Fate/Grand Order巻き込まれる魔法少女達   作:Dr.クロ

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いきなりサンタリリィと一緒にサンタすることになったイリヤと美遊
彼女たちが最初に向かう場所は……


第二夜~愚者と少女の贈り物~

前回、サンタリリィのプレゼント配りに強制的に連れて行かれる事になったイリヤと美遊

 

その姿はルビーはこんな事もあろうかと!と言う防寒対策抜群のサンタ服を身に纏ってソリに乗っていた。

 

イリヤ「た、高ーい…」

 

美遊「刹那さん…こんな高い所を去年は飛んでいたんですね;」

 

刹那「去年はいきなりだったからなー…」

 

いやーホントいきなりだったよな…と刹那は遠い目をする。

 

大変だったんだな…とその様子からイリヤと美遊は感じ取っているとサンタリリィが言う。

 

サンタリリィ「トナカイさん、『賢者の贈り物』と言う物語、知ってますよね?」

 

イリヤ「賢者の贈り物?」

 

首を傾げるイリヤに何それ?と思ってる間にサンタリリィは続ける。

 

サンタリリィ「私が思うにあれの感激は一瞬でしかありません。髪は伸びますが、親の形見である時計が取り戻されることはもうない。あの様子では、旦那さんが新しい時計を買うことも当分ないでしょう。奥さんの方は櫛を使う度に罪悪感が募り、旦那さんは櫛を見る度に被害者的な感情に(さいな)まれる」

 

美遊「そ、それは…」

 

その言葉に美遊はなんとも言えない顔をする。

 

確かに見方を変える事で意味が変わってしまう物語は沢山ある。

 

良い話も悪い話も見方を変えれば別の光景が見えて来るが彼女の語りは…

 

イリヤ「(なんかね…ほとんど悪い方向で考えすぎな気がするよね;)」

 

美遊「(うん…しかも真面目に考えすぎてる…よね?)」

 

サンタリリィ「ん?どうかしましたか?」

 

こそこそ話す2人を声をかけるサンタリリィに2人はなんでもないよと返す。

 

サンタリリィ「だからこそ彼女にふさわしいプレゼントはこれなのです!」

 

刹那「彼女?」

 

ルビー「と言う事は最初の人物は女性ってことですね!」

 

イリヤ「一体誰なんだろう…」

 

出て来た言葉に誰もが首を傾げる中でサンタリリィは鼻歌を歌いながら進む。

 

サンタリリィ「ふんふんふーん、ふんふんふーん、ふんふんふん、ふふーん♪夜空を切り裂き、空を飛ぶ―――これこそサンタのあるべき姿です!」

 

刹那「綺麗な声だね」

 

嬉しそうに歌うサンタリリィに刹那は褒める。

 

サンタリリィ「という訳で最初のリクエストは……えーと…」

 

イリヤ「?どうしたの?」

 

ルビー「まさか読めないとかじゃないでしょうか」

 

唸るサンタリリィにイリヤは首を傾げる中でルビーが言う。

 

サンタリリィ「そ!そんなわけありません!えっとこれは…」

 

刹那「(誰なのやら…)」

 

えっと、えっと…と必死に読もうとするサンタリリィに刹那は待つ。

 

サンタリリィ「け、き……けーさんです」

 

刹那「けーさん……あ、荊軻ね!」

 

出て来た名前に刹那は語感が近い人物を思い出して言う。

 

サンタリリィ「あ、はい!そのけーかさんです!」

 

イリヤ「へぇ~荊軻さんか~何を頼んだのかな?」

 

頷くサンタリリィのにイリヤは聞く。

 

サンタリリィ「去年のリクエストは『切れ味の良い短刀』で、貰ったものは『優雅なおじ様』だったそうですが…」

 

刹那「(ああ、そう言えばあのおじ様っての…凛ちゃんのお父さんだったんだね)」

 

何それ?と首を傾げるイリヤと美遊を横目に刹那は見せた際に驚いた様子を見せた凛を思い出す。

 

サンタリリィ「『優雅なおじ様』って何ですか?」

 

刹那「背中からぐさって刺されるおじ様」

 

こわっ!?とサンタリリィのに答えた刹那のにイリヤと美遊は顔を青くする。

 

サンタリリィ「……?分かりませんが、ともかくけーかさんのプレゼントとしては相応しくありません!この方に相応しいプレゼントを持ってきたので、早速洞窟に向かいましょう!」

