やはり俺の青春ラブコメは間違っている 終 作:兼田先生
1話 やはり俺の休日は間違っている
2月18日。土曜日 午後1時
あのバレンタイン合同イベントから4日ほど経過したある日のことだった。
俺、こと比企谷八幡は休日なので布団に包まってくつろいでいた。
俺は休日は大抵家にいる。何故かというと休日まで外に出たくないからだ。
「やっぱ休日はニートに限るわ。働きたくないでござる!」
そう言ってPSP(ゲーム)で遊ぼうとした時、インターホンが鳴った。
間の悪いことに現在、家には俺以外誰もいない。
小町も今日は川崎だったか川越だったか、の弟大志と遊びに行っている。
「クソ…大志……俺の小町を…」
冗談(?)はさておき、俺がインターホンに出る他あるまい。
渋々、インターホンの画面を覗き込むとそこには見知った顔が…。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「何でよりによってお前と休日を共に過ごさなきゃならんないんだ?」
「はは…すまないな。比企谷。」
「ーーまぁお前も、雪ノ下さんに顎で使われてたわけだし、お互い様だ」
現在、俺は葉山隼人と雪ノ下雪乃の住むマンションに向かっている。
何故こうなったんだって?無論、俺だって一度は断って葉山を追い返そうとした。
だが、葉山は頑なに帰ろうとはせず、究極の切り札を出してきた。
突然、葉山は誰かに電話をかけ始めたのだ。相手は…大体想像はつく。
『ひゃっはろー!あれ?隼人じゃん。比企谷君は連れ出してくれた?』
「いや、難航していてね。陽乃さんに助け舟を出してもらおうと思って」
やはり電話の相手は魔王こと、雪ノ下陽乃だった。正直、休日にあの人と関わるのは御免被りたい。
『おっけー!じゃあ比企谷くんに変わって〜』
「わかった。はい、比企谷。陽乃さんからだ。」
そう言い、葉山は俺にスマホを渡してきた。俺は渋々、スマホを受け取る。
ーーあくまで、平常心。あの人に一瞬でも隙をみせたら終わりだ。
自分に言い聞かせ俺は立ち向かった。
「もしもし、何すか?」
『比企谷くん。ひゃっはろー!今日暇だよね?ちょっと頼みがあるんだ』
「いや、暇じゃないです。今日はアレがアレだから…」
『予定ないでしょ?断るんなら家まで迎えに行くよ?』
え?マジ…。俺もう詰んだじゃん。何言っても通じないよね?
てか俺の意見は全く尊重されないってことだよね?無慈悲すぎませんかね…
「わ、わかりました…行けばいいんですね」
仕方ないので俺は渋々、雪ノ下さんの言うことに従った。
ーーそして今に至る。わけだが、何故雪ノ下の住むマンションに行かなくてはならないのかはわからない。
その事について葉山に聞いても言葉を濁すし…。一体何を企んでいるのやら
「そういえば葉山は何で俺の家知ってたんだよ?」
「あぁ、実は結衣に教えてもらったんだ。」
「ーー由比ヶ浜か…」
そういえば、あいつは俺の家知ってたな。でもアホの娘よ、よりにもよって葉山に教えることはないだろ…。
そうこうしているうちに、俺の家の最寄駅に着いた。雪ノ下雪乃の家はここから電車で数駅ほどで着く。
「あ、電車代は俺が払うよ。陽乃さんの指示でね。」
「そうか。んじゃ、頼むわ」
電車代を葉山に払わせ、俺たちは電車に乗った。
電車の中では俺と葉山は特に言葉を交わさなかった。
元々、俺とこいつは違う人種だ。特に共通点もないので、意味のない会話なんてしない。
表面だけ取り繕って、リア充に近づこうなどとは思わない。そんな偽物の関係はいらん。
「着いたな」
電車に乗って5分。雪ノ下雪乃のマンションの最寄駅に到着した。
