さよならジョジョ先生―改稿版―   作:パラレル。

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第拾九話 侵入者を討て!!その⑦

「あ・・・ありのまま、今起こったことを話すぜ・・・おれは糸色望をバラバラの肉片にしてやった。しかし、その肉片から糸色望が復活した。何を言っているか分からないと思うが自分でも分からねぇ・・・幻覚だとかこいつの能力とかでもねぇ・・・そんなちゃちぃもんでもねぇ現象がおれの目の前で起こっていやがるッ」

 

 

スコッチは廊下で殺したはずの望が蘇ったことに戦慄しながら立ち尽くしていた。承太郎も一緒だ。

そう言ったショッキングな出来事にパニックになっていたスコッチだが、ようやく我に返って、自分の前後にいる望と承太郎に警戒する。

 

 

(くそッ!!どういうことだぁ?なんで奴が死んでねぇんだぁ・・・化け物かあいつはよぉ!!)

 

 

スコッチは心の中で望に愚痴った後、意識を全て望に向ける。

それは単に己が流儀である「狙った獲物は必ず殺る」と言うものがあったからだ。

それを破るほど軽い人間ではないので、彼は望を殺すことだけ考えた。

 

 

(おれは絶対負けない・・・負けてたまるかッ!!たかがスタンドを操れる先公如きが・・・チョーシ乗ってんじゃあねぇぇぞぉ!!)

『シィィイイヤァァァーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!』シュバッ シュバッ

『オラオラオラオラァーーーーーーーッ!!』ドスドス ドスドス

 

 

自信の誇りと威厳を背負い、スタンドの手刀のラッシュを叩き込むスコッチ。望のスタンドに一撃一撃を受け流されながらも、素早く正確に精密なラッシュを叩き込み、ある手刀が“ミニット・エンジェル”の両腕を斬りつけ、望はそれでひるんだ。

 

 

「・・・・・ッ!!」ズブーーーーッ

「勝ったッ!!トドメだァーーーーーーーーーーー!!!」

ズドバァーーーーーーーーーーーン!!

 

 

ひるんだ望にスコッチは“P・ディストラクション”の手刀で顔を、体を縦に真っ二つにするように斬りつける。

斬りつけられた縦の線から血が噴き出し、倒れ込む望だが、瀕死の重傷を負っているのに顔色一つ変えず、倒れながら素早い足払いを食らわし、スコッチを転ばす。

そして、予想外の足払いを受けて仰向けになっているスコッチに望は倒れる反動を利用して体勢を整えるだけでなく、そのままスコッチに攻撃しだした。

 

 

「この攻撃ならどうですかッ!?」

 

 

“ミニット・エンジェル”の拳を振り下ろし、仰向けのスコッチの顔面を殴りつけようとするが、殴るより先に“ミニット・エンジェル”の、ついでに言うなら望の腹に“P・ディストラクション”の腕が突き刺さってしまった。

 

 

ドッシュウウゥゥ

「・・・ゲファッ・・・・・」

「調子に乗るなよ・・・こんな危機ぐらい乗り切れないとでも・・・?このおれは過去10年間で100人ほど暗殺しているんだぜ・・・。そんなもの飽きるほど食らっているわッ!!!」ギャン!

 

 

スコッチは苛立ちながら望に説教じみたことを言うが、言ってる傍から先程つけた縦の傷が徐々に治ってきていた。

それを見たスコッチは気味が悪く思えてきて、腹パンしていた腕を動かし、望を振り払った。

振り払われた望は床に叩き付けられてうつ伏せとなって倒れたが、難なく立ち上がった。その後、穴が空いた彼の腹が再生していき、元に戻った。

 

 

(クソッたれが~~~~~~~~~~~~~~~~ッ。どうすりゃいいんだよ・・・ん?)

 

 

スコッチは先程から起こっている珍現象に苦虫を噛み潰したかのような顔になり、煮え切らない心情になってきたとき、ふと廊下から騒々しい音が聞こえだした。

それは徐々にこの場に近付きつつある音だった。

 

 

(や・・・やべぇ・・・徐倫達だァ~~~。つ・・・ついに、ここに来やがるのかッ!?ただでさえあの『糸色望(ふじみおとこ)』で手間取っているのに・・・クソッ!!仕方ねぇッ!!最終手段だッ!!!)

