アナといっしょ!   作:龍翠

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通勤、通学のお供にアナちゃんをどうぞ!
アナちゃんをかわいく書けていればいいな!
2400文字


告白(アナ)

 

 町のホテルの中、アナはマスターの部屋の中で、一人静かに待っていた。

 マスターの部屋もアナの部屋と同じで、ベッドや椅子、テーブルなど最低限のものしかない。椅子も一つしかなかったので、先ほどアナの部屋から持ってきたところだ。マスターは、一階にある食堂に飲み物を取りに行っている。

 アナは、マスターに自分の気持ちを伝えると決めた。今からとても緊張している。強い敵との戦いも緊張するが、それとは全く違う緊張だ。苦しくて、苦しくて、逃げたくなる。

 

 きっとマスターなら、アナがいなくなっていても苦笑いするだけだろう。朝に会った時に、何事もなかったように接してくれると思う。けれど、今ここで逃げれば、もう二度と伝えることができないような気がする。

 じっと、じっと待つ。

 しばらくして、ドアが開いた。入ってきたのはマスターで、その手にはジュースで満たされたコップを持っている。

 

「お待たせ。オレンジジュースで良かったかな」

「はい……。ありがとうございます、マスター」

「いや」

 

 オレンジジュースが目の前に置かれる。アナが何も言わずにそのコップを睨み付けていると、マスターが苦笑しつつ言った。

 

「話しにくいことなのか? 無理に今日話さなくても……」

「この間の、返事です」

「…………」

 

 一瞬だけ、マスターの動きが固まった。マスターが深く息を吸い込み、吐き出す。そっか、と頷き、向かい側に座った。

 

「よし……。覚悟はできてる」

 

 それなら是非ともその覚悟をわけてほしい、という言葉を呑み込む。素直に、マスターはすごいと思う。きっとマスターも、こんな気持ちで自分に気持ちを伝えてきたのだろう。それなのに、保留なんてしてしまって、申し訳ないと思う。

 アナはつばを飲み込み、マスターへと言った。

 

「私は……。マスターの隣にいたいです……」

「それじゃあ……!」

「でも!」

 

 マスターが何かを言う前に、言いたいことを言わないといけない。ぬか喜びなんて、させたくないから。

 

「私は、サーヴァントです。英霊でもなく、これでも、神霊なんです」

「うん」

「それに、私はこんな幼い姿で現界してしまいました。能力的にも劣っています。私は……怪物に近づくほど、強力な存在となりますから……」

 

 言えば言うほど、マスターの顔が見れなくなる。アナの言葉を聞いて、何を思っているだろうか。

 

「私は……未熟な、半人前のサーヴァントです……。だから、私なんか……」

「それ以上は怒る」

「……っ!」

 

 静かな、怒りを感じるマスターの声に、アナの体が竦む。じっと次の言葉を待つと、マスターが大きなため息をついたのが分かった。失望、だろうか。このまま、お別れ、とか。

 

「アナ。いや、メドゥーサ」

 

 アナの真名。顔を上げると、優しげに微笑むマスターの顔があった。

 

「全部ひっくるめて言うけど。だから、なに?」

「え?」

「俺は強いサーヴァントにいてほしいわけじゃない。優秀だから選ぶわけじゃない」

 

 マスターの右手が、アナの頬に触れた。

 

「俺は、アナに隣にいてほしいんだ。それだけだよ」

 

 アナが目を見開く。アナが、欲しかった言葉。

 

「私で、いいんですか?」

「うん」

「私は、マスターの隣にいても、いいんですか?」

「もちろん」

「私は……」

 

 言葉に詰まり、けれど、これは聞かないといけない。嗚咽を小さく漏らし、マスターの顔をしっかりと見る。

 

「私は、マスターを好きになってもいいんですか?」

「先に惚れたのは俺だからね。好きになってくれると、嬉しい」

 

