とある侍の一方通行・続   作:ゴッデス
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銀時の能力に異変がっ!?


化け物になっても、無理なものは無理

二つある培養器の一つから警報が鳴り響いた。

 

それは打ち止めと呼ばれた司令塔が入っている方では無く、木原数多と呼ばれる研究者が造りだした第三位のクローン。

 

番外固体の入ってる方からだった。

 

芳川はそれを見て目を伏せた。

 

(……そう。貴方は最後の最期であの二人を選んだのね)

 

ホッとしたような、悲しいような、そんな感情が芳川にはあった。

 

「…オイ。どうなってんのか知ってんだろ?お前」

 

高杉は睨みつけながら言うと、目を開けて答える。

 

「この子が造られた理由は言ったわよね?」

 

「まさかっ!その男が作動させたのかっ!?」

 

桂が激昂して芳川に問い詰めようとするが、高杉に止められる。

 

芳川は首を横に振り、悲しそうに高杉達を見た。

 

「他の理由があんだな?」

 

高杉がそう言うと頷く。

 

「もう一つは…銀時と心理の二人の側に居させるために造れた存在でもある。もし、銀時を殺す為に作動させるのならば…番外個体はそれに反応して培養器をぶち破って出てきたでしょうね」

 

つまりは、彼女はコレの答えをハッキリと分かってしまった。

 

「彼は…木原はあの二人を選んだ。悪党になりきれずに…ね」

 

(芳川ぁ、もし俺が二つ目の為にスイッチを押した時は……俺はこの世にいねぇだろうな)

 

彼の人生は一度手放した大切なものを手放しきれずに護る事を決めた

 

「本当にバカな人ね。木原さん」

 

バカな人生だった。

 

芳川の目からは一筋の涙が溢れた。それを見たミサカ、高杉、桂は黙っていた。木原数多と言う男は、この世にいない事を記しているのを理解出来たからだ。

 

彼女はポケットから何かを取り出してこう言った。

 

「そして私もバカな女」

 

カチっと鳴らすと

 

ドォオオオオオオオンンンン!!!

 

「なっ!?」

 

「芳川桔梗!?何をしてるんですか!?とミサカは芳川の行動に声を荒げます」

 

「テメェ…」

 

大きな音と共に研究所が崩れ始めた。この建物の中にいる奴らの悲鳴が響き渡っていく。

 

「貴方達の目的はあの恐ろしい刀の破壊よね?それなら…この場所にある。この建物さえ崩壊すれば解決するわ」

 

笑いながら培養器の側にあるパソコンを操作してロックを解除した。

 

すると二つとも開き、ドサッと打ち止めと番外個体が外に出される。

 

服も着ていない、全裸姿なのでタオルケットで包み込めると高杉達の方へと振り向いた。

 

「この二人を連れて逃げなさい」

 

「ふざけてんのか。テメェは」

 

自分も死ぬつもりなのだろう。そう感じとった高杉は反抗した。

 

「俺とヅラはこの世界の人間じゃねぇよ。だから一生、アイツといることなんざ出来やしねぇ。なら、俺達が居なくなったら…誰がアイツらを支えんだよ?誰が此奴らを救えんだよ?そんな資格なんかねぇとかほざくなよ。親と名乗った以上、死んだソイツの意思を引き継いでんなら、最後まで面倒見ろよ」

 

俯く芳川に近付き手を引っ張る。

 

「テメェは死なせねェ。アイツを悲しませねぇでやってくれや」

 

そう言われた瞬間、小さかった銀時と心理が笑顔で迎えてくれる姿が一瞬、映った。

 

そしてまだ、闇に染まってなかった木原の優しい表情も。

 

「……そうね。そんな事も分からなかったなんて、とことんバカだったわ」

 

ミサカと桂も微笑む。

 

ミサカは打ち止めを桂は番外個体を背負い、崩れゆく中を高杉達は脱出する為に足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

垣根と信女はようやく周りの敵を全滅させて進んでいるが

 

「あぁっ!!面倒クセェな!!此奴ら雑魚どもはどんだけ集まれば気が済むんだよっ!!」

 

 

返り血を浴びながら敵の数の多さにイライラしていた。

 

 

「つーか、アンチスキルとジャッジメントは何してんだよっ!?」

 

「一般人の安全保護と救出作業だと思うわ。…一応ここでは、アンチスキルに入ってるから」

 

俺らは一般人じゃねぇのかとツッコミたくなったが我慢した。

 

「ヤメロォおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

その先で誰かの咆哮が聞こえてきた。

 

「…今の声は、銀?」

 

ピクリと声が聞こえていた信女は走り出した。

 

「……ちっ。得体の知れねぇ力を感じやがる。嫌な予感しかしねぇが」

 

