とある侍の一方通行・続   作:ネルゲル

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心理ちゃんが学校デビューします。

経緯はこれの次に書きます。


女王に打ち勝つには魔王が最適

一週間後

 

「……以上で校長先生のお話は終わりです」

 

お嬢様学校と言われている常盤台中学。

 

その体育館で朝の全体集会が開かれていた。

 

美琴は小さな欠伸をして退屈そうにしている。

 

(あれから何も起きずに復興作業が始まっているけど…)

 

あの後、虚と言う化け物は一度も此方には来ていない。

 

美琴は思い返す。

 

(アイツのあの黒い翼と不気味なくらい恐ろしい刀は一体?)

 

風斬は能力の暴走と言っていたが、それだけではない気がした。

 

黒翼もそうだが、何といってもあの黒い刀は紅桜よりも悍ましい雰囲気を漂わせていた。

 

美琴は少なくともそう感じていた。

 

それよりも。

 

(アイツと…心理さん、大丈夫かしら…?)

 

あの兄妹がとても心配だった。目の前で親代わりだった人が殺されたのだから。

 

いくら強い二人でも精神的にやられているかもしれない、と。

 

だが、それはすぐに杞憂な事だったと思い知らされる事になる。

 

「えー。次に三年生にですが、この度から常盤台生徒として…転入生を紹介します」

 

ザワっと周りが騒ぎ始めた。

 

(このタイミングで?しかも先輩…)

 

美琴はこのタイミングで、しかも三年生に入ってくる事に少し怪しんでいた。

 

「決して無礼のないようにお願いします。それではどうぞ」

 

マイクで話している先生が少し緊張した風に紹介する。

 

それほど偉い所のお嬢様なのかとますます疑問に思ってステージの端から入ってくる生徒を見る。

 

スタスタと入ってくる転入生に

 

(……えっ!?)

 

美琴はこれでもかと目をパチパチと瞬きをする。何かの見間違いかと何回も確認した。

 

金色の髪に細身な体系。

 

常盤台の制服を着ていて腰には刀を差している少女。

 

その少女は、ステージの中央で立ち止まり前を向いた。

 

「あー…なんやかんやで常盤台三年生として転入してきました。

坂田心理です」

 

見間違いではなかった。今現在、美琴が心配していた坂田心理が目の前にいた。

 

「「えええええ〜っ!?!?!?!?!?」」

 

思わず、驚きすぎて立ち上がってしまった美琴。それに、少しだけ心理と面識ぐあった黒子まで立ち上がってしまった。

 

心理はニンマリと笑って手を振る。

 

「やっほー。美琴にジャッジメントの子」

 

更にザワザワと騒めき始めた生徒達に心理は関係なく美琴と黒子に陽気に声をかけた。

 

「心理さん!?」

 

「だ、第一位様の妹様がどうして!?そして私の名前は黒子ですの!!」

 

第一位の妹。黒子の衝撃的な言葉で知っていた教師達以外、硬直した。

 

「まぁー気にしない気にしない」

 

ニンマリと黒い笑み浮かべる。

 

(あ、これ。嫌な予感がする)

 

紅桜の件でそれなりに一緒にいたので、美琴は心理の表情がわかる。

 

その間にも心理は刀を抜き、前へと突き刺す。

 

「万が一、私に楯突いたり……不快に思わせたりしたら…八つ裂きにしちゃうかもしれないから、よろしくねっ★」

 

キャピっとどごぞのギャルでも使ってそうな表情で彼女は宣言した。

 

その瞬間、生徒全員が顔を真っ青にした。

 

うわぁ、やっちゃったよ心理さん…

 

美琴は頭に手を当てて苦笑した。黒子は慣れていないのか冷や汗をかいて立っていた。

 

「それともう一つ」

 

彼女は更にこう続けた。

 

「美琴は私の妹みたいなもんだから、どこぞの第五位とか手ェだしたら、塵一つ残らないと思ってね?」

 

「わ、私が心理さんの妹っ!?」

 

美琴は妹扱いに戸惑いを隠せないでいるの対して

 

ビクッと跳ね上がるのは生徒と一緒に座っている金髪の少女。

 

「あらぁ?その前に貴方を操るなんて、私にとって造作もない事なのよねぇ」

 

負けじと掌でリモコンを弄んでいる少女が挑発的な笑みを浮かべる。

 

それがいけなかった。

 

「へぇー?なら、貴方のリモコンで私を操るのが先か、私が刀ぶん投げて貴方の体を貫くのが先か…試してみる?心理掌握(メンタルアウト)の食峰操祈(しょくほうみさき)さん」

 

切っ先を少女、食峰に標準を合わせて狙いを定める姿は

 

まさに獲物を一発で刈り取る狩人だった。

 

「あ、へ…?あああっ……」

 

黒いオーラ全開で心理は楽しそうに食峰を見つめると、耐えきれなくったのかパタリと気絶した。

 

「ふふっ。軽い冗談だったんだけど。何やともあれ、よろしくお願いします皆さん」

 

(貴方が言うと冗談に聞こえません、心理さん)

 

食峰が苦手な美琴はザマァ、と心の中であざ笑っていたが

 

心理の態度に冗談とは言えないほどに冷や汗をかいていた。

 

ヒラヒラと手を振ってステージから去って行く彼女。

 

そして、シーンと静まり返る会場。

 

(これからどうなるのかしら…?)

 

新たなる常盤台の女王…いや、常盤台の魔王が君臨してしまったのだから、美琴はこの先の学校生活が不安で仕方なかった。




って事で次回は経緯と銀時の学校デビューです。

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