 

 

こちらに徐倫たち援軍が来るのを察したスコッチは背水の陣を敷いて、望に手刀をかます。

 

 

「フンッ!」ズバァン

「うおっ!!」ドズシュウゥ

 

 

あまりの不意打ちに望は度肝を抜かれ、両眼をメガネごと斬られてしまう。

そして、斬り裂いた瞬間スコッチは一目散に宿直室に突進して、ドアを破壊し、中へ逃げ込んだ。

 

 

ガッシャァァァァン

(どうやら奴を「殺す」ことはできないらしい。一度決めたら最後までやるのがモットーだがコイツは例外だ。ちょうどいい。徐倫たちが来るなら命令通り『暗殺』してやるッ。望と殺り合うより効率がいいぜ。まずは任務だッ!!既に「計画(プラン)」はできているッ。望は二の次でも構わん!!)

 

 

逃げ込む中で強い決意をしたスコッチは五人を殺すための「計画(プラン)」を実行しだした。

宿直室に逃げ込んだスコッチを見て、ようやく承太郎は金縛りのように動かなかった体を動かして、宿直室の中を覗いた。

しかし、奇妙なことに、そこにスコッチの姿が見えなかった。あたりを見渡してもどこにもいなかった。

仕方がないので向きを変え、両眼を斬りつけられ片膝を付いて患部を手で押さえている望を見た。

 

 

(死んでもおかしくない傷を食らったにも関わらず、ピンピンしているとは・・・それに今だって失明するはずの眼が傷一つなく完治するとは・・・やれやれだ。お前達が言う『計画』と何か強くつながっている気が十分にあるぜ・・・)

 

 

今でも発現している望の異常すぎる自己再生能力に承太郎は望たちが提唱する『計画』と強い関わりがあることを突き止めた。当の望はそんなことに気づきもせず、懐から予備のメガネを取り出して、耳にかけている。

ここで承太郎の性格上、詮索したいところだが、一にスコッチが何処に消えたのか、二に徐倫達がすぐ側まで来たので出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くっくっくっ・・・・・集まってきたぞ、クソ野郎共め!そおだしゃべれしゃべれ!意識がおれより話に向きやがれッ。まだだ・・・焦るなよぉ・・・まだだッ。「時」が来るまで待つんだ。こういう時にこそ冷静な奴が勝つんだ。このままでいい・・・・・そう・・・このままで・・・・・)

 

 

徐倫達と承太郎・望のコンビが合流したとき、宿直室に隠れ潜んでいるスコッチが彼らの会話を聞きながらタイミングを伺っていた。

どこにいるかは確認できないが、宿直室の中にいるのは確かだ。

しかし、そのことは目もくれず、彼らはこれまでの情報を整理していた。

 

 

「確認すると父さん。敵は1人でいいのよね?」

「ああ。私の勘では1人だけだ。もしもっといるなら、我々のもとにもう現れているからだ」

「たしかにそうですね。説得力のあるいい推測だと思います。承太郎さん」

 

 

承太郎の推測交じりで敵の数を確認する徐倫。そして、そんな彼の年季の入った推理に感銘を受ける望。それから望の台詞に頷くその他諸々。

こんな緊張のない空気が流れているが、彼らは決して気は抜いていない。

承太郎から既にスコッチが何処かに潜んでいることを伝えられているからだ。

 

 

「いいか。髪は短髪で、亜麻色の男。背格好はアバウトだが170㎝後半だ。人型のスタンドで手で物をめったやたらに切る能力をもつ。それに速い。十分に気をつけろッ。スピードに余裕がない奴は特にだッ。それに奴はやり手だ。油断するなよ!!」

 

 

彼らは承太郎の忠告を聞きながら全員に背中を預けて四方八方、あらゆる死角となる所を付かず離れず探索していた。

彼らは心の中に疑惑と緊張が巡っていた。全ての行動に無駄がなく慎重に且つ俊敏にするように心懸けていた。

しかし、スコッチの姿は一向に見えない。徐々に彼らには焦燥の念が出てきた。

 