 

イリヤ「あ、あのその前にプレゼントの確認をした方が良いんじゃないかな?」

 

サファイア「確かにその方が我々の視点から喜ぶか分かると思いますよ」

 

そう言って張り切るサンタリリィにイリヤは提案にサファイアも乗ってそう言う。

 

サンタリリィ「そ、そうでしょうか?私的には論理的に相応しいのを選んだと思うのですが…」

 

刹那「まあまあここは子供視点の意見を貰うって事で、それにサンタさんはそう言う意見を聞くのも大事だよ」

 

ふうむと首を傾げるサンタリリィに刹那はそう助言する。

 

サンタリリィ「むぅ……では一応確認しましょうか」

 

イリヤ「そうそう。それでどう言うのを渡すの?」

 

不満そうだがサンタさんはと言うので了承するサンタリリィにイリヤは聞く。

 

サンタリリィ「あるキャスターさんに作ってもらった断酒薬です!」

 

イリヤ&美遊「なんでさ?!」

 

ババン!と出されたのにイリヤと美遊は思わずエミヤの迷台詞を叫んでしまう。

 

刹那も叫んでなかったが顔をヒクヒクさせていた。

 

そんな3人の反応にサンタリリィは首を傾げる。

 

サンタリリィ「なんで叫ぶのですか?お二人とも」

 

イリヤ「なんでクリスマスプレゼントに断酒薬?!」

 

美遊「と言うか荊軻さんの要望に全然答えてない!?」

 

心底疑問なサンタリリィにイリヤは叫び、美遊も指摘する。

 

なんでそれ?と言う刹那のにもサンタリリィは胸を張って言う。

 

サンタリリィ「そもそもサーヴァントなのにアルコールを飲んで酔っ払うなど、何事ですか」

 

ルビー「あー確かに;」

 

イリヤ「(けど、それはそれでプレゼントのとは別のを渡すのは違うと思うな;)」

 

ルビーは納得する中でイリヤはそう心の中で呟く。

 

刹那「…それが君が選んだプレゼントなんだね。んじゃ早速渡しに行こうか」

 

サンタリリィ「はい!行きましょうトナカイさん!」

 

え?良いの?と見る2人を気にせず、サンタリリィはそう言って目的地へとソリを動かしてから所で…と刹那を見る。

 

サンタリリィ「これ、どうやって降りるんですか?」

 

イリヤ&美遊「知らないの!?」

 

出て来た言葉に思わず2人は叫んでしまう。

 

なお、そこらへんは刹那が教えて貰っていたので無事に着陸出来たとさ

 

 

 

イリヤ「それにしてもまだ洞窟に居たんだね…」

 

美遊「うん。前もそうだったみたいだしね」

 

洞窟の中を歩きながら呟くイリヤに美遊も刹那から聞いた去年のクリスマス話のを思い出して頷く。

 

刹那「あ、居たよ」

 

すると刹那が気づいて言い、3人も見ると…

 

そこには呆れたマルタと酔っ払った荊軻、牛若丸、マタ・ハリの3人がいた。

 

近くでタラスクが怯えていた。

 

イリヤ「また酔っ払ってる…」

 

サンタリリィ「ほら、見て下さいトナカイさんに2人とも、この酸鼻極まった状況を!」

 

美遊「牛若丸さんも酔っ払ってるね…」

 

うわぁ…となる2人や刹那にサンタリリィは憮然とした顔で言う。

 

刹那「まあ今日はクリスマスだし……」

 

サンタリリィ「それでもです!惨いではないですか!」

 

イリヤ「あー確かにこの惨状はね…」

 

ルビー「と言うかタラスクが怯えてるのは料理をされかけそうだったからでしょうかね?」

 

ぷんすか怒るサンタリリィにイリヤは冷や汗を掻き、ルビーがそう指摘する。

 

サンタリリィ「はい、タラスクも惨いですがそれ以上に惨いのが、普段シャンとしている大人たちです」

 

マシュ『昨年の出来事はサンタオルタさんから伺ってましたが……聞きしに勝る酷さですね…』

 

ホントに酷いと思っているとマルタが気づく。

 

マルタ「あ、サンタとトナカイ。また来たの?ってなんでイリヤ達も居るのよ…」

 

刹那「いや~まあちょっと色々あってね」

 

イリヤ「ドナドナされました」

 

ドナドナ?と首を傾げるマルタを前にサンタリリィはぷんすか怒る。

 