ここから徒歩約2分であいつの家だ。
今日の天候は雲ひとつない快晴。まだ冬の寒さが残るこの季節だが、世の受験生は大変な時期だろう。
まぁ、俺にとってはこの季節はそれなりに好きだ。昼寝が心地よいのだ。
今日だって、こんな事が起こらなければ俺は昼寝していたはずなのに。
葉山、雪ノ下さん、許すまじ。
そう心の中で愚痴を言っていると先導して前を歩いている葉山が話しかけてきた。
「ーー比企谷。これからも雪乃ちゃ…雪ノ下さんの事を頼んだよ」
「んだよ。突然…気持ち悪い」
「はは…あ、着いたな。じゃあ俺はもう帰るよ」
「は?おま、ちょ!俺は何これから何すればいいんだよ」
雪ノ下の住むマンションに着いて、突然の葉山の帰宅宣言。
全くわからない。そもそも俺を呼んだのはお前じゃないか。一体俺に何をさせようとしているんだ。
「雪ノ下さんが君を中で待ってる。話は彼女から聞いてくれ」
「はぁ?…わかったよ。んじゃな」
「ごめんな、比企谷。それじゃ」
葉山が何故着いてこないのかは大体わかる。雪ノ下雪乃、彼女との関係性が複雑だからだろう。
まぁ、いつかはあいつも雪ノ下と正面から向き合う日が来る事だろう。
さて、葉山のことはさておき…。中に入るとするか。
「ロビー広いな…。まぁ一度由比ヶ浜と来たことがあるから知ってたが」
独り言がふと漏れる。幸い近くには誰もいない。付け加え雪ノ下雪乃の姿も見当たらない。
さて、帰るとするか(ry
「ごきげんよう。比企谷くん」
「おっす…」
何と間が悪い…。可愛らしい服装に身を包み雪ノ下雪乃は俺の前に現れた。
元々美人の雪ノ下は服装は何でも似合いそうだが、これは格別に似合っている気がする。
ま、ひとつ欠点を言うと残念な胸を無駄に強調させている点か。
胸が大きければ問題ないのだが、貧乳なのに自己主張が激しいのは如何なものかと。
「今失礼な事を考えていたでしょう?変質企谷くん。」
何怖ッ!雪ノ下マジエスパーなの?流石は雪ノ下陽乃の妹である。
「いや…別に。てか何だよ。俺を休日に呼び出して…」
「そうね、突然で申し訳ないのだけれど…い、い、一緒にディスティニーランドに行かないかしら?」
「ーーは?」
予想だにしなかった言葉に俺の思考は停止する。まさかふ、二人でディスティニーランドに?
いや、待て比企谷八幡。騙されてはいけない。今までの人生を思い出せ。
俺は何を学んだ?俺は何を知った?この非情なる現実を今までの経験で身を以て知り尽くしたはずだ。
まずは探りを入れてみるんだ。さりげなく、さりげなく…。
「いや、待て。俺とか?由比ヶ浜はどうしたんだ?」
そう、彼女と最も近しい存在である由比ヶ浜結衣。何故に彼女は誘わないのか。それを聞こう。
「由比ヶ浜さんも誘ったのだけれど、三浦さんや海老名さん達と出かけているらしいわ…だ、だから仕方なく…」
何、頰染めちゃってるの?思わず見惚れてしまいそうになったじゃねぇか。
告白して速攻振られるところだったよぉ。てか振られるのかよ。
ーーま、まぁ当然か…
「事情はわかった。でも何で今日なんだ?」
「そ、それは…その…パ…パンさんの期間限定のグッズが…その今日までだから…」
「わかった。わかった…それ以上は言わなくていい」
パンさんガチ勢の雪ノ下のことだ。今日の間に何としてもそれを手に入れたいのだろう。
そして恐らくあの雪ノ下でも一人でディスティニーランドに行くのは恥ずかしかったから俺を呼んだのだろう
「それじゃあ、それ買ってとっとと帰るか…早く行こうぜ」
「ーーえぇ、そのつもりよ」
こうして、俺と彼女の間違ったディスティニーデートが始まった。