やみなべのネタ倉庫   作:やみなべ

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カップリング―――――そんなものはない!!

戦闘パート――――――それもない!!

何がしたいの?――――蝶屋敷でエミヤ寄りの士郎が“えみやごはん”する感じ?

という意味不明な設定、細々としたところはあとがきで。
あと、鬼滅の刃についてはニワカなので色々怪しいと思いますが、ご容赦ください。



〈鬼滅の刃×Fate/stay night〉蝶屋敷には家事幽霊が憑いている

―――暇だなぁ。

 

―――そうだなぁ。

 

―――病気だの怪我だのは、治りかけが一番つまらないんだよなぁ。

 

―――そうだなぁ。

 

―――でも、この後には地獄の機能回復訓練が待ってるんだよなぁ。

 

―――そうだなぁ。

 

―――訓練が終われば、次はまた鬼狩りの毎日かぁ。

 

―――そうだなぁ。

 

―――………………………治りたくない。ここでずっと屋敷の女の子たちに面倒見てもらいたい。

 

―――クズ…いや、ゴミだなぁ。

 

―――そこは“そうだな”って頷けよ!!

 

―――…………。

 

―――おい、何か言ったらどうなんだよ。

 

―――…………。

 

―――おい、おいってば!

 

―――…………。

 

―――何か言ってお願い!?

 

―――………………………なにか。

 

―――…………………………………ごめんなさい。馬鹿なこと言ったのは謝ります。だからちゃんと相手してください。俺、寂しいと死んじゃう生き物なの。

 

―――…………しようのない。で、なんだ?

 

―――友よっ!!!

 

―――抱き着くな、気色の悪い。傷に響くだろうが。

 

―――……すまん。

 

―――あと、お前は別に友達じゃない。

 

―――え? 友達だと思ってたの俺だけ? なんだかんだで話に付き合ってくれるし、危ない時は助けてくれるからてっきり……じゃ、じゃあ俺ってお前の何なの!?

 

―――同期。

 

―――それだけっ!?

 

―――他に何かいるのか?

 

―――い、いや、“いる”か“いらない”かというと、その……。

 

―――もう……。

 

―――? もう、なんだ?

 

―――同期は俺とお前しかいないんだ。馬鹿な話くらい付き合ってやるから、あんまり死ぬなよ。

 

―――あんまり、か?

 

―――あんまり、だ。こういう仕事だからな、“死ぬな”なんて無理は言わん。

 

―――そうだなぁ……なら、お前もできるだけ死ぬなよ。

 

―――ああ、“できるだけ”善処する。

 

―――そうか。

 

―――まぁ、あんまり度が過ぎるようなら絶縁するが。

 

―――(絶交どころじゃない!?)

 

―――で。

 

―――?

 

―――話はないのか? 暇なんだ、付き合ってやる。

 

―――お、おう! そうだな…じゃ、これ知ってるか? “蝶屋敷怪談”。

 

―――おまっ、花柱様…はともかく、継子に聞かれたら大目玉だろ。

 

―――こういうのは、隠れてするから楽しいんだろ。猥談と同じだ。

 

―――…………………………幼い娘も多いんだから、せめてそっちは自重しろよ。

 

―――わかってる、だからこそ猥談の代わりの怪談だ!(ドヤァッ)

 

―――上手いこと言ったみたいな顔するな、鬱陶しい。

 

―――(シュ~ン)

 

―――それで、どんな話なんだ? こんな場所で、しかも俺たちはこんな仕事だ。生い立ちだって、まぁ碌なもんじゃない。鬼への恨み辛みには事欠かないし、未練は多いだろうから化けて出るくらいはあるだろうさ。

 

―――それがな、どうにも毛色が違うらしい。

 

―――は?

 

―――最初は、壊れた戸板だったそうだ。

 

―――戸板? それがどうしたんだ?

 

―――壊れた翌日には、きれいさっぱり直っていたそうだ。

 

―――ふむ……屋敷の誰かが直したんじゃないのか? あるいは、手の空いた隠とか。

 

―――それがな、誰に聞いても心当たりがないらしい。しかも一度や二度じゃない。ある時は雨漏りする天井、またある時は床板の軋み、そういうのが気付くと直っていたそうだ。

 

―――まぁ、不思議なことではあるな。だが、実害もないし、そもそも怪談なのかそれ?

 

―――いやいや、話はまだまだこれからよ。確かにお前の言う通り、ほとんどの奴はたいして気にも留めなかった。どこかの良いカッコしいが黙っているだけだろう、とな。花柱様ですら、「大助かりだわぁ」と笑っておられたくらいだ。だが、それを良しとしない奴がいた。誰かわかるか?

 

―――もしや、継子の……?

