Fate/GrandOrder 鋼鉄の心臓 作:SS装甲軍司令部
邪ンヌ組はほんのり強化フラグを。マスター二人なのでシカタナイネ
サプライズチョコ、1個200万QPぐらいで売れませんかね(´・ω・`)
らっきょ復刻…AZO復刻もお願いします(エリちゃんズ)が何でもしますから!
駄文(前書き)はそこそこにして駄文(本文)をどうぞ
第4話 百年戦争の地へ
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。
汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者―――
薄暗いが豪奢なつくりだと一目でわかるホールの中心。黒い
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
魔法陣が光り輝き、現れたのは
黒き魔女は邪気の無い笑みを浮かべ口を開く。
「良く来ました、
次に魔女の口から告げられたのは殺戮の指示。春を騒ぐ街があれば破壊せよ、春を歌う町があれば蹂躙せよ。どれほど悪逆の限りを尽くそうと、どれほど悪徳を積み上げようと。神は全てをお許し下さるだろう。私に罰が下るなら、それは神の実在とその愛の証明に他ならない。
英霊たちはみな無言で頷く。例え清廉な騎士であろうとも、龍をも退けた聖女であろうとも、狂乱の檻にとらわれていてはまともな思考は叶わない。
カツ、と魔女の背中側に口をあけた通路から一人の魔術師が歩み出て、恭しく膝をつく。
「あら、ジル。準備は?」
「全て、完了にございます。貴女の僕に傷をつけるものはおりますまい」
「結構。では、彼を連れてきてちょうだい」
暫くの後、ホールの一角は火炎に包まれた。響き渡るのは男の悲鳴と肉が焼ける音。赤い炎の照り返しによって死人の様な肌を橙に染めた少女は宣言する。
「私の
広間の中心、哀れな司教が燃え尽きた床には龍をあしらった紋章が描かれていた。
『立花ちゃん、大丈夫?』
コフィンの中に響いたゆるふわっとしたドクターの言葉に意識を現実に引き戻される。既に今回の作戦に参加する面々はコフィンに乗り込み、レイシフトの時を待っていた。
「あ、ええはい。大丈夫です」
『ちょっと精神グラフが乱れたのが気になってね。何なら、レイシフトを少し遅らせるのも手だけど』
『おい』
心配性なドクターの言葉を氷のような冷たさの声が遮った。
『少々のことでレイシフトを遅らせていたのなら、何時まで経っても人理修復なんぞ終わらん。マスター、行けるな?』
今回、マシュ以外に連れて行くサーヴァントとして選択したセイバーの若干苛立たし気な声がコフィンに響く。字面だけ見ると厳しい意見だが、状況を考えれば当然の帰結。青セイバーよりもドライ――だと自分は認識している――な性格のセイバーオルタらしいと言える。
「うん、大丈夫。ちょっと今朝の夢を思い出してただけだから」
『うーん、それならいいんだけど。何かあったらすぐに連絡をしてくれ』
レイシフトするのは先ほどの闇落ち騎士王・セイバーオルタ、我らが後輩・マシュ、人類最後のマスターその1・藤丸立香、人類最後のマスターその2・藤丸立花、最後に
『現地についたら、まずは召喚サークルの設置。その後、現地のサーヴァントおよび勢力と協力して特異点の原因となる聖杯の奪取、もしくは破壊だな?』
『ああ、その通りだ。君は今回レイシフトする中でも年長の部類だ、上手くサポートしてくれ』
『んん?身体は成長してないが、セイバーの方もなかなか歳行ってなかったか?』
『おい、レイシフト止めろ。急にエクスカリバーの切れ味が試したくなった』
セイバーオルタを茶化すという暴挙に出てカリバられようとしている
『はいはい、痴話喧嘩はそこまで。そもそもフリッツ君、キミも
『貴方に言われるのは正直釈然としないな』
カルデア技術局特別顧問、万能の発明家、レオナルド・ダ・ヴィンチ(♀)の苦言に苦笑いしているのが手に取るようにわかる。美の体現者として女性の身体を選択した
『おーい立花ちゃん、まーた精神グラフが乱れまくってるんだけど』
『立花ちゃんの個性だろうねぇ。センサーレンジを半分にしておこう。これ位はノイズの領域さ』
『あの、ドクター』
『そろそろ出発しません?』
ワイワイと楽しんでいる会話に、おずおずといった具合に常識人組の二人が介入する。何だろう、うん、頑張れ。人類の運命は私よりも君達にかかっている。色々迷惑かけるだろうが頑張れ、君たちが頑張ってくれないと困る。どれほど間違っても私は主人公ではない、私はあくまで傍観者、観客の一人に過ぎないのだから。
