さよならジョジョ先生―改稿版―   作:パラレル。

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第弐拾四話 『ブルー・インパクト』

時間は少し遡り、承太郎たちがスウィートと交戦している一方で、望、徐倫、エルメェス、アナスイ、可符香、あびるの六人は彼らとは何百メートルも離れた場所にいて、なおも移動していた。

彼らも道中に『反比例の世界』の影響でおぞましい惨状の街を見て胸が焼けそうな思いになった。一刻も早く敵をぶちのめして元の世界に戻そうと心に誓う望たちであった。

 

 

彼らは今、この近郊で一番大きいと言われている川の橋を渡っていた。長さは30メートルほどと言われているその橋が架かっている川は最大水深が十数メートルとなっており、今は穏やかに流れている。

その橋を彼らが通る中、可符香は何かに気付いたようで立ち止まった。

 

 

「どうしましたか風浦さん?」

「先生・・・・・。この橋・・・なんだかやばいです。足を蹴り上げるときの反射音がなんだかやばいです・・・」

「やばい!?何言ってるんだぁ?何も変な音はしてねぇぞ?」ゲシゲシ

「いえッ!!これはやばいを通り越して“メチャやばい”ですよ。橋のコンクリート構造を今調べてみたらどこもかしこも脆いんですよッ!!反比例のせいで橋自体が壊れやすくなっているのですから、当然ですけど・・・」

 

 

可符香が立ち止まったので他の全員も止まり、心配して駆け寄った望は彼女からこの橋の違和感を聞いた。だがエルメェスには彼女の言うことが理解しがたく、確認のために自分で橋を蹴っているが、然程変わりはなかった。

しかしそれでも可符香は顔色一つ変えず、ここが危険であると指摘していると、エルメェスが蹴った部分のコンクリートがひび割れ始め、彼女の言う通り、全体的にこの橋が壊れやすくなっていることが分かった。

しかし、彼女が気付いたことはそれだけではなかった。

 

 

「・・・でもそれにしてもコンクリートの破壊状況が人為的と言えるほど不自然なんですよ!誰かが故意に橋が壊れるように手を加えたとしか思えない位の出来映えですよ」

 

 

可符香の能力である“岩石を操る”ことの応用で現在の橋の構造状態を知ることができたため、破壊進行があまりに不自然であることを理解できたのだ。

つまり、このことから近くに敵が潜んでいることが予測できる。そいつはどんな奴でどこにいるのかと橋の上で彼らは悩むが、そんな中で望の左足に鋭利な槍が突き刺さる。

 

 

「えッ・・・うおおおおおおおお!!!」ブシィィ

 

 

望の左足に槍が下から、彼らの足場から刺さり、出欠と鈍い痛みが来て、それと同時に彼の足場も一緒に崩れだした。

 

 

「やはりいたんだ・・・スタンド使いが近くに・・・」

「ぼけっとするなッ!下がれ!!今ので橋が崩れやすくなっていやがる!」

 

 

望が敵スタンドに襲われるところを見てあびるは本当にスタンドがいたのかと思い、立ち尽くしているところに徐倫が怒鳴り、下がるように命令した。

徐倫の言う通り、橋がどんどんひび割れて、足場が崩れていた。その落下している橋の断片と共に落ちている望は自分の足に刺さっている槍を空中で引き抜き、落ちている橋の断片を足場にしてそこから離れた。

望が離れた直後、さっきまでいたところの近くの瓦礫の陰からクエのような頭をした人型スタンドが現れた。

 

 

『ウシャァーーーーーーーーッ!!』

 

 

姿を現したスタンドは威嚇するような鳴き声を発した後、望に近付いて持っている槍を弧を描くように振り下ろすが、それを望は紙一重でかわす。

振り下ろされた槍は望には命中しなかったが、川の水を斬り、水しぶきを上げさせた。そしてそのまま二人は勢いよく川に着水した。

 

 

ドボォーーーーォン

「先生が!水の中にッ!!そうか・・・敵は私たちを順番に水の中に引きずり込んで、溺死させることが目的・・・ッ!!」

「だ・・・だが、奴は不死身なんだから死にはしねーじゃねぇか。大袈裟だぜ。大袈裟」

「大袈裟ッ!??アナスイさん・・・あなたは勘違いをしています。私の細胞は不死を与えますが、決して万能ではありません。灼熱下や極寒下の環境では細胞は全く機能しませんし、ましてや水中なんて酸素を取り入れることができず、行動不能になってしまいます。いくら不死身でも空気供給ができなければ先生は、私たちは水中を流れる水草以下です」

