さよならジョジョ先生―改稿版―   作:パラレル。

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第弐拾弐話 『コントラスト・コネクト』その①

晴天。春風が心地よいこの日、へ組には平穏な時が流れている。

 

 

「つまり、ここがこうであり、そこがそう。であるからしてこういうことになります」

 

 

せっせと黒板に字を書く望の背中を時々見て、時々その字を写す生徒たち。偽りの学園生活を送っている彼らですが、生徒である以上授業をしっかり聞く義務があるので当然ながらまじめに受けている。

それを見ながら廊下掃除をする徐倫たち四人。承太郎はいない。

徐倫達にとってはほんの最近始めたばかりだが、今ではしっかり清掃作業に板がついて普通と感じるようにまでなった。

 

 

ジリリリリリリリリリ。

 

 

授業終了のチャイムが鳴り響き、昼休みに入ったので、多くの生徒が教室から出ていった。これを機に徐倫たちは望に接触した。

 

 

「お疲れ様ですね。糸色先生」

「ああ。お疲れ様です」

 

 

授業の教材を片している望に徐倫は挨拶をかけながら教室に入る。

望も挨拶し、徐倫たち四人全員が教室に入ったのとちょうど同じタイミングで別の場所にいた承太郎がその教室にやって来た。

 

 

「ああ、承太郎さん。どうでしたか?例の組織のことは・・・」

「いや、だめだった。先日我々を襲った組織の素性はSPW財団をもってしても特定できなかった。拘束した音石に聞いても知らないの一点張りでもうお手上げだ。ずいぶんとしたたかな組織のようだ」

「そうでしたか・・・」

 

 

承太郎は今までSPW財団とこの前自分たちを襲撃した組織の素性を調べるやりとりをしていたので、徐倫たちと共に行動していなかったようだ。

そのやりとりで得た情報について望が問うが、はっきりしたことは掴めず手詰まりであることを承太郎は伝えた。

望はそれを了解するが、心の中では気が晴れない。なぜなら彼にとっては学園を脅かすであろう輩であるため早くその正体を突き止めて一掃しなければならないと思っているからだ。

 

 

「ヤキモキしても仕方がないですよ。僕らにできることはただ待つことしかできないのですから」

「いや~~~~~。しかしですね~~~~~」

「腑に落ちないのは私もだけど、姿を現さない相手には対処不能よ。下手に動けばそれこそ敵の思うツボよ。出方を待つ・・・今の私たちにはそれが一番大事なことよ」

「・・・それなら話は終わりですね。お昼を食べましょう」

 

 

エンポリオの発言にどうも腑に落ちない望だが、徐倫に言われて落ち着いて、五人との話し合いを打ち切って昼食にしようと宣言した。他の五人もそれを機に学食を食べに戸の方へと向かった。

 

 

「さて、今日は何にしようかな」

「“スタミナ定食”ってやつでもしようかな・・・俺は」

バキィン

「ん?」

 

 

エンポリオとアナスイが少々ほのぼのしたことを言いながら、エンポリオが戸の取っ手に手をかけたとき、「奇妙なこと」が起きた。

「何かが壊れた」ような音を聞いたエンポリオは不思議に思い、ふと先程戸の取っ手に手をかけた手を見ると、“取っ手の破片”が握られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁ!!!」

「お・・・おいエンポリオ!何してやがる!!」

「し・・・知らないよ。僕も何が起こったか分からない・・・ただ“普通に”戸を開こうとしていただけだ」

 

 

エンポリオが取っ手を破壊したことに仰天するエルメェス。エンポリオは彼女に誤解されないように今起きたことを詳しく説明した。

 

 

「ど・・・どうしたんですか!?戸が壊れたのです・・・「ズルウゥ」・・・うぁっつぉお!!」

 

 

エルメェスに説明しているエンポリオに、望は急ぎ足で駆け寄るが、その途中で落ちてあった鉛筆を踏んづけてしまい、奇声を発しながらすっ転んでしまった。

その鉛筆はそのまま真上に舞い上がり、天井に当たった直後()()()()()()()()、塵が待った。

 

 