『…それでは、これよりレイシフトを始める。では―――健闘を祈る、立花ちゃん、藤丸君』
アンサモンプログラム スタート
霊子変換を開始 します
レイシフト開始まで あと3,2,1……
全行程
グランドオーダー 実証を 開始 します。
「レイシフトを抜けると、そこは草原だった」
「ヤスナリ・カワバタのオマージュですか?マスター」
隣で2人の少女が言葉を交わす。ヤスナリ・カワバタ、か。聞いた事がある様な、無いような不思議な気分だ。
右隣には自分のマスター、オレンジの少女とは違い油断なく周囲に目を走らせ始めており、奇妙に場慣れした雰囲気を醸し出していた。自分も双眼鏡を取り出し周囲を確認、なだらかな丘陵が広がり地盤も悪くない。機動戦や大会戦をするのは容易いが、遮二無二突っ込んだら丘裏から奇襲でも喰らいそうな立地だ。
とは言え、現在周囲には野戦砲も機関銃巣も砲弾跡も鉄条網もない。
「フリッツ、何か異常は無いか?」
「異常なし。ライフルよりも弁当抱えてピクニックでもしたいくらいに平和だ」
「フォウ!?ファーッ!」
足元に斃れていたらしき小動物が起き上がったかと思うと、おびえた様子で盾の少女に飛び移った。
「フォウさん!?またついてきてしまったのですか!?」
「フォウもレイシフトできるの?」
「そのようです、マスターか私のコフィンに忍び込んだのでしょう」
困り顔でマシュがフォウを抱えている。抱えられたフォウは何処か剣呑な視線を自分に向けていた。小動物の筈なのに、その眼はやたら理知的な気がする。
「そんなに嫌わなくてもいいだろうに」
「大方、貴様の血と硝煙の匂いに怯えたのだろうよ」
「…セイバー、さっきの事、根に持ってたりするか?」
「さあな」と吐き捨ててそっぽを向く騎士王。一見冷めているが、やられっぱなしは性に合わない性格なのだろうか?
「と、とにかく。時間軸の座標を確認したところ1431年でした。100年戦争のど真ん中ですがこの時期は戦争の休止期間の筈です」
「え?そうなの?」
「100年戦争と行っても100年戦争してるわけじゃないからな。この時代の戦争は比較的のんびりしたものだったし」
「ほほぅ、藤丸君って歴史に強い、と」
「ね、年代によるかな」
きゅぴんと目を輝かせる立花に冷や汗を出して予防線を張る藤丸。頼りになりそうなナビが一人増える事には利益しかなく、この先も頼れそうだと内心安心しているようだった。
「100年戦争か。ったくあの時も仲たがいしてくれてれば楽だったんだが」
「あの時?生前の話か?」
「只の一人事、いや恨み言だ気にしてくれるな。……なんだアレ?」
セイバーの探るような言葉から逃れる様に視線を上に向け、思わず固定される。空に目が釘付けになっている自分を不審に思った他の面々は空を見上げ、自分と同じように唖然としてしまったらしく沈黙が場に満ちる。
『よーし、通信もつながった、って何してるんだい?』
「ドクター、上、上見て」
空にあったのは巨大な光の環。ドクターの見立てでは北米大陸ほどもある様な巨大な魔術式らしいが、詳しいことは解析を行わないとわからないという。個人的な見解として、少なくとも人類に幸福を与える式というよりも、地球丸ごと破壊するための兵器のように見えた。
暫く進むと前方にフランスの斥候部隊らしき人影が見えてくる。フリッツの双眼鏡を借りると確かに見覚えのある武装兵士の一団が周囲を警戒しつつ進んでいるのが見えた。
「第1現地民発見、だね」
「どうしましょう、マスター。接触してみましょうか?」
「うん」と頷く立花、他にも異論をはさむ者がいなかったためかマシュが声を掛けようと足を踏み出す。その前に、自分の手は彼女の肩を掴んで待ったをかけていた。
「先輩?」
「あー、ちょっと待って」
確か、前回はここで何かが起きて戦闘になったはず。原因は忘れたがたしか回避できたと後でマシュが頭を抱えていたのを覚えて居る。回避できる戦闘は回避していくべきだろう。
とは言え、自分は日本語以外離せない。魔術礼装の翻訳機は自分で言語を選択し無ければならず、デフォルトは英語であり、フランス語で話しかけたところでうまく相手を言いくるめられる自信はない。さて、どうするか
「マスター、ここは私に任せてみないか?」
「フリッツ?」
「なに、100年戦争の時、ドイツいや神聖ローマ帝国のボヘミア王はフランス側だった。悪くは扱われないさ、じゃあ行ってくる」
