とある侍の一方通行・続   作:ネルゲル

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遅くなりましたがあけましておめでとうございます!!

短いですが、どうぞ!!


迫り行く絶望

目の前にいるの仮面を脱ぎ捨てた男は。

 

ニコリと笑っている彼の姿は。

 

昔、自分を拾ってくれた恩師そのものの姿をしていた。

 

 

銀時は言葉を発する事は出来なかった。高杉から吉田松陽は殺されたと聞いているからだ。

 

 

「な、んで生きてんだ……!アンタが死んだって俺はっ…!」

 

 

「ふふっ。銀時…貴方がこうして生まれ変わっているのだから、私が生き返るのも不思議ではないでしょう?」

 

 

動揺して叫ぶ銀時に松陽は平然と答えた。

 

 

「しかし、流石ですね。紅桜を破壊し、浜面仕上を死なせずに元の姿に戻したのですからね。もっとも木原数多を失ったのはこちらとしても、少々痛手になりましたが」

 

 

心理の膝の上で安らかに眠る木原数多をチラリと見ながら話す。

 

彼女は涙目でキッと松陽を睨みつけるが、彼はまたしてもニコリと微笑む。

 

「銀時の妹でしたか。また会いましたね」

 

「なんでよ……木原さんの次は銀兄?やめてよ……私から銀兄まで奪わないでっ!!」

 

彼女の悲痛の叫びに松陽には届かない。

 

「私の計画には銀時。貴方が必要なんですよ?白夜叉の力でこの世界…嫌、全てのパラレルワールドを崩壊させ、私達だけの世界を創る」

 

つまりは全てを無に帰し、一から新しい世界を創り出すと言うもの。

 

その場全員が驚く。

 

松陽はさらにこう言う。

 

「それに私は貴方の知っている吉田松陽ではない。私は虚(うつろ)。吉田松陽と言う存在を葬ったのは私ですよ?銀時」

 

虚と名乗った者は衝撃的な事実を述べると、松陽と同じ顔で和かに笑った。

 

 

「テメェかぁああああああああああああ!!!!」

 

銀時は激昂し、突撃する。

 

「銀時!!」

 

また子が叫ぶが、虚と銀時がぶつかり合った瞬間だった。

 

それぞれの動きに合わせて刀同士の響きだけがこの場所を支配する。

 

「やはり、私の剣を知っているか…捌くには中々、骨が入りそうだ」

 

他の者達は加勢しようとするが、隙入れようがなくただその場を立ち竦む。

 

「虚ォオオオオオオオオオオ!!!!!」

 

銀時は雄叫びを上げ、更に剣を素早く振り上げる。

 

そこを見計らって虚は一気に銀時の懐に入り込む。

 

「ですが、その剣では……私には届かない」

 

右手を軽く彼の脇腹に当てるとドゴォ!!!!と凄まじい音が響く。

 

「ガハッ!!?」

 

軽く触れられただけなのに衝撃波のような威力に銀時は血を吐き、その場で倒れてしまった。虚は倒れた銀時に近づいていく。

 

「銀兄!!」

 

「銀時!!」

 

心理とまた子は叫んでそこに向かおうとするが、それを越すように何かが通り過ぎて、虚と銀時の間に割って入ってきた。

 

それは彼を護るように手を広げて立ち塞がる。

 

「おや?何のつもりですか?禁書目録」

 

涙目ながらも、しっかりと虚の目を見て睨みつけるインデックスだった。

 

「いつの間に!?」

 

美琴は彼女が近くに居なくなっていたのを全く気づかないでいたのか驚いている。

 

「イン……デッ…クス……」

 

うつ伏せになりながらも血だらけの顔を上げて前を見るとブルブルと震えながらも、虚と対峙する彼女の背中が映る。

 

「私は禁書目録に用はない。科学だとか、魔術とか、そんなものはいらないのですよ。銀時…そして欲を言えば…高杉晋助、桂小太郎、坂本辰馬。嘗て、松陽と共にした三人と土佐の龍さえ手中に収めれば…こんなチンケな世界は簡単に壊れる」

 

銀時だけではなく、高杉や桂、そしてまだ見ぬ坂本までを手に入れようと言うのだ。

 

虚にとっては四人の力は強力であり、脅威でもある。

 

「っ!?」

 

さらに一歩、銀時とインデックスに近づく。それでも彼女は一歩も引かずにその場を離れない。

 

そして虚が目の前まで到達すると、和かに話しかける。

 

「そこをどきなさい。禁書目録」

 

顔は笑っているが、ドス黒い殺気を纏っている為に誰も動けない。

 

「インデックス…早く……逃げろ」

 

途切れ途切れの声を聞きながら、その声の方向へと体を向ける。

 

そこには震えながらも笑みを絶やさない彼女の姿。

 

「ぎんとき!貴方は、私に居場所を与えてくれた。だから私は貴方を護る為なら、何でもするんだよ!」

 

更にニコリと笑うインデックスの後ろには

 

「ならば邪魔になりかねないので、消えてもらいましょうか」

 

真っ二つに斬らんとする虚の姿が見えた。

 

「ヤメロォおおおおおおおおおお!!!!」

 

銀時は思いっきり叫びあげ、そこで意識が途絶えた。

 

 

 


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