 

 

望が川に落ちたときに敵の真意に気付き焦る可符香にアナスイは宥めるが、事の深刻さを理解していない彼に説明した。

“カフカ細胞”、“聖なる遺体”と呼んでいるそれは一見無敵に見えるが、そうではない。

その細胞は生物の活動領域内で細胞分裂を起こすため、体温は適温を保たなければならず、酸素も必要だ。そのため水中では細胞は全く働くことができない。

そういうことを可符香はアナスイに説明しているときに、水中では望が四方八方を確認して、敵スタンドを捜していた。

 

 

『ウシューーーーーー。さっきよぉーーーー。リーダーからよぉ―――――。仲間のスウィートがやられたって知らせがあったんだ・・・ひでーーーよなぁ』

 

 

声が聞こえた方向に望が向くと、腕を組みながら優雅に水中を泳いでいる魚人のスタンドがいた。

本体は側にはいない。おそらく陸かはたまた水中の何処かにいると推測できた。そう思いながら望は本体を捜そうとするが、対する敵スタンドはまだ喋っている。

 

 

『でもしゃーねーーよな。スウィートの敗北は本体の姿をさらしたことにある。そこをつけこまれたんだろうがな・・・。分かるか?糸色望・・・オレは前車の轍を踏むつもりはない。本体の姿を晒すことなくお前等を殺してやるぜぇーーーッ!!!』

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

敵スタンドが話し終えたぐらいにそろそろ息が続かなくなった望は浮上して息を整えようと上へ泳ぎ始めた。しかしそう思った矢先に敵スタンドが接近して槍を刺そうとする。だがそれを望はすんでのところで躱し、大急ぎで泳ぎだした。

第一撃は躱されたが、そのスタンドは瞬時に槍で横一閃を振り、なんとか彼の足を掠めさせた。その後、ニヤリと微笑して望の後を追った。

 

 

だが、そのスタンドがいくら速くても、望が水面に到達する方が速く、息をさせる余裕を作らせてしまった。

ところが、望がどんなに水面から出ようとしても、水面に頑丈な膜が張っていて水中から出られなかった。

 

 

『ゲヒャヒャ。残念でしたッ!リーダーの能力で水面張力がゴムのように強くなって刃物がなければ通れないようになってんだよ。お前のような非力なんかが出られる訳ねぇーんだよッ!!』シュバァァ

 

 

外に出られなくて息を吸えない望を嘲り、槍で攻撃する敵スタンド。それを躱そうとする望だが、急に筋肉が痙攣を起こしたように体の自由がきかなくなって呆気なく左肩に食らってしまう。

 

 

(グフ・・・何てことでしょう・・・・・体がうまく動かせられない・・・!?そして息が・・・)

『やったぜ・・・もうお前は逃れられん。このままゆっくりと斧を振り下ろして斬首するようにジワジワといたぶってやるぜ・・・息が続く限りよッ!!』ドゲッ

「グバァ!!・・・バババ・・・・・」

 

 

左肩を槍で刺されているとき、全く体が動かず、酸欠で苦しむ望に追打ちの蹴りをかまし、さらに中の空気を排出させる敵スタンド。その反動で刺さっていた槍が抜けて左肩の傷口から血が滲み出る。

その様子を倒壊寸前の橋の上で見ている可符香達はピンチにありつつある望を傍観するしかなかった。

 

 

「クソッ!!やべーぜ!敵は水中戦に慣れていやがる・・・畜生ォーーーッ!打つ手が何もねぇーーーーーーーーーーッ!!!望もあたしらもッ!!」

「敵の術中に嵌まっている。せめてここに鋭利なものがあればあんなトランポリンのような膜を突き破って先生を救出できるのに・・・」

「しかし私たちが動けば奴も動く。水が敵になってしまっているこの状況でどう打つ!?一刻の猶予もないのにッ!!」

 

 

水中での望の防戦一方になっている戦いを見て今の自分たちの非力さに痛感するエルメェス、あびる、徐倫。刻々と足場がなくなる中、アナスイはこの現状を打破する名案を思いついた。