「うげっ!何が・・・これは一体何が起こってやがるッ!?」

「鉛筆だけでこんな破壊力・・・全てがおかしい・・・おかしすぎるぞ!!」

「やれやれだぜ・・・・・こいつは何か妙だな・・・『何か』が・・・」

 

 

先程の現象に驚愕している徐倫とアナスイ、そしてそのことに疑問を抱く承太郎。この場にいる者全てがこれらのことはスタンド能力であると理解するにはそう時間は掛からなかった。しかしながら、どんなものまでかはさすがに推測できないままであるらしい。

 

 

『プププププ。怯えてらぁ、パニくってらぁ・・・そんなおバカな奴を見るのって楽しいなぁ~~~~~。愉快だなぁ~~~~~』

 

 

窓から聞こえた声に反応して窓へ向くと、現在開いている窓から侵入している右手の甲に亀、左手の甲に兎の漢字が刻まれている人型のスタンドがいた。

そのスタンドは承太郎たちのいる教室に入ると、ゆっくりゆっくりとまるで挑発しているように承太郎たちに歩み寄っている。

 

 

『空条承太郎。お前、「無敵」って呼ばれてるんだろ?自慢じゃないが俺のスタンドもかなり早くてな・・・だからどっちが上か試したくなってな・・・』

「や・・・野郎ォ~~~~~ッ。なめた野郎だぜ・・・」

『ほれッ!来いよ!ビビってんのか?ふんッ!情けない奴だなぁ~~~~~』

 

 

自らの力を過信しすぎているにもほどがある挑発をしてくる謎のスタンド。だがこれは、明らかな挑発。攻撃されるのを待っているはずである。ここで感情的になってしまえば、それこそ敵の思うつぼだ。

しかし、いかに冷静沈着な承太郎でもとうとう頭にきて、そいつに向かって“スタープラチナ”を叩き込んだ。

 

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!』

『ギヒヒヒッヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ』シュシュシュシュシュシュシュシュ

「何ッ!?“スタープラチナ”よりも速いッ・・・だと!?」

「いや違う!!“父さんの方が”遅すぎるッ!!」

 

 

スピードでは追随を許さない”スタープラチナ”の連撃は敵スタンドに全てかわされてしまった。敵が自分よりも速く動けることに驚愕する承太郎だが、さっきのやりとりを客観的に見ていた徐倫からすると“スタープラチナ”の動きが非常に、桁違いに遅いのが分かった。

しかし、それを承太郎が理解する前に、敵スタンドの素早い攻撃を食らってしまう。

 

 

『遅せ~~~んだよバ~~~~~カ』ドシュ ドゴ ドゲ バギ ボス

「うぐおおおおおおおおおおおお!!!」ガッシャァァアアン

 

 

そのスタンドのラッシュを食らい、承太郎は吹っ飛ばされ、エンポリオによって壊された戸に激突する。

戸は大破し、そこで片膝ついて起き上がろうとする承太郎を尻目にその敵スタンドは余裕ぶった態度で話し始めた。

 

 

『ニヒヒヒ。見たか?これが「差」ってもんさ。いくら「無敵」だと言われても俺の前じゃあ歯クソにもならねぇ・・・ククク。お前らじゃあ計り知れないことだが言わせてもらう。あべこべの世界へようこそ・・・』ニヤリ

 

 

不敵な笑みを浮かべている敵スタンドに頭にくる徐倫たち。だが、そんな彼ら彼女らを放っておいて、そのスタンドは依然話し続ける。

 

 

『俺の前では「強者」が「弱者」になり、「弱者」は「強者」になる。つまり、全てを反比例にできるのだ。この「反比例の世界」では俺が一番だッ!!ナンバー1だッ!!それ以外は取るに足らない雑魚だッ!!抵抗するって考えるなよ。お前らのスタンドは全員パワー型(タイプ)。だからこの場で誰一人として俺を倒せる者はいなぁぁい!!』

 

 

敵スタンドが長話を話した後、彼らに向かって拳を握ったまま接近した。しかし、彼らは依然として動かない。

 

 

『楽に殺してやるよ!ローストビーフを一枚一枚捌くようにこの鋭い手刀で丁寧によぉぉぉぉ~~~~!!』ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

