カルデアのアルバイト清掃員の日々   作:ターボー001

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ゴルゴン三姉妹とお風呂に入る話

 

 

「いい湯だな♪」

 

 

 

 

ビバノンノンと合いの手が聞こえてきそうな国民的あの歌を誰もいない大浴場で歌う。

 

だが歌詞と反して湯には浸かっているわけではなく足の裏には冷たい感触が伝う。

 

じゃあ何をしているかって? だいたい想像つくでしょ? 俺は清掃員。今はホースから水を出しながらブラシで床のタイルを擦っているところさ。

 

 

 

 

「よし、綺麗になった。」

 

 

 

 

誰かに語りかけるわけではなく自分で自分に確認をさせるために呟く。そして掃除用具を片付け、シャンプーとリンスの残量を確認してからお湯張りを始めた。

 

勢いよく流れ出る液体をしばらく眺め、手で触れて温度を確認する。うん、今日も異常なし。さーて今日の清掃業務は終了だ。自室でゆっくりしようかな。

 

 

脱衣所の足ふきマットで足の裏についた水滴をよく拭き取ってから「男湯」と書かれた青の暖簾をくぐり、いつもの掃除用具が入ったカートを倉庫に戻す為、押そうとすると

 

 

 

「そこの貴方、ちょっといいかしら。」

 

 

声をかけられた。振り向いてみるが姿はなく・・・いや、視線を下に移すと同じ顔が2つ。紫髪のツインテールの少女たちがいた。

 

 

 

「はい、何でしょう。」

 

 

 

彼女たちと視線を合わせるために腰を下げる。自然と跪きながら答える形となり、

 

 

 

「あら? 跪くなんて私たちの正体を知っているのかしら。」

 

 

 

「うふふ・・・見どころがあるわね、貴方。」

 

 

 

「アステリオスが気に入るだけのことはあるかもね。」

 

 

 

 

アステリオス? あっ! ひょっとして・・・

 

 

 

「あの、もしかしてエウリュアレさん・・・ですか?」

 

 

 

「ええ、そうよ。アステリオスから聞いていたかしら? こっちはステンノ。」

 

 

「はじめまして。」

 

 

紹介されると彼女は自身の白いドレスの裾をつまんで軽く笑みを浮かべた。思わず見惚れてこちらの自己紹介を忘れそうになる。あぶないあぶない。

 

 

 

「はしめまして・・・えっと」

 

 

「知っているわ。『オンジンさん』でしょ?」

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

名乗ろうとしたら悪戯な笑みを浮かべながら遮られた。デジャブ。アステリオス経由で聞いているのはほぼ間違いないから仕方がないか。それにしてもよく似ている。

 

 

 

 

「お二人は双子ですか? よく似ていらっしゃるので。」

 

 

彼女たちの口調から自然とこちらも丁寧口調になる。

 

 

 

「そうね、あながち間違いではないかしら。」

 

 

 

「うふふ、そうね。でも説明するのは難しいわね。」

 

 

 

2人とも顎に人差し指を当てて首を傾げている。一挙一動が優雅だなこの2人。

 

 

 

「ってこんなお話をするために来たんじゃないわ。」

 

 

「あっ、そうだったわね。うふふ。実は貴方に朗報があるの。」

 

 

「マスターが目を覚ましたわ。」

 

 

「!!」

 

 

 

全身が震えた。思わず握り拳を作り、両手を突き上げた。勢いよく作ったからだいぶ手に爪が食い込んだが痛みなど今はない。

しばらく真っ白な蛍光灯を見つめていていたが耳にクスクスと笑う少女たちの声が耳に入り我に返る。ゆっくりとした動きで手を下げてそのまま赤くなった顔にくっつける。

 

 

 

「うふふ、可愛いわね。」

 

 

「マスターを想ってくれて私たちも嬉しいわ。でもお見舞いは今は無理よ。他のサーヴァントが押しかけてそれで・・・」

 

 

 

「・・・あー。」

 

 

 

 

みなまで言わなくても想像がついた。サーヴァントが押しかける→騒ぐ→婦長がキレる→面会謝絶。

はいパターン見えました。

 

 

 

 

「それで暇になったからお風呂場に来たのだけれど・・・」

 

 

 

「・・・なるほど。すぐに作業しますね。」

 

 

 

「察しが良くて助かるわ。」

 

 

 

 

 