 

―――そうだ、胡蝶しのぶ様だ。

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

 

「……………………………………また、できてる」

 

厨の前に佇みながら、怒りに肩を震わせながら声を絞り出す。

 

どこのどいつの仕業か知らないが、これでいったい何度目だろう。

眼前には、白い湯気を立ち昇らせるホカホカの白米と芳しい香りを漂わせるアジの干物。視線を厨の奥に向ければ、大鍋一杯の味噌汁が見て取れる。具はネギと豆腐だろうか、優しい香りが食欲をそそる。他にも、一口サイズに綺麗に切りそろえられた漬物や鰹節の揺れるお浸まで完備。

加えて、入院している隊士のために粥をはじめとした消化に良い食事も用意されている徹底ぶり。

 

ただそれだけであれば、短めの髪を固く夜会巻きにして蝶の髪飾り付けた少女、胡蝶しのぶが怒りに打ち震えることはなかっただろう。

完璧で非の打ちどころのない朝支度だが、鬼殺隊の医療施設としての役割を有するが故に常に忙しい蝶屋敷にとって、これは決して楽な作業ではない。屋敷に暮らす者たちの分だけならいざ知らず、入院患者それぞれに合わせた病人食も用意するとなれば大変な手間だ。鬼殺隊の支援部隊である“隠”の者たちも手伝ってくれるとはいえ、有事においては色々なものをおざなりにすることでやっと回せているのが現状。特に、一昨日未明のように大勢の隊士が担ぎこまれた場合には。

なにしろ、昨夜遅くまでしのぶをはじめ蝶屋敷の者たちは一睡もすることなく負傷者への処置に駆けずり回っていた。寝食を取る間も惜しんで治療を施して、薬を調合し、血や泥で汚れた包帯やガーゼを補充し、容態に変化がないか見守る。

ようやくある程度落ち着いたのが、昨夜遅くのこと。しのぶも着替える時間すら惜しんで布団に入り、泥のように眠ってつい先ほど目が覚めたばかり。一応状況は落ち着いたが、まだまだやることは多い。その差し当たってが“朝の支度”だった。

しかし、目を覚ましてみれば何たることか。その全てが終わっているではないか。

 

この手間が省けるだけで、いったいどれほど助かることだろう。患者一人一人に声をかけ、経過を丁寧に診察し、なんなら屋敷の雑事に手を付ける余裕にもつながるだろう。あるいは、自分自身の鍛錬や研究にも力を注ぐことができる。

本来なら、どれだけ感謝しても足りないくらいだ。そう、これらをやってくれた人物がわかるのなら。

 

「……い、いったいどこのどいつよ! 他人様の家の厨を勝手に使ったのはぁ!!!!」

「しのぶ様!」

「なに」

「汚れていた包帯などが、すべて洗濯して庭に干してあります!」

「継子様!」

「今度は何」

「先日暴れた隊士が壊した壁が、修繕されています!」

「回復訓練で割れた湯飲みが補充されていました!」

「薬棚が整理され、使用した消耗品の一覧が……」

 

その後もまぁ、出るわ出るわ。誰も心当たりのない、でも手を抜くわけにもいかない雑事が終わっている旨の報告が次々と。その報告を聞く度に、しのぶの額に青筋が増えていく。

 

「しのぶ~」

「次から次へと…次はなんなの!」

「あらあら……姉さん、しのぶの笑った顔が好きだな」

「って、姉さん? ごめんなさい、つい……」

 

度重なる報告で、つい反射的に大好きな姉にまで食って掛かってしまったことにうなだれる。

だが、蝶屋敷の主でありしのぶの姉でもある“鬼殺隊 花柱”胡蝶カナエは特に気にした様子もなく、なぜか持ってきていた愛刀を抜いて見せる。

 

「ほらほら、新品みたいにピカピカよ」

 

そこにあったのは、確かに新品同様に磨き上げられた淡い桃色の日輪刀。

しかし、カナエの日輪刀を刀鍛冶の里に整備に出したのはもう数ヶ月は前の筈。自分の命を預ける相棒なだけに、日々手入れは欠かしていないとはいえ……流石に新品同様とはいかない筈だ。

にもかかわらず、現実としてカナエの刀は新品そのもの。まさか、里から刀鍛冶が来てしのぶたちの知らないうちに整備した、ということもあるまい。

と、そこまで考えたところでしのぶは一つの可能性に思い至る。

 

「まさかっ!」

「あらあら~」

 

弾かれたように走り出す妹の背中を見送ってから、カナエは厨へと向き直る。

そして色鮮やかな沢庵を一つ摘まむと、小さな口へと放り込んで美味しそうにアジト触感を愉しむ。

 

「うふふ、今日も美味しい。有難くいただきますね、()()さん」

 

その頃、しのぶの自室では。

 

「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!! また勝手にぃっ!!」

 

そこにあったのは、カナエの愛刀と同じく新品同様になった自らの日輪刀。

ピカピカに磨き上げられ、同時にしっとりとした艶を放つそれはまさに一流の仕事。しかし、しのぶはそれを素直に喜ぶ気にはなれなかった。それもそのはず、自分の相棒をどこの馬の骨とも知れない誰かに弄られて、どうして喜ぶことが出来ようか。ただでさえしのぶの刀は、色々と特殊だというのに。

 

「刀身…よし、鍔…よし、鞘…よし。くっ……完璧に整備されてる。ホントに何者よ、コイツ!」

 

そう、特殊なのだ。彼女は鬼殺隊で唯一鬼の首を斬ることができない剣士だが、同時に鬼に通用する毒を作り上げ、これを以て鬼を狩る。そのために、彼女の日輪刀は毒を仕込むことができる特殊な構造になっている。

その構造は、しのぶ自身とこの刀を作り上げた鉄地河原鉄珍しか知らない筈。当然、整備はおろか手入れですら他の者にはできない。

にもかかわらず、しのぶの日輪刀は何の不具合もきたすことなく、新品の様になっていた。自分の努力と研鑽の結晶を、易々と扱われて悔しくない筈がない。

 

「ええ、認めるわ。確かに完璧よ、非の打ち所がないくらいに。それこそ、鉄地河原様が直接研いだって言われても納得するくらい完璧。でも、だからこそ……ああもう、腹立つ~~~~~~~~~!!」

 

