鯖総入れ替え四次(おっさんホイホイ)   作:ケット

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その後

 その後はさしたることもない。それでいて、深いところから変化はあった。

 

 とある連続殺人犯は、警察発表では被害者の少年に刺殺され、被疑者死亡の扱いとなった。

 

 衛宮切嗣は、ケイネスの助けもあり愛娘イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの奪回に成功した。

 母の死を嘆く娘に謝り倒し、そして優が示してくれたようにヒトラーが集めた古代技術コレクションを用いて、少しでも世界から飢餓・水不足を減らすための活動をじっくりと続けた。

 ラムダ・ドライバは神秘、いや魔法の領域に深く食い込むため外されたが、それを除いた人型兵器もあちこちの研究所に提供された。

 人型機そのものはこの世界での軍事では使い道が少なかった。

 だがその人工筋肉と小型大出力のリアクターは、昆虫を模した多脚重機として土木工事・災害救助など広く活躍したという。高度なコンピュータも有用だった。

 巨大な魔法の素質があるイリヤも、アーチボルド閥として、無事に生きるための修行をした。

 

 間桐桜もアーチボルド閥として、主にソフィアリ家の教導を受けた。間桐家の魔術そのものは当主の消滅で使用不能になっており、それとは別の魔術を学び、のちには時計塔で凛をはじめこの世代に妙に多い天才たちと競い合った。

 間桐慎二は最低限の財産を受け継ぎ、魔術とは関係のない生活をすることができた。

 雁夜は桜の法律上の、また家庭的・精神的な養父としての役割を果たし、またジャーナリストとして、普通の人間としての生涯を送った。のちに別の、魔術とはまったく関係ない女性と結婚した。

 

 遠坂家も正式にアーチボルド閥に入り、凛と士郎もそれぞれ教導を受けることになる。

 遠坂葵は独身を貫き、遠坂家を、ふたりの娘を支えた。

 

 士郎と桜が組めば出せる宝具も魔術の世界を、最初はひそかに、のちには大きく揺るがした。

 

 ウェイバー・ベルベットも目の色を変えて修行に取り組み、後に教育者としての素質を開花させ、ケイネス閥の重鎮として活躍することになる。

 

 ケイネスとソラウは子にも恵まれ、その子はのちに密教の魔術的解析で大きな業績を上げた。

 ただ、ケイネスは老いを感じた頃、きわめて危険な、とても遠い異世界の魔力を借りる大魔術を行おうとして失敗し死亡した。

 

 言峰綺礼……彼の生涯は数奇とも言えたし、平凡とも言えた。

 彼を治療、いや作り変えた、殺して別人にしたアサシンの予言どおり。凡人が、桁外れの力と地位、神秘と近すぎる立場で生きる……しかも、

(自分は人工的な魂だ……)

 という劣等感も背負って。

 たいへんなことだった。

 凡人らしくいろいろな過ちを犯した。

 父にも娘にも迷惑をかけまた支え合って、葛藤と愛憎に満ちた、凡人の生を生きた。




何とか完結。

…解脱などは2018年4月ごろに先行で書き上げていました。つなげるだけの簡単な作業のはずなのに、半年以上筆がぴくりとも動かず…危ないところでした。

古(いにしえ)の名作に少しでも興味を持っていただければ、または若いころのヒーローたちの活躍を少しでも喜んだり筆者の解釈の浅さに怒ったりしてくれれば、幸せこれにすぐることはありません。

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