やみなべのネタ倉庫   作:やみなべ

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今回は「うたわれるもの」。

登場人物二人だけ。しかも、片方はオリキャラ……なのに名前は一度しか出ない。
もう一方の原作キャラは、正体バレバレだけど名前は一切出ない。
我ながら……………なんじゃこりゃ、ですが、こんな話があっても良いと思うのです。


うたわれるもの ~比翼のレンリ~

私にとって最も古い記憶は、燃え尽きた城下町でしょうか。

 

この時点でわかることですが、まぁ碌な生い立ちではありません。

ふふっ、改めてあなたがどれだけ冷遇されているか、この時点で分かるというものでしょう?

 

あぁいや、別にハク殿のようにそれ以前の記憶がないとかではないのです。ただ、思い出す価値も意味もないというだけで。

というか、これは後から知ったことですが、城下町が住処のあった裏町も含めて燃えたのが当時戦をしていた隣国ではなく、自国の皇が火を放ったからと言うあたり、もう色々終わっているでしょう?

 

はい? それはそれとして私の生い立ちが知りたい?

…………はぁ。わかりました。ええ、分かりましたとも。長い付き合いです。貴方の頑固さは私も承知しています。まったく、面白みの欠片もないというのに物好きな……は? 妻のことを知ろうとするのは夫として当然?

 

分かっているのですか? 私たちのそれはあくまでも政略、妻とは名ばかりの監視役なのですよ?

そんな……全てを受け止める覚悟はとうに決めている、ですか。大した殺し文句です。ま、相手が私でなければですが。

そういうことは、私のような下賤な性悪女ではなく、もっと高貴な世間知らずの御姫様にでも言って差し上げなさい。

 

貴方は今でこそこの有様ですが、容姿も能力も一級品です。事実、帝都では大層おモテになっていたでしょう? 

私もそこまで狭量ではありません。立場上浮気を見過ごすことはできませんが、一夜の火遊びくらいは見逃しましょう。少し甘く囁いて差し上げれば、夜伽の相手には事欠かな……全く、本当に頑固です事。

 

惚れた女以外に手を出す気はない? 貴方がそんな歯の浮くようなことを言えるとは知りませんでした。まぁ、私を絆そうとする策としては少々臭すぎますし、本気だとしたら悪趣味もここに極まれりですね。

いずれにしろ、私も見る目がありません。

 

それでいいから話の続きを? ……………………わかりました。なにか軽く流されたようで不愉快ですが、まぁいいでしょう。

で、確か私の生い立ちでしたか。先ほども言った通り、碌なものではありません。が、かと言ってそれほど珍しくもありません。それこそ、帝都でも探せばいくらでもある様な話ですよ。

 

物心ついた時には父はいませんでした。どの部族の出かも知りません。なにぶん、私を生んだ女は私ですら呆れ果てる売女(ばいた)でしたから。いったいどの馬の骨と交わってできた子か、本人にもわからないのでは?

 

ええ、そうです。見ての通り……と言っても、私は片翼ですが。それでも一応はオンカミヤリューですね。って、なぜそこで項垂れるのです。

は? 美しく誰もが憧れた其方の翼は私を庇ったせいで失われた? 何をバカバカしい事を。貴方を庇ったのは打算以外の何物でもありません。身を挺して後の近衛大将を庇った勇士という評判のおかげで、随分動きやすくなりました。

第一、私たちが翼で飛んでいるわけではないことは貴方ももう知っているでしょう。わざわざ教えることでもないので帝都では飛べなくなったことにしていましたが、特に問題はありません。まぁ、慣れるのに多少練習が必要だったことは事実ですけど。

そもそもウルトリィ様を見たでしょう。美しい翼と言うのはあの方のそれを言うのです。ああ、カミュ様の翼も星々の輝く夜空のようで大変お美しいですね。このあたりは好みの問題ですので、私には甲乙つけられませんが。

 

……ああもう、世辞は結構! 別に貴方と美しさについて議論するつもりはありません。

大体、貴方たちが私の翼を美しいと思ったのは、他を知らなかったからに過ぎません。ヤマトにはオンカミヤリューがいませんでしたからね。私が基準になってしまうのは仕方がないのでしょう。

 

とにかく、私はオンカミヤリューです。つまり、親もそうです。本来なら、オンカミヤムカイで大神(オンカミ)ウィツァルネミテアに仕えるべき者たち。

まぁ、何事にも例外はいます。中には厳しい戒律を嫌い、出奔する破戒僧すらいるのです。

一般のオンカミヤリューの中には、そういった仕事に身をやつす者がいても不思議ではないでしょう?

まぁ、そちらの詳しい出自は知りませんし、特に興味もありませんが。

 

ともかく、そんな生い立ちだったので自分の食い扶持は自分でなんとかするしかありませんでした。

物乞いでもしていたのか、ですか? クスクス……下級とはいえ貴族は貴族ですね。物乞いが成立するには、周りがそれなりに豊かでなければなりません。私のいた國、シケリペチムは当時この土地では三大強國と称され、それなり以上には豊かでしたが、頻繁に戦をしていたこともあり貧富の差が激しかったのですよ。

一部の富裕層を除けばみな自分が生きるので必死。当然、子どもとはいえ物乞いに分け与える物はありません。

 

ならばどうするか……お判りでしょう? ええ、その通り。奪うしかありません。

まぁ、奪うと言っても基本は盗みが中心でしたが。ああ、別に倫理や道徳を気にしてではありませんよ。というか、そんなもの当時の私にはありません。生きるのに精一杯の状況では、ヒトも獣も大差ないということは、あなたもご存知でしょう?

