リリカルなのは~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑 なのは(海鳴市・山中の神社)

 

アインハルトちゃんを自宅に送り届けてから数日後。私は気が付いたら海鳴に居た。

ただし、海鳴と言っても私の居た海鳴ではなく、別世界の海鳴だけど。

 

……どうしてそんなことがわかるかって? それについてはすごく簡単だよ。

…………私が居るからね。小さい頃の私が。

 

ただし、バリアジャケットはさくらさんの制服によく似たそれじゃなく、聖祥小学校の制服によく似たスカート系の服だったけど。お陰でここが異世界だってわかったから別にいいんだけどさ。

当然ながらさくらさんもこの世界にはいない。だけどはやてちゃんやシグナムさん達は居るから、きっと異世界と言うよりは平行世界と呼ばれる類いの物なんだろうと考えを巡らせる。

多分だけど、この世界は『さくらさんが私の所に来なかった世界』なんだと思う。少なくとも、この世界の私はさくらさんには出会っていない。

 

そこまで理解したところで、この時代にこの場所に居るはずの無い存在が六人ほど居ることに気が付いた。

六人のうち二人は顔見知りで、一人は名前と顔は知っている程度。四人目の人は……なんだか魔導師殺しと似た雰囲気がある。確か……エクリプス兵器だっけ? あんまり知らないけど。

確かリアクターの中には人形のもあるってフッケバインの頭(戦闘経験あり。魔法は効きがかなり悪いし殴る蹴るもあんまり効果がなかったからバラけさせられない【太陽】で動きを押さえ込んで絞めて落とした)に聞いたから、それかもね。

で、あと二人。この二人は体内に機械を仕込んでるくらいしかわからないけど、とりあえず人の形をしてはいる。機械人形……戦闘機人よりオートマタに近いのかな?

 

まあ、顔見知りの二人はヴィヴィオとアインハルトちゃんで、顔と名前だけは知ってるのがトーマだね。みんなちょっと成長してるけど。

……ってことはもしかして、全員が全員同じ時代から来たわけじゃないのかな? ヴィヴィオとトーマの年齢差から考えて、両者の間には三年くらいの時間のずれがあると見て間違いないし。

 

……まあ、私は何にしろ困らないけどね。どうせ本体と繋がってるお陰で私がここで死んでも経験が蓄積されるだけだし、帰るんだったら自分の存在を消せば帰れるし。

だから、とりあえず私は暫くこの世界の観光でもしてから帰ろっかな。お金が無いこと以外は問題は無いし。

でも、こっちの世界のお母さんの作ったお菓子とお父さんが作ったコーヒーも飲んでみたいような気がします。でも食い逃げはちょっとね……。

 

……と、言うことでちょっと後ろ暗いことをやっている人から大っぴらに表に出すことができないお金を『借り』て、朝になったら翠屋に行ってみようと思います。

それとついでにヴィヴィオ達とも合流して、なんだかちょろちょろと飛び回っている闇の欠片を適当に壊していかないと。

闇の欠片は確か当人の記憶を読んでその形になる筈だから、流石にさくらさんになることは無いだろうけど……私になることはありえるからね。いつの私になるのかはわからないけど。

 

……さてと。それじゃあ行こうかな。

 

私は神社の境内から軽く飛び上がり、真っ直ぐに目的地に向かって飛翔する。時間は無限に続くのかも知れないけれど、少なくともこの身の時間は有限。だからさっさとできることはやっておかないとね。

まずは適当にマフィアでも潰して……ああ、これにしておこうかな。『龍』って言うところ。規模は小さい割に結構溜め込んでるみたいだし。

なんと言うか、死んだふりをして地下に隠れた元巨大組織が威光を取り戻すために集めてる資金に見えなくもないけど、別にいいよね。裏組織は潰されて表の人達はみんなハッピー、私は懐が暖まってハッピー、不幸になる人はあんまりいない。いいこといいこと。

 

夜風を切り裂き飛翔する私は、これから起きる事件について何も知らないままに行動を開始したのだった。

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

「……なんだてめえ、なんでこんなとこに居る?」

 

そう言ったのは、なんだか奇妙な気配を漂わせているヴィータちゃん。前にもこんな気配のヴィータちゃんを見たことがある気がするけど、いったいどこでだっけ?

 

「……まあ、なんでも構いやしねえ。相手が誰だろうがブッ潰して、闇の書の糧にするだけだ」

「……ああ、わかった、欠片か」

 

物騒なことを言ってくるヴィータちゃんの言葉の中に聞き覚えのある単語を聞き、相手の大体の予想をつけた。季節からいって闇の書事件は解決してるはずだし、いまさらそんなことをするとは思えないからね。

だから多分、このヴィータちゃんは闇の欠片なんだろう。

 

……もし本人だったとしても、こう言ってるってことは未だに闇の書に繋がりがあるって事だから、闇の書に記録されてる元データを破壊しなければ何回殺しても復活するってことだから大丈夫だよね。

 

「行くぞアイゼン!」

 

ヴィータちゃんの形をした欠片(多分)はグラーフアイゼンにそう言って、先制攻撃をしてきた。

それじゃあ私も、さっさと潰して計画を進めないとね。元の世界のお金を使ってこの時代に小規模ながらインフレ起こすわけにはいかないし。

 

そんなわけで、ラケーテン見てから天地魔闘余裕でした、と。

具体的な方法を言うと、ラケーテン・ハンマーでつっかかってくるヴィータちゃん(偽)のアイゼンの柄に魔力で強化した手刀を入れて攻撃を止めると同時に武器を破壊する。

直後に同じく魔力で強化された逆の手刀でヴィータちゃん(偽)を袈裟斬りにする。頑張れば結構斬れるんだよね。ビール瓶とか。

そしてさらにその直後にレイジングハート不使用のフラッシュバスターを、連射力を無くす代わりに威力を上げて撃ち込んだ。

当然、自分の魔力消費はほとんど無い。闇の欠片がある結界の中は魔力に満ちているから、私みたいに大気中の魔力を利用できる魔導師からすると天国みたいな場所なんだよね。

 

闇の欠片ヴィータちゃんは一瞬でその形を失い、空気に溶けるように消えていった。

私は魔力となって拡散したヴィータちゃんだった闇の欠片を集め、レイジングハートの中のジュエルシードに溜め込む。闇の欠片と言っても所詮は魔力の塊にAIのように記憶の転写が行われたようなもの。つまり、ただの魔力にまでバラしてから操作することくらい簡単だと言うことだ。

 

それじゃあ勝負にならない勝負も終わって戦利品も得たから、さっさと予定を進めに行こうかな。

 

 

 

 

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