 

「く・・・くそ・・・・・いねぇ・・・どこにも・・承太郎さんッ!これはもしや一時撤退したかもしれないっすよッ!!」

「落ち着けアナスイ。敵は私達の『心の乱れ』を誘っているんだ。そこをつく気なのかもしれん」

「しかし・・・・・こんな数でしらみつぶしに探ってるのに誰一人たりとも見つけてねぇ。宿直室も確認した。アナスイの行った通りかもしれませんよ」

 

 

焦りに焦ったアナスイとエルメェスは承太郎に問いかけるが、彼は額に汗を光らせながら周りを見渡した。

 

 

「必ず奴はいる・・・・・奴は妙なくらい執念深い奴だった。そんな奴ほど戦場から逃げない。・・・・・ひょっとすると・・・もう既にこの中の『誰か』に成り代わっているとしたら・・・・・」

「・・・なっ・・・本当なのッ!!父さん!?」

「ああ本当だ。・・・実際に奴は望に化けていた。他人に成り代わるのは得意そうにしてたしな」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

承太郎の言う事実に皆は愕然とした。それと同時に、周囲に警戒し始めた。

 

 

「ひとまず皆スタンドを出すんだ。ヴィジョンまで真似できるわけではない。一人一人スタンドを出して自分が偽物ではないことを示すんだ」

 

 

“スタープラチナ”を出して打開策を伝える承太郎。それを聞いて周囲にいる者同士でスタンドを見せ合いっこした。

自分である証明ができて安堵する者がいる中、当の本人のスコッチはこのときに目を光らせた。

 

 

(そうッ!これだッ!!この「時」がやっと来た。意識がおれから仲間に移った正にこの「時」ッ!!!このおれの完璧な暗殺計画が開始するのだァーーーーーッ!!!)

 

 

実はスコッチは誰にも化けてはいなかった。化けてはいるが『人外』のものに化けていたのだ。ずっとずっと宿直室にいたのだ。

「時」が来たスコッチは体を“くねくねと動かし、壁を伝って”承太郎に狙いを定める。

 

 

(んん!?あ・・・あれは・・・)

 

 

いち早く気付いたあびるはスコッチが変化したモノをみつけた。

 

 

「承太郎さんッッ!!『蛇』ですッ!!『蛇』が貴方を狙っていますッ!!!」

「・・・ッ!?何!?」

「もう遅いッ!!!ガード不可能よォォッ!!!」ニュルパァン!

 

 

『蛇』のスコッチを承太郎にあびるが伝えて、彼が認識するときには、俊敏な蛇の動きで一気に距離をつめられてしまう。

 

 

(言っただろう!!おれの攻撃は刹那に終わるとッ!!あれ?言ってなかったっけ?まあ、いい。あろう事か標的である五人がこんなに近くに集まってくれるだなんてラッキーだよなァーーーーーーーッ!策士策に溺れるとはまさにィィィィこのことだったなぁぁぁああああーーーーーーーーーーーッ!!!)

 

 

スタンドを見せ合うために承太郎は徐倫、アナスイ、エルメェス、エンポリオとかたまっていた。しかしながら、それが仇となり、ターゲットである五人を数撃の手刀で全員抹殺される距離まで近付いてしまった。

スコッチは鋭い目“そこ”を狙っていたのだ。完全なる不意打ちが成功するほど五人全員が近付くところを。

 

 

「くたばれぇぇえぇぇーーーーーーーーーッ!!!これで任務は無事に『完了』だァーーーーーーーーーーッ!!!」ギャオオオオォォォ

 

 

あまりにも突然、速攻過ぎる攻撃に五人は思考が停止してしまっていた。彼のスタンドのヴィジョンが出現したにもかかわらず何もできなかった。

まあぁしかし、哀しいかな・・・反応できたとしても時既に遅し、というやつです。

 

 

「死ぬえぇいッ!!!承た・・・・・・・・あっ?・・・あれ・・・?」

 

 

