リリカルなのは~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 高町 ヴィヴィオ

 

よくわからないままここに来て、ユーノ司書長やママの言葉からここが過去の世界だと気がついて。私はクリスに頼んで『私達と同じタイミングでこの世界に現れた反応』を探しもらっていた。

アインハルトさんも私ももうすぐインターミドルが控えているし、早く帰らないとママ達も心配すると思うし……。

 

けれど、どうも捜索が捗らない。なにか大きな力に邪魔をされているのか、探そうとしてもある場所に近付くとサーチャーが分解されて消えてしまうようだった。

 

「いったい、どうなっているのでしょう……」

「にゃあ……」

 

アインハルトさんがそう呟いて、ティオが同意するように小さく鳴く。それは私が聞きたいことでもあるけれど、答えてくれそうな人はここにはいない。

 

「わかりません。……だけど、私達は帰らなくっちゃ。もうすぐ公式戦も控えてますし……っ!?」

 

瞬間、圧倒的とも言える魔力が突然現れた。どうして今までわからなかったのかが不思議になるくらいの巨大な魔力。それが、今までずっと検索が邪魔されていた方向に。

……私は、それが今までクリスの検索を邪魔していたんだと理解した。そしてその魔力の色を見て、いったい誰がそんな真似をしていたのかも理解した。

 

私の視線の先にあったのは、とても綺麗な桜色。私をゆりかごから解き放ってくれた、大好きなママの色。

だけど、その先にあった光景は私の知らないものだった。

 

まず、規模が違う。あの時に見たママの砲撃は、体を壊すくらいに強化した上での全力でも大体直径がママの身長と同じかちょっと小さいくらいだった。

けれど今見えているそれは、明らかにママの身長の十倍はある大きさで、今もその体積を増やしている。

 

そして、使い方が違う。ママは集束した魔力を砲撃魔法に使ったけれど、今浮かんでいるそれは表面から無数の棘を出してたくさんいる人達を貫いて消滅させたり、攻撃を防ぐ楯や貫いた相手を縫い止めるバインドの役割をも持っているように見える。

 

ママはそんな集束魔法のおばけみたいな物を自由自在に操って、私とアインハルトさんの所にも現れたいろんな人の偽物を次々に消滅させていった。

その中には私達も居たし、シャマル先生やザフィーラも居た。勿論フェイトママやママ自身も居たけれど、ママは全然気にすること無く消し飛ばしていく。

そして偽物が消えていく度に、あるいは魔法を使って攻撃したり防御したりする度に、ママの操る魔力の塊はその力を増していき、もう手がつけられないくらいに強くなっている。

 

そして数分後。戦闘にもならない蹂躙を終わらせたママは、なんでもないかのように公園のベンチに座った。

それからは今まで隠していたらしい魔力集束を大っぴらに再開しながら、自分の膝の上にちっちゃいママの頭を載せて撫で始めた。

 

……でも、あのちっちゃいママはなんだかママとは違う気がする。バリアジャケットは黒いし、髪型もなんだか違う。

だけど、きっとあのママは私達と同じ、未来から来たママだと思う。でも、私の知っているママとはまた違う気がする。

 

……多分だけど、あのママのいた世界と私達のいた世界は繋がっていない。いくらなんでも私の知っているママとあのママは、色々な物が違いすぎるから。

戦い方が違う。魔力の扱い方が違う。性格が違う。表情が違う。強さが違う。そっくりなのは外見と、魔力光の色だけ。

でも、自分の膝の上に頭を載せて眠っているちっちゃいママを撫でる手つきの優しさは、このママも本当は優しいことを示しているような気がする。

 

「これからどうしますか? ヴィヴィオさん」

 

アインハルトさんに尋ねられて、私は思いを固める。

 

「……まず、会いに行ってみようと思います」

「……わかりました。それでは参りましょう」

 

アインハルトさんは立ち上がり、ゆっくりと戦闘が行われていた方へと向き直る。

そして移動しようとバリアジャケットを展開しようとしたところで……足下に桜色の魔法陣が現れた。

 

『動かないでね。あんまり動くと体の半分くらいしか転送できないかもしれないから』

 

同時に聞こえたのは、ママの声。どうやら私達の話はママに筒抜けだったみたいで、多分私達がママに会いに行こうと決めたからこうして召喚しようとしてくれているんだろう。

 

『それじゃあ召喚するけど、寝ている子もいるから静かにね』

『はーい』

 

そして私とアインハルトさんはそれまで居た建物の屋上から姿を消し、公園のベンチの前で、のんびりとちっちゃいママを撫でているママの前に転送された。

 

 

 

 

 

side 織斑 なのは(異世界)

 

「突然呼びつけてごめんね、ヴィヴィオ。アインハルトちゃん」

「ううん、ちょうどママに会いに行こうって話をしてたところだったから、むしろ助かっちゃった」

「はい、ありがとうございます」

 

にっこり笑顔で二人を出迎えた私は、とりあえずこういう時の定型文を言ってみた。だけど、ヴィヴィオもアインハルトちゃんもむしろよかったと思っているみたい。

 

「あははは、まあ、挨拶はこのくらいにしておいて……いくつか質問していい?」

「私もママに聞きたいことがあるから、いいよ」

「じゃあ遠慮なく。……二人は何時から来たの? ちなみに私は新暦78年の12月からだよ」

「私達は新暦79年の6月から」

「……半年、ずれているようですね」

「そうみたいだね」

 

半年のズレは……まあ、大したことは無いとしても。世界の違いは大きいだろうなぁ……。

……と、思わないでもないけど……まあ、その辺りは話をしてから考えよう。

 

「それで、そっちの質問って言うのは何かな?」

 

にっこり笑顔を浮かべ、シュテルちゃんの頭を撫でながらヴィヴィオに聞いてみると、ヴィヴィオはちょっと真剣な表情を浮かべた。

 

「……ママは、私のママ?」

「世界の違いに目を瞑れば、私は高町ヴィヴィオのママで合ってるよ。まあ、つまりはそっくりさんなだけで別人ってことなんだけどね」

 

……でも、やっぱりわかっちゃうか。隠してたつもりは無いけど、こっちの世界の私と私は随分違うみたいだね。

 

私は魔力集束を続けながら、のんびりと考え事を始めていた。

 

 

 

 

 

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