ただ単に、子ども故の非力が理由です。とりわけ、私たちオンカミヤリューはシャクコポル族に次いで非力ですからね。まぁ、その分術法……大陸で言うところの呪法に長けるわけですが……そのためには学が必要です。そして、当然私にはその学がありませんでした。如何に長けていようと知らなければ使えないのが物の道理。

非力な私が生きるためには、余計なことに力は使わず隙をついて盗むしかなかっただけです。

とはいえ、力に訴えたことが一度もない……とは言いませんが。ふふっ、その辺りはご想像にお任せしましょう。

貴方が妻として迎える女が、無辜の民を害したかもしれない。清廉潔白な貴方にとってはさぞ耐え難い事で……それも含めて受け止めるくらいの甲斐性はあるつもりだ? そもそも、生きるために全力を尽くすのは当然?

 

ふ、ふんっ! 口では何とでも言えますけど……!

と、とにかく! それが私の生い立ちです。他にこれと言って特筆するようなことはありません。

名、ですか? 確かに私の今の名は大恩ある御方から頂戴したものですが……さぁ? 当時は「こら」とか、「おい」とか、「ガキ」呼ばわりが精々でしたので、あった……のかもしれませんが、特に思い当たる響きはありませんね。

 

なんですかその顔は? どうして今までで一番つらそうな顔をここでするのです。まったく、昔からそうでしたが、貴方の考えていることが私にはとんと理解できません。

名がないのは自分がないのと同じ? 幼子……それも愛した女がそうだったことを悲しまぬ漢がいるか? はぁ、漢と言うのはよくわからないものですね。ないものはない、ただそれだけでしょう。

 

ですが、後半はともかく前半は同意しましょう。名がないのは自分がないのと同じ、なるほど真理です。

だからこそ私にとって、全てが燃え尽きる以前の記憶は無価値なのでしょうね。

というか、一々茶々を入れるのはやめていただけませんか? 一向に話が進みません。ヤマトへ向かうところに行き着く前に、夜が明けてしまいます。

 

結構。では、続きを……と言っても、このあたりは私もあまり覚えてはいませんが。

なにしろ、ある時気が付けば周りは火の海、緊急時用に掘っておいた穴倉へ避難。あとは火が収まったのを見計らって這い出し、火事場泥棒をしていたところで身なりの良い女性が通ったとなればすることは一つ、当然身ぐるみを剥ぐでしょう?

いえ、それはあくまでも私の理屈ですね。申し訳ありません、ですからそこで真剣に悩まないでください。なんというか……自覚はあるものの、自分の卑しさを改めて突きつけられるので。

 

? それはそれとして、覚えていないという割によく覚えている? ああ、失礼。正確には、そのあとのことをあまり覚えていないのです。何しろ、瀕死の重傷を負って意識もありませんでしたから。

 

一応言っておきますが、エルルゥ様……ああ、その身なりの良い女性ですが、その方がやったわけではありませんよ。

拙いなりに隠行して近づき襲い掛かった瞬間、とてつもない力で身体が吹き飛ばされたのです。

貴方も見たでしょう、ムックルのことを。ええ、あの白虎に殴り飛ばされました。私は気付いていませんでしたが、エルルゥ様から少し離れたところにいたアルルゥ様とムックルもいたのです。

 

積極的に殺そうと思っていなかったのが幸いでした。もし殺そうとしていれば、殴るのではなく引き裂かれて夕餉にでもなっていたでしょう。

冗談に聞こえない? ええ、本気ですから。まぁ、それでも右半身の骨がいくつも折れていましたし、危うく死ぬところだったのは事実ですが。

 

なので、それ以降のことはエルルゥ様に教えていただいたことになります。

瀕死の私はエルルゥ様が庇ってくださったおかげでムックルのお腹に収まらずに済み、それどころか治療までしていただけました。あまつさえ、意識が戻るまでの間付きっきりで看病していただき、目が覚めれば皇城の一室です。

 

ふふっ、当時の私の混乱は貴方には想像もできないでしょうね。

私はエルルゥ様を押そうとしましたし、エルルゥ様もそのことはご存じだったはず。なのに、あの方は私が目を覚ますと我がことのように喜んでくださいました。薬師だから……だけではないでしょう。如何に薬師でも、襲った相手をそこまで気に掛けることなどできません。

少なくとも、私でしたら無理です。むしろ、良くて放置、高確率でトドメを刺しますね。

 

? なんです、顔を青くして。そこまで容赦がない者も逆に珍しい? まぁ、否定はしません。

ですが、私のことはどうでもいいのです。重要なのは、エルルゥ様が筆舌に尽くしがたいほどにお優しい方だという事。ええ、そのお心はまさに神の慈悲と呼ぶにふさわしく……あ、いえ、正直私、神とかどうでもいいのですけどね。それはともかく――――――以降、二刻(約一時間)に渡って「エルルゥ様のすばらしさ」談義が展開される――――――――わかりますか、エルルゥ様こそが薬師の規範となっているのです。まさに薬師の中の薬師、あの方に勝る薬師がいましょうか…いえ、いません! それどころか、古今東西、後にも先にも現れないと断言しましょう!! むしろ、あの方こそが神……どうかしましたか、まるで禍日神(ヌグィソムカミ)を見るような目で私を見て。

 

はぁ、エルルゥ様のすばらしさはよくわかったから、続きを聞きたい?

