119話目
「…ユウナさん。これを」
そう言い帰りの機体内で渡してきた紙切れ。ぐしゃぐしゃになっている。
「…私個人用のメールです。何かあった場合はこちらにメールを」
そう言い切りゲートエリアで紙切れを開き中身を見る。そこにはきれいに畳まれたキレイな紙があり、それを破けないように丁寧に開くと中にはオラクル語と数字が混ざった文字列が書かれていた。これ本当にヴォイドとか言う奴らに気づかれないのか?と聞こうとしたらもう目の前に居なかった。
少し離れた場所でクーナの気配が離れていっているのが分かる。
「…ったく、いくらなんでも任務が終わり次第すぐ帰るって…わからなくも無いけどよぉ…」
そう言いながら帰ってきたマイルーム。キッチンで料理しているマトイにおかえりなさいと言われあぁ、ただいまと言い返しリビングの作業台に座ってライフルーープロトレイを分解する。
ハドレット本人とは戦っていないもののその道中のダーカーに対してはバンバン撃っているため帰ってくるときは基本簡単なメンテをしている。
メンテと言ってもピンを数本外しトリガーユニットがある部分、ストック部分、上部レシーバー権スコープ部分の3部位に分けてオイルを塗ったりバレルの掃除くらいだが。
そこから更に上部レシーバーとハンドガードと一体化しているグレネードランチャーを取り払い、軽くする
その後バレルを長い布で中の汚れを拭いたり、機関部に油を塗布する。
オイルを馴染ませつつまだ任務は続くんだろうなぁ、とため息が出てくる。
「…まぁ、あの任務は続くんだろうなぁ…だろ?デュケット」
「…バレてましたか」
そう言い後ろを向くとーー忍び足で俺の後ろに回り込もうとしているデュケットが。
「あぁ。そもそもこちとらミミで聞こえてんだよ」
「あはは...流石ビーストですね」
「ーーみんなー!ご飯できたよ?ーーあれ?デュケットさん帰ってきていたんですか?」
「えぇ。先程ね。…私マトイさんにも声掛けましたよ?ね?」
「いや、ね?って…」
そう私言ったの聞こえてましたよね?って顔をされても…。
「あれ?だってさっきミミで分かるって」
そう言いながらデュケットはソファに座りテレビを点ける。
「デュケットって分かったからコレに集中していたの」
そう言いマガジンに弾頭の見えない弾丸をマガジンに押し込めていく。
前にアフィンから「相棒もマガジン店で購入すれば?」って言われたがそもそもコイツは試作のやつの上に弾丸も違うから無理って言ったが…。
それの他にもう一つ自前で作っている意味がある。それがコレーーテレスコープ弾のケース部分の上半身に赤い線が塗られている。
赤い線の入った弾は曳光弾、弾頭のケツ部分に使い捨ての発光体が入っている弾のことでコレで弾が何処に向かったとか、着弾点を撃ちながら修正出来る優れものである。
弾速は全て同じ速さになっていて極論曳光弾さえ当てられるなら無くても当てられる。
一部の人は購入品もわざわざ弾丸を全てマガジンから取り出して曳光弾を抜いたりする人も居るのだとか。
俺は逆に多め入れている。大体3発に1発程度の割合で。他にも何を思ったのか曳光弾だけのそれはそれは眩しいマガジンも有ったりする。
「…あははは…ごめん、料理に夢中になっていて…」
そんなことを思いながら二人の話を聞いていると最終的には料理で聞こえなかったって言うオチになった。
「…ビーカーで料理、ねぇ…」
そう言いデュケットが俺の位置からは壁で見えないキッチンを見る。デュケットのビーカーという言葉から科学者みたいな実験を想像したが...いくらなんでもそれはないだろう。
「あ、後でちゃんと片付けるから!ね?今はとりあえず食べよ?」
まぁ、初めての女の人が作った料理なんだ、有り難く食べさせてもらう事にしよう。
ーーーーーーーーーー
「ねぇ、ユウナちゃん」
「んん〜?何だ?」
そう言い食後の任務後は暇な時はやるようにしている尻尾のブラッシングをソファでしている最中。デュケットの援護もあり比較的早くキッチンの後片付けが終わったらしく俺の隣に座って話しかけてきた。
因みに料理は美味しかったです。…コレで初めてとは…。やはり紛い物では本物には勝てないってことか...。
