【素直な気持ち】太中   作:蛞蝓さん

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これは太宰に対して素直になれない中也が素直になっていくそんな、小説です。


電話越しの

――――俺は素直じゃない。

そんなの、解ってる―――――

______________________

 

...いつもと同じ部屋。いつもと同じ仕事机。

いつもと同じ、窓から見える横浜の景色。

 

何もかも、変わらない筈なのに。今ではその全てが崩れ落ちて、無くなってしまうような…

 

 

そんな漠然とした不安に呑まれそうになる夜は

今日だけじゃ無かった筈だ。

 

 

ふーっ、と息を吐きまた深く吸う。

それを数回繰り返し、心を落ち着かせる。

そして手元にあるスマホをまじまじと見つめ

ある者からへの、着信をただ待つ。

 

「…今日こそは素直になるんだ…!!」

真剣な表情で何思う。それは唯一つだけ。

 

 

━━━素直になる事。

 

 

彼、中原中也 (22)には悩みがあった。

それは昔からの馴染みであり、恋人である太宰に素直に接する事が出来ないと言う事だ。

 

傍から見ればされど重大な事では無いのでは。そう思うだろう。けれど彼には重大な事であった。

 

数十年も隣を歩いてきた者同士、互いの手

筋も間合いも把握しているにも関わらず己が

奥手故に呆れさせてしまっているのでは無いだろうか?余りにもぶっきらぼう過ぎて、嫌われてないだろうか?

 

 

考えれば考える程不安が募る。

ものの数分で出来た、莫大な不安を抱え今日も素直になれるのか雲行きが怪しくなった頃

 

漸く、手元のスマホから軽快な着信音が鳴った

なんてタイムリーな。そんなことを考える猶予は最早無い。

 

 

覚悟を決めた中也は生唾を飲み

通話開始釦を押した。

 

「もしも~し、中也ぁ~?」

相変わらずな声が電話越しに聞こえてくる。

『おう、太宰か。どうした?』

 

理想の返事はこうだ。けれどそう考える間にも

「おーい、聞こえてるの~?」

などと急かす太宰。それに中也は慌ててしまい…

 

 

「きっ、聞こえてるっつーの!五月蝿ェな!」

…はっ、と気付けばもう遅い。最悪だ。

 

そして太宰は、

「五月蝿いのは君の方だろう!?というか心配して聞いたのに其の態度は可笑しいでしょ!」

などと拗ねてしまった。

 

…今日も失敗だ……。出だしであの様なことを言って仕舞えば後戻りは出来ずにいつもの様にちょっとした口争いをして、会う約束をして、

何の進歩も無いまま通話終了釦を押すだけだった。

 

「はぁ…糞、これから会うのが億劫だぜ…」

なんて事を言いながらも、如何すれば太宰に対して素直になれるのか。

 

 

矢張りそういう事ばかり考えている。

そんな自分に、心底呆れ返り乍も

 

寒空の下で待ち草臥れているであろう

太宰の元へ急いだ…

 

【素直な気持ち】続く…




どうも、蛞蝓さんです。
初書き&初投稿なのですが分からないことがあり過ぎて
てんやわんやで……
上手くかけてなかったり誤字脱字がありましたらすみません。
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