その後、カナエが呼びに来たので仕方なく怒りを治め、渋々大人しく朝食をとることに。

蝶屋敷の味ではないが、十分店を開けるその味わいにカナエは頬を綻ばせ、しのぶは忌々しそうに咀嚼する。

 

「ん~、今日も幽霊さんのご飯は美味しいわ」

(くっ、この漬物どうやってこの味を……)

「しのぶもほら、せっかく美味しいご飯なんだから、ね?」

(ムッス~……)

 

不機嫌を隠しもせず、無言のまましかめっ面で口と手を動かすしのぶ。そんな妹に困った様な微笑みを浮かべてから、カナエは自らの茶碗に視線を落とす。

 

「でも、本当にどこのどなたなのかしら? こんなに良くしてもらってるんですもの、せめて一言お礼を言いたいな」

「……その前に、まず人の家に勝手に上がり込んで動き回る方が問題でしょ」

「まぁ、それはそうなんだけど……」

 

正論であるだけに、カナエとしても特に反論できない。なんとかフォローを入れたい、とは思っているが。

 

「食材やらなんやらも色々使ってるし、非常識よ」

「そうね。でも、何を何のために、どこで使ったか。全部報告してくれてるから、それほど困らないでしょ?」

「変なところで常識的というか律儀なのが、余計に頭にくるんだけど。もっと別のところで発揮しないさいよ。

 というか、本当に報告通りなのかすら怪しいじゃない」

「だからちゃんと確認もしたじゃない」

 

だから、報告が記された紙の内容に誤りがないことの裏付けは取れている。それどころか、補充や買い替えが必要なものの申告までしてくれるので、物品の管理という意味でも助かっていたりする。

 

「食材も道具も減ってなければ、お金もそのまま。少なくとも、泥棒の類ではないわよね。

 あと考えられるとしたら情報だけど、鬼殺隊の情報なんて欲しがるのは鬼くらいでしょうし」

 

流石に、情報については盗まれたかどうかわからない。しかし、そもそも欲しがる相手自体が少ない。

仮に鬼の仕業としても、目立った影響は出ていないことからその線も薄いだろう。いや、まず蝶屋敷に保管されている鬼殺隊の情報というのが医療関係の記録であるため、隊士個々人にとってはともかく、鬼殺隊全体としてみればそれほどの重要情報ではないのだ。故に、盗まれたところで任務にさほどの影響はない。

 

「悠長過ぎるわ。ここには若い娘も多いし、負傷して弱った隊士もいるのよ。何かあったらどうするの!」

「そうね。しのぶに何かあったら、姉さんかなしいわ」

「姉さん!」

 

茶化すような姉の言葉に、流石にしのぶも目を吊り上げる。だが……

 

「でもね、これまでに一度だってそんなことはなかったでしょ?」

「それは、まぁ……」

「機会はいくらでもあった。だけど、一度だってそんなことはなかった。

それどころか、容体の急変した隊士がいることに気付かせてもらったり、文机で寝てたしのぶを布団に運んでもらったり……」

「ちょ、ちょっと姉さん!」

「信じていいと、私は思うわ」

「……」

 

姉の言わんとすることはわかる。不埒者であるならば、とっくに尻尾を見せているはずだ。

そんなことはしのぶとて分かっている。わかっているが、それでも信用はできない。なぜなら……

 

「後ろ暗いことがないなら、ちゃんと姿を見せればいいじゃない」

「……」

「姿を見せて、名乗ればいいのよ。それなら、信用してもいい」

 

しのぶの言うことは正論だ。どれだけ行動で示していても、顔も知らない、言葉を交わしたこともない、正体不明の人物をどうして信じられるというのだろう。

 

「そこはほら、()()だから」

「お化けなんているわけないでしょ」

「しのぶ、怪談好きでしょ?」

「それとこれは話が別だわ。私はお話として好きなのであって、信じているわけじゃないもの」

「でも、鬼だっているんですもの。幽霊がいても、不思議はないんじゃない?」

「……だったら、真っ先に化けて出てくるべき人たちがいるでしょ。私たちに限らず」

「そうね……」

 

鬼殺隊の構成員のほとんどは、何かしらの形で鬼に人生を歪められた者がほとんどだ。

胡蝶姉妹とてそれは同じ。幽霊なんてものがいるとして、死者が化けて出るというのなら……。

 

「どうして父さんや母さんじゃないのよ」

「しのぶ……」

 

料理の味付けからも、それは間違いない。アレは、しのぶたちの知る“胡蝶家の味”ではなかった。だから、作ったのは全くの別人だとわかる。

助かっているのは本当だ。毎日というわけではないが、忙しくて手が回らない時には大抵その“幽霊さん”の影がある。おかげで自分たちは治療に専念できるし、簡易食ではなく、こうして暖かな食事をすることができているのだ。

だが、どうしても素直に感謝する気にはなれなかった。

 

「……そもそも、怪談にしたって中途半端過ぎるのよ」

「? どういうこと?」

「まず、確かにおかしなことだらけだけど……全然怖くない」

「あ~、それはね」

「どこの世界に“家人が忙しい時に家事を手伝ってくれる”お化けがいるのよ。怖くもなんともないじゃない。“ぶらうにい”とか“しるきい”とかじゃあるまいに」

「“ぶらうにい”と“しるきい”?」

「この前、間違って注文したのとは別の本が届いたでしょ。アレ、西洋の妖怪とかお化けの本だったのよ」

「ああ、あの本。そこに載ってたの?」

「うん。やってることはうちの幽霊とおんなじ、住み着いた家で家人のいない間に家事を済ませたりするんだって」

「あら、本当ね。じゃあ、海を渡ってきたのかしら?」

 