「ふぅ~~~~~。やれやれ・・・おバカなのはどちらですか。確かに我々ではあなたを倒すことはできません。ですが、“彼女”ならやれると思いますよ」

『え?なんだって?』

 

 

突っ込んでくる敵スタンドに構えもせずに棒立ちしている承太郎たちの中で、望が心底あきれた様子で口を開いた。

望の言っていることが分からず、敵スタンドは聞き返そうとするとき、望の手に携帯電話が握られていることに気付く。そして、そのことに気付いた直後に廊下から足音が聞こえ始めた。かなり早いペースで、しかも徐々に大きくなっている。

そのスタンドはここで初めて誰かがこちらにやってくるということに気が付いた。しかし、内心誰が来ようが知ったこっちゃねーぜとそのスタンドは思っている。

そして、そうこうしている内に、その足音の主が全速力でこの教室の戸の近くに現れた。

 

 

「すいません先生!お怪我はありませんか?」

「いえ、問題ありません加賀さん」

 

 

既にスタンド“マシュマロウ・ジャスティス『ACT1』”を出したまま現れた愛は現れるや否やスタンドの隠し銃からアンカーを飛ばす。

だが、それは依然見たときと違って、格段にスピードが増している。それもそのはず・・・この『反比例の世界』によって逆に彼女のスタンドは強化されたのだ。

 

 

『UWEEEEEEEYYYYYYYYYY―――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!!!』バキン ボキン バギン

 

 

自分とほぼ互角のスピードで飛んでくる針をそのスタンドはラッシュではじき飛ばす。その行為は愛の針が全弾打ち尽くすまでの数秒間続き、一つたりとも取り漏らさず、全てをはじいた。

二つのスタンドの壮絶な攻防を終えると、両者とも息が上がっていた。常人ならば、まともに反応できず動けない音速の闘いであったため、たった数秒でも体力を大幅に失ってしまうらしい。

 

 

『ゼェ・・・ゼェ・・・ああ・・・くそ・・・ナメてたぜ・・・こんなにも・・・・・“弱い”スタンド使いがいたとは・・・この俺と互角でやり合えるとは・・・。ここは撤退させてもらうぜ。だがいいかッ!!俺は決して逃げはしない。俺には部下がいるッ!!弱々しい奴らがなッ!!ケケケ・・・意味分かるよなぁ。フフフ、忘れるなよ。わが“コントラスト・コネクト”の能力の前にお前らは無力だ・・・』シュダァァッ

「あっ!?待ってください!!」

 

 

散々ここまで攻めてきたスタンド、“コントラスト・コネクト”は突如撤退したのでその後を追う愛。だが、彼女が窓から頭を乗り出したときにはもうそいつの姿は見えなくなっていた。

 

 

「逃げられた・・・のですか・・・。加賀さん、何か“情報”は得られましたか?」

「いえ・・・すみません。戦うのに夢中で確認できませんでした。すみません」

 

 

敵スタンドを完全に見失ったので望は愛にそいつの情報について聞いたが、残念ながらできなかったと知ると、そうですかぁと一人呟いた。

 

 

「やれやれ。どうやら本体を捜すのはとても難しくなるなぁ。どうする望?ここで敵の攻撃があるまで待つか、それとも奴らに立ち向かいに行くか、二つに一つだぜ・・・」

「・・・勿論、立ち向かうしかないですよ。ここで再びやりやうなんて御免被りたいですからね・・・」

 

 

望が一人呟いた後、承太郎は負傷しながらも彼に歩み寄り、これからの自分たちの行動について話し合った。

再びこの学校を戦場とさせたくない望は敵に立ち向かうことを決めた後、携帯を使ってまだ校舎にいる生徒に呼びかけた。そして数分後、奈美、あびる、可符香、千里、晴美の五人がやって来た。

合流した五人を含めた十二人のスタンド使いたちは承太郎の存意により二手に分かれて行動し、敵をあらかた倒し次第どこかで合流するという算段を立てた。

そして、このことに対して誰も異議を唱えることはせず、各々の胸にそのことを刻みこんで、彼らは市街地へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって、人通りが多い道の一角にある建物の中に3つの人影があった。その中で体型が割と細い男が他の二人に話していた。

 

 