突然、“P・ディストラクション”の手刀は承太郎の鼻の先で何故か止まってしまった。否それだけではない!スタンド自身も自分自身も全く微動だにしない。

 

 

「ば・・・ばかな・・・・・体が動か『ない』ッ・・・一体何がどうなっていやがるんだッ!?」

 

 

奇妙なことに空中に“止まってしまった”『蛇』のスコッチ。だが彼だけではない。皆止まってしまったのだ。誰一人として動ける者はいなかった。ある一人を除けば・・・・・

 

 

「やれやれですよ。私が“本気を出さなくてはならないとは”・・・・・」

「な・・・な・・・なにィーーーーーーーーッ!?い・・・いと・・・糸色望ゥゥゥゥゥゥゥゥ!??」

ドーーーーーーーーーーン

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

この場にいる全員が動けない中、望はただ一人、その中を移動していた。

徐々に接近している望にスコッチは唯一動かせる目玉で彼を見る。

 

 

「とっさにさせてもらったのでこんな形になってしまいましたが、あえて言わせてもらいます。私が『時』を止めました」

「「「「「・・・・・ッ!??」」」」」

「な・・・な・・・なんだと貴様、今・・・『時』を止めただと~~~~~~~~ッ!?」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

望の言う台詞にスコッチと承太郎たち五人は目玉が飛び出るほど驚いていた。承太郎以外に『時』を止めることができる者が存在することに・・・・・

 

 

「ばかなッ。『時』を止めただと!??承太郎以外にも『時』を停止させれる者がいたというのかッ!!」

「まあしかし、正確に言うなら『今』は『空間』を止めたというところです。承太郎さん・・・あなたの“スタープラチナ”は実際はスタンド自体を光以上に超加速させることにより、慣性の法則の原則上、あたかも時が止まっているかのように見えてしまう。しかし私の場合は違う!この世の世界の四次元的な意味での『隣』には“平行世界”が存在すると言われていますが、その平行世界と平行世界の間には『時間軸』というその世界の時間と空間を司る空間が実は存在しているのです。私の場合の『時止め』はその空間にスタンドを干渉させ、この世の時間または空間を止めるのです」

 

 

意味の分からない単語がずらずらと言われたが、とにかく『時』を止める能力を持っていることを理解したスコッチと承太郎たち五人。

既に『空間』は10秒ほど止まっているが、まだまだ望は余裕顔をしている。そこで望は“P・ディストラクション”の左脚を拳で叩き折ってしまう。

 

 

『オラァッ!』ベギィッ

「うっっっげっっっがァァァァァアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!!」ベギ  ベギ  マギ

「どうですか?一方的に攻撃を食らうのは・・・『時間』までは止められなかったので、当然痛みはすぐ来ますよ。そろそろですかね」

ドヒューーーーーー        ドカゴン

「ぐあああああああ・・・・・く・・・そ・・・がぁ・・・」

 

 

望の『空間』干渉が解除されて、正常に戻ったことでスコッチは脚を殴り折られた勢いで吹っ飛び、倒れ込んでしまった。

と同時にスタンド能力が切れて、『蛇』だったスコッチはもとの人間の姿に戻った。

そして、片脚を折られながらも両手を床につけて立ち上がろうとする。

 

 

(く・・・・・くそったれめぇぇぇぇぇぇぇッ!!!おれはスコッチ・ウイスキーだぞォオオッ!!!数多の人間を暗殺してきたこのおれがぁあああぁぁぁ!!こんな・・・『時』を止められるだけのただの先公なんぞにィィィイイイィーーーーーーーーーーッ!!!)