サンタリリィ「来ました!まったく、去年と変わらずろくでなしなのですね!何かと言えばお酒に逃げて、お酒に依存して、お酒に溺れるなど、それでも大人なのですか!まったくもう、バカじゃないですか!」

 

??「お酒は悪くないですよ~」

 

イリヤ&美遊&刹那「誰!?」

 

ぼろくそに言ったサンタリリィのに何時の間にかいたチャイナドレスの女性にイリヤと美遊と刹那は驚く。

 

??「どうも~お酒の匂いに釣られて来た通りすがりの紅美鈴(ほんめいりん)でーす」

 

イリヤ「酒の匂いに釣られてってどんなけ酒好きなんですか!?」

 

刹那「それでなんでここに!?」

 

叫んだイリヤの後の刹那の問いに美鈴はそれはですね…と前置きして…

 

美鈴「お酒が飲めると聞いたので!」

 

それには誰もが仰け反るがのんべぇ達は違った。

 

荊軻「それなら仕方ないな」

 

牛若丸「ですね。一緒に飲み明かしましょう!」

 

美鈴「わぁい^^」

 

そう言って参加する美鈴にマルタは呆れてはいたが内心警戒していた。

 

先ほどまで自分達に感知させなかった気配隠しにその身から出てる気配

 

下手したら自分達より強いと言うのをマルタは感じ取っていた。

 

それを表面上出さずにサンタリリィを見る。

 

マルタ「……随分ちっこくなったわね。去年と比較して…と言うかこの子、ジャンヌ?」

 

サンタリリィ「背丈のことは言わないで下さい!伸びます!これからもーっと伸ーびーまーすー!」

 

イリヤ「(サーヴァントって成長しないんじゃ…)」

 

そう言ったマルタに手を振り回して返したサンタリリィのにイリヤはそう思った。

 

ルビー「まぁ、薬の影響を受けるから薬で頑張ればワンチャン?じゃないですかね」

 

イリヤ「んー、なんだろう……ものすごく嫌な予感が…」

 

そう言ったルビーの後にイリヤは不安そうに言う。

 

そしてそれは来た。

 

荊軻「なあにぃ、サーンーター?」

 

サンタリリィ「ぴぃっ!?」

 

気づいた荊軻がぬるりと気づかせずにサンタリリィの後ろに立ち、サンタリリィは怯えて刹那の背中に隠れる。

 

イリヤ「(あ、今のは可愛い…)」

 

荊軻「あー、サンタがまた来てるー!ま、ま、ま。一杯一杯」

 

そんな反応にイリヤはそう思ってると荊軻がお酒を勧めようとする。

 

牛若丸「荊軻殿、サンタが怯えて隠れてしまいました。駄目でしょう。モグラを殺すには煙で|燻⦅いぶ》す。砦に籠った兵士たちを首をはねるには、何もかも燃やすのが一番です」

 

イリヤ「おかしいよねそれ!?」

 

美鈴「と言うかジャンヌに火はアウトじゃ…」

 

物騒な事を言う牛若丸にイリヤは叫び、美遊がちらっと見ると案の定サンタリリィは怯えていた。

 

サンタリリィ「火は怖い……火炙りいや」

 

美鈴「こら、子供泣かせちゃ駄目でしょ」

 

震えるサンタリリィを見て美鈴がそう言って2人の頭に軽くチョップを入れた後にサンタリリィの頭を優しく撫でる。

 

美鈴「大丈夫ですよ。貴女を虐める奴は私がぶっ飛ばしますので」

 

サンタリリィ「ホントですか?」

 

上目遣いで見るサンタリリィにですよと美鈴は優しく微笑む。

 

刹那「なんか母親みたいだね」

 

マルタ「そうね。もしかすると子供がいるんじゃないかしら」

 

それを見て言う刹那にマルタも同意するとサンタリリィははっとなった後にコホンと咳払いする。

 

サンタリリィ「これだから酔っぱらいは嫌なんです!クリスマスに相応しくありません!」

 

イリヤ「まー確かにこういうのは…」

 

刹那「とりあえずそこの人とマルタを除いてお仕置きで」

 

ぷんすか怒るサンタリリィにイリヤも流石にこれは…となんとも言えない顔をして刹那が美鈴とマルタを除いてそう言う。

 

牛若丸「おしおき……酔い響き、違う、良い響きです」

 

イリヤ「良いの!?」

 

