113話目 龍祭壇へ
「……は?デュケット、もう一度言ってくれ」
「はい。ユウナ、アフィンの両名は複数の惑星にて出現する未確認生物の確認、可能ならそれの撃破任務がおりました。10日以内に正式な任務として出されるようです。それと本任務には詳細の内容は現地にてーーえっと、とある人物と行動を共にせよ、との注意事項も」
あの後アフィンと…その…て、手を繋ごうと自分で言っておきながら、俺とアフィンは顔を真っ赤にして帰りアフィンの部屋の前で別れ自分も帰宅。その後冷静になりベッドに頭から入り、変な奇声を上げマトイとデュケットに不思議そうに見られながら数分間あげた後、ぐちゃぐちゃになったベッドから離れ冷静になる為にリビングの端にある作業台の前の椅子に座る。
ナノトランサーを弄って中に入っているライフルーー戻ってきたプロトレイの整備とエルダー戦でひっさしぶりに使ったハンドガンの整備をしているとデュケットから声を掛けられた。
「…注意事項アリの任務なんて初めてだな」
「……所でその…さっきの奇声は?マトイちゃんも心配してましたよ?アンティかける?って?」
そこまで言う2人に俺は簡易分解をしてバレル内の掃除ーー長い棒の先に布と油を浸した奴でグリグリ掃除しているーーを一度やめ2人の前に椅子ごと身体を向けて言う。
「…人ってその場の勢いで言うと恥ずかしいんだな…」
デュケットの後ろーーソファに座りお菓子を食べながら聞いていたマトイは頭の上にはてなマークを乗せながらどう言う事って言う風にデュケットに視線を送る。
デュケットは俺の言った事を一瞬考え即座に答えを見出した。
「…あぁ、アフィンさんの事ですね?」
「………」
「無言は肯定と同意義ですよ?」
「ぇ?ユウナちゃん、アフィンの事すーー」
「…そうだ、その場のノリだ!そうだ、それで押せば良い。彼氏になるにはポイントを高くーーいや、点を確保するごとに上限を上げれば良い!」
「……デュケットさん、やっぱりアンティをかけた方が…」
「えぇ、そうした方が良い気がしますね、あの様子だと…」
そう言いアフィンが俺を呼びに来るまで俺の混乱は止まる事はなかった。ーーもっともこの後もその感情で混乱することになるのだが。
ーーーーーーーーーー
あのまま自室にいると2人に無い事ある事言われ、終いにはメディカルルームに連れて行かれそうになったのでライフルとハンドガンは作業台の上に置いて来て自室を出てショップエリアに足を向けて向かう。
訳はのちに考えるとして…いや、いっそ銃の消耗品を買いに行った、とでも言い訳すれば2人にも分かってくれる筈だろう。何せオーダーを受けたんだ、それで躱せるだろう。
そう自分に言い聞かせメイト系のアイテムを買っていると不意に声が脳内に聞こえる。
その声を聞き瞬きをするとーー店員の手が止まる。まさかと思い周囲を見渡すと周りにいる、と言うか大型モニターの時間や中央モニュメントの噴水の水さえ止まっている。
「事象は大いなる変化を見せた。それこそが貴女が成し遂げた一つの成就のカタチだ」
「例えーーそれが望まぬ形であったとしても」
「私と…私達は謝罪する。識りながら変える事のできない身である事を」
「かの事実(ダークファルスの封印失敗の事実)は根幹(アークスの根幹)を揺るがすモノ、張陵する者達(アークスのトップ)は拡散を望まず内に秘めようと暗躍するだろう」
「故に貴女の役目こそが重大。全てを見て、識った貴女こそが鍵になる」
「貴女が抱く経験で世界は成る。ーーそれは修正ではなく累積に基づき数多の知己と敵を生むだろう」
「ーーそれでも。貴女は己の意思が赴くままに進んで欲しい。誰も見出せなかった道へと」
「…私と、私達はその道を見、識る為にココに居る」
そう言い終えると視界がブレて彼女ーーシオンは消え去る。それと同時に周りも動き始めーー先程まで自分が居た店の店員が俺を呼んでいた。
あ、あぁ、と生半可ね返事をして代金を渡す。店員は急に消えて怪しんでいたがそれ以上は何も言っては来なかった。他にも色々と回らなくちゃいけないのに…急に来やがって。
はぁ、と溜息をつきーー今度はジグさんの店に向かった。行く内容は勿論ーー背中に背負うこの刀について鑑定をしてもらう為である。
ーーーーーーーーーー
「煉獄刀・焔嗟って…何だこの名前…怖すぎだろう…」
そう呟きながら手に持つ刀ーー焔嗟を見直す。ジグさん曰く我々の、オラクルの技術体系では無い別の何かで作られている、と言うことは分かったらしい。但し何故かフォトンに反応する、と言う事も。
ジグさんにも解析するからちょっとの間貸してくれ、とまで言われたのでそれじゃこれに似たような刀ーーソードを作ってください、と言ったら静かになった。それと同時に同じような物を作れば貸してくれるのじゃな?と言い、そうです。…ぇ?作れます?と言えば分かったと言い今から作るから今日は帰ってくれ、とまで。
そこまでしてこの刀を見たいのだろうか?