…………………………………………まだまだエルルゥ様のお優しさの万分の一も語れていないのですが……確かに、夜もだいぶ更けましたね。では、この話はまたの機会に。まったく、それもこれもあなたが一々口を挟むからです。

 

もうそれで良いから続きを? わかりました。

とはいえ、実の所これといって話すことはありません。当時の私はどうしようもないクソガ……コホン、悪童でしたから。エルルゥ様に対しても噛み付くやら悪態をつくやらで……もし目の前にいたら殺してますね。

 

ですが、エルルゥ様はそれでも根気よく私に語り掛けてくださいました。

それでまぁ、結局は私の根負けです。なんでも、ムックルの仕出かしたことはアルルゥ様の不始末、妹の不始末は姉の責任とかで、押し切られました。祖皇様も随分と気にかけてくださり、とりあえず傷が治るまでの間は城に住まわせていただけることになったのです。

皆様も大層よくしてくださいました。例外は、聖上くらいでしょうか。あの方だけはしばらくの間渋い顔をしておられましたが、祖皇様やエルルゥ様が相手では文句も言えなかったのでしょう。

それに………………ユズハ様も取り成してくださいましたから。

 

ミコト……クオン様の母君ですよ。

生まれつき身体が弱く、光も持たず、度々発作を起こされ、余命幾許もない方でした。そんな身の上なのに……あの方は、一度としてご自身を悲観なさいませんでした。

まったく、私は…………本当に醜い。あの方はどれほど苦しくてもその全てを受け入れて耐えておられたというのに、私は周りに当たり散らしてばかり。

 

ああ、今思い出しても情けなくなります。

いくつもの心無い言葉をぶつけ、散々にどうにもならないことを不幸と嘲りました。あの方がご自身を嘆き、世の不条理を呪うことを期待して。なのに、あの方はその全てを黙って受け止め、あろうことか私を抱き寄せてくださった。何も言わず、ただ頭を撫でて……申し訳ありませんが、これ以上は秘密です。形ばかりの……いえ、真の夫婦であろうと秘密の一つや二つあって当然でしょう?

 

はい、貴方のそういうところには感謝します。

私はエルルゥ様に命を救われ、ユズハ様に心を救われました。私などよりはるかにお辛い筈のユズハ様は、それでも未来を見据え、周りへの感謝と愛を忘れませんでした。あの方に少しでも近づきたい、救ってくださった方々の御恩に少しでも報いたい。

 

それが私の全て……貴方と同じですよ。皆さまが作り上げ、愛した國とその民に全てを捧げる。

 

そう決めた後は、ベナウィ様の元へ駆け込みました。

お忙しいことは承知していましたが、あの方が最も容赦なく鍛えてくれると思ったので。

案の定、それはもう鬼のようにしごいてくださいました。読み書きや算術から始まり、武芸や礼儀作法……山のような課題を押し付けられたものです。ふふっ、祖皇や聖上が逃げ出したくなる気持ちもわかります。

 

まぁ、流石に付きっきりで……とはいきませんし、せっかくなので術法も学びたかったこともあり、ムント様にもお世話になりました。あとは……とある方に稽古をつけて戴こうとしたときは、皆さま血相変えて止めにかかられましたね。「ベナウィのしごきで遂に壊れたか!?」「死に急ぐんじゃねぇ!?」と。

え? いったいだれに…ですか? ふふっ、あなたもご存知の方……とだけ言っておきましょう。

 

まぁ、そんな具合に死に物狂いで走り続けました。

残念ながら國の窮地にも、祖皇様がお隠れになられる場でも、力不足で何もできませんでしたが……。

 

私がそれなりに働けるようになるころには、もうほとんど今のトゥスクルの形は出来上がっていました。

土地のほとんどをトゥスクルが治め、それ以外を治める國々とは盟を結ぶ。

戦乱の絶えなかったこの土地は、急速に安定しました。

 

クオン様がお生まれになったのは、祖皇様がお隠れになってしばらくしてからです。

丁度、一山超えて急速に安定し始める直前でした。

その時から考えて、今のトゥスクルの形がほぼ出来上がった頃ですね。私が國を出ることを決めたのは。

 

なぜか? もう近くに脅威がないのなら、次は遠い脅威に備えるべきでは?