普段、女性用のトイレや大浴場の清掃は婦長のナイチンゲールさんに頼んでいる。だがマスターの彼が目を覚ましたとなれば優先度はもちろん彼の看護が上だろう。

となると掃除をするのは現状、俺しかいないわけである。女性専用の空間に足を踏み入れるのは気が引けるがしかたない。それに俺には秘密兵器がある。

 

 

 

「よっと。」

 

 

 

片付けた用具がきれいにしまってあるカートからあるものを取り出し、組み立てる

 

 

 

 

 

『ただいま男性清掃員が清掃中です。ご迷惑をおかけします。しばらくお待ちください。』

 

 

 

 

駅とかでよく見かけるモップで掃除している人が描かれている黄色い看板だ。女性用の大浴場の入り口近くにそれを置く。

 

 

 

 

「ずいぶんと用意がいいのね。」

 

 

 

「婦長がここに来る前はこれでやっていたので・・・お掃除は1時間くらいで終わると思います。」

 

 

 

「そう、それじゃあお願いね。」

 

 

 

そう言いながら彼女たちはお互いに手を繋ぎながら俺に殺人級の可憐なウィンクをかまして去って行った。その行為に俺は卒倒しかけたが何とか気を保ち、そのエネルギーをやる気に変え、いつも以上に張り切りながら風呂場の掃除に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふいー。終わったー。」

 

 

 

 

本日2回目の風呂掃除を終え、一息つく。ほぼ男の大浴場と変わらない構造なので掃除のやり方自体は変わらない。なので特に苦労することもなく清掃を終えられた。男性風呂と唯一違うのはコンディショナーがあることくらいだろうか。

できるだけ早く入りたいであろう2人の為に先にお湯張りをし、ブラシをもちながら今度はコンディショナーの残量に気を付けながら確認をしていると

 

 

 

 

カラカラカラ

 

 

 

 

 

と風呂場と脱衣所を繋ぐ引き戸が開く音がした。

 

 

 

 

「「えっ?」」

 

 

 

 

音がしたのでそちらに振り向く。そう、振り向いてしまった。目に映ったのは一糸纏わぬ姿のお姉さん。

あの二人と同じような色の長髪、手にはバスタオル、長身でスタイルの良い身体、そして何より大きいおっぱ・・・

 

 

 

「グホッ!!!・・・ガッ・・・・」

 

 

 

男の本能として釘付けになっていると突如腹部に鈍い一撃が入った。だがお姉さんとの距離は離れている。何故?と思っていると次は首に鎖が巻き付いてそのまま俺は宙に浮いた。

 

 

 

 

 

「待ち伏せをして正々堂々と覗きですか。いい度胸です。石になる御覚悟はおありですか?」

 

 

 

首の鎖に込められる力が強くなり、持ち上げられる高さも増していく。

 

 

 

(ちが・・・違うんです!! 掃除をしてただけなんです!! 確かに邪な心はお掃除できてませんが真面目にやってきたんです・・・)

 

 

必死に弁明しようにも首を抑えられているので声を出せず。眼福だったなぁと生を諦めながら最期の時を待っていると

 

 

 

 

 

「「やめなさい! 駄メドゥーサ。」」

 

 

 

 

あの二人の声が入ってきた。

 

 

 

 

「し、しかしこの男は」

 

 

「「私たちの言うことが聞けないの? やめなさい。」」

 

 

「・・・・・はい。」

 

 

 

首に巻かれていた鎖が突如解けた。

 

 

 

「あっ。」

 

 

 

 

ようやく声を出せたが俺の体は重力に逆らうもの無くなり、そのまま張ったばかりのお湯へ。大浴場の中に轟音が響き渡る。

なかなかの高さから落とされたので周りへ衝撃も凄く、その場にいた全員が水しぶきの雨の恩恵を受けることとなった。

 

 

 

 

「「・・・・メドゥーサ。」」

 

 

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!! 姉様方!! でも全てはあの男が元凶で・・・」

 

 

「あなた、看板を見なかったの?」

 

 

「看・・・板・・?」

 

 

「まさか普段している目隠しのせいで見落としたとか・・・」

 

 

「もしくはその無駄な長身のせいで気づかなかったとか・・・」

 

 

 

「・・・・・。」

 

 

 

「ゴホッ、ゴホッ!!」

 

 

 

「「「!!!」」」

 

 

 

どうにか湯の中から起き上がり、半身を出すことが出来た俺。息を吸おうと試みるが首を絞められていたのとお湯が口の中に入ったのでむせてしまう。

するとあの2人が近づいて来た。

 

 

 

 

「貴方、大丈夫? ごめんなさいね、うちの駄メドゥーサが。」

 