行かないと言う手段はあり得ない。何故なら、垣根自身も銀時の事を少なからず気にしている為でもある。

 

「以前の俺なら、構わずに奴を殺す事しか考えてなかったっつーのに」

 

近くにいる度にそんな考えが馬鹿らしくなるほど、楽しいと思ってしまった。

 

一瞬でもいい。ただの一般人でいられるのなら…それでもいいとさえ思ってしまった。

 

「坂田銀時に坂田心理か」

 

間違えなく垣根をこんな風にさせるのはこの二人以外、検討がつかない。

 

奴が白夜叉と呼ばれようが鬼と呼ばれようが

 

「この一瞬の時を壊す奴らを、この俺がぶっ潰してやる」

 

この身が滅ぶまで全力で邪魔をする者を潰す。

 

垣根はそう決めた。

 

その矢先に見たものは

 

「ありゃあ…一体、何だ?」

 

悪夢でも見ているような、垣根の悪い予感が的中した。そう当てはまる光景だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや?」

 

グシャ、と音がしたと思ったら、剣を振り落としていた腕が地面に落ちた。

 

目の前には、斬っていたであろうインデックスを護るように

 

漆黒の翼を生やし、漆黒の刀を持った銀時が立っていた。

 

「……………」

 

「ぎ、ぎんとき…?」

 

ギラリとした真紅の瞳でニタニタと笑って、虚の片腕を吹き飛ばした銀時の姿に皆、声も出なかった。

 

「銀ちゃんの能力が暴走している……。それにあの刀…憎悪の塊のようにものを感じます。早く止めないと危険すぎます!!」

 

風斬は銀時の能力が暴走していると感じ取り、あの漆黒の刀からとてつもなく危険なものだと判断した。

 

「あれが…銀…なの?」

追いついた信女は銀時の姿を目撃すると信じられないと言った表情をしていた。

 

それよりも驚くのは虚の片腕がまた、生え始めている事にも信じられなかった。

 

「フフフ。凄いですね。これなら私を殺せるかな?」

 

その言葉と同時に黒い翼が虚と衝突した。

 

その翼は勢いよく虚と共に壁へと吹き飛ばし、何十、何百回とけたたましい音が響き渡る。

 

側から見れば圧倒的。絶対的な力を見せつける彼を止められるものはいない。

 

そう思っていた。

 

「銀時ィイイイイイイイイイイイイ!!!!!後ろだぁああああああっ!!!」

 

垣根はゾワリ、と悪寒を感じて咄嗟に叫んだ。

 

普段、呼ばない名前を呼んで。

 

銀時はその声に無意識に反応して後ろを振り返る。

 

蒸気が溢れる場所からシュウゥゥと虚の身体が再生されている。というあり得ない光景を目の当たりした。

 

「これでも私を殺せませんでしたか」

 

両方とも刀を突き刺す。どちらも肩に刺さり、その反動で退く。

 

しかし、虚の肩のキズがみるみる塞がっていく。

 

そして銀時の肩のキズもなくなっていた。

 

「ほう。その状態だと回復するみたいですね」

 

それでも銀時の方が能力的にも、体力的にもダメージがあったのか

 

翼が消え、黒い刀は木刀へと変わっていき

 

「……化け物が」

 

ドサッと倒れた。

 

「貴方こそ、充分な化け物ですよ。銀時」

 

そして銀時の方へと近づく。

 

「銀っ!!」

 

「銀兄ィっ!!」

 

信女と心理がそれを阻止しようと走りだす。

 

「虚様」

 

それよりも先に笠を被った男が虚の目の前に現れた。

 

「…朧(おぼろ)」

 

信女は誰も聞こえないようにボソッと呟いた。

 

その男は、チラッと信女を見るとすぐに虚の方へと視線を戻した。

 

「紅桜は高杉晋助達により全滅したとの報告があり、引き際かと」

 

紅桜が全滅した。それを聞いても、なんの動揺もすることもなく笑っている。

 

「そうですか。もう少し楽しみたかったのですが…仕方ありませんね。全軍に撤退命令をだしなさい」

 

「はっ」

 

虚の命令に従う為、男はこの場から離脱した。

 

虚自身も刀を振り上げ

 

「では、暫しのお別れですが。また会う時を楽しみにしてますよ」

 

地面に突き刺すと粉塵が吹き荒れる。

 

視界が晴れると虚の姿はなかった。

 

浜面仕上は倒され、紅桜は殲滅したが

 

 

なんとも腑に落ちない終わり方で、この騒動の決着はついた。

 

 

 

 

 

 

 




暴走→一方通行の黒翼バージョン+回復機能付き+普段持っている木刀からの黒い刀に変形

という感じです。







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