要はそういう事です。世界はこの土地だけではなく、海の向こうにはまだまだ世界が広がっている。

その程度のことは知っていましたし、僅かながらヤマトのことも伝わっていましたから。

 

だから、海を超えて世界を見て回ることにしました。その先に、私の大切なものを脅かすものがないか。

あるとすれば、それにいったいどう対抗すればいいかを知るために。

皆様を説得するのは骨でしたが、一年かけて納得していただきました。

 

海を渡ってからは三年ほど各地を回りましたが、幸いトゥスクルの脅威となる國はありませんでしたが、それ自体は僥倖でしたね。余計なところに時間をかけずに済みました。

 

ええ、お察しの通り元々最終的にはヤマトへ向かうつもりでした。もちろん、潜り込むことを前提に、です。

皆様には言っていませんでしたが……というか、言えば絶対お許しにはならなかったでしょうね。

必要性があるのはわかっていても、皆様お優しい方々ばかりですから。

 

あとはもう、貴方もご存知のことばかりでしょう。

私はヤマトに仕官し、数年して貴方やミカヅチ殿と出会いました。当時、私は小隊長。貴方は他所の小隊に配属された一兵卒でしたね。本来、それなりに稀有な能力を示していたとはいえ、余所者の私の出世はそこが限界だったのですが……どんどん出世していく貴方の尻馬に乗ったのが功を奏しました。

 

周りからやっかまれる分、味方をすれば見返りも大きいと読んだ私の先見も中々のものでしょう?

まぁ、まだ血の気が多く、敵陣に突っ込んだ貴方を庇う形で恩を売れたのは、正直出来過ぎでしたが。

 

まったく、貴方ときたらそれはもう恩を感じてくれているので、私としては内心高笑いが止まら……はい? ああ、そういえばあの頃からですね、貴方が冷静沈着な立ち回りを身に付けたのは。

 

ふふっ、そんなに赤くなって、それほど私に庇われたのが不本意でしたか?

え゛……惚れた女に良い所を見せようとして大失敗した人生最大の恥部?

正直、しばらくの間情けなさで死にたかった?

というか、今思い出しても死にたい?

 

え、いや、なにを……ちょ、ちょっ待ちなさい! なに腹を斬ろうとしているのですか!? 武士(もののふ)の情けだ、止めてくれるな? 止めるに決まってるでしょう!? 事実上の初夜になにをしようとしているのです! というか、ネコネやトリコリ殿はどうするのです!? 貴方が死ねば二人がどれだけ悲しむか、私はいったい二人に何と言えば……あ、いや、そうではなくて……貴方が死んだらトゥスクルはアンジュ殿下のことを見捨てますよ! 今すぐ放り出しますからね! それで良いんですか!! 貴方の近衛大将としての忠義と誇りはそれを許すのですか!! は? あとのことはムネチカ殿に任せる。レン……いや、レンリ殿、其方も政略などではなく真に愛する者と結ばれよ。常世(コトゥアハムル)から其方の幸せを願っている? いざ、さらば……じゃな~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!!! 何考えてだこの馬鹿!! わ、私は別にあなたとの婚姻を不本意だとは……って別に実は嬉しいとか、諦めていた想いが……とか、そういうわけではなくて、これはあくまでもトゥスクルのため、クオン様のためであって……いいから、落ち着け!! 

 

ゴシャッ(調度品の壺でドタマを勝ち割った、響いてはいけない音)!!

 

 

・・

 

・・・

 

・・・・

 

・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・・・

 

「はぁはぁ……ま、まったく! 契りも交わしていないのにいきなり未亡人にするんじゃないってのシャバ僧が。

 っとと、いけないいけない。こんなところ、ネコネにはとても見せられません。もう破綻してしまったとはいえ、あの子はまだ私を『先生』と呼んでくれているのです。なら、せめてそれにふさわしくあらないと」

 

乱れた息と着物、ついでに言葉遣いを直す。

次いで、たったいま気絶させたばかりの困った漢を見下ろしてぼやく。

 

「………………………………………………………………まったく、貴方はわかっているのですか? 私の本性を知っているのは、あの頃を知る皆様を除けば貴方ぐらいなのですよ。その意味位、気付け馬鹿。というか、あの時ちゃんと思いは告げたでしょう。いやまぁ、死に際……もとい殺そうとする場面で『サハリエ・ナトゥリタ』はないと自分でも思いますが。それでも、昔その意味は教えたでしょうに。

なのに、何がどうすれば『真に愛する者と結ばれよ』になるんです。はぁ~……」

 

漢の傍らに腰を下ろし、つい思い切りどついてしまった頭に触れる。

幸い、出血はないし目立った瘤もない。つくづく頑丈な漢だ。

 

「……エルルゥ様、ユズハ様。私、惚れた漢間違えたかもしれません。

 なにが悲しくて、初夜にこんなことしなきゃならないんでしょう……それともこれは罰? 皆様が心配してくださっているのを承知の上で、十年以上國に戻らなかった報い? でもでも、それはトゥスクルを思えばこそですし……というか、途中で離れたら明らかに不審ですし、これはしょうがないというか……ああでも、ライコウ殿は知っていて泳がせていたようですし、この馬鹿も一応は気付いていて敢えて手元に置いていたんですよね。

 うぅ~……なんだか自信がなくなってきました。それもこれも…………全部お前のせいだ! なにスヤスヤ眠ってる! 初夜に女ほったらかして寝るとかアホか!!

