さよならジョジョ先生―改稿版―   作:パラレル。

30 / 33
第弐拾七話 地獄の女神 加賀愛その②

とある少女は惨めな人生を送っていた。

彼女の家庭は普通の家庭と変わらない。だが、父親を彼女が生まれて間もない頃に亡くしていることと自分の主張を言ってはいけないと物心ついたときから教えてきた母親がいる以外は・・・。

例え理不尽な目に遭っても相手を責めず、逆に自分に何かしらの原因があることを思わなければならず、自分に何かしらの責任がある場合、その都度頭を下げるよう母は教え、もし刃向かうようなことをすれば、徹底的な暴力を与えて彼女の身と心に分からせた。

 

 

そもそもの原因は彼女の父親、つまりはその母の夫が多国籍企業の社員で、海外で仕事をしているとき、別企業の車両と衝突事故を起こしてしまい、その裁判で相手側の企業に責があると彼は主張するが、結局敗訴に終わり、莫大な慰謝料と会社の恥曝しという汚名から来るストレスに耐えられず亡くなった。

元々彼女の祖父もその父も大戦時日本兵だったため、敗戦後母や祖母から「我々日本人は色んな人に迷惑をかけてしまった」と教えられながら育ったために、夫の知らせを聞いたとき、「端から自分が悪かったと言えば、これほどまで大事にはならなかったはずなのに・・・」と夫を哀れみ、そしてこんな辛い目に自分の一人娘が遭わないようにするために母親はこの時彼女に対して歪んだ愛情を注ぐことになる。

 

 

そんな母の教えに流されるように育った少女は小中学校でいじめの対象とされ、事ある毎にいじめられていた。そしてそのいじめが浮き彫りになれば、決まって母は謝り、家に連れて帰ると暴力を振るう。

何かにつけて母は「あんたが悪いのよ!!あんたが変な態度取ったから・・・あの子達が不愉快になったからこうなったのよ!!」だとか「全てあんたのためだからねッ!!お母さんがこんなに頑張っているのは・・・全部ッ!!!あんたのためを思ってなのよッ!!!」と怒鳴り散らし、彼女に暴力を振るった。

 

 

クラスメイトや母親から夕立のように降り注ぐ暴力の中で彼女は毎々「誰か助けて・・・・・誰でもいいからお願い・・・・・」と思った。だが残念なことに、空腹で堪らないのに何十回と竿を下ろしても魚が一匹もかからないように、彼女の願いは決して叶わぬことだった。

終いに彼女は自分の生きる価値があるのかという疑問を抱き、その疑問を自答する頃には、彼女は校舎の屋上におり、結論が定まったときには、彼女はそこから飛び降りて頭を地面に叩き付けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『悲しい人生だったね・・・・・でも大丈夫。これからあなたは生まれ変わる』

 

 

気がつくと少女は暗い空間にいた。宇宙の彼方なのかはたまた別の空間なのかは定かではないが、この世ではないことは理解できた。

その中で自分の全てを包み込んでくれる優しい少女の声を聞いた。どこにいるかを確認することはできないが、その存在は近くにいるようで遠くにいるようだった。

 

 

『貴女は“第2の人生”を歩むことになる。でもそれに慣れるまでは地獄のように辛い道が貴女を待っている。だからせめてもの心の拠り所として何か欲しいものがあれば言って?』

 

 

少女の声を聞いて彼女は戸惑うが、慈愛に満ちた少女の声が彼女の崩壊した心を紡ぎ直し、自然と躊躇いなく本音を漏らせた。

 

 

「知りたい・・・・・私はどうしても知りたいッ!!他人が私のことをどう思っているのかを・・・・・!!」

 

 

姿の見えない少女に向かって本音を言う彼女はポロポロと涙の雫を溢す。この涙は悲しいからではなく、失った大切なものを再び見つけることができたような安心感から来るものだ。そして彼女はもう一つ・・・・・生まれて初めて欲を出すのだが、それでも彼女は言った。

 

 

「あと・・・・・欲しいの・・・生まれてこの方持ちたくても持てなかったけど・・・。勇気が欲しい!!自分で立ち上がってどん底から這い上がれるような勇気をッ!!」

 

 