楽しそうにニコニコ笑う姉に、しのぶもようやく少しだけ頬を緩ませる。が、不満な点は他にもある。

 

「あと、良く七不思議とか言うでしょ」

「そうね。怪談じゃないなら、蝶屋敷七不思議とか?」

「でも、七つないでしょ」

「えっと……いつの間にか用意されてる食事、研がれた日輪刀、見守る目、他には……」

 

割れた窓や食器がきれいに直っている、なんてこともあった。捨てるはずだったものが処分されて補充されたのではなく、修復不可能なはずのそれが直っていたというのは、実に不思議な話だろう。

また、入院患者の中には「燃える街並みの夢を見た」という者が一定数いる。というか、しのぶやカナエも見たことがある。まったく知らない、燃える街の中を歩く夢。蝶屋敷での怪奇現象の中でも、唯一と言っていい不快感を覚える代物だ。

あとは……

 

「……消える背中、かしら」

「え、それ知らない。5つじゃないの?」

「私も最近、一度見ただけなのよ。太陽が眩しくて目を細めたら、視界の端に私よりも頭一つ分以上背の高い人がいた気がするの。まぁ、まるで空気に溶けるみたいに消えてしまったのだけど」

「その人って、見覚えは?」

「ないわ。真っ白い髪に、褐色の肌……それだけ特徴的な人だもの。一度見たら忘れられないわ」

(そいつが幽霊の正体? でも、真昼間に出てくる幽霊ってどうなのよ)

 

まぁ、鬼の血鬼術の類ではなさそうなので、その点はホッとするが。

 

「でも、そろそろハッキリさせた方が良いかもしれないわね」

「姉さん?」

「どうもね、この話だいぶ広まってきてるみたいなの。中には“鬼の仕業じゃないか”なんて声まで上がってて……」

「昼間に出てくる鬼はいないでしょ。そもそも、鬼がどうして私たちの世話をするのよ」

「あら、私はそうだったら嬉しいわ。きっと仲良くできるもの」

「……できるわけないでしょ、鬼となんて」

 

怒りに表情を歪ませる妹に、カナエはそれ以上言及しようとはせず話を本筋に戻すことにする。

この件に関しては、どうやってもお互いの意見が一致することはないと知っているからだ。

 

「……………………ここには負傷した隊士もいるし、万が一にも何かあっては事だって」

 

具体的にどうするかは決まっていないが、いずれは何かしらの動きがあるだろう。まさか柱合会議の議題に上ったりはしないだろうし、わざわざ他の柱が動くこともないとは思うが……場合によっては、別の屋敷に移ることはあるかもしれない。この屋敷を気に入っているカナエとしては、できれば避けたい事態だ。

 

「だけど、私はともかく姉さんにも気配を捉えきれない相手なんて……それこそ、本当に幽霊って言われた方が納得よ」

「でも、最近は少しだけど気配を捉えられるようになって来たわ。だから……」

 

遠からず、幽霊の正体ははっきりすることだろう。

 

「そう、でも無理はしないでね。私も捕まえるのに協力するから」

「まずは話し合いから始めたいんだけど……」

「女所帯に無断で入り込む奴ですもの、遠慮は無用よ」

 

鼻息荒く断言するしのぶ。できれば穏便に事を治めたいカナエとしては、あまりやる気になられても困ってしまうところだ。

とそこで話を逸らすことも兼ねて、カナエは懐から先日見つけたあるものを取り出す。

 

「ん~……あ、そうだしのぶ。ちょっと手を出して」

「?」

「はい、あげる」

 

軽い調子でしのぶの手に落とされたのは、深く鮮やかな輝きを放つ赤い宝石だった。

 

「……ってなにコレ!?」

「さあ? この前、新しいお花の種をまこうと思って庭を弄ってたら出てきたわ。あ、ハジメは泥だらけだったけど、ちゃんと洗ったから安心して」

「安心して、じゃないわ!? これ、どう見たってすごく高そうじゃない!?」

「そうね。私には宝石の善し悪しはわからないけど、しのぶに似合うと思うの」

「いやいやいやいや! 私には無理よ! 姉さんが持ってて、絶対似合うから!!」

「でも、姉さんはしのぶに貰ってほしいな。ほらほら、つけてつけて」

「だ、だから私には似合わないってば~!」

 

その後しばらくの間、姉妹による「似合う」「似合わない」という押し問答が続くのであった。

 

 

 

その日の晩のこと。胡蝶カナエは、何度目かになる“燃える街並み”を見ていた。

 

「……………ここは」

 

夢だからだろうか、意識が茫洋としてはっきりしない。自分が今までどこにいて、何をしていたのか。そもそも、“自分”とはいったい何者なのだろう。

それすらわからないまま、カナエは火の海に包まれた見覚えのない街を進んでいく。

 

クルシイ    タスケテ      カアサン

      ミエナイ  アツイヨ

  ダレカ  コロシテ          コノコ ダケデモ

オネガイ           ダシテ    イタイヨ

 

声ならぬ声が響き渡る。その度に、カナエは声の元へと向かうが助けることはおろか、その手に触れることすらできない。気付けば、目からとめどなく涙があふれていた。

何もできない自分。ただ燃え尽きていくのを見ていることしかできない現実。

いっそ、自分も炎に巻かれて焼かれてしまえばまだ楽だったのではないか。そんなことを思ってしまうほど、目の前の光景は“地獄”そのものだった。鬼による惨劇を数多見てきたカナエですら、目を覆いたくなるほどに。

