Fate/Grand Order巻き込まれる魔法少女達 作:Dr.クロ
前回、ジャックとナーサリーのお願いにより海を見に行く事になったイリヤ達
今は飛んで海を目指していた。
ジャック「わ~い!海だー!」
ナーサリー「いつ見ても海は綺麗ねマスター」
刹那「そうだね」
ルビー「丁度朝日になればさらに綺麗に見えますね」
ワイワイはしゃぐ2人と話すのを横目にイリヤは隣でソワソワしているサンタリリィを見る。
イリヤ「ワクワクしてるの?サンタリリィちゃん」
サンタリリィ「い、いえ別にワクワクなんてしてません。そう、ただ気になるだけです」
美遊「(どうみても海を楽しみにしているよね)」
誤魔化すサンタリリィに美遊はそう思った後にん?と何か引っかかった。
美遊「(なんで私、違和感を持ったんだろう?彼女の反応は十分…)」
考えようとしていた時、突如ソリが揺れ始める。
イリヤ「な、なに!?」
サンタリリィ「ラ、ラムレイ二号が下に引っ張られて…」
いきなりのに驚くイリヤ達に慌てた様子のマシュが報告する。
マシュ『下にサーヴァント反応!?どうやらなにかの力で引っ張られているようです!』
ジャック「えっとこういうのはたしか……そう、『ついらく』だね!」
ルビー「そうそう。偉いですね~」
ナーサリー「ウキウキ嬉しそうに言うものじゃないと思うのだわ!!」
イリヤ「ホントにね!!」
嬉しそうに言うジャックと褒めるルビーにナーサリーがツッコミを入れてイリヤも同意する。
サンタリリィ「皆さん、何かに掴まってください!お……落ちます!」
刹那「しっかり掴まってるんだよ!!」
サンタリリィと刹那の言葉の後に誰もが手短なのに捕まると共に落下する。
ズズーーーーン!!
イリヤ「あいたたたた…」
サンタリリィ「トナカイさん、大丈夫ですか……?」
刹那「うん、大丈夫」
落ちた際ので来た痛みで来たお尻を摩るイリヤの隣で安否を聞くサンタリリィに刹那はそう返す。
サンタリリィ「皆さんも大丈夫ですか?」
ジャック「ふわー、おどろいたねー」
ナーサリー「驚いたように見えないわよジャック」
美遊「けど一体誰が…」
???「ふはははははははは!」
他のメンバーにも聞くサンタリリィにジャックは平然とした顔で呟き、ナーサリーは呆れた顔で指摘する中で美遊が言葉を漏らした所笑い声が響き渡る。
イリヤ「え、この声って……!?」
???「ここから先は一歩も通しません!通しませんぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
響き渡る声と共にイリヤ達の進もうとした道の先から足音が聞こえて来る。
サンタリリィ「な、何者……!」
マシュ『そ、そんな……まさか!まさか、あなたが……!』
その声を聴いて身構えるサンタリリィだがマシュは気づいて声を震わせる。
レオニダス「我が名はレオニダァス!サンタよ、海を見る願いを叶えさせる訳にはいかん!」
サンタリリィ「え、えー!?何故、どうしてですか!?」
イリヤ「いやホント何で!?こんな事をするのレオニダスさん!」
ドドン!と擬音が聞こえそうな位にそう言うレオニダスにサンタリリィとイリヤは驚いて聞く。
レオニダス「それは……えー……それはですね……」
美遊「(あれ?どうして…)」
刹那「(あ、マズい…)黒幕がいるんだね…!」
すると先ほどまでと打って変わって口ごもるレオニダスに美遊は疑問を感じるが刹那がズビシッと指して指摘する。
レオニダス「そう、そうなのです!我々は君たちに海を見せないよう命令されたのです!黒幕とかそんな感じの方によって!」
ルビー「(ん~?なーんか怪しいですねー)」
イリヤ「なんで海を見に行く位良いじゃないですか!」
ビシッと言うレオニダスの反応にルビーは訝しむ中でイリヤが文句を言う。
レオニダス「何と言われようとも通しませんぞー、です!一歩たりとも通しませんぞー、なのですとも!」
サファイア「なんだか棒読みに近いですね」
ジャック「ひどーい!おじさん、きらーい!」
ナーサリー「そうよ!子供を虐めるなんて、鬼だわ、悪魔だわ、ハートの女王だわ!」
通さないとばかりに構えるレオニダスにジャックとナーサリーはブーイングする。
レオニダス「私も辛いのです!!」
イリヤ「本音と思われる叫びが出た!?」
そんな2人のに思わず返したレオニダスのにイリヤは驚く。
サンタリリィ「ぎゃ、逆ギレにも程がありませんか!?」
レオニダス「ええ、筋肉はいつにも増してキレキレですが何か?」
美遊「違う。そうじゃない;」
思わず叫んだサンタリリィのにずれた返しをするレオニダスへと美遊はツッコミを入れる。
ジャック「ごつい!おかあさんじゃない!」
ナーサリー「サンタさーん!やっつけちゃう?」
ルビー「サーチアンドデストロイですね!」
そんなレオニダスを見て言うジャックとナーサリーの後のルビーのに物騒すぎ!とイリヤがツッコミを入れてる間にサンタリリィは頷く。
サンタリリィ「……そうですね。そこを退きなさいレオニダァス!私はサンタとして二人を海に連れて行くのです!願いを叶えることがサンタのお仕事。邪魔する者は排除します!」
レオニダス「良いでしょう、サンタよ!ならば、レオニダァスの屍を越えて行くがいい!!」