彼女が言った二つ目の願い事に少女は何の小言も言うことなく望むように彼女にその二つを授けた。

その時目が覚めて、病室のベッドから体を起こした彼女。その時からその少女、加賀愛の第2の人生が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は戻って走行しているバスの中、“スリザー”に拘束され、その触手が脳にまで侵食している愛は彼女の闇のスタンド、“マシュマロウ・ジャスティス『ACT3』”を出して、本体のダナーに依然として睨んでいる。

『ACT3』は『ACT2』より大きい中型プロペラ戦闘機だが、『ACT2』まであった双眼鏡が垂れ下がっておらず、両翼と胴に計7つの口径50ミリの機銃が搭載されて迫力はかなりあるにも関わらず、依然ダナーは余裕の態度を見せていた。

 

 

「くくく・・・キミのスタンドが進化してしまったことには驚いたが、忘れたのかい?我がスタンドは既にキサマの脳に入り込んでいる!!もうどうすることも出来はしないッ!!!」

 

 

ダナーの言う通り愛はどっからどう見ても絶体絶命のピンチ。彼に操られれば、いかなる抵抗も無に等しい。それに加えて、ダナーを攻撃すると、そのダメージが承太郎やあびる、他の乗客達にも及んでしまうので手が出せないはずだが、愛は攻撃しようと企む。

 

 

(コイツ・・・どうやらプッツンしたときに頭のネジも飛んだらしいな。実に浅はかで単純なものだ・・・)

 

 

触手が彼女の脳に達しているため、愛の考えていることが断片的だが分かったので、心底呆れるダナーだが、断片的故に愛が行うことを正確に把握できなかった。彼女は・・・。

 

 

 

 

“自分の方”に銃口を向けていたッ!!!

 

 

(ま・・・!!な・・・コイツ!!いかん!こんなことで大切な人質を失うわけにはいかん!!早く分離しなくてはッ!!)

 

 

『ACT3』の銃口を愛自身に向けたことにダナーは憐れと思うよりも先に流れ弾に被弾し、その時のダメージフィードバックで折角確保した人質が全滅することを恐れて触手の連結を外し、素早く後方に下がったが、銃口からではなくどうから発射された『何か』は異常に速く、たった一秒足らずで彼女の頭蓋骨と脳みそを爆撃し、その爆風をダナーは軽く受ける。

 

 

(“ミ・・・ミサイル”か!?あのスタンド・・・機銃だけでなくミサイルも所持していたのか!?そして、なんて捨て身な行為なんだ・・・不死者ならではこその発想だ・・・!!)

 

 

ミサイルで自分の頭を破壊して、破壊痕から大量の血肉と切り離された触手が溢れ落ちながら立っている愛を見て些か彼女の不気味さと異常さに敬意するダナーは、分裂させた触手を自分の体に戻し、頭が復元している愛の出方を窺った。

頭の傷が痣一つ残さず再生した愛は自分の出方を探っているダナーを見て少し沈黙した後、凍てつくような笑みを浮かべながら『ACT2』とは比にならない速度で『ACT3』を彼の腹目掛けて飛ばした。

 

 

(な・・・コイツ正気か・・・!?人質がどうなっても・・・)

ボグゥウウゥ

「ぐぼぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」ガシャァァアアアアン

 

 

体が完全に触手化する前に腹に体当たりしようとする『ACT3』にダナーは人質のことを顧みず猛攻を仕掛けてくるので彼女の正気を疑うが、それと同時に『ACT3』が腹にめり込み、そのまま後方へ押し込まれ、ダナーはバスのバックガラスを突き破って外へ転がり落とされた。

もちろんダナーが受けたそのダメージも承太郎達にも伝わり、全員が立っていられないほどの痛覚が体中を走った。その苦痛で運転手はハンドルを取り乱してしまい、そのままそのバスはガードレールに激突して停車した。

 

 

転げ落ちた拍子に頭を打って血を流しているダナーは覚束ない足で立ち上がり、頭の患部を押さえながら停車したバスを見た。

見るといつの間にか愛はバスを下車していて、『ACT3』を出したままこちらに歩み寄ってきている。それに焦るダナー。何故かというと・・・・・。

 

 

(まずい・・・・・この女・・・いつの間にかオレの射程範囲を把握していやがった。射程20~30メートル・・・どう見てもそれ以上バスから離れちまった。つまり!人質が今誰もいねぇ!!人質がなくなった今・・・非常にやっべぇぇぇ!!)