「空条承太郎たちが行動を起こし出したようだ。だが安心しろ。俺がいる限りあいつらはお前らには勝てはしない・・・・・いいか!?必ず奴らの息の根を止めろッ!!相手はあのスコッチや幹部二人を殺してるんだからなぁ。まぁ、もしここで俺らが手柄を立てれば、ボスも多額の報酬をくれるそうだぞ。グヒヒ」

 

 

彼らを殺せば多額の報酬をもらえるので、その男は嬉しさのあまり涎が出ていた。他の二人は生唾を飲んで、高揚した。

 

 

「さぁ!“スウィート”ッ!!“ハネデュー”ッ!!奴らを殺してバカにしてきた組織の連中を見返してやろうぜッ!!!」

 

 

垂れた涎を拭き取ってその男は部下を出動するよう命令した。命令された二人は瞬く間に移動してその男の前から消えた。

そして、自分しかいない部屋でその男は窓から外の景色を――特に自らの能力でパニックになっている人々を――見ていた。

 

 

「ククククク。一体何が起こっているのか分からないって奴の表情を見るのはやはり楽しいなぁ。ククク。そう言う奴に言ってやりたい。耳元で、小声で、じんわりと・・・。“ようこそ・・・『俺の世界』へ・・・”ってなぁぁ」

 

 

不気味な笑みを浮かべながら、その男はまるで自分が神であるかのように思って混乱している市民を見下ろすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とあるビルが多く隣接している通りで、近所付き合いのある奥様方たちがベビーカーを傍らに置きながらしばし世間話をしていた。

 

 

「ねぇ~~知ってます奥さん?先日、ここの近くの風俗店で殺人事件が起きたそうよ」

「あらまぁ。そんなことが・・・」

「聞いた話では殺された人は奥さんと別れた後エンコーに手を出していた四十代の会社員だそうよ」

「あらら。でもざまあないわよねぇ~~。エンコーに手を出したからバチが当たったのよ」

「そうよねぇ~~」

 

 

こんなことを彼女たちは話しているが、二人とも世間話に夢中になりすぎてその一人の赤ちゃんがベビーカーから脱走していた。

はいはいしながらその赤ちゃんは母親の元を離れ、道路へと飛び出してしまった。

 

 

「・・・!?ちょっと待って!?あれってお宅の赤ちゃんですよね?」

「えっ!?はっ!!しまったッ!!いつのまにッ!!」

 

 

赤ちゃんが脱走したことに二人は今気付いたのだが、二人がそのことに気が付いたときにはもう遅かった。

大型トラックが赤ちゃんの方へ突っ込んでいた。運転手も赤ちゃんに気付いたが、急停止するには遅すぎた。

 

 

キキィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!

「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

トラックのブレーキ音と母親の叫び声が響く中、その赤ちゃんは知らず知らずのうちに右手を出した。そしてそのまま、トラックと赤ちゃんが衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドグシャァアアアアアアアアア

「・・・ぶ?だどぅ??」

 

 

通常なら赤ちゃんは轢かれるはずなのに、今回は赤ちゃんは無事で、逆にトラックの方が大破していた。これには運転手や母親も目玉が飛び出るくらい驚いた。

さらに何を思ってか面白がったその赤ちゃんは手を叩いて、それからぶつかって大破したトラックを押した。

するとものすごい衝撃がトラックに伝わり、トラックが後方へ吹っ飛ばされ、ガードレールを突き破ってビルに突っ込んでしまった。

その光景を見て、その子の母親はその子を抱きかかえると恐怖のあまりひぃーーーーーーーーーーーッと叫びながら逃走した。

 

 

 

 

とまぁそんなことがあった通りを承太郎、エンポリオ、愛、奈美、晴美、千里の六人が通っていた。

 

 

「うわーーー。ひどいなこれは。ビルはなんともないけど、トラックがめちゃくちゃだ」

「能力の性質上弱者が強者に、強者が弱者になる・・・つまり、今まで破壊できなかったものが破壊できるようになり、破壊できたものが破壊できなくなるということですよ」

「なんだか頭が混乱しそう。ややこしすぎるよう」

 

 