「…その、私に浮遊大陸のお話聞かせてくれない?」
「…何で急に?」
コップを3つ持って隣に座るマトイ。中にはオレンジジュースが入っていた。
「…いや、ほら。なんか聞いたら記憶が戻るかなって」
「それもありそうですけど、本心は暇でしょうがないんでしょ?」
マトイが持ってきたコップの一つをデュケットが手に取りソファの空いた場所に座る。
「そ、それもそうだけど…」
「まぁ、アークスシップってちょーデカイ上に分かりにくいからな…特に下層のエリアとか」
「う、うん。フェリアさんにも一人で遊びに行くのはやめときなさいって言われてから怖くて…」
「…って言ったってな…こう言うこと、話していいの?」
「まぁ、正直な話アークスにおいて任務に関する守秘義務はほぼ無い感じですからね。そもそも話せない任務の場合は私から他言無用の言葉が出ますよ」
「そうか。そう言うもんか…って言っても俺が言った所なんてナベリウス、リリーパ、アムドゥスキアの三惑星だけだぞ?それこそデュケットに聞いた方が良いんじゃないか?」
「一応私も任務でロノウェとフォルネウスには管制の任務で少しだけ滞在したことがありますが…あまり変わりませんよ?ナベリウスと」
「えっと…じゃぁ、リリーパについて何か凄かったこと教えて?」
「リリーパだって?…そりゃあのロボットしかないよな?」
「うん。それでも良いよ?」
「そうだなぁ…あれはアフィンと遺跡調査の任務だったかーー」
それから30分ほど俺とアフィンの脱出劇を簡単に話す。
「んで、どうにかトランマイザー だっけか。そいつを倒して帰還したって事さ」
「うん。…凄い話だねぇ。改めて聞くと」
「俺は懲り懲りなんだがなぁ…」
「…そう言えばユウナ、最近任務に掛かりっぱなしだけど…一体どんな任務なの?」
「ぇ?…デュケット、話していいのこれ?」
「うーん…別に重要任務と書かれていますが極秘とは書かれてないんで」
「えぇ…まぁ、デュケットがそう言うなら…」
そう言い俺は今やっている任務ーー造龍の撃破任務の事を簡単に話す。
「ーーって所。いやぁ、毎回毎回逃げられてなぁ…」
「でも龍族でしょ?アムドゥスキアの龍族と同じじゃないの?どうやって逃げていくのかな…?走って逃げているのかな...?」
「いや、あのやろーダーカーやペルソナみたく空間が歪んで消えやがるんだ…お陰で毎度毎度攻撃すら当てられねぇ」
「空間を歪ませて…?龍族ってそんなことも出来るんだ…」
「いや、ハドレットだけだと思うぞ?」
「…って事はアークスシップ内にも出てこれるんだねぇ。凄いねぇ…」
そうマトイに言われ俺も気づく。少し前に来た
「…そう言われれば確かに…これ割と上に上げなきゃ行けない情報じゃね?」
「いえ。これも確証が得られないので…まぁ、私が上に上げておきます」
「頼むわ、デュケット...頼ってばかりだな」
「いいんですよ、管制官は頼られてナンボって言いますから」
ナンボという言葉がデュケットの口から出てきたことに驚きつつマトイの話の続きを聞く。
「…空間を歪ませて何処にでも行けるなら…なんでわざわざアークスが居る惑星に現れるんだろう?…誰もいない惑星に逃げれば良いのにね」
「…確かになぁ…それはクーナも言っていたけど」
そう言い--泣きながらワープして消える直前に言っていた言葉を思い出す。ーー誰もいない場所に逃げてくれば。クーナの小さな声で脳裏に思い出させられる。
「…あっ!ユウナ!もしかしてそのハドレットって龍族にはやり残した事があるんじゃないかな!」
「や、やり残した事…?」
「うん!…まぁ確証はないけどね…」
「…一応コレもーー」
「上げてあります。不確定でも、もしかしたらあるので」
ーーーーーーーーーー
マトイとデュケットにリリーパとアムドゥスキアの土産話が終わり、食事も終わった頃。デュケットがテレビを付けてクーナのアイドル番組を見ながら「なんでこの子私より無いのにアイドルに受かったんだろう?」と本人が聞いたらキレるかも知れない言葉を小声で言うのを聞いた時。メールボックスに新たなメールが入っている事に気づく。