 

 

「打つ手は何もねぇ―か・・・いや、あるな。“たった一つ”だけならあるぜッ!!」

「なッ!?アナスイ!?」

「おめーらも来いッ!!不安定な橋にいるよりはずっとましだ」

 

 

案を思いついたアナスイはメキメキと壊れていく橋から飛び降り、川へ着水しようとする。これを見て徐倫は驚くが、アナスイの言い分も正しいっちゃで正しいので全員橋から飛び降りることにした。

しかし、アナスイたちが無事川に着水(正確には水面の上を立っているのでそう言ってよいのか迷うが・・・)したのを敵スタンドは見逃さなかった。

 

 

〔フッ・・・全員来たなぁ・・・こいつぁいいぜ。ここで全員水の中に落として溺死させてやるぜ!!〕

 

 

橋にいた残りのメンバーが水面に下りたため敵スタンドは体の自由が効かない望を放っておき、持っている槍を水面に突き出してそのまま泳ぎ始める。こいつはそうやって川に穴を開けて彼ら全員を川に落とすつもりなのだ。

だがこれはアナスイの計画の一部、想定内のことなのでこの打開策は考え済みである。

 

 

パシィ

「やっぱりよぉぉ・・・俺たちがここに来れば、そんなことをやると思ってたよ」

『なぬ!?オレの槍を・・・バカなッ!!どうやってッ!!』

 

 

アナスイは“素手”で水面を突き出て滑走する槍を掴んでスタンドの動きを止めた。

確かに“スタンドはスタンドでしか倒せない”というように一部のスタンドを除いて生身でスタンドに触れるはずがない。

しかし、アナスイはそのことをにやけながら話した。

 

 

「どうしてかって!?簡単さ。俺の腕に実体化しているあびるのスタンドを巻いているからさ。俺のスタンドで触るのが手っ取り早いが、パワー負けしちまうからなぁ・・・今は。おめぇんところのリーダーのせいでよぉ」

 

 

彼の言う通り、彼の腕や手にはあびるのスタンド“ラヴマシーン”が保護色で一見見えにくくして巻き付いていた。

あびるのスタンドは本体の包帯に同化しているスタンドであるため、生身の体に干渉できる。そこをアナスイはついたのである。

そして不意をついてスタンドから槍を取り上げたアナスイは、それを取り返そうと水面から飛び出してきた敵スタンドにその槍を突き刺した。

 

 

ボスゥゥウウ

『げはッ!!?なあああああにぃぃぃぃぃぃ!!?』

「フンッ・・・思い知ったか。よし、今だあびるッ!!今の内に先公助けなッ!!」

「言われなくともッ!!」ドシューーーーーッ

 

 

アナスイによって自らの槍で胸を刺されて敵スタンドが苦しむ間にあびるは“ラヴマシーン”を敵スタンドが出てきた辺りに伸ばし、水中で一切動かない望の体をがっちりと捕えてそのままちぎれないように引っ張った。

 

 

「げばぁあああ!!!あぁ・・・もうすぐで三途の川をバタフライするところでした・・・誰か手を貸してください」

「先生・・・ご無事で・・・」

 

 

何分ぶりに息を吸えた望はちょっとしたジョークを挟みながら、彼等に手を貸してくれるよう頼んだ。それを可符香は承知し、彼を水面から引っ張り出した。

 

 

「酸欠で苦しいところ悪いが望・・・まだ奴を仕留め切れてねぇ。ちとばかし浅すぎた・・・だがきっと浮上してくるぜ・・・・・」

 

 

酸素不足で息を荒げている望にアナスイがまだ警戒するように呼びかけた。流石に水中では素早くて胸を刺されて苦しむ中、敵スタンドは追撃を恐れ、槍が刺さったまま水深深くに潜ってしまったのだ。

しかしながら、さっきのダメージで川底の水草が生い茂っている所で最新鋭の装備をして隠忍していた本体・ハネデューが、たまらず水面目掛けて浮上してきた。どうも胸を刺されたことで口に血が溜まって呼吸困難になったようだ。

浮上したハネデューはマスクを外し、口の中に溜まった血を吐き出した。そして、息を整えたときに彼はアナスイたちがこちらを見ていることに気付いた。

 

 