それともあれか、お前“ピーッ”なのか! 母親の胎の中に“ピーッ”を忘れた“ピーッ”なのか! いつまで寝ている! さっさと起きろ、この“ピーッ”野郎! ああ、それともその哀れな“ピーッ”は飾りか。ハッ、だから女を前に寝たふりか。情けない、この“ピーッ”が“ピーッ”な“ピーッ”大将様が……ってそんなことを言いたいんじゃな~い!?」

 

なんだか自分でもよくわからない精神状態のまま、もうずいぶん昔に置き去りにしたはずの罵詈雑言が湯水のように溢れ出る。本人が自嘲した通り、育ちの悪さが表れている。

何が悲しいって、惚れた漢にそんなことを口走ってしまっている自分が悲しくてたまらない。

 

これに比べれば、歓喜と緊張で胸が張り裂けそうだったところへ放り込まれた、バカの数々の失言に対する悲しみの方がまだマシだ。

 

「いやまぁ、そもそもそんなことを言わせるようなことを言った私にも非があるというか、恥ずかしさを誤魔化すために卑下し過ぎたことは反省しますけど…………………………はぁ、今夜は自棄酒ですね」

 

実は部屋の中に隠し持っていた酒樽を引っ張り出し、蓋を開けて顔から突っ込む。

生憎、器に入れてチビチビやるような気分ではないし、部族の性質上どこぞの剛腕の酒豪のように樽を持ち上げるほどの腕力もない。がぶ飲みしようとすると、こうするより他ないのだ。

 

(全くもう! 全くもう!! 全くもう!!! 全くもう!!!!

 この馬鹿! この馬鹿!! この馬鹿!!! この馬鹿!!!!)

 

八つ当たりであることは重々承知だが、それでも気持ちのぶつけ所を見つけられず、息継ぎもせず一心不乱に飲み続ける。

酒の飲み方を教えてくれた帝都で人気の宿屋の女主人に知られれば、いったい何を言われるやら。

笑われるか、呆れられるか、怒られ……は多分しない。ただ、普通に怒るより怖い事が起こりはするだろう。

 

(でも……惚れた女に良い所を見せようとして大失敗ってことは、つまりあの頃からってことですよね?

 うぅ、普通こういうのって先に惚れた方が負けなのでは? なのにこれって……カルラ様、私いったいどうしたら……)

 

顔の火照りを鎮める様にさらに深く顔を突っ込む。

酒だけではなく男女関係方面の教えを受けたこともある女傑に、届かぬ弱音泣き言を漏らすが、当然返ってくものはない。

 

(というか、だったらなんで今まで告白の一つもしないのよ!

馬鹿!! ヘタレ!!! 女誑し!!!! 幼女趣味の遊び人!!!!)

 

不名誉極まる罵詈雑言……ただし、一概に否定しきれないソレが後から後から湧いてくる。

しかし、彼女だってわかってはいるのだ。当時の自分たちの立場ではそれが無理だという事も。

 

(そりゃまぁ、もし仮にあの頃告白なり求婚なりされていたら、罠か策の類だったと思うけど……と言うか絶対にそうだし。真に受けるなんてありえないし)

 

酔いが回ってきたのか、再度言葉使いが荒くなっている。というより、乱れてキャラもブレてきている。

 

しかし、思っていること自体はその通り。

二人とも、揃って滅私奉公の具現のような性格だ。

自分の恋慕よりも御國のため民のため、感情を殺し、私心を捨て、忠義を尽くす。

 

もし仮にその手の話をするとすれば、相手を利用するためだ。他の相手ならいざ知らず、自分たちの間では。

なぜわかるか、答えは簡単。

 

(だって、私だったらそうする……一応、そういう策も考慮してたから)

 

検討はしても実行しなかったのは、そんなものが通じる相手ではないことを知っていたから。

きっと、あちらも同じだろう。

 

(本当に?)

 

本当にそうだろうか。確かに、通じないとは思う。

お互いに、彼女の立ち位置がばれていることを知った上で、近衛大将とその副官と言う立場で接してきた。

 

あちらは泳がせることにそれなりの利を見出していたから。

こちらがギリギリの境界を見極めて動けばあちらも動かないことを知っていたから。

 

でも、本当にそれだけだろうか。

そもそも、そんな阿吽の呼吸染みた認識がある時点で、それだけではなかったのかもしれない。

 

あちらが惚れたのは出会って間もない頃。

こちらが惚れたのは副官として支えつつ、裏でこそこそ動くようになってから。

 

しかし、思いを寄せるようになって間もない頃は必要以上に慎重になっていた気もするし、逆にある時を境にかなりギリギリの境界に寄せるようになった時もする。

これはつまり、相当感情による影響を受けていたことの証左ではないだろうか。

あちらが彼女の立ち位置に気付いたのも、好いた女だったからこそかもしれない。

 

(ああ、認めよう。私は、意図的にその手の話を避けていた。少なくとも、彼の前では。

 自惚れてもいいのなら、彼もそうだったのだと思う。

 お互いそのことに触れない……触れる可能性を極力排除することが誠意だと思っていた)