中身はクーナからで一瞬辺りを見渡すも…気配は感じない。流石に偶然か、と片付けて中身を見る。内容は私と会ったあの場所で明日の14:00時頃、待っています。との事だった。
そして翌日の午後2時。最初に会ったショップエリアの更に上層部の公園。
全長5000kmの長さを誇る船の端まで見える公園のベンチに座る。
周囲にも子供連れの人が居て各々遊んでいる。
道中で6個程買ってきたホッドックに手を付け、女の小さな口で一個めを食べ終えた頃。
何人かの子供が俺の揺れる尻尾やミミを見つけ触ろうと近寄ってくる。
別に引っ張ったりしなければ良いかと無視していたらなんと言う事でしょう。
ベンチの上に立ちミミと耳をペチペチ触ったり、伊達に長い髪の毛を使って隠れようとしたりーー。
ミミやしっぽの付け根辺りを触るならブチ切れるがそんな事はなく…ふさふさの部分だけを的確に触っていく。
そろそろ注意でもすっかな、と思った時。自前のミミがクーナの足音を捉える、のと同時にミミが立つ。その足音も俺の近くに、と言うより隣に座りーー。
「…一体どうなっているんです?」
ベンチを占領する子供達のお陰で座れないから俺の目の前に立つ。
「食うか?」
そう言い左においてあるホッドックの入った袋から一個を取り出しクーナに渡す。
「えぇ、まぁ」
2個めを袋から取り出し、ついでに飲み物を渡す。
周囲にいる子供に「俺は今からこのお姉ちゃんとお話しするんだ、みんなは別の場所で遊びな」と言い子供達を散開させる。
わー!と言いながら散っていきーー残るは俺とクーナだけ。
「……よく俺が分かったな。結構広いだろ、この公園」
ベンチを手で払って隣に座るクーナ。
「周囲にビーストはユウナさんを除いて居ませんでしたからね。そういう意味では見つけるのはラクですよ。目印もありますからね」
そう言いクーナの視線がミミと尻尾に移る。
「そうか。…ビーストはもっと居るらしいんだがなぁ…」
「バベルが最近事件を起こしましたからね。アークスや一部の仕事をしている方を除いて閉じ籠って居るのでしょう」
ほら、これを見てくださいと言い俺にウィンドウを見せてくる。中身はーー『B.A.V.E.L.S、ビースト経営のホテルを襲撃、アークスも一部参加か』と言う見出しだった。
「ヤだねぇ…ほんと」
「えぇ。私達にはダーカーとダークファルスって言う必ず滅ぼさなきゃならない存在が居るのに…」
「まぁ、人類なんてそんなモンよ。過去を見れば分かるさ」
「じんるい…?なんです?じんるいって?」
「…あぁ、いや、何でもない。それで?俺を呼んだ理由って?」
「はい。ハドレットが次に出るであろう場所です」
クーナはウィンドウを俺の見やすい位置に移動させる。
「...強襲をかける可能性あり、だって?!」
昨日デュケットやマトイと話していた事がすぐ起きる事になった。
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排莢口から薬莢が飛び出て地面に落ちる。フォトンが込められた弾頭はダーカーの身体を撃ち抜き地面に伏す。
伏すのを確認する前に次から次へと迫ってるダーカーを撃ち抜く。このプロトレイーー30ミリのテレスコープ弾を使っている癖に反動が殆ど無い。オラクル驚異のメカニズムなのか、フォトンによる恩恵なのか分からないが…。
そう思いながら空になったマガジンを抜き取ってーーナノトランサーを弄って虎の子のボックスマガジンを取り出してライフルのマガジンの入り口に入れる。
マガジンキャッチボタンがボックスマガジンの凹みを噛んで外れなくなる。一気に重量感が増すがそれと同時に安心感も増す。
反動が無いライフルのトリガーを引きっぱなしにしてダーカーに対し弾丸を当てていく。
グレネードランチャーのトリガーを引きーー敵の手前にロックオンマーカーが6個付きトリガーを話すとーーグレネードランチャーからエネルギー弾が発射、少し進むと6個に分かれて敵に突っ込んでいく。
エネルギー弾が着弾した瞬間、小規模の爆発が起きて6匹のダーカー種が消し飛び空気に飛散する。
ランチャーのロックを外しカラになったエネルギーシェルを抜き取る。
