たらない。隠れ場所になり得る場所を徹底的にしらみつぶしで捜したが、全く見つからなかった。
やはり標的を承太郎に変えるかと考えていたとき、ふとある部屋の前で止まった。
スコッチはプロ中のプロの殺し屋。そのため人一倍五感が研ぎ澄まされているので、その部屋の中がどうも暖かいと感じたのだ。
その場所は宿直室。扉を切り刻んで、スコッチ・ウイスキーは宿直室に侵入する。
そして、そこの畳の上に本体である小森霧を発見するスコッチ。そして、二人は睨み合うのだった。
「ようやく見つけたぜ・・・コモリキリ。あと少しで挫折しかけたぜぇ~~~~~。よかったぜぇ~~~ホント」
「私にはありがた迷惑よ。まさかここで・・・こんな形で見つかるなんて」
「ふふふ・・・運命感じるかい?私は信じるねぇ~~~。・・・お前が死ぬっていう『運命』がなあ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
和やかな空気と殺伐とした空気が入り混じり、心底居心地悪い雰囲気が醸し出されて、霧は息を呑む。
こんな奴と闘うのかと思うと冷や汗が止まらなくなる霧。しかし、その恐怖を押し殺し、精神を奮い起こした。
「来なさい。わかっているとは思うけど・・・今はゼロ距離。スタンド自体が持つ100%の力が発揮されるから気をつけた方がいいわよ」
「それはこっちの台詞だッ。いいか・・・俺の前に立つことはすなわち『死』を意味するッ!!その意味が分かるか?」
「知らないわ」
「俺の攻撃は刹那に終わるッ!五体満足で・・・生き残れると思うなよ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
二人が出す一般人にはない圧倒的な覇気。どちらの覇気が強いのかは今は分からない。
だが次の瞬間には分かることだ。どちらが強いのかは・・・・・。
To Be Continued・・・・・⇒
――プロフィール――
・シアン=アミグダリン 20代後半。独身。女性。
仕事の都合上彼女の一切の経歴不明。現在はフリーの殺し屋。
とてもスタイルが良く、豊満な胸を持っているが、そういう方面には興味がなく宝の持ち腐れである。
性格はキレやすく、口癖は「っつことよ」。
スタンド名:ブラック・ミスト
【破壊力:A スピード:B 射程距離:C 持続力:A 精密動作性:D 成長性:D】
能力:細胞を壊死させる霧を生成 スタイル:近距離パワー型 分類:人型