トラックの惨状を見て晴美は気味が悪くなり、エンポリオはその能力の性質の可能性を見いだし、奈美はその反比例の法則が現実にどう影響するかを考えすぎて、頭の中がごちゃごちゃしていた。

承太郎は移動している最中も、常に周りで「反比例の世界」になったせいで起こる事故がいっぱい見られた。

壁にもたれかかったせいで壁にヒビが入って崩れたり、鉛筆で紙に何か書こうとするも紙が破れたり、プリンやゼリーが鉄のように固くなってしまいスプーンですくえず、逆にスプーンが折れ曲がって食べられなかったりといったものが見られた。

 

 

そんなものを視界に入れながら承太郎は移動していると、空から輝く球体が何個か降ってくるのが確認できた。

 

 

(あの球体・・・ふっ、さっそくおでましかい)「君達!避けろ!!」

 

 

その球体が自分たちのところへ向かって落ちてきていることに承太郎は即座に気付いて、そのことを仲間たちにも伝え、回避した。それを聞いて他の仲間たちも回避行動をとるが、ただ一人奈美は完全に反応に遅れ、左脚に球体が当たってしまう。

 

 

バギバギバギバギバギ

「ぐがぁあああ!!!私の脚が・・・骨が・・・粉々に」

「あぁ・・・なんてこと!奈美ちゃん!!」

 

 

奈美の左脚が紙のように薄く潰されたので、彼女に激痛が襲い、そんな彼女に晴美は駆け寄った。

 

 

「おい日塔。そんなことぐらいで騒いでどうする。お前は不死身なんだから、どうってことないだろう」

「バカ言わないでくださいよ!痛いものは痛いんですよ。それにこれだけ脚が潰されたら、再生に30秒はかかりますよ」

 

 

承太郎は奈美が不死身なので、そのくらいの怪我でオーバーリアクションはするなと大乗的見地から彼女を見ると、その偏見に彼女は怒る。

そんなやりとりをしていると周りに水晶玉のように透き通った球体が何十個も空中に舞っていた。あまりの多さに承太郎は唾を飲んだ。

 

 

「日塔・・・その脚の治癒に30秒かかるだと?悪いがそんな呑気なこと言ってるとその時間が『延長する』ぞ・・・」

 

 

水晶玉に囲まれて追い詰められている承太郎は皮肉を込めて負傷している奈美に言ってやった。皮肉を言われて苦い顔になっている奈美だが、そうこうしている内に水晶玉が承太郎たち目掛けて襲い始めた。

ドスッドスッドスッドスッドスッとものにめり込むような音を出して承太郎たち全員に水晶玉が当たった。

 

 

・・・かのように見えたが、よく見ると彼ら全員の体すれすれに雲が出現していて、それがクッション代わりとなり、身を守った。

 

 

「反比例になっているなら、一かきでかき消される雲は強くなるッということです!!」

「いいわよ!いい!良い機転だったわよエンポリオくん!」

 

 

晴美に褒められるほどの奇策で敵の攻撃を防御したエンポリオは、雲のクッションで水晶玉を弾き飛ばした。

その水晶玉は全て建物や道路を破壊しながらめり込んだ。そしてそのめり込んだ水晶玉が再度宙に浮いたとき、六人に近付く女の姿があった。

背格好はほぼ一般女性の平均ほどで、マジェンタ色と表現できる派手な短髪の子で右手には焼き芋が入った紙袋を持っていた。

そんな子が紙袋から焼き芋を取り出して、ムシャムシャ食べながら殺気を立たせて近付いてきた。

 

 

「モグモグモグ・・・さすがは・・・モグモグ・・・幹部二人とスコッチを倒した奴等ね。戦い慣れてる・・・モグモグ」

 

 

先程から食べながら話しているので失礼な奴と六人は思うが、それと同時に「凄味」が伝わってくる。自ら姿をさらすというその「凄味」が・・・。

 

 

「わざわざ本体のあなたから来るだなんて余程の自信があるんですね」

「イェ~~~~~ス。それに、スタンドのルール上本体とスタンドの差が縮まるほどスタンド本来のパワーをたたき込めるからね。リーダーからあなた方は完全に息の根を止めさえろと言われていますので、これくらいのことはやっておかないといけないと思いましたので」