そんなことを思いながらショップエリアの上ーー今では誰もいないショップエリアどころかアークスシップ全部を見渡せる屋上にある大型公園に来ている。椅子に座り道中で買ったオレンジジュースを飲みながら買った物リストを見直しつつふとーー先程のシオンさんとの会話を振り返る。
冷静にーー基本あの人難しい言葉しか使わないけどーーなって考えてみるとあの人ーー。
「にしても、あれ…日本語、だよなぁあれ」
そう、彼女のしゃべる言葉が完全に日本語なのである。
何故オラクル船団の人が日本語を使えるのか?
その事に対する理由付けを考えていたら何処からともなく歌が聞こえてきた。
ミ耳を立てて微かに聞こえる音の飛んでくる方向を特定。その方向へ飲み物片手に向かう。
近づけば近づくほど何処かで聞いたようなメロディと声がする。それと同時にコレはアークス言語…いや、オラクル言語だよなぁ、とも。オラクル言語やアークス言語と呼ばれる言葉を聞けば聞くほどシオンの日本語の謎が深まる。
その方向に更に近づくとーーなんとアイドルとアフィンの言っていたクーナが歌っているではないか。俺も時折テレビやポスで見かけたりするが…確かにアレは見た奴と同じだ。
おぉ…と感嘆の声を上げて、シオンの日本語の件は棚に上げて、ジュースを片手にずっと見ていると向こうと視線が合う。
「「あ」」
と言う2人の声がハモりーークーナさんの歌が止み、周りに俺しかいないため静かになった。
するとクーナさんが周りを見渡し周囲に誰もいないことを確認したような素振りを見せると、その場から横に動きーー俺もその動きに視線と体を合わせる。
そのーーまるで俺が本当に見ているかどうかを確認するかのような動作はもう少しだけ続いた。
「……貴女…私の事…見えてる、の…?」
そう言い俺の事をわなわなと震える指で指差すクーナさん。
「ぇ、あの、その…見えてるって言うのは?」
「やっぱ見えてるんじゃないっ!どうして⁈マイは使えてる筈なのに…ッ」
そう言いながら頭を抱え後ろを向くクーナさん。
「もしかしてオフでした?それでしたら自分も帰りーー」
そう言い後ろを向き見なかった事にして帰ろうてした時、後ろからさっきとは違う…視線というか気を感じ取る。
再度後ろを向くとーーそこには先程まで普遍的な服を着ていたアイドルのクーナでは無くーー何度か会っている戦闘服を着たクーナさんが居た。
「ぇ、あれ?…クーナさんは?」
「…貴女…何者なんです?前もーー上から監視を命じられたてカフェに居た貴女を見ていた時も私の事を認識していましたよね?ーー勿論その前もです」
そう言い腕に装着されているダガーの刀身が青く光り、フォトンが刃を形成する。
「まてまてまて!ここアークスシップ!室内戦はダメの筈じゃ!」
「私の問いに答えなさい。アークスに登録されている貴女ーーユウナさんは一体何者なんです?」
そう言いゆっくりと近付いてくるクーナさん。何回か会った上に前回のエルダー戦で味方だった為に背中に背負う刀に手を掛けるもそこからが抜けない。
「…俺は俺、と言う確証以外に何が必要、なんですか?クーナさん…?」
そう言いにじり寄るクーナさんに対し後ろに引きつつもいざとなった抜く気の無い刀の柄に手を添える。
まさかこの世界に来て対人戦をやる事になるなんて、なんて内心悪態をつきながら背中にある刀の柄を添えていた右手で掴みーー。
「……はぁ、今は止しましょう。任務も降りてませんしね」
向こうから武器を解除してきた。フッと両腕に付いている刃が飛散して少しづつ離れていく。
「……」
到底向こうから戦闘態勢に入って来たんだ、幾ら人とは言え流石に手を離せない。
「私も解除したんです。貴女もしたらどうですか?」
「そっちから戦闘モード入って解除されてもそう易々と解除は出来ないねぇ。こっちはしたいけど」
「…はぁ、分かりました。それでは私は去ります。ーーあと」
「…?ーーはぁ⁈」
「ーー貴女が今日ここで見た事は他言無用って事で!」
そう言うクーナさんに首を傾げた瞬間ーー目の前のクーナさんが先程までいたアイドルのクーナさんの服装になりーー見た事は誰にも言うなと言いさって消えた。
「……あ」
アークス消える奴多すぎるやろ…。
と言う呟きは本人に聞こえていたかどうかは定かではない。ーーと言うかアレ、アイドルのクーナさんはアークス(暫定)のクーナさんと同一人物…?