 

 

腕を動かしプルプル震わせながらも上体を起こして、何ともない右足で床を強く踏み込んだ。

そして、汗を大量に流し、息が荒い中で、右足と両手で獲物に食らいつく野獣のような一歩を踏み出し、承太郎に接近した。

 

 

「RRRRRUBAAAAHHH――――――――――ッ!!!承太郎ッ!!!お前さえ・・・お前さえ死んでくれればッ!!おれはッ!!!殺し屋としての立派な最期を迎えられるんだよォォォオオオオ!!!『命に代えても任務は遂行する』・・・その誇りにかけてぇえええーーーーー「グサァァッ」・・・あッ!?」

 

 

目を充血させて、自らの誇りを胸に承太郎に襲いかかるスコッチだが、“P・ディストラクション”の手刀を食らわす前に背中に何かが勢いよく刺さった。

そのおかげでスコッチは失速してしまい、口から血を吐いて、片膝をついた状態になってしまった。

スコッチは後ろを確認すると、換気扇ほどの大きさのファンが突き刺さっていた。

 

 

「何だと・・・ファン!?何でこんなものが・・・「残念ですが・・・」・・・!??」

 

 

スコッチの後ろ、宿直室から声が聞こえたので振り返ると、そこにいたのは・・・ついさっきミクロサイズの肉片にしたはずの“小森霧”がそこにいた。

 

 

「小森霧ィィィィ・・・・・お前も望と同じ体質だったのかぁぁぁぁぁ!?」

「あなたはここで誇りを失いながら死んでいくことになる。先生によって・・・」

「・・・・・っ!!?糸色望・・・」

「・・・・・・・・」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

霧に名指しされてスコッチは望が至近距離にいることに気付いた。沈黙を保っている望はスコッチの首を素早くスタンドで掴みあげて空間に突如『風穴』を出現させた。

 

 

「この『穴』は『時間軸』に通ずる『穴』です。あなたが地獄に行く手土産に私と共に“タイムトラベル”をしましょうか・・・」

「“タイムトラベル”・・・だと・・・その向こう側は・・・どうなっているんだ・・・一体何が起こるのだというのだ・・・」

「はて・・・どうだったか・・・言えることはそんなことを感じる前に“死ねる”ということです」

「う・・・うお・・・うおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

『時間軸』に通じている『穴』にスコッチを引きずり込もうとする望。死を直感したスコッチはどたどたと暴れて抵抗する。しかし望を攻撃しようするも霧の“ステープル・ステーブル”の能力で操られた電気コードがスコッチのスタンドを雁字搦めにして動きを止める。

 

 

「くそ・・・こんなところでくたばれるかァーーーーーーーーッ!!」

 

 

左脚は折れ、“P・ディストラクション”は縛られて身動きができないので実質右足だけでスコッチは踏ん張り続ける。だが、右足だけで踏ん張るにはやはり力不足であり、『穴』へと近づく一方だった。

 

 

「やめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!マオバァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

スコッチは断末魔の叫びを上げながら命綱の右足で何とか踏み止まろうともがき続ける。しかしそんな抵抗では現状を変えることは叶わず、最終的に彼は『穴』へと引き込まれる。

そしてその最中、スコッチは自分の首を引っ張っているはずの望が手に人間サイズの黒い物体を持って目の前に現れるのを見た。

 

 

何故そこにいるのか?なんでそんな物体を持っているのか?そんな疑問がふと頭をよぎった瞬間、スコッチ・ウイスキーはこの世から完全に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとスコッチは表現できないような異様な空間にポツンといた。残念ながらスコッチは動けず、常に宙に浮かんでいることしか出来なかった。

そんな時、彼に向かってくる者がいた。・・・・・糸色望だ。

 

 

「ようこそ人類の未開の空間・・・『時間軸』へ」

「貴様、望ッ!!このおれをどうするつもりなんだぁ!?」

「どうするって決まっているじゃないですか・・・こうするんですよ」グワシィ

「何ッ!!?うおお・・・!!?」

 

 

望は彼の襟首を掴むと真上に飛んでいった。だがスコッチにはその行動で異常が生じた。それは体中が燃えていることだ。

 

 

ゴォォォォォォオオオオオボァアアアア

「ぎぃぃぃぃぃぃやあああああああああああああああ!!!燃えているゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウ!!!何でぇぇぇぇええ!!!」