 

 

愛は彼女に姿を現した真意を問いただしたところ、自惚れに近い態度で彼女は返答した。その後、愛はスタンドを発現させ、ちらっとだけその双眼鏡を覗いた。

 

 

「“どうやら嘘はついていないようですね”。“スウィート”さん」

「・・・ッ!!?あなた・・・何で私の名前を・・・!?」

「あらかじめ説明しておきますが、私のスタンドは『人の心を読む』能力。といいますが実際にはこの双眼鏡で覗かなければなりませんが・・・」

 

 

愛に自分の名前を言われた“スウィート”はまだ自分の名前を教えていないので驚きを隠せられない訳だが、愛のスタンドの能力を説明されて合点がいった。

 

「なるへそ。確かにあなたはリーダーが言ってた通り、厄介な子ね。でも大丈夫ね。なんせあなた以外はようは雑魚だものォーーーーーーーーーーッ」

「ムカツクわね、あんた。そう見かけで人を判断すんじゃないわよ!」

 

 

愛以外を重視していないスウィートに青筋立てて怒る千里。そういって彼女は側にあったビルの大きい破片を拾い上げた。

 

 

「あなた、全く理解が足りてないようね。『この世界』を最大限に利用してから、そう言いなさい!うなああああああああああ!!!」ビシュウゥゥ

ドグゴォォン

「・・・な!??・・・ぐばぁああ・・・・・」ドシャッ

 

 

スウィートに説教言った後、拾った破片を思いっきり千里は投げつけて、彼女の腹に風穴を開けさせた。

腹からとてつもないほどの血が吹き出してあろうことかスウィートは即死してしまった。

 

 

「普通ならその破片は人間の筋肉繊維や皮膚をあまり破壊“できない”けど、『この世界』なら破壊“できる”ということよ。それに私の『恨み』のパワーは『この世界』の法則を無視できるようだから、私はパワーアップできる。つまりは、愛ちゃんだけが強いわけではないのよ!この間抜けがぁ!!あの世でこのことを反省してなさいッ!!」

 

 

千里は仁王立ちになって死んだスウィートに刻々と時間をかけて彼女の甘い考えを酷評した。

あれだけ豪語していたがこうもあっさり終わってしまったのかと思うと、承太郎はやれやれと思い、帽子のつばを上から押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ・・・反省するわ・・・・・“今ね”ッ!!」

「「「「「「・・・ッ!??」」」」」」

 

 

その場にいた六人は全員体が凍てついた。即死だった。心臓はつぶれたはずだった。なのに何で生きているッ!?

不安と恐怖に駆られながらも六人はスウィートを見た。すると、彼女はぴんぴんしていた。まるで、あのこと自体が何もなかったかのように・・・・・。

 

 

「そういえば言ってたわね、木津千里・・・あんた・・・見かけで人を判断するなって・・・まさにあんたのことだよォォーーーーーーーーーーッ!!!当てはまってるのはあんたの方だッ!!ナメてるのはあんただよッ!!千里ィ!!」

 

 

散々千里に言われたスウィートはお返しに千里に言い返して、首をポキポキ鳴らした。

 

 

「都合の悪いことを取り除き、いいことだけを残す。それが私の能力。・・・“オン・ユア・マーク”さぁ!!」

 

 

彼女の激情につられて水晶玉もピグピグ反応している。

彼女の水晶玉のスタンド、“オン・ユア・マーク”の恐怖はまだ始まったに過ぎない。

 

 

 

 

To Be Continued・・・・・⇒

 

 

 

 

次回予告

 

スウィート 『結果はいい方へ・・・いい方へ・・・流れ込んでいくッ!!』

 

スウィート 『あなたたちが勝てるはずはないのだァーーーーーーーーーーッ!!!』

 

承太郎 『物事には必ず欠点が存在する』

 

愛 『これなら「かわせ」ますかぁーーーーーーーーーーーーーッ!!』

 

奈美 『見つけた・・・彼女への突破口を・・・』

 

コントラスト・コネクト 『お前は強い・・・何処の誰よりも・・・・圧倒的に・・・』

 

『第弐拾参話  オン・ユア・マーク』

 

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