 マスターが立ち上がり、アナの目の前で屈む。そのまま、アナのことを抱きしめてきた。マスターの温もりを感じていると、マスターが続ける。

 

「もう一度、言うよ。俺は、アナのことが好きだ。一緒にいてほしい」

「私も……。私も、マスターのことが、大好きです……!」

 

 そこが限界だった。気づけばアナの瞳から大粒の涙がこぼれ始めた。不安でいっぱいいっぱいだったのが、安心して決壊してしまったらしい。泣き始めるアナに、泣き顔なんて初めて見るな、とマスターは笑いながら涙を拭いてくれた。

 

 

 

 夜。何となく、自分の部屋に戻ろうとは思えず、アナはマスターのベッドに潜り込んでいた。当然ながら、隣にはマスターがいる。一緒のベッドに入っていることに、妙に緊張してしまう。

 

「せっかくだし」

 

 というマスターの言葉の直後、また抱きしめられた。

 

「マスター……。ちょっと、苦しいです」

「あはは。ごめん。だめかな?」

「…………。構いません。私も、温かいので」

 

 どうにか、自分の調子を取り戻してきているような気がする。未だ落ち着かないが、明日には、大丈夫だ。多分。

 ふと、最後に言いたかったことを言えていないのを思い出して、アナはもぞもぞと顔を上げる。至近距離でマスターと目が合った。近い。

 

「あ、あの、マスター」

「うん?」

 

 息を吸い、少しだけ心を落ち着かせてから、言った。

 

「こんな私を選んでくれて、ありがとう、マスター。とても、嬉しくて……、幸せ、で……」

 

 最後は、言葉にできなかった。

 マスターに塞がれていたから。

 

「……っ!」

 

 キス、というやつだ。ドラマで見た。自分がされるとは、思っていなかったけど。

 そっと、マスターの唇が離れる。柔らかく微笑むマスターに釣られて、アナも笑みを浮かべた。

 

「大好きだよ、アナ」

「はい……。私も、大好きです、マスター」

 

 お互いに体を寄せ合い、静かに眠りについた。いつもより、安心して眠ることができた。きっとマスターが側にいてくれたからだろう。

 

 

 

 翌日。カルデアに戻ったアナとマスターは、そのまま姉二人の部屋を訪れた。そこには珍しく、未来の自分がいた。

 

「おかえりなさい、マスター、メドゥーサ」

「初デートはどう……。あ、ふうん? なるほど?」

 

 エウリュアレが意地の悪い笑顔を浮かべる。なるほどなるほど、と頷き、そしてアナへと一言。

 

「がんばったわね」

「あ……」

 

 たった一言の褒め言葉。褒め言葉、だけ。姉には全てお見通しらしい。

 

「はい!」

 

 晴れやかな笑顔でアナが頷くと、姉二人と未来の自分はどこか満足げに頷き、微笑んでいた。

 




次話以降はいちゃいちゃします。
あらすじ詐欺? 最初は守ってるから、せふせふ。……多分。
あとこの表現は大丈夫でしょうか。R15は必要かな……?
必要だと思ったらメッセージでもくれたら嬉しいです。


ちなみに、後半はボツにした内容があります。
それがこちら。

アナ「上姉さま! 下姉さま! あと未来の私! 私は、一足先に大人になりました……!」
エウリュアレ「ぶふっ!!!」
ステンノ「!?(硬直)」
騎メドゥーサ「………(呆然)」
アナ「大人に、なりました……!(顔真っ赤)」
マスター「(顔面蒼白のまま逃亡)」
三人「まあ、すう、たあああああああ!」
アナ「あ、あれ? 何か間違えました?」

さすがに遊びすぎたからボツしました。当たり前だね。



Q.カルデアからサーヴァントが離れていても大丈夫なの?
A.だ、大丈夫さ! 未来のカルデアの謎技術で大丈夫だよ!
  ぶっちゃけカルデア内限定だと書きにくいんだよ!
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