 

「首、鎖の跡が少しついてるわね。可哀そうに。貴方に落ち度はないのに。」

 

 

「マスターの命の恩人になんて仕打ちかしら。女神の妹が恩を仇で返すなんて。」

 

 

「これは相当なお詫びをしないといけないわね。駄メドゥーサ! ちょっとこっちに来なさい!」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

呼吸を整えながら「この3人、姉妹だったのか?」と考えていると、いつの間にかバスタオルを巻いた長身のお姉さんにあの2人が耳打ちをしている。

 

 

 

「それは流石に!!!」

 

 

お姉さんが顔を赤らめて抗議するが

 

 

「あら、じゃあこのことに対して何も責任をとらないということかしら。」

 

 

 

「私たちも協力してあげると言っているじゃない。人間如きにこんなことをするのは非常に苦痛なのだけど・・・可愛い妹の為に頑張る姉の努力を無駄にする気?」

 

 

 

あの2人が畳み掛ける。・・・人間如き。なんかそんな単語が聞こえた気がするのだが2人の表情はとても楽しそうだ。

 

 

 

「わ、わかりました。」

 

 

 

お姉さんがそう言い終わるとあの2人はすぐに俺の方を向き、駆け寄ってくる。そして両手を掴まれて

 

 

 

「貴方、ちょっとこっちに来なさい。」

 

 

「はい、ここに座りなさい。そして服も脱ぎなさい。」

 

 

「え? うわっ!?」

 

 

 

2人に着ていたTシャツを無理やり脱がされ、腕を伸ばされる。なんでこんなことをするんだろうと交互に二人を見た。

うん、見てしまった。濡れて透けたドレスの先の肌色を。だがこれだけではなく

 

 

 

「あの、先ほどは申し訳ありませんでした。」

 

 

後ろからお姉さんの謝罪の声が吐息が耳にかかるほど近くから聞こえてきた。

 

 

 

「あ、いえ、大丈ぶっ!!!」

 

 

 

それに返答しようとした瞬間。 ムニュリ と背中に柔らかく幸せな感触が伝う。しかもタオル越しの感触ではない、これは・・・直だ!!

 

 

 

「全身全霊でお詫びをさせていただきます。」

 

 

 

そう言うとお姉さんが上下に動く。背中に全神経が集中する。今どこに双丘があるのかがわかる。

 

 

 

 

「・・・・!!!!」

 

 

 

それ対して言葉は上手く出てこず、俺は硬直したままわずかに口をパクパクと動かすことくらいしかできなかった。

 

 

 

「あら、まるで石化されたみたいに固まっちゃってるわね。」

 

 

「うふふ、魔眼は使っていないはずなのだけどね。ねぇ?駄メドゥーサ。」

 

 

「・・・はい。」

 

 

 

楽しそうな2人の声とお姉さんの恥じらい声。そして背中の幸せマシュマロの昇天しかけた時、

 

 

 

 

 

「申し訳ありません!!マスターの看護をしていたら遅れてしまいました。あのような看板を用意してるとは流石・・・・」

 

 

 

 

再び、脱衣所と浴場を結ぶ扉が開かれた。・・・・婦長の手によって。

 

 

 

 

 

 

「・・・なるほど。あの看板はこのような行為をする為の隠れ蓑ですか。」

 

 

 

濡れた幼女2人に腕を伸ばされ、スタイルの良い全裸のお姉さんに背中にくっつかれている俺。いやぁ、マズイ。誰がどう見たってマズイ。

 

 

 

「い、いや違うんです婦長。これは・・・。」

 

 

今度は声に出せた弁明。それを続けようとするが・・・

 

 

 

「わかっています。心が雑菌だらけなのですね。私が来たからには、どうか安心なさい。すべて殺菌しましょう。すべてを滅菌いたしましょう。私は、必ずそうします。あなたの命を奪ってでも!!!」

 

 

 

「ひいいいいいいい!!!!」

 

 

 

 

 

大浴場に俺の悲鳴と銃声が響いた。

 

 

 

 

 

この後、どうにか誤解を解けた俺だがその代償としていたるところが包帯だらけとなり治療の為、マスターの彼と同じ部屋に寝かされることとなった。

 

 

 

 

彼が目覚めて最初に交わした言葉は

 

 

 

 

 

「やぁ久しぶり、元気?」

 

 

 

「・・・それはこっちのセリフだよ。何やったの?」

 

 

 

「・・・ただの風呂掃除だよ。」

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