 

何時しかカナエはその場に跪き、ただただ泣きながら死に行く彼らに謝ることしかできなくなっていた。

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。私にはあなたたちを助けることができない。手を取ることも、気休めの言葉をかけることも……何も、できない」

 

見上げれば、そこには漆黒の太陽。鬼殺隊にとっては“希望”そのものであるはずの太陽が、今は“絶望”の象徴にしか見えなかった。

 

 

 

「ッ! ここは……夢、だったの?」

 

まず視界に飛び込んできたのは、良く見知った自室の天井。柱としていついかなる時も、それこそ眠っている時であろうと全集中・常中を途切れさせるような真似はしないが、今にも途切れてしまいそうなほどに呼吸が乱れている。全身を冷たい汗が伝い、身体の芯から冷え切っているのがわかる。

夢の内容はほとんど覚えていない。だが、あの“燃える街”の光景だけは不思議とハッキリ脳裏に残っていた。

 

「あの街は、いったい……」

 

見覚えのない街並だった。それも、ただ単に知らない街、というだけではない。ほとんどの建物が燃え、崩壊してしまっていたが、それでもわかることはある。あれは、そもそも日本の風景かどうかさえ怪しい。それ位には、彼女の知る日本に風景とはかけ離れていた。

 

「……外国、だったのかしら」

 

呟いた声に返事はない。

カナエは一度呼吸を落ち着けると、蝶の羽のような色彩の羽織を纏って部屋の外に出る。水を飲んで、気持ちを落ち着けたかったのだ。

 

しかし、廊下に出た彼女の眼前に、思いもしない光景が広がった。

 

どこまでもどこまでも、果てしなく広がる荒涼とした大地。突き立つ無数の剣。空を覆い太陽すら隠す分厚い雲。

まだ夢の中にいるのかと思うほど、それはこの世のものとは思えない光景だった。

 

立ち尽くし、身動き一つできなくなっているところで乾ききった一陣の風が吹き抜ける。

思わず目を瞑り、もう一度目を開けるとそこには……見慣れた蝶屋敷の廊下と庭が広がっていた。

 

「……疲れているのかしら?」

 

答えなどあるはずのない、自分自身に向けたはずの問いにはしかし、思いもよらぬところから回答があった。

 

「ふむ、あまり根を詰めるのは感心しないな。どれ、茶でも用意しよう。そこで待っていたまえ」

「え?」

 

声の方を振り向くとそこには、ただ一度だけ見た黒い着流しを纏った大きな背中があった。

しかし、あの時とは違う。視界の中央でその背中を捕らえ、何度瞬きしても空気に溶けて消えることはない。

呆気に取られているうちにその背中は角を曲がって、陰に隠れてしまった。だが、アレが夢幻の類でないことのは間違いない。

 

こちらのつぶやきに応え、しっかりとその姿を視界にとらえることができた。それに、廊下の先からは彼の気配が今も感じ取ることができる。

正直、分からないことばかりではあるが、少しだけ気持ちが晴れた。

 

「やっと、お話が出来そう」

 

間もなく、彼は盆に湯呑を二つと急須を乗せて戻ってきた。気配はあったのだが、それでもちゃんと戻ってきてくれたことに安堵する。今は、何はともあれ誰かと話がしたい気分だった。

 

「ありがとうございます」

「なに、元はこの屋敷のものだ。今回に限った話ではないが、度々勝手に拝借して済まなかった」

「いえ、それは…こちらも助かりましたから」

「そう言ってもらえると助かる。茶請けでもと思ったが、深夜の食事は年頃の娘としては避けたいだろう。今は茶だけで勘弁してもらいたい」

「“今は”ということは、“次も”?」

「さて、それは君次第だよ」

 

そのまま庭に面した廊下に揃って腰を下ろし、まずは一口茶を啜る。

熱すぎず、かといって温くもない絶妙な温度管理。何はともあれ一息入れたかったカナエの心情を慮って……と考えるのは、少々都合が良すぎるだろうか。

 

「あの、初めまして。私は……」

 

とりあえずは自己紹介、と思って相手の方を向いて口を開くが、褐色の掌が視界を塞ぎ言葉を止める。

指の隙間から見える顔立ちは精悍だが、風格を感じさせる面立ちはそれなりの年月を感じさせる。若く見えるようで、生きていればカナエの父母とそう変わらない年のようにも見える。

 

「まずは謝罪を。家主の許可もなく屋敷を勝手に動き回ってしまった挙句、要らぬ世話を焼いた。不快に思ったことだろう、深く謝罪する。申し訳なかった」

「そ、そんな! 先ほども言った通り、本当に助かりましたから」

「いや、年頃の娘が暮らす屋敷を名乗りもせずうろついたのだ。叩き出されても文句は言えん」

 

一度は下げた頭を上げ、ハッキリと断言されては否定もしづらい。きっと、否定しても彼はそれを善しとはしないだろう。

先ほどの後姿も含めて“鋼のような人だ”、カナエはそう思った。

 

「律儀なんですね」

「無遠慮、不作法、不心得、挙げだしてはキリがない。それだけのことをした自覚はある」

「でも、何か事情があったんですよね?」

「……事情があれば許されるというものでもあるまい」

「それを決めるのは、屋敷の主人である私ですよね」

「……それは、そうだが」

「ですから、事情を聞かせてください。許すか許さないかは、それから決めさせていただきますね」

「……承知した」

 