「どうやらあなたが本体のようですね・・・おや?そういえばさっき“本体の姿を見せずに殺す”とか言ったような・・・言わなかったような・・・」

「ギギギギギ・・・・・よくもこのオレに恥をかかせてくれたなッ!!だがここからだッ!!陸では弱いが水の中なら話は別さ。ここはオレのホームグラウンドさッ!!どんな奴だろうとオレを倒すことできないッ!!!」ザブーン

 

 

無精髭をたくわえたハネデューは彼等に毒を吐いた後、マスクをつけて再び川底目掛けて潜った。そのずしっとした筋量の体を駆使して瞬く間に7~8メートル潜った。

 

 

(ケッ。本当の戦いはこれからだ・・・さっきは油断して浮上しちまったがもう無駄だ。若かれし頃、「バルセロナの怪魚」と呼ばれたほどの実力と訓練によって磨き上げられた潜水持続時間10分ッ!!それに加えて二時間も持つ酸素ボンベを背負っているッ!!余裕で半日をここで過ごせるオレに勝てるはずがなかろうがァ!!)

 

 

8メートル下の水中から彼等を見上げて自信ありげに勝ち誇るハネデュー。大きな深呼吸をしている内に素早くスタンドを発現させ、彼等に襲いかかる。

 

 

ブシュウウウウウ

「痛ッ!!くそがッ!!」

 

 

ハネデューは狙いをアナスイに絞って彼の右肩を水中から槍で刺した。アナスイはすぐに振り払ったが、直後に体中が痺れて動けなくなった。

 

 

『ククク。動けねーーーーよなーーアナスイ。そりゃそうさ。オレが槍で刺したとき槍から弱い電磁波を放出させて脳が送っている信号を狂わしたからなぁーーーーー。ケケケ』

 

 

体が動かなくなって片膝をついているアナスイに不敵な笑みを浮かべながら、魚人スタンドは槍を構えて再びアナスイに襲いかかる。

 

 

『そんじゃあよう!!今度はてめーの心臓にブッ刺して一気に絶命させてやんよッ!!アナスイィィィィィイイイイイ!!!』

「いや・・・残念ながら違うな。それは『お前』の方だ・・・!!」

『は!??てめーなに言って・・・うっ!?ま・・・まさかッ!!?』

 

 

アナスイの台詞に耳を疑う敵スタンド、もといハネデューだが、今になって自分の体に『異常』があることに気付いた。

それは徐々に自分の胸がどんどん膨らんできて、否違う、肺が膨らんできたことだ。

ウェットスーツを着用していたため気付くのが遅かったが、既にハネデューの旨が風船の如く膨張している。

 

 

(ま・・・まじでや・・・やばいッ!!い・・・いつ仕掛けられたんだ・・・おのれアナスイ畜生~~~。やばすぎる~~~~~~)

 

 

彼の脳裏ではアナスイの仕業であることを直感で理解できたため、死に対する恐怖とパニックで過呼吸に陥ってしまう。

それによって次第に胸が膨張していきそして・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドバオオオオオオオォォォオオオォン

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!」

 

 

ハネデューの胸、つまり肺がついに許容オーバーになって破裂し、胸から大量の血が一気に水中に拡散した。と同時に体に取り込んでいた空気が出て行き、ハネデューはそのまま川底に沈んでいった。

彼の死亡と共に襲いかかっていたスタンドも塵となって消え、この場にいる誰もが彼の死に気付いた。

 

 

「水の中が好きならいるんだな・・・・・一生」

 

 

アナスイは川底に沈んでいったハネデューに向かってぼやいた後、水面を渡って川を出ようとした。

他のメンバーも彼に続いて崩壊していく橋を背に陸へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

To Be Continued・・・・・⇒

 

 

 

 

 

――プロフィール――

 

・ハネデュー・クインシー  男性。スペイン出身。

 

無精髭を生やし、重量感ある体つきをしている。

 

若い頃水泳を嗜んでおり、「バルセロナの怪魚」と言われるほどの実力であった。

 

潜水持続時間は10分で、水の中にいた方が落ち着くらしい。

 

スタンド名:ブルー・インパクト

 

【破壊力:D スピード:D 射程距離:C 持続力:D 精密動作性:A 成長性:B】

 

能力:槍で刺した生物の電気信号を狂わせる  スタイル:近距離操作型  分類:亜人型

 

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