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

愛の攻撃でスタンド射程の外に出てしまったことにより、人質として扱っていた彼等がその意味を失ってしまい、彼女と対峙しながらもかなり冷や汗を流すダナー。それを見て愛はダナーの心情を察したかクスクスと不気味な笑みを漏らす。

 

 

「フフフフフ。イイですね・・・怯えたあなたを見ていると何かスカッとするんですよねぇ。でも・・・・・もっとスカッとさせて貰いますよ?あなたをブチ殺して血ぃドバドバ流してねぇッ!!」ブロン

ドヒュ   ドヒュ   ドヒュ   ドヒュ   ドヒュ

 

 

愛の目が血走り『ACT3』のミサイルの連弾をダナーに目掛けて飛ばすが、彼はアクロバットに宙を舞ってミサイルの全弾を躱した。

発射されたミサイルはそのまま一直線上にある停車していた車両に当たり、爆発した。さらにそれに誘発されて次々と爆発が起こり、辺りは火の海になった。

その大惨事を見てダナーは一瞬ゾッとするが、構わず足から触手を伸ばし、愛の背後から襲いかかった。

 

 

「無駄無駄無駄無駄無駄!そんな低俗な奇襲で私をやれるとでも!?『心』が読めるのよッ!!てめーがやることなんてお見通しなのよッ!!」ドバァアア

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

「ッ!?な・・・ならこの攻撃はッ!!やれるかぁーーーーー!!!」ドヒューーーーーーーーーーーーーーーッ

ゴバゴバゴバ  ゴバゴバ  ゴバゴバゴバ  ゴバゴバ

「チッ!狡猾な悪あがきね!」

 

 

背後の触手を見ることなく驚異的な跳躍を成し遂げてそれを躱す愛は、『ACT3』の全機銃の一斉射撃を行いダナーに攻撃するが、彼は身体を全て触手に変えて躱して見せて不発に終わった触手をジャンプしている途中の愛へ向かって伸ばした。

真下から来る触手を目にして愛はスタンドの翼を掴み、グライダーのようにスタンドを利用して距離を取ろうとした。

しかし、急上昇する触手は途中で丸く集積し、大きな球の形を作った。その時、その球の隙間から触手が飛び出してきて威力の高い攻撃を仕掛けてきたダナーだが、愛はフルスピードでスタンドを動かし、その嵐のように襲ってくる触手を悪態つきながら躱し、無事に着地する。

襲ってきた触手はダナー本人に戻り、車が一台も通っていない道路で二人は対峙する。

 

 

「ちょこまかとうざい動きをするわね・・・腹が立つのよ!!もうそんなことが出来ないように・・・・・荒いことさせてもらうわ!」

 

 

決着を早めたい愛は自分のスタンドを上空の彼方へ飛ばした。その数秒後、何かが落ちてくる音が聞こえてきたとき、ダナーが想像していたことよりももっと無茶苦茶なことが起こると知って、表情が引きつると共に、回避の行動に移る。

 

 

ボグォ  ボグォ    ボグォ  ボグォグォグォグォグォオン!

 

 

戦場と化した道路の辺り一面に空から大量のミサイルが夕立の如く降り注ぎ、街を破壊し、二人の周りを完全に火の海に変えて逃げ場をなくさせた。

 

 

(アチャアチャアチャチャ!!コイツ・・・マジか!?ここまでとは!!オレの動きを封じるためにここまでやるか!!?・・・・・末恐ろしいヤツだ)

 

 

愛の大規模な無差別砲火により、ダナーの体は多少ながらやけどを起こし、愛の真の異常さを目の当たりにする。敵を追い詰めるために辺り一面を地獄絵図にするその異常さをッ!!