その言葉と共にイリヤ達は構える。
イリヤ「行くよ美遊!斬撃《シュナイデン》!」
美遊「速射《シュート》!」
同時に放たれたのにレオニダスは左腕の盾で防いだ後に向かって来たジャックの攻撃を槍で防ぎつつ弾き飛ばす。
ジャック「解体するよ!」
レオニダス「フゥン!」
イリヤ「っ!」
再び仕掛けるジャックのを盾で防いだ後に攻撃を仕掛けようとしたイリヤへと押し返す。
慌ててイリヤはジャックを受け止める。
イリヤ「大丈夫!?」
ジャック「イリヤ、ありがと!」
レオニダス「まだまだですぞ!」
そう言って攻撃を仕掛けるレオニダスに2人は左右に避ける。
サンタリリィ「たああ!」
ナーサリー「えい!」
レオニダス「なんとぉぉぉぉぉ!!」
そこに攻撃を仕掛けるサンタリリィのをレオニダスは盾で防いだ後に槍を回転させてナーサリーの魔力弾を弾く。
イリヤ「ええ!?」
マシュ『流石レオニダスさん。強敵です』
まさかの回転で弾かれた事と手際の良さにイリヤは驚き、マシュは呻く。
サンタリリィ「やりますね…でも負けません!」
美遊「勿論!」
気合を入れるサンタリリィと美遊のにイリヤもうんと頷いてサーヴァントカードを取り出す。
ルビー「イリヤさん!ここはセイバークラスのでいきましょう!」
イリヤ「うん!
宣言と共にイリヤの姿はセイバーリリィのに変わる。
レオニダス「むむっ!変えて来ましたか」
イリヤ「はああっ!」
切りかかるイリヤにレオニダスは防ぐが相性のもあり少しずつ押されて行く。
レオニダス「くっ!」
サンタリリィ「たあっ!」
美遊「速射《シュート》!!」
そこにサンタリリィと美遊が加わり、隙が出来たのを確認してイリヤは今しかないと宝具を開放する。
イリヤ「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!
咆哮と共に放たれた斬撃が飛んで行く。
レオニダス「その宝具、我が筋肉で耐えきって見せましょう!!」
それに対してレオニダスは仁王立ちする。
美遊「宝具を受けきるつもり!?」
サンタリリィ「それだけ自信があると言う事ですか!?」
誰もが驚く中で放たれたのは止まらずにレオニダスに向かって行く。
ドーーーーーン!!!
そして炸裂した…男の急所も含めて…
レオニダス「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
イリヤ&美遊&サンタリリィ「あー……」
リリィの姿だと青アルトリアのでも起こるんだな…とその光景を見て何とも言えない顔をするイリヤ達の後ろで刹那は思った。
レオニダス「は、はっ、はっ…残念…ながら…負け…ました、マスター殿」
刹那「あー……大丈夫?」
イリヤ「な、なんだかすいません;」
ガクガクブルブルと震えながらなんとか言葉を絞り出すレオニダスに刹那は安否を聞いてイリヤは故意じゃないとはいえ謝罪する。
な、なんの……と返しながらレオニダスはふうふうと息を整える。
レオニダス「おっと伝え忘れるところでした。サンタよ、この先にはまだまだ四天王とか五人衆とか八部衆みたいなサーヴァントたちが控えています!」
マシュ『そ、そんなに多く!?』
刹那「流石に多くない;」
キリっとしてから出て来た言葉に驚くマシュの後に呟いた刹那のを聞いてこれはうっかりとレオニダスは呟く。
イリヤ「(あれ?今の刹那お姉さんの言葉……)」
レオニダス「実際はもうちょっと少ないかもしれません……ともかく、楽にたどり着けるとは思わないことですね!」
そんな刹那の言葉に違和感を覚えるイリヤだがレオニダスは気にせずそう言う。
サンタリリィ「ど、どうしてサンタが願いを叶えるのを邪魔するんですか!?」
ジャック「『海』が見たいだけなのに―!」
ナーサリー「横暴よー!」
叫ぶサンタリリィのを皮切りにぶーぶーと文句を言う2人のにレオニダスは困った顔をする。
レオニダス「そこらへんは黒幕にお聞き下さい!私もちょっとその、よく分かっていないので!」
イリヤ「分かってないの!?」
出て来た言葉にイリヤは思わず叫ぶ。
まさか知らされてないと言うのだから当然である。
レオニダス「理系の私にとって心理学とかそんな感じのものはあまり得意分野ではないので!なので、この次のサーヴァントにでお尋ねください!」
サファイア「理系……?」
美遊「…レオニダスさんは理系よりも体育会系だと思う;」
出て来たのに思わずサファイアと美遊のコンビは違う様なと思ってる間にレオニダスの体が輝き出す。
レオニダス「では、さようなら皆さん!またカルデアでお会いしましょう!」
シュイイイン…
そう言い残してレオニダスは送還された。
マシュ『サーヴァント反応消失しました。レオニダスさんには後でお話を聞いておきます!』
イリヤ「お願いしますマシュお姉さん!」
ルビー「まぁ、正直に喋るか分かりませんけど」
報告するマシュにイリヤがお願いする隣でルビーが翼部分を竦めて呟く。
サンタリリィ「皆さん、大丈夫ですか?」
ジャック「げんき!」
ナーサリー「サンタさんは大丈夫かしら?」
安否を聞くサンタリリィに2人は答え、イリヤと美遊も大丈夫と返し、聞いた本人も私もですと頷いた時だった。
ビシュン!
