明日の分だったのに明日の更新どうしよう!
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聖女ジャンヌ・ダルク。第一特異点を共に旅したサーヴァントであり、最後の戦いの後もカルデアに残っている、いわゆる奇特なサーヴァントの一人。
カルデアに残った彼女は、研究者などの職員の手伝いをしたり、その性格から職員の悩みを聞いたりと、それなりに忙しい日々を送っている。今現在は戦闘とは無縁の生活を送らせてもらっており、少し新鮮な気持ちで、そしてとても、楽しい。
今日は職員の一人からマスターに届けてほしいと頼まれた書類を持って、この部屋までやってきた。マスターの部屋だ。サーヴァントのお悩み相談室とも言われていたりもする。
「マスター。書類をお持ちしました」
ドアをノックしてそう言うと、どうぞ、という声が返ってきた。ドアを開けて、中に入る。
「アナ。いらっしゃっていたのですね」
「…………。はい。こんにちは、ジャンヌ」
「はい。こんにちは」
いつもの無表情での挨拶。ジャンヌは対照的に、笑顔での挨拶だ。
ジャンヌから見て、アナは表情の変化が乏しい。ただそれは感情が薄いというわけでもなく、気心の知れた相手ならもっと喜怒哀楽を出してくれることを知っている。まだ、ジャンヌには一線を引いているらしい。少し寂しいが、ジャンヌが言うことでもないだろう。
そのアナは、可愛らしい黒猫が描かれたマグカップで、ちびちびと何かを飲んでいる。なんだか見ていて癒やされる姿だ。少しだけマスターの気持ちが分かる。
「マスター。どうぞ」
「うん。ありがとう」
書類を受け取ったマスターが早速目を通し始める。そのマスターの姿を見て、ジャンヌは薄く微笑んだ。
ジャンヌはマスターのことを慕っているし、恩もある。それが残っている理由だ。ただしそれは恋心ではないので、安心してほしい。
だからそんな、ちらちらと見なくてもいいんですよ?
ジャンヌがアナに視線をやれば、アナはすぐに目を逸らした。思わず苦笑してしまう。そんなに心配しなくてもいいのだが。
「さて、それでは私は戻ります」
「そう? いつもありがとう、ジャンヌ」
「いえ。何かありましたらマスターも遠慮無くどうぞ」
これを言っておかなければ、このマスターは忙しいだろうと遠慮してしまう。マスターは苦笑して、ありがとう、と片手を上げた。
それでは、とジャンヌが退室しようとしたところで、
「あの、ジャンヌ」
アナから声がかけられた。内心で驚きながらも、ジャンヌが振り返る。
「はい。何でしょうか、アナ」
「相談が、あります」
思わず目を見開いた。それほどの驚きだった。
ジャンヌは確かに多くの人から相談を受けているが、それは職員、つまり今を生きる人間相手だ。サーヴァントたちの相談はほぼ全てマスターが受けている。それに加え、アナはあまり自分を好いてはいないようなので、まさかアナから相談を持ちかけられるとは意外だった。
「私でよければお聞きしますけど……」
ちらりとマスターへと視線を向ける。ちらちらとマスターがアナと自分を見ている。かなり気になっているらしい。
「場所を移しましょう。マスターには聞かれたくないので」
あ、マスターの心が折れた。書類をめくる手が止まった。
見なかったことにしましょう。
ジャンヌにはどうすることもできないことだ。そっとマスターから視線を外して、アナと共に退室した。
アナと共に移動した先は、食堂だった。ただし職員が食事を取る広い食堂ではなく、ジャンヌが使わせて貰っている防音の個室だ。ジャンヌが相談を受けるようになってから用意してもらった部屋で、相談を受ける時はいつもここを使わせてもらっている。ある意味ジャンヌの部屋だ。
ここにあるのはテーブルと椅子、それに観葉植物などだけ。食事を取りたい時は自分で取りに行かなければならない。
アナと向かい合わせで座る。アナは少しだけ緊張しているようだった。
さて、アナからの相談だということは。
「マスターのことでしょうか」
「……っ! そうです……。よく分かりましたね」
「まあ、その……。なんとなく、関係性が分かりますし、特にこの間の一件で……」
「…………。忘れてください……」
ジャンヌが言ったのは、先日マスターの部屋で起きた珍事のことだ。珍事といっても、マスターがアナを抱きしめていたというものであり、それ以上のことは何もなかったらしい。ただ、何となくそうだろうと推測されていた二人の関係性が、確信へと変わった事件ではあった。
「それで、どうしました?」
「はい……。その、ですね。実は少し前に、マスターから、その、告白、のような、ものを、その、受けていまして……」
随分と歯切れが悪い。見ればアナの顔は真っ赤だ。かわいいと思ってしまう。
「その……。どのように返答すればいいのか……。未だに、分からなくて……」
「え」
「え……?」
ちょっと待ってほしい。マスターが告白して、アナは返事を保留中、ということだろうか。
「すでに付き合っているのかと……」
ジャンヌがそう言うと、アナは首を勢いよく振った。
「アナはマスターのことがお嫌いなのですか?」
「いえ……。その……。好き、です……」
「なるほど。私も正直恋愛に関しては詳しくないのですが……」
ジャンヌができることは一緒に考えることだけだ。
「アナの正直な気持ちを伝えるといいと思いますよ」
「私の……正直な気持ち……」
「そうです。何を不安に思っているのかも含めて。マスターなら、きっと全て受け入れてくれます」
「そう、でしょうか」
「はい。きっとそうです」
あのマスターは間違い無く信頼に足る人物だ。自分に相談するよりも、マスターに直接話す方がきっといい。それにこれは、二人の問題だ。あまりジャンヌが介入するべきではないだろう。
「ありがとうございます、ジャンヌ。あの、よければもう少し、いいですか?」
「はい。もちろんです。遠慮無くどうぞ」
夜。自室に戻りながら、ジャンヌはアナとマスターのことを考えていた。
二人とも、お互いが好きなことは明白なのだが、どうにもあと一歩、踏み出せないらしい。アナがもう少しがんばれば解決しそうではあるのだが。
アナには今後ともお願いしますと言われているので、また何か相談されるかもしれない。その時にまた詳しく聞くしかないだろう。
ただ、マスターは今を生きる人間だ。時間は限られている。そのことに、アナが早く気づけばいいのだが。
ジャンヌができることは少ない。心の中で、小さな友人を応援しておいた。
他者視点ということで、ジャンヌさんに出てきてもらいました。
アナちゃんとマスターを見守る役です。
ただ、ちょっと書きにくかったので、今後もあるかは不明……。
明日からですが、更新はできて一回となります。
仕事が忙しくなってきたからね! 仕方ないね!
更新ない日もあるかも! でも感想もらえたらがんばるかも!(露骨な催促)
あと、ぷちあんけーと!
今後の展開について、このまま片想い状態を続けるか、それとも恋人のようなあまあまにするか。
どちらがいいかを活動報告にコメントしていただけると嬉しいですよ!
ではでは!