サンタリリィ「フッ、戦いですか。良いでしょう!では、トナカイさん。指揮をお願いします!戦いに勝った暁にはちゃんと私を褒め称えてくださいね!」

 

マルタ「あー…うん。数的に私はそっちに味方した方が良いかしら?」

 

刹那「あー……」

 

やる気満々な面々を見てそう聞くマルタに刹那は頬をポリポリ掻く。

 

ルビー「と言うかおひとり、レベル違うの混じってません?」

 

刹那「せやな」

 

マシュ『軽く計測した結果…サーヴァントではないですが力がグランド行ってますよこの人;』

 

イリヤ「ぐ、グランド!?」

 

そう言ったルビーのに解析したのか報告したマシュのにイリヤ達は驚く。

 

サーヴァントのグランドで言えば何なのか分かる者にとってそれは驚きのであった。

 

美鈴「あー私は戦い不参加でお願いしまーす」

 

刹那「あ、そうなの?」

 

するとお酒を飲むのを再開しながら美鈴がそう言う。

 

美鈴「私は今回お酒を飲みに来ただけですので」

 

イリヤ「凄いのんべえさんですね;」

 

荊軻「んで、戦うんでしょう!やっちゃうわよ~!」

 

マタ・ハリ「そうね~頑張りましょう!」

 

マシュ『へべれけ残念女子会メンバー、来ます…!』

 

美遊「イリヤ、来るよ!」

 

その言葉と共に荊軻、牛若丸は駆け出し、マタ・ハリは魔力弾を放つ。

 

その魔力弾をマルタが打ち消し、牛若丸の刀をサンタリリィが止めて、荊軻のをイリヤがルビーで受け止めたから美遊が攻撃を仕掛ける。

 

荊軻「ふっ!」

 

イリヤ「はあっ!」

 

斬りかかる荊軻のをイリヤは逸らしつつ内心うひぃとなる。

 

酔っ払っていても英霊の1人、その太刀筋に乱れがない。

 

イリヤ「(相性では勝ってるのに…やっぱり強い!)」

 

その攻撃をいなしながらイリヤは魔力弾で攻撃できるかを探すが…

 

荊軻「いっくよ~」

 

イリヤ「ふぇ!?」

 

連続で放たれる斬撃にイリヤは慌ててかわす。

 

美遊「イリヤ!」

 

荊軻「おっと」

 

そこに美遊が魔力弾を放って、荊軻をイリヤから引き剥がす。

 

イリヤ「ありがとう美遊!」

 

美遊「うん。やっぱり強いね荊軻さん」

 

お礼を言ったイリヤは美遊のに確かにと同意する。

 

刹那「そりゃうちの古参メンバーの一人だからね」

 

苦戦はするよと言う刹那にイリヤはどうしようかと考える。

 

そしてふと、お酒が目に入る。

 

イリヤ「そうだ!あのお酒を使おう!」

 

美遊「お酒を…そうか」

 

閃いたイリヤの言葉に美遊も彼女がする事を理解してお互いに頷いた後に美遊が荊軻へと向かい、イリヤが酒へと向かう。

 

荊軻「ん~?」

 

美遊「余所見はさせない」

 

イリヤの方を見ようとした荊軻に美遊は攻撃をして自分に向けさせる。

 

美鈴「ん?」

 

イリヤの行動に少し疑問を思ったがすぐさま理解して美鈴は成程と笑う。

 

イリヤ「荊軻さん!」

 

荊軻「ん?」

 

美遊の攻撃を軽く避けていた荊軻は突然呼ばれて振り向く。

 

イリヤ「えい!」

 

荊軻「!お酒!」

 

飛んで来たお酒に荊軻はバトルを忘れてキャッチする。

 

イリヤ「今だ!最大斬撃(マクスィマール・シュナイデン)!!」

 

その隙を逃さずにイリヤは自身の必殺技を勢いよく飛ばす。

 

荊軻「ぬあぁああああああああああ!?」

 

それを酒に目を向けていた荊軻はマトモに受けて壁にぶつかる。

 

ただ、器用にお酒だけ割れない様に守っていた。

 

サンタリリィ「これでトドメです!」

 

牛若丸「ほわぁ!?」

 

続けざまにサンタリリィが突きで牛若丸を壁へと吹き飛ばす。

 

マタ・ハリ「あら、これは負けたわね」

 

マルタ「はぁ…やっぱアサシン相手は疲れるわね」

 