そうして男は、事情を話すにあたりまずは己が何者であるかを口にする。

 

「私は衛宮、衛宮士郎という」

「日本人、だったんですね」

「こんなナリではあるがね。一応、生まれも育ちもこの島国だ」

「なるほど。だから言葉も字もお上手なんですね」

「そう大層なものではない」

「それで、幽霊の衛宮さんはどうしてこの屋敷に?」

「幽霊…まぁ、だいたいそのようなものか。私がここにいる理由だが、それだ」

 

言って、士郎はカナエの方を指さす。一瞬胸元を刺されたと思ったが、すぐに違うことに気付く。

彼の指先は少し逸れて、カナエの懐を指していた。

 

「持っているのだろう、赤い宝石を」

「これ、ですか?」

 

懐から出したのは、つい先日偶然にも掘り当てた赤い宝石。

 

「士郎さんのもの、なんですか?」

「……というより、それが私の本体だ」

「本体?」

「簡単に言ってしまえば、地縛霊のようなものだ。私はそれに括られていてね、そこからあまり離れられない」

「そうなんですか?」

「だいたい、この屋敷の外周程度だろうか。おかげで、私の活動圏はこの屋敷の内側にとどまっていたというわけだ」

 

なるほど、それでは出ていきたくても出てはいけない。というか……

 

「本当に幽霊なんですか?」

「君が言ったことだろう」

「それは、そうですけど……」

「信じられんというなら、試してみるかね?」

「え?」

「手…は、この時代だと少々不味いか。そら、着流しの袖を持っていろ」

 

言われるがまま、黒い着流しの袖をつまんでみる。何をするのかと思っていると……唐突に彼の姿が消えた。摘まんでいた着物の袖すらも、はじめからなかったかのように。

 

「えっ!?」

「とまぁ、こういうわけだ」

 

驚きの声を挙げた次の瞬間には、先ほどと寸分違わぬ場所に士郎の姿が再度現れる。

 

「どこかに移動した、とかではないんですね?」

 

ついでに言えば、“見えなくなった”だけとも違う。

似たような術を使う鬼とも戦ったことがあるが、袖の感触は消え、摘まんでいた指と指がくっつく感触もあった。

間違いなく、正真正銘彼は“消えていた”のだ。

 

「私には肉体がない。この身体は、仮初のものに過ぎん」

「何らかの力を使って、その身体を作っていると?」

「そういうことになる。流石は、鬼殺隊の花柱殿だ」

「知って、いるんですか?」

「知らなかった。だが、しばらくいればいろいろと耳に入る」

「血鬼術、じゃないんですよね」

「何なら、日の出までここにいても構わんよ」

 

その言葉で、彼が鬼のことをそれなり以上に理解していることが分かった。

 

「他の人でも、その……」

「私だけの特異体質、のようなものだ。だから、君の期待するようなことはない、と言わせてもらおう」

「そうですか」

「残念かね?」

「残念じゃない、と言えば嘘になります。会いたい人は、いますから。

でも、普通はそういうものでしょう?」

「ああ、その通りだ」

「だけど、どうしてそんなことに?」

「なに、愚かな男が分相応…いや、分不相応な結末を迎えた結果だ。わざわざ君が知る必要のない、その価値もないことだよ」

「その言い方、あまり好きじゃありません」

 

思わず、すねたように口をとがらせて不満が零れる。ここ数年の彼女が見せたことのない、年相応の顔だった。

鬼殺隊の柱として考えれば不適切だろう。しかし、胡蝶カナエという少女を知る者が見れば……どうだろうか。

 

「クックックック……」

「何がおかしいんですか?」

「いや、すまん。そんな顔もできるのだなと思ってね」

「?」

「姉として、鬼殺の柱として、色々と背負うものがあるのだろうが、あまり気負い過ぎないことだ。偶には年相応に振る舞っても、罰は当たるまいよ」

 

軽く頭を撫でられる。その感触が、遠い、古い記憶を想起させる。

 

(ああ……そういえば、お父さんもよくこうやって頭を撫でてくれたっけ)

 

恩人の悲鳴嶼も撫でてくれたりはしたが、正直彼はあまり撫でるのが上手くなかった。

体格と膂力では柱随一の彼だからこそ、優しくしようとするあまりぎこちなくなりがちだったのを思い出す。

 

“やめてください”、そう言うべきだとわかっている。なのに、結局何も口にできないままその手に身をゆだねてしまう。懐かしくて、悲しくて、だけど少しだけ嬉しい。もう二度とないと思っていた、失われた感触をもう少し…そう思ってしまった。

一頻り撫で、士郎はカナエから手を放す。その手を、少しだけ名残惜しそうにカナエが目で追っていたことに、彼は気付いていただろうか。

 

「それで、どうするかね?」

「どう、とは?」

「医療施設に幽霊、というのも外聞が悪かろう。その宝石を売るなり捨てるなりすれば、晴れて幽霊屋敷の汚名返上だ」

「……」

 

なるほど、この宝石が彼の本体だというのなら、理屈が通る。

しかし、“捨てる”や“売る”とこともなげに彼は言うが、それは……。

 

「まぁ、屋敷の運営を考えるなら売るのが良いだろう。そうすれば……」

「これは、大事なものなんじゃありませんか?」

「……だとしても、関係のない話だ。そこから離れられない以上、売ろうが捨てようが何も変わらんよ」

「……でも、誰かの大切なものを売ったり捨てたりというのは、どうなんでしょうね」

「では、どうするというのかね?」

「士郎さん、蝶屋敷で働いてみる気はありませんか?」

「は?」

 

 

 

翌朝。小鳥が囀る爽やかな空気を引き裂きながら、蝶屋敷には廊下を疾走する胡蝶しのぶの姿があった。

 

(この匂い、間違いない。またあの幽霊の仕業だ!)

