やはり俺の青春ラブコメは間違っている 終 作:兼田先生
俺こと比企谷八幡はひょんな事から雪ノ下雪乃とディスティニーランドに行くことになってしまった。
目的は雪ノ下が欲しがっている期間限定のパンさんグッズを手に入れるためである。
だが、何故かアトラクションに乗ったり、写真を撮ったりする羽目になり、いつの間にか日が沈みかけていた。
と、まぁ前回までのあらすじはここまでにしておいて
「せんぱーい!先輩ですよね?」
只今、俺は幻聴に悩まされている。脳内で一色いろはの声が頻りに再生されているのだ。
まさか一色がディスティニーランドにいるわけあるまいし。
これはもうアレだ!きっと疲れているんだな。今日はもう早めに帰って休んだほうがいいな。
「ねぇ比企谷君。今、一色さんの声がしなかったかしら?」
「え?」
雪ノ下の予想だにしない一言に、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
まさか幻聴じゃない!?『何だと…』
ということは、一色は今日ディスティニーランドにいるということか。
出来れば休日くらいはあいつと関わりたくない。平日は生徒会の件で振り回されてばかりだからな。
「いや…気の所為だろ。それより早く店に行きたいんだが…」
「ーーそうね。早く行きましょう」
無意識にいつもより早足になる俺。なるべく早くこの場から離れたい。俺の危機察知能力が敏感になっている。
とにもかくにもショップはもう目前である。この中に入ればひとまずは安心だ。
あと10メートル、5メートル…3…
ーーと、その時だった
突如、誰かが俺に後ろから抱きついてきた。優雅で甘い香りから察するに女性と思われる。
「先輩…何で逃げるんですか?」
「いや、逃げたつもりはない…ただ、戦略的撤退というやつだ」
「いえ、それはただの逃げじゃないですかね…」
やはり、一色いろはから逃げるのは無謀だったようだ。俺は無駄な抵抗は止めることにした。
「ところで先輩!何で雪ノ下先輩と二人でデートしてるんですか?」
「ファッ?」
いきなり何言い出すんだよこの後輩。そんな暴言、俺はともかく氷の女王に睨み殺されちゃうよ?
「こ、これはデートではなく…そうね…ただ比企谷君に付きまとわれてるだけよ」
「いや…それ俺ただのストーカーじゃないですかね?」
「何か間違いでもあったかしら?ストーカ君」
俺の名前、一文字もあってないから。もうそれただのストーカーだから。
「うわ、先輩…ひきます」
何便乗してるのこの子。そんな真剣にひかないで、落ち込んじゃうから。
とりあえず…もうやめて!二人とも!八幡のライフはもうゼロよ!?
「それより、一色こそ…こんなところで何してんだ?」
「えっとぉ〜生徒会のみんなで今日、ディスティニーランドに来ることになったんですけど〜何かメンバー的に飽きちゃって…」
「で?」
「先輩らしき人がたまたま遠方に見えたんで、ほったらかしで来ちゃいました〜」
生徒会メンバーの扱い酷いな。せめて一言くらい断りをいれてから来たらどうなんだ。
「で、先輩は何故雪ノ下先輩とここにいるんですか?」
上手い感じに話を逸らすことに成功したと思ったのだが、浅はかだったようで失敗したみたいだ。
流石は肝心な所はちゃっかりしている一色いろはである。
さて、何と言い逃れようか。俺が思考を巡らせる最中、横で突っ立っている雪ノ下が口を開いた。
「ーー今日はその…暇だったから二人でここに遊びに来ただけよ」
ちょっと雪ノ下さん。その言い草だと二人でデートしに来たみたいじゃないか。
一色が変な勘違いしちゃったらどうするつもりなんですかね。
「そ、そうなんですか…へ、へぇ…」
雪ノ下の言葉に一色は動揺を隠しきれていない様子だ。
恐らく、絶対デートしてると勘違いしてますよね?いや、確かに側から見るとデートにしか見えないけど。
「いや、あのな一色ぃ…」
「す、すみません…私、じゃ、邪魔でしたね。この辺で失礼します…ではでは〜」
俺が訂正する間も無く、一色は居心地が悪かったのが足早に去っていった。
まぁ、一色に事情を説明するのは後日でも良かろう。今は、とりあえずやる事を済まそう。
「早く中に入ろうぜ」
「ええ」
ようやく店の中に入ることに成功した俺達。ここまでに一体どれだけの時間を浪費したことか。
「…かわいいわね…フフッ」
雪ノ下は期間限定パンさんグッズを見つけるや否や、速攻で釘付けになっている様子。
俺はというと、疲れているので雪ノ下の近くでボーッと突っ立っている。
近くにあった鏡を覗き込むと元々腐った目がより腐敗していた。
「比企谷君は何か買わないの?小町さんにお土産とか…」
「そうだな…俺そういうのセンスないからな…雪ノ下、頼めるか?」
「そうね…貴方はセンスの欠片もなさそうだし、私が選ばさせてもらうわ」
そう言うと、より一層真剣な眼差しでパンさんグッズを選んでいる。
正直、そこまで本気出さなくてもいいからね?
「これかしら…いえ、隣のこれも捨てがたいわね…こちらのも可愛いわ」
無邪気なその姿は少女のようだった。普段の大人びた雰囲気からは想像もつかない一面である。
ちなみに、パンさん以外にネコと触れ合っている時も今と同じくらいかそれ以上に無邪気で可愛いと思う。
「まぁ、アレだ…小町の好みに合わせなくてもお前がいいと思ったやつでいいからな」
「ーーそう…わかったわ」
その後、20分間ほど時間が経過し俺達は、雪ノ下が欲しがっていた物と小町へのお土産を購入した。
どことなく、雪ノ下がお目当の物を手に入れることができ満足げな表情を浮かべていた。
外に出ると日はすっかり沈んでいた。俺達はもう特には用事もなかったので帰ることにした。
「ーー比企谷君、今日はその…ありがとう。貴方ならきっと断ると思ったのだけれど、来てくれて」
駅に向かう途中、前を歩いていた雪ノ下が立ち止まり後ろを振り返り、俺と向かい合う。俺もつられて足を止める。
「断るも何も雪ノ下さんに脅迫されたので断れるわけないだろ…」
いや、マジで雪ノ下さんは怖かったですから。あの状況で断っていたら俺は死んでいただろう。
「フフッ…ごめんなさいね。苦肉の策だったのだけれど、姉さんに頼ってしまったわ」
「いや、そりゃ休日は布団で寝転がっていたかったが…何つーか、俺も今日はまぁ楽しかったし?別にいいが…」
「何故疑問系なのかしら」
それは照れ隠しというやつでして、小町曰く『捻ねデレ』らしい。
「そこは察しろよ」
俺は恥ずかしくなり、プイと目線を逸らす。すると雪ノ下は柔らかな笑みを見せる。
「また、来ましょうね」
「来ようと思えばいつでも来れるけどな…まぁ…いつかな」
俺達はまたいつかディスティニーランドに行くことを約束し、その日、俺は雪ノ下を最寄駅まで送り、帰宅した。
俺は帰宅後、何故か幸せな気持ちに包まれた。余程今日のこと楽しかったのだろう。
だが、この時俺は今回の出来事が後々俺達に大きな変化を齎らすことになるなど、まだ知る由もなかった。
更新が遅くなってしまい、申し訳ございません(´;Д;`)
試験などで時間がなくて、ついついサボりがちになってしまいました。
これからは少し時間に余裕ができると思うのでドシドシ更新していこうと思ってます!