刹那「皆、お疲れ様」

 

2人が終わったのを見てマタ・ハリは戦闘態勢を解き、マルタはふうと息を吐く中で刹那が労いの声をかけてサンタリリィにも偉いぞサンタさんと声をかける。

 

サンタリリィ「はい、きちんとサンタできました!」

 

イリヤ「お疲れ様」

 

むふんと胸を張るサンタリリィにイリヤは声をかけるとてててと荊軻が起き上がる。

 

荊軻「いやー!負けた負けた!やっぱり酔っていると負けても楽しいなー!」

 

美鈴「にゃはは、分かりますね~」

 

かんらかんら笑う2人の様子に酔い覚ましになってないわね…とマルタは呆れる。

 

サンタリリィ「さあ、と言う訳で貴女たちへのプレゼントはこちらです!」

 

そう言ってマルタを除いて3人に…例の薬を差し出す。

 

イリヤ&美遊「ああ……」

 

荊軻「あはははは、何これー?」

 

牛若丸「新しいお酒ですか?」

 

マタ・ハリ「変わったお味ねえ」

 

サンタリリィ「ついでに貴女にもプレゼントです!」

 

美鈴「おや、これはどうも」

 

何とも言えない顔をする中であっさりと飲む3人の後に美鈴にも渡して美鈴はあっさりと飲む。

 

マルタ「ちなみにあれの中身は?」

 

サンタリリィ「断酒薬です」

 

荊軻&牛若丸&マタ・ハリ「え」

 

出て来た言葉に3人は凍る。

 

サンタリリィ「そもそも、サーヴァントなのにアルコールを飲んで酔っ払うなど、何事ですか。何時いかなる時でも、サーヴァントとしての自覚を持つ……そのための断酒薬です。あ、気をつけてください。その状態でアルコール飲むと、ダメージ受けます」

 

荊軻「そ、そんなー」

 

告げられた事に荊軻は絶望する中…

 

ゴクッゴクッ

 

美鈴「あー美味い!」

 

この人物は平然とお酒を飲んでいた。

 

サンタリリィ「ちょっ!?話聞かなかったんですか!?アルコール飲むとダメージ受けるんですよ!」

 

美鈴「ん~?この程度なら全然大丈夫でしょ」

 

それにはサンタリリィは驚いて詰め寄るが詰め寄られた本人はあっけらかんに返す。

 

サンタリリィ「へ、平気って……」

 

イリヤ「ホントに大丈夫なの?」

 

美鈴「逆にこのダメージが心地よく体に響きますね」

 

くすくす笑って言う美鈴のにイリヤと美遊は少し引く。

 

美鈴「ってことで良いプレゼントありがとうございましたー!」

 

イリヤ「えー…良いのかな;」

 

ルビー「良いんじゃないですかね?」

 

刹那「まぁ、あっちはあっちで落ち込んでるけど…」

 

冷や汗を掻くイリヤにルビーはそう返すが刹那は落ち込んでいる荊軻を見る。

 

マルタもマルタで額を抑えていた。

 

荊軻「お酒が飲めないなんて、我が人生、死んだも当然じゃないか!」

 

マルタ「あちゃー……。そうかー、そういう方向性かー……」

 

これは困ったわね…と呟くマルタを知らずにサンタリリィは気を取り直して胸を張る。

 

サンタリリィ「ちょっと違いましたがクリスマスらしい良いプレゼントをあげれました……」

 

牛若丸「ううむ、これから祝い事でてんやわんやだと言うのに、常に素面なのは辛いですね」

 

マタ・ハリ「困ったわねぇ…酔った勢いを利用して、既成事実が作れなくなっちゃうわ…(チラッ)」

 

刹那「うわお」

 

イリヤ「き、既成事実!?」

 

呻く牛若丸の隣で刹那をチラ見しながら言うマタ・ハリのに刹那とイリヤは顔を赤くする。

 

サンタリリィ「どうしました二人とも?顔が赤いんですが…」

 

マシュ『そうですよ何かあったんですか?特にマスターはマタ・ハリさんとみつえ合う必要があるのですか!』

 

刹那「いや、その」

 

マタ・ハリ「うふふふふふ」

 

ちょっと痴話喧嘩になっている隣を横目にマルタは恐る恐るサンタリリィに聞く。

 

マルタ「えーっと、サンタちゃん。この断酒薬って、あなたが作った訳じゃない……わよね?」

 

