玉藻生活    作:高崎瑞希

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三話

「あー…美味しかった。」

 

無事食堂に着いた。

とりあえずキャス狐っぽく「お任せでお願いします♪」って言ってみた。

めっちゃうまいカレーが出てきた。

いやー…美味しかった!

 

さて、だいたいカルデアの中は見て回れたんだよね。

というわけで次は…コミュニケーション?

ま、まぁ清姫にはばれなかったし…せっかくなら色々な子と話してみたいし。

適当に廊下でも歩いてみようかな。

 

「む?キャス狐ではないか!」

 

いきなり話しかけられた。

さて誰だ?なんて考えるまでもない。

いつ聞いても萌える、この丹下さんボイスは…!

 

「うむ!余である!」

 

ネロだ。

えっと…キャス狐はネロのことなんて呼んでたっけ…?

『赤王』とか『赤セイバー』とかだったっけな…

いや、たしかマイルームでは『皇帝様』とか言ってた気がする。

でも本人に向かって『皇帝様』はさすがにないだろ…え…どうする…?

 

「どうしたのだ?いつもの元気がないではないか。仕方ない。余の美声を聞かせてやろう!」

 

ネロさん…とかかな?名前呼びはさすがに怪しまれるかな…

うわー…いつも玉藻はなんて呼んでるんだ…!

 

「~~~!!!」

 

突如廊下に轟音が響き渡った。

耳が壊れそうなほどに痛い。鼓膜が破れそう…!

 

「だー!うるさい!」

 

もうムリ。考えてもきっと結果はでない。

それに止めないと歌い続けそうな気がするし!

 

「なっ!余の歌がうるさいと言うのか!?

普段は奏者(マスター)にしか聞かせぬところを仕方なく!仕方なく聞かせてやっておるというのに!」

「じゃあさっさとマスターのところに行って歌え!廊下で騒がないでくれる!?」

 

『騒ぐ』というところに反応したのだろうか。

驚いたような顔でこちらを見ているネロ。これこそが『開いた口がふさがらない』というやつか。見事にポカーンとしている。

 

「ど、どうしたのだ…?キャス狐よ…熱でもあるのか?」

「は? …あっ…」

 

しまった…!

口調を寄せるのを忘れていた…!

 

「い、いや…その…」

「そうであったか…よし!余がナイチンゲールを呼んできてやろう!しばし待て!」

 

行ってしまった…

まずい。非常にまずい。

ナイチンゲールはバーサーカーだ。見つかると確実に話は通じない。

しかも呼んでくるということはおそらくまたネロも来るだろう。

 

………逃げよう。

 

くるりと180度回転。俺は走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

ダメだ…俺にコミュニケーションは取れない…

こいつら全てを相手にできるマスターはすごいな…

リアルカルデアでは生きていける気がしないわ…

 

現在俺は自分の部屋で布団を頭からかぶり震えていた。

このまま夜が来るのを待ちたい。

しかし、夜になるとマスターはこの部屋にやってくる。

だからといって外を歩こうものならきっと誰かにばれる。

いっそのこと舌とか噛んだら元の世界に戻れないかな…?とか考えたけど…この体に傷をつけるとか論外。

 

つまり…八方塞がりだ。

 

仕方ない。これしかないか。

 

あまり乗り気ではなかったが…このままでは俺の玉藻が汚される(ついでに俺の心も汚される)。

 

俺は布団から抜け出し、とある準備を始めた。

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