 

実らぬ思いであることを承知していたから、墓まで持っていくつもりで秘めてきた。

想いは告げられない。告げたとしても、それは策や罠で包まれてしまう。

なら、せめてもの誠意はそんなことをおくびにも出さないことだと思ってきた。

ただし、相手への誠意というよりも、それはむしろ……

 

(自分自身の想いを汚したくなかった……のでしょうね。國のため、が聞いて呆れる)

 

いい加減苦しくなってきたので、『ぷはぁっ』と息継ぎ。

ついでに、いまだ伸びている漢に再度視線を落とす。

 

「あなたも、そうだったの?」

 

答えは返ってこない。

 

「もう立場を気にする必要はない……とはいきませんけど、何の因果か秘める必要はなくなりました。

 なら、いい加減貴方も想いを伝えてください。私が先になったことは、この際不問にして差し上げますから。

 あまり待たせるようなら、私にも考えがあります、から、ね……」

 

流石に無茶が過ぎたようで、急速に意識が遠のいていく。

壺を掴む手からも力が抜け、体が傾いていく。

だが、重力に引かれて派手に床に叩きつけられる寸前、力強い腕に抱きとめられた。

 

(なんだ、やっぱり起きてたんじゃない……。

女の愚痴を、こんな無様な姿を寝たふりをして見ていたなんて、本当に趣味の悪い漢。

あ~あ、どうしてこんな漢に惚れてしまったのでしょう。昔は、ハクオロ様やベナウィ様のような人が良いと思っていたはずなのに……)

 

漢の顔を見上げながら胸中でぼやくが、生憎と暗くて顔は良く見えない。

ただ、どこか苦笑した様な空気が漏れたので、もしかすると少し口に出ていたのかもしれない。

 

「せ、めて…漢、見せ…ろ……」

「……まったく、其方は本当に手厳しいな」

 

別にずっと起きていたわけではなく、意識が戻ったのはついさっきだ。

目を覚ましてみれば、妻となる女が今にも倒れそうな光景が目に飛び込んだ。

慌てて抱き留めたので、正直事情やその他諸々はさっぱりである。

ただ、それでもわかることがある。

 

「……そうだな。つい口をついてしまったが、流石にあれはない」

 

確かに積年の想いの一端は告げられたと言えばそうだが、あれは彼にとっても不本意だった。

仕方なく、割と自棄になってでその後も「愛した」とか「惚れた」と口にはしてみたが、どうも戯言の類と思われてしまったらしい。

ならば、改めてこの想いを告げよう。何度でも、何度でも……いつか、彼女の心に届くように。

 

(其方も気付いていた通り、某が其方を副官としたのは監視のためだ。

 飛べなくなったとしても、其方の能力は惜しかった。ライコウ殿の引き抜きを突っぱねるのが大変だったことは其方も知らぬだろう。『お前の手に負えるのか』と、何度言われたことか)

 

敢えて手元に置き、ヤマトの強大さを間近で知らせることで抑止力とする。

二人が考えていたのは概ねこういうことだ。だからこそ、間者と知りつつ傍に置いた。

問題なのは、余計な情報は与えず、与えたい情報だけ与えるよう上手く手綱を握ること。

彼女は優秀だっただけに大層苦労したし、ライコウならばもっと上手くやっていたと認めざるを得ない。

しかし、それでも手元に置き続けたのは……

 

(いったいどこに、惚れた女が他所の漢の所へ行くことを善しとする漢がいる。

どんな形であれ、其方と共にありたかったからだ)

 

そんな思いがあったことは否定しない。いや、今なら素直に認めることができる。

幸運……と言うには些か複雑な状況だが、それでも……思いを秘める必要はなくなったのだから。

 

既に仮面はこの國の皇に預けている。もとより、それが亡命のための条件だったからだ。

だが、彼にはもう一つ仮面がある。目には見えない心の内に被った仮面、近衛大将の仮面が。

しかし彼は、今まさにそれに手をかけた。

 

「覚悟しろよ、姐さん。先に形が出来上がっちまったが、こっからは俺も本気で行くからよ」

 

惚れた女を、本気でものにしに行く。

一応告白はされていることになるが、アレでは到底足りない。

彼女こそ何もわかっていないのだ。

 

(俺がどれだけ姐さんに焦がれてたか、それを骨の髄まで知ってもらうぜ。

 こちとら何年も燻らせて我慢の限界だったんだ、もう遠慮はしねぇ)

 

最低でも、自分と同じところまでは来てもらう。

帝都では身持ちの固い漢で知られていたが、そんなものは偶々だ。

ただ単に、叶わぬ恋があったからこそに過ぎない。

それが叶うとなれば、いくらでも野獣になろうというもの。

 

(オボロ皇には感謝しねぇとな)

 

亡命や支援のことでトゥスクル側の者を受け入れなければならないのは、元からわかっていた。

ただ、それがこんな形になったのはオボロ皇の粋な計らいに他ならない。

様々な思惑あってのものだろうし、実際にそれは鎖として機能し得る。

恐らく、まっとうな夫婦のようにはなれないだろうが、それこそ今更だ。

少なくとも、帝都であのまま時が過ぎてもこうはならなかっただろうことは間違いないのだから。

 