サンタリリィ「はい、私の手に余るのでキャスターに作って貰いましたが…えっと、名前は分からないですけど、白い服を着た……」

 

イリヤ「覚えてあげようよ!?」

 

美遊「白い服を着たキャスター…イリヤのお母さんやパラケルススさんかな?」

 

そう言ったサンタリリィのにイリヤがツッコミ、美遊が思い当たる人物を言った後に荊軻と牛若丸がガバッと起き上がる。

 

荊軻「髪が長い奴?髪が長い奴だよね?ふふふふふ、よし、刺そう、刺しに行こう」

 

牛若丸「地獄の果てまでお供します。ふふ、ふふふ、ふふふふふ………!」

 

マタ・ハリ「それじゃあ私もついでに行ってこようかしら~マルタ、後はお願いね~」

 

そう言ってばびゅんと鬼気迫る顔で飛び出した2人を追ってマタ・ハリも出て行く。

 

イリヤ「白い服着て髪長いってママにも当てはまるな…」

 

美遊「おそらくパラケルススさんの方だと思うけど…」

 

お母さんなら渡さないもんねとイリヤはうんうんと頷いている間にサンタリリィは満足した様に刹那に向く。

 

サンタリリィ「では次に向かいましょうトナカイさん!ここはお酒臭くて、頭がクラクラしますし……」

 

イリヤ「(次は大丈夫なのかな?;)」

 

マルタ「はいはい、ちょーっと待った」

 

そう言って洞窟を出ようとするサンタリリィにイリヤは心配する中でマルタがむんずと襟首を掴んで引き止める。

 

サンタリリィ「むがぎゅ」

 

美遊「凄い声…」

 

少女が出してはならない声をあげて尻もち付いた後にすぐさま立ち上がって文句を言う。

 

サンタリリィ「な、何ですか何ですか!私はサンタです、忙しいんです!プレゼントを配り終えた人に用はありません!」

 

マルタ「アンタにちょっと話があるのよ」

 

サンタリリィ「アンタじゃなくて、サンタです!」

 

はいはいサンタサンタと怒鳴るサンタリリィを気にせず、マルタは真剣な顔で問う。

 

マルタ「……さて、あのプレゼント、どういう意図で選んだの?」

 

サンタリリィ「どういう意図と言われても……あの人たちの為になるプレゼントを選んだつもりですけど」

 

イリヤさん達にも聞かれましたがおかしかったですか?と聞くサンタリリィにマルタは唸る。

 

マルタ「うーん……クリスマスプレゼントは実用性よりも喜びの方が大事じゃないかしら。一年に一度、あの方が生まれた日を契機として、クリスマスは"誕生"したわ。贈り物が良いかどうかではなく、喜びを与えられるかどうかが重要……そう思わない?」

 

サンタリリィ「思いません」

 

イリヤ&美遊「え!?」

 

刹那「(んーやっぱりまだ無理かな)」

 

きっぱりと言ったサンタリリィにイリヤと美遊は驚き、刹那はうーんと唸る中でサンタリリィは理由を言う。

 

サンタリリィ「クリスマスは祝福の日。ならば、有能な贈り物が正しい筈です。……確かに、皆さんには喜ばれていないかもしれませんが……。役に立つのなら、喜びはむしろ不要ではないかと。私はそう思うのです」

 

イリヤ「(んー確かに役に立つと言うのは納得出来るけど…)」

 

理由を聞いてイリヤはんーと唸る。

 

確かに役に立つと言うのは大事でもある。

 

だが、クリスマスのでそれはどうなんだろうかとイリヤは思った。

 

マルタ「……うーん、そっか。そうよね、そう言う考えた方は―――きっと、ありなのよね。でも……」

 

それにはマルタもなんとも言えない感じだったがそれ以上は言わずに刹那へと顔を向ける。

 

マルタ「……トナカイさん、後は任せてもいいのかしら?」

 

刹那「うん、任せて欲しい」

 

力強く頷いた刹那に安堵したマルタは微笑んだ後にサンタリリィに顔を向ける。

 

マルタ「……分かりました、私からは以上です。プレゼントは有難く頂戴します。がんばりなさい、サンタさん」

 

サンタリリィ「ふふん、当たり前です。さあ、次のプレゼントを配りに行きますよ。トナカイさん!」

 

そう言って歩いて行くサンタリリィの背中を見ながら美鈴も大変ですねと言いながらお酒を飲む。

 

次に向かう先の人物たちは…


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