ーーーーーーーーーー
「……」
キャンプシップーーサーレクスmk9とも呼ばれる機体ーーの椅子に座りライフルとハンドガンの掃除、煉獄刀・焔嗟と言う洒落にならない名前の付いていた刀を台の上に置き整備していると向かい側にアフィンが座ってきた。
「…なぁ、相棒」
そう言われて頭をあげるが、あの事ーー吹っ切れてアフィンの手を握った事があった為にアフィンを直視しづらい。と言うかあの事があってからかアフィンの事をーー外見が女っぽい為か女の子と認識してしまいそうでヤバイ。
「……な、なんだ、アフィン」
そう言い澱みながらライフルのマガジンに弾をガシャガシャ入れていく。
マガジン下部の横に空いた小さな穴から弾が見えるまで装填していく。
「……その、前に言っていた彼氏にするって言うやつの事なんだけどさ」
その言葉にピタリと止まりーー。
「……あぁ、その事なんだがーー」
「ーーその…ヘタレって思うかもしれないけど…いや、そもそも本人に言う事じゃないけど…俺は相棒と友で居たい」
「…ぇ?」
「…いや、正直俺は相棒の事好きだよ?だけど…俺はまだ相棒の隣に入れるほど強くない。現にあの時ーー巨躯の時だってそうだ。相棒…奴と一対一でやり合ったんだろ?ーーダークファルスと」
「…ま、まぁ…あの時は先輩達が居たけど…先輩達援護くれなかったなぁ…あん時は死ぬかと思った」
「それについてゼノさんエコーさん。それと今は謹慎に入っているゲッテムハルトさんから言葉を貰ってるよ。3人の話を纏めると巨躯とユウナの闘いが凄すぎて間には入れなかったって」
「……凄すぎてって…俺はひたすらガードしたりぶっ刺したりしただけだぞ」
そもそもなんであの時使い慣れていない刀なんぞ使ってしまったのだろうか?ーーあれ?そういやエコーさんからロッドを借りたままだったような気がする。…後で、アフィンの話が終わったら確認しておくか。
「それが凄いんだって。そもそもユウナは知ってるのか?ダークファルスと交戦する時は急激なD因子の上昇によって自我を失う事が多々あるんだぜ?先輩達が無事なのは10年前に別のダークファルスと交戦した経験があるからでーー先輩達もユウナさん担いで直ぐにメディカルルームに向かっていたけど」
「…確かにあん時は必死だったけど…」
「それにさっきも言ったけど経験のある先輩達が入れない程の闘い方をする相棒ーーユウナの隣にいるには今の俺じゃ力不足なんだ」
「……」
そう言い切るアフィンに俺はーーそんな戦い方してなくね?元はニートも同然だったんだぞ、と出て来たがそれを喋ったらダメな気がするので出かかった言葉を飲み込む。
「相棒はさも当然のように探索任務でダーカーを斬りつけて倒しているけど…普通俺みたいにアークスに入って数ヶ月も経ってない新人がやれる事じゃない」
それは突発的に奇襲してくるダーカーに寄生された原生生物や機械類に言ってくれ。
「と言うかそもそもなんだよアレ、途中からその細いソードにテクニックを纏わせたりしてさ。相棒さ、異常過ぎるよ」
「…アフィン、お前…」
流石にそこまでーー目の前で言われると傷付く。コレはアレか?親友と思っていたのは俺だけパターンか?