(それにクオン殿……姉ちゃんにも、な。

 オボロ皇には悪いが、礼代わりにあんちゃんとのことは力になると決めちまった。

 ま、こっちのが先約だし、そこはしゃーねぇだろ)

 

何しろ、そもそもクオンの取り成しがなければ自分には生命がなかった。

本来なら、自分の首と仮面(アクルカ)を取引材料に、皆の亡命を勝ち取るつもりだったのだから。

首を繋げたのは、クオンのおかげに他ならない。

 

「にしても、まさか姐さんがこんな大物だったとはなぁ……本人は自覚ねぇようだが」

 

血筋や立場と言うのではなく、能力と言うか発想と言うか、そういう個人的な部分で予想外の大物だったことに驚きを隠せない。

彼女に言わせれば「単に思い付きを口にしただけです」「別に私が創ったわけではありません」と言うのだろうし、それはそれで間違っていないのだが……。

 

「まぁ、生い立ちを知ればなるほどと納得も良く。姐さんからすれば、普通は神聖視される呪法もただの『使える道具』なんだろうなぁ」

 

以前から、かなり割り切った思考の持ち主であることは知っていたし、それが彼女の有能さの一端に繋がっているのも事実だった。

とはいえ、まさかここまでとは思わなかった。

 

「ライコウ殿は気付いていたのか……いや、ねぇな。知ってれば、もっと本気で取りに来ていたはずだ」

 

なにしろ、トゥスクルから使者が訪れた折にもたらされた献上品の中で、間違いなく最も驚かれた物の発案者が彼女なのだ。

何年も前にポロリと零した一言を、祖皇が拾い、以降長い時間をかけて形にした画期的一品。

 

そんな発想が出てくること自体、普通なら在り得ない。

呪法にしろ術法にしろ、それらは全て『特別』なものなのだから。

それを便利に使おうなんて発想自体が、時代の先を行き過ぎている。

 

「まぁ、子どもの発想を拾い、研究を指示した祖皇もさすがの傑物と言ったわけだが」

 

恐らく、他の國ではよくて無視されるか、悪くすれば『罰当たり』扱いされかねない。

それほどまでに、この世界での術法・呪法は『特別』なのだ。

 

「トゥスクル…というよりオンカミヤムカイ独自の呪法を物に込める秘技。

 通常は儀式や戦なんかに使われるそれを…………まさか、家庭の便利道具にしちまおうとはなぁ」

 

脱帽だ、とばかりに天を仰ぐ。

 

そう、トゥスクルの同盟國の一つ「オンカミヤムカイ」は術法に長けたオンカミヤリューが中心の國。

そして、彼らはその長所を生かし、術法を指輪や腕輪に込める彼らだけの技術を有していた。

普通は術法が使えない他の部族が戦で使用したり、術法の増幅に使われたりするそれを、時に竈、時に食材の保存に使うという発想は今までになかったものだ。

 

普通なら「恐れ多い」として誰も考えない、考えようとしない。

だが、生い立ちの関係から信心などと無縁の彼女は、火を生む指輪を見て「それでモロロを蒸せばいいのでは?」と言ったそうだ。

当時は戦が激しかったこともあり余裕もなかったが、それでも祖皇の指示で細々と研究が始まり、彼女が國を経った頃には本格的に動いていたらしい。

 

結果、トゥスクルはヤマトにもない画期的な道具の数々を開発。

技術力において、大國ヤマトすら震撼させるであろう品々は一人の少女の呟きから生まれたのだ。

 

「あんちゃんは『こんろ』とか『れーぞーこ』とか言ってたが、やはりトゥスクル本国のそれは献上品の数段上を行ってやがったな」

 

帝に献上されたのは、正しくは火の呪法の宿った指輪など数点だけ。

呪法を物に込めるという時点でヤマトにはない技術だった。

 

しかし、その応用である品々は一つもなかった。手の内を見せるつもりはない、という事だろう。

彼の見ることのできる範囲では、今のところ日常生活への転用が主だが、恐らくそれだけではあるまい。

彼女の発想をもとに、より突飛な……思いもかけない何かがあると考えるべきだ。

 

(というか、既に一つ見てるしな)

 

帝都から脱出する折に使われた“門”。

あれも元は彼女の発想だというのだから恐ろしい。

正確には、知り合いの“残念な破戒僧”との共同発案らしいが……あれには愕然とするやら、背筋が凍るやらで大変だった。

 

クオンがトゥスクルとの戦を止めようとした理由がよくわかる。

あのまま続いていれば、勝てないどころか本当に負けていた可能性があるのだから。

 

(こうして振り返ると、策を弄してでも姐さんを取りに行くべきだったのかもなぁ。今更だが)

 

当時は裏事情を知らなかったので仕方がないが、知ればそう思わずにいられないのがかつての彼の立場だ。

 

(いや、それを言うなら帝都への道中、姉ちゃんが普通に煮炊きであの指輪使ってた時からか。

 あの時は、姉ちゃんも呪法の心得があるのか、くらいにしか思ってなかったからなぁ)