「生物は『現在(いま)』の時しか生きられないモノです。この能力を身につけて気付いたことですが、この『世界』では私もそうですが生物は上下にしか移動できません。ですが“現在(いま)”はベルトコンベアのように一定の速度で、一定の向きに向かって動き続けている。そのため仮に一秒間上下すれば一秒間だけ時間を『跳躍』するわけですよ。そしてこの世界で私以外のものが『跳躍』すれば、その時間だけ光の速度で移動することとなる。勿論光速下で生じる摩擦熱にあなたが耐えられるはずはないのであなたは今!!全身が焼け焦げているんですよ!!!」

「ぐわああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーッ!!!くそおおおおおおお!!!くそくそくそくそ・・・くそがァァァーーーーーーーーーーーーーッ!!!」ギィィィヤーーーーーーーーーン

 

 

望の眠っちまいそうなほど長く、不条理に思えるような残酷な話を聞かされて、やけになったスコッチは炭になりかけている体を奮い起こして“P・ディストラクション”の手刀を食らわせようとするが、その手刀が望の顔面に炸裂する前にあたりが光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが・・・私の・・・“ミニット・エンジェル”の本気です。全ては・・・本気にさせたあなたが悪いのですよ。あなたが・・・」

 

 

小言のような台詞を只の炭と化したスコッチに言い放った。より黒く暗い眼差しを向けて・・・

リーダー格のスコッチ・ウイスキーを葬ったので、ようやく戦いは完結したのだ。

 

 

「先生。何処にも彼らの仲間らしき者はいません。我々の完全勝利ということです」

「そうですか・・・・・」

 

 

霧は彼らの残党がいないことを望に報告し、彼らが画餅に帰したことを望は感じた。と同時に複雑な疑惑が浮上していることも。

 

 

「さてと、戦いも終わったようなので、約束通り全て話してもらおうか」

「・・・・・」

 

 

さっきまで蚊帳の外だった承太郎の発言に、そう言うと思っていたと言う表情を望は浮かべた。

そして、承太郎、徐倫、アナスイ、エルメェス、エンポリオ以下五人に背中を向けながら望は伝えた。

 

 

「明日はちょうど学校が休みですので、明日9時に『糸色医院』という救療所に来てください。話は・・・その中で」

 

 

そう言うと望やへ組の生徒はその場から立ち去ってしまう。

五人しかいなくなってしまったこの場所で承太郎は情報の整理をしようと思うが、突拍子のない大事だらけのオンパレードだったので、途中から頭がこんがらがり始めたので考えるのをやめた。

 

 

「父さん・・・ひとまず帰ろう。ここで難しい顔しても意味ないよ」

「そうですよ承太郎さん。明日!!明日で全てが分かるんだから。明日にしようぜ。今は闘いで疲れてるんだから」

「・・・ああ・・・そうだな」

 

 

徐倫とエルメェスの意見に同意した承太郎はその場を離れた。遅れて四人もついて行く。

遠くでパトカーと救急車のサイレンが聞こえてきた。なので承太郎たちは歩く速度を少し上げた。

承太郎たちは知らない。彼らの秘密がどれだけ深く暗いものかを。

承太郎たちは知らない。彼らの秘密に関わったことでこれから決してタンマも途中辞退もできない運命に直面することに。

承太郎たちは知らない。さっきの戦いはまだ序章に過ぎないことに。

 

 

スコッチ・ウイスキー ―スタンド名:プレズントステイト・ディストラクション―・・・・・死亡。

 

 

 

 

To Be Continued・・・・・⇒

 

 

 

 

――プロフィール――

 

・スコッチ・ウイスキー  30代前半の男性。

 

フリーの殺し屋であり、過去10年間で100人程度殺している。

 

性格は極めて冷酷で残忍。時には自身の命までも投げ捨てるほどの覚悟を持っている。

 

そのため彼を雇う者は世界中に存在し、ほかの殺し屋と比べても彼以上に信頼されている殺し屋は存在しない。

 

スタンド名:プレズントステイト・ディストラクション

 

【破壊力:D スピード:B 射程距離:E 持続力:A 精密動作性:A 成長性:D】

 

能力:あらゆる物体の結合を断つ  スタイル:近距離パワー型  分類:亜人型

 




ということで「侵入者を討て!!」が完結しました。

次回からは過去篇!!哀しき愛の物語ッ!!こうご期待ッ!!
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