リリカルなのは~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 高町 なのは(ミッドチルダ・自宅)

 

「ただいまー」

「お帰りなさ…………ママ? 誘拐は犯罪だよ?」

「一言目でそれが出てくるなんて、ヴィヴィオは私のことをなんだと思ってるのかな?」

「なのはママはなのはママだよ? 私を闇から救い出してくれたヒーローで、味方には優しく敵には容赦の欠片もない阿修羅のような事をする大魔王様で、ヴィヴィオの大好きなお母さん」

「ありがと、ヴィヴィオ」

 

私とヴィヴィオはにっこりと笑顔を浮かべた。

 

「……それで、ママの背中のその人はいったいどうしてここにいるの?」

「喧嘩を売ってきたから一方的に投げては叩きつけ投げては叩きつけを繰り返して最終的に背中に震脚やったら心臓が止まって変身が解けちゃったから蘇生させたはいいけど気絶したままにしておくのは可哀想かなと思って拾ってきたから」

「大人気ないな姐御……見たとこ12くらいの子供にそれって……」

「わぁ……ママに喧嘩売るなんて……自殺願望でもあるのかな?」

「ヴィヴィオもひでえなオイ」

 

いつも通りに見えていつもとちょっとだけ違うアギトとヴィヴィオの掛け合いを見ながら、私は背中の女の子……アインハルト・ストラトスをソファーに寝かせる。心臓が止まったと言ってもほんの一瞬の事だし、脳や体に異常が無いことも確認したからしばらくすれば起きると思うんだけど……。

ちなみに名前は生徒手帳で確認した。ヴィヴィオと同じ学校かぁ……ヴィヴィオが心配。

 

「……起きないね」

「起きないねぇ」

「……ほんとは殺しちまったんじゃねえのか?」

「中々いい度胸だねアギト。私は確かに他人を殺すことは簡単にできる人だけど、他人を生かさず殺さずボッコボコにするのも得意なんだよ? なんなら体験してみる?」

「もう何度もやられてるっての!お陰で意味がわからないくらいスペック上がったわ!」

 

知ってるよ。そのためにやったんだから。

流石に出会ったばかりの頃のアギトじゃあ、私の全力の魔力を全部炎熱変換したり、熱波変換したりするのにはスペックが足りてなかったからね。特訓してスペック上げさせてみたんだ。

前にスバルのマッハキャリバーも改造とかしてないのに勝手にスペックが魔改造されてたし、多分できるとは思ってたんだよ。

で、実際にやってみたら本当にできちゃいました、と。そんなわけだね。

 

……ちなみに、私もそれなりに強くなりました。魔力量の方はもう早々上がらないだろうけど、技術の方は練習するだけ上手くなっていきます。

勿論そっちの方でも行き詰まったりはしますが、そんな時は焦らずのんびりやりながら適当に話をしたり遊んだりしている時に、さくらさんやヴィヴィオ、アギトの言葉でブレイクスルーを起こして新しい方法に踏み切ってみたりもしますから、まだまだ頂点は見えません。

 

「……そうだ、ヴィヴィオ。今日はもう遅いから、早めに寝ておきなさい」

「え? でも……」

「いいから」

「……はーい」

 

ヴィヴィオは見慣れぬ女の子に興味津々のようでしたが、ヴィヴィオの母親を自認している私としては自分の娘を狙う悪い蟲を娘に近づけたいとは思わないわけで。

だってほら、この子は聖王オリヴィエのクローンであるヴィヴィオを(バトルジャンキー的な意味で)狙ってるわけだし、弱かったら屠るとか考えてるわけだしね。

 

……まったくもう。ベルカの戦乱なんかとっくに終わってて、ヴィヴィオは平和に暮らしてるんだから、勝手な理由で襲ってこないで欲しいよね。

 

……さくらさんに頼んでアンダーグラウンドサーチライトの大迷宮に放り込んでもらおうかな? あの機械仕掛けの犬がいっぱい居る所に。

そうすれば死体を隠す手間が省けて……いやいや、こんな子でもヴィヴィオの先輩みたいだし、殺しちゃうのはまずいよね。今回の事で自分がまだまだ弱いってことも理解できただろうし、起きたらちょっとお説教をしながらこの子を家まで送っていこう。叩き付けた時にかなり脳も揺らした筈だし、しばらく立てないだろうからね。夜も更けてきてるし。

 

「……ん……ぅ」

 

丁度目が覚めたらしいアインハルトちゃんは、ゆっくりと目を開いて辺りを見回す。

 

「……ここは……天国ですか? ……天国とは、随分家庭的なのですね……」

「天国だなんて嬉しいね」

「……どうやら地獄だったようです。私はこれから陽光に焼かれて消し炭すら残さず消滅させられてしまうのでしょうか」

 

……この子も中々歯に衣着せないね。フェイトちゃんみたい。天然さんはこういう子が多いよね。

 

「そっちから襲ってこなければ何もしないよ。……起きれる?」

「……いえ、意識ははっきりしていますが、体は殆ど動きません」

「そう。まあ、そうなるようにしたから当然だけどね。送って行こうか? はい以外の答えは聞かないけど」

「それ聞く意味あんのかよ?」

 

アギトからツッコミが入ったけどさらりと流す。意味は無いけど形をとることは大切だからね。相手を騙すだけなら形があれば十分だし。

つまり、聞いたと言う事実が重要であって、その答えは重要じゃないわけなんだね。

 

「しかし……」

「じゃあ泊まっていく?」

「送っていって下さるのですか? それでは心苦しいですがお言葉に甘えさせていただきます」

「わぉ、こっちのはこっちので素早く意見を翻したよ。正しい判断だけど」

 

そうだね。この子にとってはそれが正しいと思うよ。親御さんも心配するだろうしね。

 

「それじゃあおんぶとお姫様だっこ、どっちがいい?」

「おんぶでお願いします」

「はーい♪」

 

……こんな感じでアインハルトちゃんを背負った私は、ゆっくりと夜のミッドチルダを歩くのだった。

 

 

 

「……あ、でもうら若い女の子がパンツ見せびらかすのはやめた方がいいよ?」

「見せびらかしてませんっ!」

 

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