 

あの指輪ですら、未だトゥスクルでも一般には普及しておらず、アレを持つのは皇族や一部の豪族くらいらしい。

なんでも、本来は戦用のそれを煮炊き用に火力を調整し、なおかつ長時間使えるようにするのに相当苦労したらしい。おかげで、未だに庶民には手の届かない高額の品なのだとか。

 

「本当に、とんでもねぇ女に惚れちまったらしいな俺は」

 

酔い潰れた妻(になるはずの女性)の頭を膝に乗せ、飲み残しの酒を盃に注ぐ。

そうして、夜空で輝く月を肴に遠い過去に想いを巡らす。

 

(そう、あれは……俺が帝都に上がって間もない頃だったな)

 

小隊同士の合同訓練、それが二人の出会いだった。

あの時のことは、何年たっても鮮明に覚えている。

 

初めて見る、翼を持った人。

顔は多くの術師がそうする様に薄布で隠され、人相は判然としなかった。

というか、大きな声では言えないが、実は……

 

(男だと思ってた…ってのは、言えねぇよなぁ)

 

色々理由はあるが、一つは今までに見たオンカミヤリュー族の女性に共通する特徴故だ。

 

ただ、彼女だけが例外なのである。

それも、彼女たちのその特徴に目が行った際のあの目ときたら……

 

(死んでやがった。いや、あれはむしろ……)

 

今にも呪いそうな目で見ていたのが忘れられない。

指摘すれば、命はないと彼をして直感するほどに。

ならば、性別を間違えていたと知られれば、当然「なぜ」と聞かれるだろう。

誤魔化しの効く相手ではないし、バレれば生命がない。

 

(よし、これこそ墓の下まで持っていこう)

 

そうして、改めて古いが鮮明な記憶を振り返る。

まだ何も知らず、彼女もまた自分と同じ志を抱いていると思っていたあの頃を。




コンセプトとしては、「彼」を生かすにはどうしたらいいか……だったのが、なんかよくわからない方向に飛んで行った感じです。

とりあえず、第1作の方にはあった装備品が第2・3作にはないなぁと思い、「じゃ、あれはトゥスクルとかの独自技術なんだ」という事にし、それを家庭用に応用するキッカケを作ったのがオリキャラです。別に、本人は直接かかわってません。あくまでも、ポロリと零したアイディアをハクオロさんが拾っただけです。

ただし、本人は割とオンカミヤリューとしては天才の部類。ウルトやカミュには及びませんが、ムントやノポンとはいい勝負。が、それはあくまでも術者として。当の本人に信心の欠片もないので、僧としては落第です。祝詞とかさっぱり。
代わりに、封印とか転送とかはしっかり習得しています。

若くしてそれだけの術者になれたのは、才能もさることながら、周りの教師が良かったから。あと「こう」と決めたら一直線な気質のおかげ。
ベナウィのしごきに耐えるどころか積極的に教わりに行き、カルラに稽古をつけてもらおうとするくらいの無謀さを考えれば、分かるというものでしょう。
その上で國を出て、最終的にヤマトに仕官(と言う名の潜入)。頭角は表すものの、自國の出ではないので出世はほどほどの筈だったのが、「彼」の尻馬に乗って躍進。ちゃっかり副官の座についてしまいました。

まぁ、このあたり監視兼彼女を介した牽制の目的もあったからこそですけど。
ちなみに、ネコネが帝都に来た際には教師役に。書物でしか物事を知らなかった彼女に、広い世界を教えたりしました。以来、別に学士の資格があるわけでもないのに、「先生」と呼ばれて慕われています。
「彼」とも上司と部下の関係しか見せていなかったので、警戒心ゼロ。はじめはあったけどなくなりました。というか、ネコネも最初男だと思っていたくらいに絶壁(この作品内では、オンカミヤリューは基本一部装甲が豊かな種族という事になっています。翼を動かすため、色々発達するおかげでしょう)。


割と帝都では有名で、翼を失う前(別になくても飛べるのですが、丁度いいので隠していた)は兵士の間で二つ名まで頂戴していたとか。
なにしろ、唯一の航空戦力ですからね。斥候、戦況把握、情報伝達、その他諸々……活躍する場面がいくらでもあったのです。同族の勧誘も求められたのですが「故郷は捨てた」とか適当なことを言ってごまかしてました。

と言うような話をイメージしています。
ちなみにクオンとは赤ん坊時代にあったきり、十数年ぶりの再会だったことを知るのは本人だけ、こっそり白楼閣で女主人たちと成長を喜び合ったりしてました。
エルルゥとユズハ、最も思い入れの深い二人と関係深い相手でもあるので、ムネチカと同等かそれ以上の忠誠心を持っています。

こんな話、どうです?

とはいえ、とりあえず今「書きたい」衝動は無事発散。休みの内にここまで書けました。こんな強行軍は久しぶりです。
でも、まだまだ埋まってるネタはあるんですけどねぇ。まぁ、そっちはいずれ……。いや、その前に更新が止まっているのを何とかしなきゃいけないんですけどね。
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