 

出汁の引き方からして蝶屋敷の住人や出入りする隠のものとは大違いだ。ここまで芳醇な香り、所詮は素人の彼女たちではどうやっても引き出せない。

どうせ厨に駆け込んだところで蛻の殻なのは承知の上だが、万が一にも手掛かりの一つでもつかめれば……そんな淡い期待と共に厨を除けば、案の定そこには……

 

「ふむ、どうせだから一品追加するか。さて、年頃の娘に喜ばれる品となると……」

(ナニカ イタ)

「甘い卵焼きもいいが、後でプリンにするという手もある。であれば、ここは……」

(ヤダ カッポウギ ニアイスギ)

 

ちょっと衝撃的過ぎて、片言になってしまっているのはご愛敬。

白い髪に黒い肌という日本人離れした色彩で、会話能力が死滅し表情筋も仕事をしていない水柱を上回る体格でありながら、普通なら似合わない筈の割烹着がビックリするくらい似合う偉丈夫が、実に手際よく朝餉の支度をしているのだ。ちょっと訳が分からなくて混乱するのも無理からぬことだろう。

 

「む? ああ、起きたか。少々待ちたまえ、もうじき準備が整う。

とはいえ、君も育ち盛り。なんなら、繋ぎにそこのお新香でも摘まむかね? 自信作だ」

「というか、誰よアンタ!!」

「うむ。まっとうなリアクション、感謝する。ようやく常識のある相手に会えて、正直ホッとしている」

「りあくしょん?」

「ああ、反応ということだ」

「なるほど…ってそうじゃなくて! まさか、アンタが幽霊の正体!?」

「そういうことになる。まぁ、枯れ尾花ではなくて申し訳ないが」

「なんでここにいるのよ!」

「簡単に言ってしまえば、今日から…正確には昨夜か? とりあえず、君の姉に仕えることになった。文句や抗議はカナエに頼む。何分しがない雇われの身だ、主には逆らえん」

「は? 姉さん?」

 

いや確かに、こういう突拍子もないことをやりかねない姉ではあるが……と思ったところで、ことの元凶がやってきた。

 

「おはようしのぶ、士郎さん。あら、今日の朝餉は何かしら? 楽しみね、ね~しのぶ」

「……士郎さん?」

「ああ、私の名だ」

「……とりあえず、だいたい姉さんのせいってことでいいですか?」

「責任の在り処、という意味ではそうなるな」

「わかりました。あとであなたからも話は聞きますけど、先に姉さんに聞くことにします」

「お手柔らかにな」

(……結構常識的そうね)

「あら? どうしたのしのぶ、なんだかちょっと怖いような……」

「姉さん、とりあえず洗いざらい話してもらうわよ」

「は、はぁ~い……」

 

こうして、衛宮士郎の蝶屋敷での日々が始まった。

 




〇士郎
UBW後に近い世界線。結局凜から離れて“正義の味方”をするようになる。なんだかんだで30代半ばまで生きるが、なんとか終戦させた戦争の責任を押し付けられる。「それで再度戦火が広がらないなら」と出頭しようとしたところで、なんか見覚えのある子ども(十代半ば)の魔術師に襲われる。
(普段なら万全を期してとどめを刺していたが、無意識に詰めが甘くなった結果)返り討ちにしたと思ったら、蘇生術式で復活して後ろからグサリ。致命傷を負ったところで凛と再会、この子どもは凜の子で、ついでに別れる直前に妊娠した士郎の子どもだったらしい。
別に薄情な父を恨んで……とかではない。むしろ、自分の在り様を貫いた会ったこともない父を尊敬していた。だからこそ、このままだと“世界の奴隷”まっしぐらなことが許せなかった。死にかけの士郎の魂を引っぺがし、例の宝石に封印することで“完全な死”を回避するのが目的。封印した宝石は、そのまま虚数空間へポイッ。本来なら、そのまま永劫虚数の海を漂いながら眠っているはずだった。

が、なぜか“鬼滅世界”の蝶屋敷の地面の下に。土地の力や住民の生命力を魔力に変換することで、短時間だけ実体化することができるので、時たま現れてはブラウニーかシルキーのようなことをしていた。そのため、こっそり“幽霊屋敷”扱いされていたが、悪いことは特になく、むしろ家事全般を手伝ってくれるので“座敷童”扱いされていたことから、“縁起の悪い物件”とは扱われていなかった。
鬼殺隊の医療施設となってからは、それまでとは比べ物にならないペースで魔力が補充できるようになる。これは、士郎が彼らの生命力を吸っているのではなく、流れた血や治療も虚しく落命した隊士の魂の残滓などから、魔力を得られるようになったため。
カナエが花を植えるために庭いじりをしている最中、例の宝石を発見。以降、カナエをマスターのようなものとして基本的に常時実体化し、蝶屋敷の主夫になる。