「ーーつぇなぁ!このホーミングシェルは!」
そう呟きホーミングシェル、もといP.Aホーミングエミッションをもう1発装填する。
『ーーユウナさん、そちらはどうですか?』
「ーーあぁ!レンジャー1人じゃ死んじまうせ、なんて思ってたけどーーおぉ⁈」
クーナと話をしている最中。ミミが何かの振動音を聞き取る。
『どうしました?』
「なにか...でっかい物が歩く音が...なんだコレ。クーナさん、なんかでっかいダーカーが出てきたとかそう云うデータ来てます?」
『いえ...今の所は』
「分かった、少し偵察してくる」
『...わかりました、無理はしないでくださいね』
「わかってる、引くときは弁えるさ」
そう言い歩道に出て音のする方に向かう。
暫くダーカーと交戦しつつ先に進んで行くとーー。
「何だあのクモ⁈目の前の道路を…この方向は…どこだ⁈」
『クモ…?まさか!ダーク・ラグネですか⁈速やかに隠れてください!そいつは危険です!』
「やっべっ!気づかれたか⁈一回切るわ!」
『ちょっと!ユウナさん⁈どこかに隠れてくださいね!私も向かいーー』
クーナが話している途中にウィンドウを消してすぐさま建物の陰に隠れる。
片目だけ影から出してゆっくりと…立体高速道路順に進んでいるところが見える。
ライフルのマグキャッチを押してマガジンをリリース、残り弾数を確認しつつ過ぎ去るのを待つ。
数秒か数分か。俺のミミが多脚の足音が消え去るのを確認してーー恐る恐る影から片目を出す。ーー何も居ない。
「……っ…クーナ、聞こえるか?」
『ーーはい。聞こえます。私に通信を入れられるって事はーー』
「あぁ。どうにかやり過ごせた…ぁ。あと今クーナ識別範囲に入ったぞ。…そこから…2キロ前後の地点に居るぞ、俺は」
『分かりました。そこを動かないでくださいね』
それから数分してクーナと合流。今回の任務について再度確認する。
今回の任務はアークスシップ内に発生した中規模ダーカー襲撃の際に造龍の出る確率がとても高いことが分かった。ユウナ、クーナの両名はこの任務を重要任務とし、確実に成功させよ。尚今回の任務に関してはアークスの任務より上位である事を忘れるな。
と言うオーダーを見直す。
「…で、エネミーのダーク・ラグネはどちらに向かいましたか?」
「そうだな…あの立体高速道路を歩いていたから……」
そう言いマップと睨めっこして……やべぇ、俺まだオラクル言語完璧じゃなかったんだ。
「…ここは…会場ですね、私も何度か来たことがあります」
「か、会場か…取り敢えず行ってみる?ハドレットはダーカーを食うんでしょ?」
「そうですね。エネミーと同じ道順で行けば確実に着くでしょうし」
そう言い俺とクーナは高速道路入り口に向かった。
道中複数のダーカーと交戦するもーー1人でないため楽に終わる。
そしてーー。
「…無理だなこりゃ…」
目の前にある破壊された高速道路入り口。ライフルのスコープの倍率をいじりよく見ると…断面が赤黒く溶けている。
「…なんだいありゃ…赤黒く溶けているな…」
「見してください。……多分あれはブリアーダかカルターゴの毒弾かレーザーですね、あの様子だと」
見してくださいと言うのでライフルを渡し見せるとそう分析するクーナ。
「…にしてもどうするよ?結構先でしょ?あれ」
「そうですね。迂回するしかありません。…こっちから行きましょう」
そう言い指差した先は地下。
「何箇所か迂回すれば会場近くに出るはずです」
「了解。土地勘ないからクーナ、頼むわ」
「はい。しっかりついてきてくださいね」
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EP6終わって無事主人公達も帰還したけど…この小説どう?終わりそう?
うーん、無理!
初めてPC(原案はスマホ)で書いてみたけど...自前のやつがUSキーボードだから
『』の出し方わかんねぇだわ。
次回以降超絶駆け足でハドレットと決着をつけたい
ストーリも程々に外伝を書く?
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