そしてこの業火の中、火が持つ破壊力と細胞自体の再生力の双方が行われている状態の愛がのそのそと歩いて近付いてくる。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

辺りは火の海。逃げ出せば只の火傷で済むはずもない。一方は触手になれる化け物。もう一方は戦闘機を操る不死身の化け物。

二人は火の燃焼音で響き渡るこの業火の中、無言で対立し、互いに背水の陣をはって敵目掛けて向かった。

 

 

シュバァアァ

「フンッ・・・ン?・・・『ドジュウウウウウウウゥゥ』・・・ッ!!ぐわッ・・・こいつ目をッ!!」

(カカカ。ざまあ見ろ!火の目つぶしだッ!!くらえぃ!!)シュルシュルシュル

 

 

ダナーは右腕を触手に変えてムチのように大振りに振って愛に攻撃する。彼女はそれを難なく躱すが、大振りに振ったことで触手に火が移り、そのまま火が彼女の両目に勢いよくかかり、彼女の両目を使い物にならなくさせた。

目に火がかかり苦しむ愛にダナーは触手を伸ばして彼女の目が再生する前に彼女を拘束しようとする。

しかし、眼球が燃えて見えていないにも関わらず愛はスタンドを動かしたのでダナーは驚いた。

 

 

「・・・ッ!!?何ッ!!?」

「“位置は分かった”・・・・・例え見えなくてもお前に鉛玉を命中させることは・・・・・可能よッ!」

 

 

ドガガガガガガガァアアァァーーーーーーーーーーッ

「どげぶ・・・ばぁっ!!!」(これほどまで正確に撃ってこれるなんて・・・・・コイツの能力は・・・・・)ドブォォオォアァ

 

 

『ACT3』の機銃の弾が正確にダナーの体に撃ち込まれて、彼の体はボコボコに穴が開けられ、肉片が辺りに飛び散っている。

愛の『ACT3』の能力についてダナーが何かに気付くが、その時には彼の体は只の肉塊になり、ボロボロと崩れていった。

ダナーの体が崩れ去ったのを分かっていたのか愛は攻撃を止め、再生したばかりの目で辺りを見渡す。火の明かりのせいで治ったばかりの目には負担がかかったが、瞼をパチパチさせて暫く眺めると、愛は苦々しい顔つきになって舌打ちした。何故ならそこにダナーの残骸がないからだ。

 

 

 

 

愛が派手に暴れたことで救急車や消防車のサイレンが忙しく鳴り響いていて、ダナーのいる下水道までその音が聞こえていた。

彼は今彼女と戦った場所の近くの下水口からバラバラにされた触手を動かして侵入し、自分がやって来た道の方向へ撤退していた。

 

 

(くそ・・・こ・・・ここは離れよう。あんなクレイジー女とやり合うには一人ではきつすぎる・・・。ここは一旦逃げて“情報”だけでも渡さねばならない・・・。元よりオレは“殺し”が目的ではない・・・。“諜報”だッ!!オレの得た情報は偽りのないものだからこそ、ボスに気に入ってもらえてここまでのし上がってきて来れたのに・・・あんな・・・・・頭のネジが外れたヒステリー女のせいで全てを蔑ろにして堪るかよッ!!)

 

 

ダナーは心の中で悪態をついて壁に寄った。そして、そのまま足を引きずりながら少しずつ前進してこの場から・・・願わくはこの国から去ろうとする。

だが突如、自分が入ってきた下水口が爆破されて外の光が下水道に入ってきた。その時にその大きく空いた穴から少女が一人飛び込んできた。勿論その人物は加賀愛だ。

彼女の登場にダナーはとても落胆し、疲労で重たい体を彼女の方に向けて壁に凭れたまま対峙する。

 

 

「オマエのスタンド・・・やはり、“センサー”か。双眼鏡を通して心を読む今までの形態とは違い、その機体の何処からかから発せられる音波か何かで人が何処にいて何を考えているのかをレーダーのように感知するスタンド・・・。それがオマエだ!違うか?」

「クフフフフフ。凄いですねぇ~~~~~大当たりですよぉ。ますますあなたを生かしておくべきではないですねぇ!!まぁ元々殺すつもりですけど・・・」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 

 

かなりの疲労感があるダナーと殺気立たせている愛は殆ど静寂に包まれている下水道の中で、最期の一騎打ちを始めようとしていた。互いにスタンドを起動させて西部劇の決闘のような雰囲気を醸し出していた。

そして、ダナーはストレートに己のスタンドをフルスピードで愛に向けて触手を伸ばした。けれども、それは猛進する『ACT3』の機銃に撃ち落とされる。

ここまでは今までと同じ攻撃パターンだ。しかし、ここでダナーの思惑とは違った攻撃方法を愛は行った。

 

 

通常“マシュマロウ・ジャスティス”のようなタイプのスタンドは弾丸を発射して戦うのがオーソドックスだ。しかしッ!!彼の俊敏な動きで全て躱せされると学習した愛はその手の攻撃をしようとは思わなかった。

逆にッ!!思いっきり突っ込んだッ!!