世界と契約済みで“英霊”一歩手前の状態。そのため、現世に留まる要石と必要な魔力さえあれば実体化は可能。ただし、完全な英霊ではないので“全盛期の状態”ではない。
死に際に「残せるとしたらこんなものくらいしかないが……」と固有結界を子どもに譲渡。そのため、投影の精度はがた落ち、固有結界も基本的に使えない。当然、宝具や概念武装の複製も不可。一応強化や変化は使えるし、簡単な結界も張れる。
戦闘能力的には、強化ありで柱を除けば鬼殺隊の中でも上位相当。戦闘スタイルや経験のおかげで、柱が相手でも早々に負けない。そのため、ちょうど良い練習台として扱われる。言わば“サンドバック”か“巻き藁”扱い。一番体良く使っているのはしのぶ。

“絞った雑巾”のような状態だが、頑張ればもう少しだけ絞れる。
ちなみに、全盛期なら死徒二十七祖とも相性と条件次第では渡り合えるし、なんなら道連れも不可能ではなかった。
その力をわずかでも振るえるとしたら、果たしてそれはどんな時で、どのような結果をもたらすのか……。


蝶屋敷の面々からの認識→お母さんのようなお父さんみたいな人
注:本人としては、親として碌でもないにもほどがあるので「やめたまえ」と苦言を呈するが、はてさていつまで抵抗していられるやら。

柱の力量→基本ポテンシャルと技量は最強クラスの代行者並(埋葬機関は除く)。二十代…場合によっては十代でこの実力なので恐れ入る。経験と相応の装備(概念武装や魔術礼装)があれば……と惜しくも思っている。

鬼について→とにかくしぶとい。でも、単純な戦闘能力では二十七祖ほどではなさそう…というのが、カナエ達に話を聞いた士郎の感想。しかし、上弦の実力は未知数なので「二十七祖クラスを想定すべきか」とも思っている。

余談だが、凛と別れたのは色々あった挙句に桜や大河をその手にかけるしかなかったから。鉄心やオルタの様にならなかったのは凜のおかげだが、だからこそ彼女まで殺すことになることを恐れ、離れて行ってしまった。

とまぁ、だいたいこんな感じ?



以下、まったく関係ない“鬼滅の刃”のIF話の設定その他諸々。

童磨に吸収されて死んだと思ったら、なぜか生きてたしのぶ。状況把握もそこそこに、急ぎ戦いの場に戻ろうとするが……なにか自分の知っているのとは色々違っているようで。

〇時代は無限城編と同じだが、無惨との最終決戦は起きていない。
〇煉獄、カナエ、錆兎 生存。他にも、主要人物にとって重要な人物のほとんどが生存。
〇加えて瞋寿郎は腐ってないし、悲鳴嶼は誤解されて投獄されなかったし、伊黒の親族は全滅してたし、有一郎は一応生きているので無一郎も記憶失くしてないし、不死川家は鬼に襲われたけど母親が鬼になったわけではない…と、大変優しい世界。
〇原作とあんまり変わってないのは甘露寺と宇随くらい。
〇そんな優しすぎるくらいに優しい世界に、ちょっとどころではないくらいに違和感をぬぐえないしのぶ。特に、それなりに表情筋が仕事をして、言葉少なながらちゃんと話をするおかげで周りと結構うまくやれている冨岡とか、うすら寒いにもほどがある。あと、喜怒哀楽がハッキリと面に出て、毒を使って弱らせたうえで「首を斬る」という戦い方をする自分とか……。
〇鬼殺隊全体でみると、人材が失われていないことから全体的に質は高い。特に、“準柱”ともいうべき実力者がそれなりにいるのが大きい。反面、柱個々の実力は原作には及ばない。逆境の差だね!!

とまぁ、これだけなら幸せな世界…なのだが、よくよく調べてみると落とし穴が。
例えば蝶屋敷はカナエとしのぶ、仲の良い“二人の姉妹”で万事を取り仕切っていたり、なんかギャーギャー煩い猪頭とか珍妙なタンポポの姿を見かけなかったり、“鬼喰い”の記録がなかったりする。
特に大問題なのが……

「君に頼まれた例の調べものなのだけどね」
「はい」
「雲取山に“竈門”という一家はいなかった。正確には“かつてはいた”というべきなのだろうね。もう十年以上前に、大雨の後の土砂崩れに巻き込まれたそうだ」

「あ、情報提供はしてもいいのですが、ハッキリ言って現状ではあまり意味がないですよ。鬼舞辻滅殺において最も重要な鍵がいませんから、残念残念」

なにしろ、禰豆子がいないと「鬼を人に戻す薬」は当然作れない。なので、残る三つの薬とのかけ合わせも破綻する。そもそも無惨との決戦自体に持ち込めるのか、という問題もある。
一応痣や上弦の情報には意味があるだろうが、肝心なところがどうにもなりそうにないなぁ……と思っていたら、なんか覚えのある特徴を持った子どもが鬼を狩っているという噂を耳にし、炎を操る鬼の娘も同行しているとか、水柱の親友兼継子とよく似たでも表情筋の死んだ隻腕の男もいたとか、ちょっと聞き捨てならない話を聞くのであった……みたいな?

とりあえず、こっちの世界ではカナヲはどこかに売られたし、善逸は野垂れ死んだし、伊之助は童磨に食われてます。早々都合のいいことばかりとはいかないネ!
あと、カナヲのいない、カナヲを知らない蝶屋敷に近寄りたがらないしのぶとか、まさに別人な義勇にバケモノを見たような顔をするしのぶとか、再会して涙ながらに「ごめんね、ごめんね」「よくやったね」「ありがとう」とカナヲを抱きしめるしのぶとか見たい……しのぶさんばっかりだな。
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