「…だから。俺は…俺は、今は相棒の彼氏にはなれない。俺が相棒の彼氏になれると思った時。その時に俺はもう一度相棒ーーユウナに告白する。だからーー」
「それまでは友達でいようよ。な?」
そんな事はなかったことに安心しつつ、それと同時に彼氏問題をアフィンの方から先送りして来てラッキーと思う俺だった。
「…お前そこまで俺を……あぁ、分かった。だが俺はーーいや、よそう。それはその時に話すさ」
ーーーーーーーーーー
「…さて。お二人ともお話は終わりましたか?」
そう言う声が聞こえ俺はーーアフィンは真後ろにいる少女に気が付いた。
「うぉぁ⁈ーーあの時の?」
そこに居たのはあの突発的な巨躯戦で一緒に戦っていた少女だった。相棒を見ると俺の声に驚いたのか平然を保ちつつーー尻尾と耳がぴーん、と立っている。それも直ぐしたらゆらりゆらりと左右に振れるが。
「…クーナさんか。どうしてここに?」
そう言い切る相棒の目が一瞬だけ目の色が青から赤に変わった様に見えたがーー今はそんな事はいい。今相棒はクーナって言わなかったか?
「…今回貴方達と行動を共にするクーナです。以後お見知り置きを」
そう言い相棒の隣に座った少女ーークーナさんは相棒と同じような戦闘服で隣に座る。
なんか、と言うか相棒のサイズがおかしいだけだけど…なんか、小さく感じてしまうなぁ…。
そんなことを思いつつクーナさんの名前を口に出すと、
「く、クーナさんって言うのかぁ……ん?」
「どうしたアフィン?」
「…いや、なんか…アイドルのクーナさんに似てるような気が…でも髪の毛の色違うし関係ないか」
案の定と言うべきか…俺の方からアイドルのクーナさんとの関係性があるのかを気になって言ってしまう。
「…アフィンさんでしたか。クーナさんの歌がお好きなんですか?」
そう言われてガタッと椅子から立ち上がり目の前のクーナさんと同名の少女に言い切る。ら
「えぇ!それは勿論!なんならファンクラブに入ろうと思っていたこともありましたし」
「思った?」
思った、と言う言葉に少し悲しそうな顔をするが直ぐに訂正をする。なんかクーナさんーーアイドルの方を悲しませたような気がしてならない。
「えぇ、その時にアークスに受かってしまいまして。そのまま入れずに」
「そうなんですね…ユウナさんは?」
そう言いクーナさんは相棒に話を振るが
「俺?歌とかはあまり聴かないな…」
と素っ気なく話を切る。
「そう。彼女の歌はいい歌ですよ、今度聴くのをお勧めすます」
確かに良い曲なのは全肯定する。
そう思いながらクーナさんの言葉にウンウンと頷いているとふと頭の中に今回の任務の事で聞きたいことがあるのを思い出す。
「…あっ!そうだ、いきなり話をぶった切る感じで悪いんだけど今回の任務は一体なんなんだ?俺ある生物の確認って事しか管制官から言われてなくて…」
「…クーナさんがいるってことはもしかして?」
「えぇ、前にーーユウナさんに言っていた龍ーー造龍の討伐が今回のオーダーです。多分ですが私と会ったことがある為に上から指名されたのでしょう」
「造龍?なんなんですそれは?」
「造龍とは読んで字の如し人工的に作られた龍族。惑星アムディスキアの複数の一族から生体データを貰い受けアークスから対ダーカー用の龍族を造ろうとして…失敗、封印された計画の副産物です」
「なんでそんなものが外に?」
「……理由は分かりませんが施設内にて凍結保存されていた一番強い造龍の1人がダーカーに似た転移方法でワープ、複数の惑星にてアークスに攻撃を仕掛けているとのことで……討伐任務が降った、という事です」
「へぇ…という事は討伐もするのか?3人で?」
「いえ。できるならという事ですが…無理ならば増援を呼びに戻ることも可能ですし、なんなら見つからない場合は捜索を切り上げ撤退も許可されています」
「…で?クーナさん、最初はどの惑星に行くつもりで?」
ここまで黙ってマガジンに弾を入れていた相棒が話を切り出す。
「…先ずは龍祭壇に向かおうと思います」
そう言うクーナさんの言葉にーー後で相棒も言っていたが、何故かとても悲しそうな感じがした。
えっちいのが中々進まない…と言うか題材マザーでってキツくね?
話は変わるが最近液タブのフィルムを買って描くぞってなる度に描く気がなくなるこの現象は何なのだろうか?
多分全部Ep1終わったら追加したりする、かもしれない
クーナ編も書く?
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書け
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書かないでいい
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Ep4に行け
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Ep5に行け
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Ep.Hはどこ…ここ?