 

 

ドグァァアアアァァン

「こ・・・・・これは・・・・・」

「もうあなたには銃撃は必要ない・・・学習しましたから。このまま高速回転しているプロペラであなたの肉を・・・触手を・・・ミキサー駆けるみたいにぐちゃぐちゃのどろどろにしてあげるよ・・・・・」

「や・・・・・ぃぃぃやめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

『ACT3』の突撃で触手化していた腹の肉が吹き飛び、結果的に大ダメージを受けるダナー。そしてこれからこういった攻め方を彼女に宣言されて、ゾッとしたダナーはそうなる前に彼女を襲おうとするが、その時の叫び声は断末魔のものになる異なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   ドバァグ    ドギャン     グチャン   ドガァァァ

「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!」

     ボガァ      ボグゥゥウ   ズバァラ     ゴルリィィィ

 

 

ドバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

 

“マシュマロウ・ジャスティス『ACT3』”の嵐のような体当たりを食らったダナーの体はものの数秒でミンチにされてしまった。

しかしスタンドの性質上触手化しているため体は元の姿の戻るわけだが、食らったダメージは悲惨なものでそれに耐えきれず、ダナーは泡を吹いて気絶していた。

それを見下ろす愛は息を整えて全ての怒りをこの一撃に込めるように倒れているダナーの頭部に目掛けてミサイルを放ってそれを粉々にした。そしてその時に愛の何かが吹っ切れたらしく、そのまま虚空を見つめたまま暫くフリーズした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・あれ?私・・・今まで何を・・・ここは下水道?どうして私・・・こんな所に・・・)

 

 

フリーズしていた愛が再起動したとき、彼女の性格は元に戻っていた。

バスで敵の男に拘束されていたときから記憶がなく、どうして自分がバスの中ではなく下水道にいるのかが気掛かりだった。だがその疑問も近くに転がっている首なし死体を見て合点がいった。

 

 

(そうだった・・・私・・・・・またやっちゃったんだ。闇に呑まれて・・・それで・・・はっ!!)

「承太郎さん!!私が狂暴化していたときにやっちゃっていたらどうしよう・・・。百遍お腹切っても償いきれないよぉ~~~~~~。私死ねないけど~~」

 

 

遺体を見てバスの中の承太郎のことを思い出した愛はそそくさと下水道から梯子を伝ってマンホールから地上へ出ると、自分がやらかしてしまった惨状を目の辺りにする。

焼け焦げた車や道路。燃えているビルを消火している消防隊。怪我人に手当てをし、救急車に運び込む救急隊員。それらを見た愛は承太郎のことを忘れるぐらい絶句し、腰を落としてしまう。

 

 

                                                ブツブツブツブツブツブツブツブツ

「やっぱり私って生きていちゃいけない存在ですよね。これほどまでに周りが見えなくなってしまうもの。それはそうですよねぇ~~ウフフ」

ブツブツブツブツブツブツブツブツ

「何一人でブツブツと言ってんだ・・・加賀」

「はっ!!承太郎さんッ!!すっかり忘れていました。そしてすいません!!」

 

 

頭を抱えて独り言のように呟く愛の背後からふらつく足取りで空条承太郎があびるを肩に担ぎながらやって来た。愛は承太郎の姿を見た瞬間、さっきやろうとしていたことを思い出し、そのまま彼に謝罪する。

流石に承太郎もここから広がる惨状から察しがついて彼女が謝る理由が分かり、愛に一つだけ言った。

 

 

「加賀・・・決して恥じることではない。子供が寝しょんべんをするようなものだ。つまりここからだ。誰だっていきなり100キロの錘を持てやしないさ・・・。常日頃から鍛錬してようやく持てるようになる。君はその第一歩を進んだのだ。この教訓を次に繋げればいい。そのためにも私や望がいるのだから」

 

 

愛は承太郎の助言のおかげで目から鱗が落ち、自分の渇ききった心に水が注がれるような不思議な感じがするが、承太郎が急に膝から崩れて倒れそうになったので、深い意味でそれがどんな感情だったかは考える余裕はなかった。

 

 