刹那「はいはい、薔薇の黒鍵」
イリヤ「ここで来るんだ…」
それに刹那は投げやりに、イリヤは脱力する中で…
サンタアイランド仮面「どうです、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ。どうやらここから先の旅路には敵サーヴァントたちが幾人も待ち受けているようです。正体も目的も不明ですが彼らはあなたたちが海へ行くことを妨害するでしょう。願いを叶えるのは果てしなく困難で、願いを叶えたとしてもそれは当たり前の出来事。何故なら貴女はサンタクロースなのです。行先に報酬等何一つ存在しません。それでも行きますか?」
思ってた通りのサンタアイランド仮面が現れてそのまま長く語った後に問う。
サンタリリィ「わ、私は…」
イリヤ「サンタリリィちゃん、あのね…」
刹那「イリヤちゃん、ちょっとストップ」
声を詰まらせるサンタリリィへと声をかけようとしたイリヤだったが刹那に止められる。
イリヤ「(え?刹那お姉さんなんで……)」
刹那「(ごめんね。けどこれはサンタリリィが出さなきゃいけないんだ)」
止められたので戸惑うイリヤに刹那はそう言う。
サンタリリィ「私は……私は願いを叶えたいんです。押し付けた贈り物じゃなくてこの二人が願ったその通りのものを贈って上げたいと思います。お二人が良ければ私はまだ願いを叶えます。海を……見に行きましょう!」
顔を上げてサンタアイランド仮面にそう言ってから後半はジャックとナーサリーへと言い、声をかけられた2人も元気よくはーいと返す。
それにサンタアイランド仮面は微笑む。
サンタアイランド仮面「そうですか。しかし心しなさいサンタ。願いを叶えると言う事は本来不平等なことなのです。不平等とは即ち欲望。他愛のない願いでも人生の浮沈が掛かる如き深刻な願いでもそれを叶える――――取捨選択を行うのはサンタクロース。祈った誰かの願いが叶い、祈らなかった誰かの願いが果たされない……サンタというのは考えてみれば聖人とは程遠い存在なのかもしれませんね」
イリヤ「(?なんでそこで聖人が出るの?)」
悟らせる様に言っていた中で最後に出て来た単語にイリヤは思わず首を傾げたがサンタリリィを見て気づく。
彼女は何かに怯える様に震えており、刹那に何かを求めている様な目を向けていた。
イリヤ「(サンタリリィちゃん、何に怯えてるの……?)」
どうしてだろうか分からないがイリヤは恐る恐るサンタリリィに話しかけてみる。
イリヤ「ねえ、何を怖がっているの…?」
サンタリリィ「(はっ!)べ、別に怖がってませんよ!さ、さあ行きましょう!」
すると我に返った様にそう言ってサンタリリィはラムレイ二号へと向かう。
イリヤ「…………」
ルビー「これはまた…普通のクリスマスプレゼント配りからシリアルになって来ましたね~イリヤさん的にどう思います。」
心配な顔でサンタリリィの背を見るイリヤにルビーはそう声をかける。
イリヤ「そうだね……なんか刹那お姉さんが怪しい気がする」
ルビー「まぁ、あのレオニダスさんが刺客となっていますから刹那さんが黒幕の線は濃厚でしょうね。なんでこんな事をするかの動機は小さなサンタさんに意味があるからじゃないですかね?」
シリアルと言う部分をスルーしてそう言ったイリヤのにルビーも思っていたのかそう返す。
イリヤ「一体、サンタリリィちゃんに何をしたいんだろう…」
美遊「イリヤ、そろそろ行くみたいだよ」
サファイア「ソリは動きそうにないから徒歩で行くことになりました」
あー、やっぱりそうなりますとルビーが言うのを横目にイリヤは分かったと返して向かう。
イリヤ「(どうなるんだろう…このクリスマスは…)」
歩きながらイリヤはそう心配せずにいられなかった。