「大丈夫ですか!?やはり敵の攻撃で・・・」

「ああ・・・確かに。体がだるくてもう自力で立てそうにない・・・。悪いが肩を貸してくれ」

「喜んで・・・」

 

 

ダナーの触手攻撃でかなり体力を奪われていたらしく思うように体が動かず倒れそうになるところを愛が体を支えてくれたおかげで無事倒れずに済む承太郎。そのまま彼は愛の肩を借り、あびるを抱えたまま帰途についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《・・・そうか。ご苦労であったダナー・アイベリー。流石私が見込むスタンド使いだ》

「そこまで謙遜しないでください。実際のところ、“あと一歩”間違えばやられてました。ダメージもひどい・・・・・完全敗北です」

《いや・・・お前はよくやった方だ。今回は『情報収集』が第一目的だからな。それにお前の言う“不死の細胞”のせいでそうなったのだろう。今回の件は組織の幹部や師団隊全員に回しておく。大手柄だ!無事な帰還を祈る》プツン

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

場所は変わって下水道。愛とダナーが戦闘していた場所より少し離れた所で深手を負っているダナーは荒い息遣いで携帯を操作し、ボスのエッグプラントに自分が得た情報を全て報告した。

その彼を謙遜したエッグプラントは何事もなく任務から帰ってくることを伝えた後、通信を切った。それを確認したダナーは壁に凭れながら組織の本部へ向かう。

 

 

(フッ・・・流石にヤツはオレが死んだと思っていようよ。ヤツが読めるのが“人間”だけでよかったぜ。触手化したオレは“人間”として扱われなくなっていたおかげで触手の間に思いついた脳の部分に相当する触手をドブに隠す作戦は成功したぜ!脳させ損傷しなければ触手化は解けることはないッ!ちとバッチかったが結果オーライだぜ!グヘヘ)

 

 

本部へ向かう途中でダナーは愛のスタンドの弱点を利用し、自分の死を偽装したことが成功して悦に浸っていた。彼の顔が引きつるほどの笑みを浮かべながら去っていった愛に向かってダナーは叫んだ。

 

 

「加賀愛ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!次会うときは必ずキサマを克服し、そして殺してやるッ『ドンドンドン』・・・!!?えッ!?な・・・何が・・・!??」

ブロロン ブロン ブロロロローーーーーーーーーーーッ

「・・・ッ!!?あ・・・あ・・・『ACT2』ッ!?くそ・・・ちくしょうどうして・・・なんで・・・!?」

 

 

次戦うときこそ愛を倒そうと決意するダナーだが、その時、彼の腹に3つの穴が空いて血が噴き出る。

あまりの不意打ちに動揺するダナーの背後からエンジンを吹かして現れた“マシュマロウ・ジャスティス『ACT2』”。そいつの登場にパニックせざるを得なくなるダナーは完全に冷静さを失っていた。

そして、『ACT2』はダナーに不意打ちをかました後、本格的に攻めるためにダナーに接近した。

 

 

(まさかッ!!愛の『ACT2』がここまで執念深かったとは・・・!!まずい!!!これでは触手化が間に合わな・・・・・)

ドガガガガガガガガガガガァ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎにやぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

「うん?何か聞こえませんでしたか?サイレンの音がうるさくて上手く聞き取れませんでしたが・・・」

「そんなことはどうでもいいだろう・・・・・それより携帯持ってるか?望に連絡する。二度とこんなのはゴメンだ」

「う・・・う~~~~~ん」

 

 

『ACT2』の銃撃を食らい、本当の断末魔の叫びをダナーが上げたとき、その叫びは下水道中に響き渡り、下水道の排水口の近くにいた愛達の耳にも入った。

しかし救急車やパトカー、消防車が発するサイレンの方が大きい音を出していたため、彼等は具体的にそれが何の音だったかは分からずじまいで、最終的に空耳かと思ってそのまま帰って行った。

 

 

 

 

ダナー・アイベリー・・・・・惜しくも死亡。

加賀愛・・・・・承太郎の言う通り頑張っていこうと決心する。

小節あびる・・・・・移動途中に意識が戻る。再起可能。

空条承太郎・・・・・愛の携帯で望を呼んで自宅に帰った。やれやれと思う。

 

 

 

 

To Be Continued・・・・・⇒

 




次回からの投稿は不定期になります。何卒ご了承ください。

これからも『さよならジョジョ先生ー改稿版ー』をよろしくお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。