「あ、ちょ!?」
待ってと言う前に、フリッツは悠々と歩きだしフランスの斥候と接触する。
「だ、大丈夫でしょうか?」
「んー、まあいいんじゃない?」
「何かあればたたっ切ればいいだろう。…死んだ斥候は情報を持ち帰らん、か」
『手が空いたから来てみれば、何でセイバーは物騒なこと口走ってくれちゃってんの?!流血は無し!無しの方向で!万一戦闘になったとしても峰打ちでよろしく!』
「セイバーの場合、峰打ちでも致命傷になりそうなんですがそれは…」
「心配するな、マスター。出した斥候が帰らないことは日常茶飯事だ」
『この騎士王様容赦無さすぎじゃない!?』
漫才を続ける事数分、それまで向こうで話してきたフリッツが戻ってくる。部隊が集まっている事を見るに、少なくとも敵対は避けられたようだ。
「どうだった?」
「取り敢えず、ルクセンブルク家の側近から事態の情報収集の以来を受けた調査団と言う事にしておいた。それと、今回フランスに降りかかっている災難もだいたい把握できた」
『マジで?!』
「何ともオーソドックスな災難だよ」
ハァと肩を竦める。もう敵が何なのかは知っているが、改めて聞くと良く勝てたなと冷や汗が流れそうになった。
「竜だ。今フランスは竜による侵攻を受けている」
「酷い有様だな」
何とかボロを出さない様に気を付けつつ、フランス軍の駐屯地に足を踏み入れた一行。砦と言うよりも廃墟と言うべき防御施設に、負傷兵の山を見たセイバーがポツリと言葉をこぼす。史実では戦争中ではないはずだが、砦の中は様々な戦傷を追った兵士たちで埋まり、うめき声や悲鳴が地鳴りのように響いている。
道すがら聞かされた話では、シャルル王は魔女に殺され、その手下である竜によってイングランド軍もフランス軍も踏みつぶされてしまったらしい。
そして、そのシャルル7世を殺した魔女こそ、数日前に火刑に処された聖女、ジャンヌ・ダルク。
「魔女、ジャンヌ・ダルクか。まあ、当然と言えば当然だな」
ポツリ、とフリッツが呟き、それを聞いていたらしいマシュが首を傾げた。
「本当に…そう、なのでしょうか?」
「そりゃそうだろう。何もかもを祖国に捧げた報酬が凌辱と火刑では、これで恨みを抱かなければ人と言えるものか。それこそ…」
彼の言葉を遮る様に、鋭い鳴き声が空から響く。その瞬間、それまで黙々と負傷者を手当てしていた者、無気力に武器を抱えて蹲っていた者、傷の痛みに喘いでいた者たちの目に恐怖が噴出した。
「……ッ!奴らが来た!」
「敵襲ーーーッ!」
「くそっ、またかよぉ!」
無気力の中に落ちかけていた砦は喧騒を取り戻す。とは言え、その喧騒はパニック一歩手前の恐慌と言う形ではあったが。
『気を付けてくれ!多数の魔力反応が急速に接近中!早いのも混じっている!』
ドクターの焦ったような声が耳朶を打つ。その時には、フリッツとセイバーは砦の外へ向かって走り出していた。
「くそ!奴が来るぞ!迎え撃て!」
「ほらほら立て立て立て!」
「抵抗しろ!武器を持て!」
恐慌一歩手前の兵をかき分けて城壁の上へ、双眼鏡を除くまでもなく空と陸を進撃する異形の群れが視界に入る。蜥蜴のような頭に蝙蝠の翼、腕がない所を見るに最強の幻想種ではなさそうだが、その速度は圧倒的。足元を進む骸骨の群れを悠々と飛び越して砦へと迫りくる。おおざっぱに数を計算して通信機に――念話よりもこちらの方が性に合っていた――怒鳴る。
「マスター、敵を視認した。ドラゴン、いやワイバーンだ。数は2個飛行、もとい30頭以上。骸骨兵は100体程度だ」
『骸骨兵はフランス軍と俺達で何とかする、ワイバーンを頼めるか?』
「やるだけやってみるさ。マスターは大丈夫か?」
『今、立花がカルデアからアーチャーとランサーを呼んでいる。アーチャーをそっちに送るからその後は遊撃として動いてくれ』
「了解!セイバー、君は」
聞こうとした時には、漆黒の騎士王は魔力の暴風を残して蒼空へと身を躍らせていた。不用意に突出したワイバーンの一頭の羽を切断し、揚力を失ったワイバーンを蹴って更に跳躍。彼女に足蹴にされたワイバーンは悲鳴を上げつつ骸骨の群れへと落ち行き、数体を踏みつぶした。
人間離れした正しく英霊にふさわしい戦い方に感心しつつ、長大なライフルを取り出してバイポッドを展開、半ば崩れかけた塀に固定して初弾を叩き込む。
「さて、当たってくれよ」
空を舞うセイバーに攻撃を加えようと一瞬ホバリングした個体へ向けて照準、発射。マズルフラッシュが瞬き、まともに対策されていない反動が諸に肩へと届く。サーヴァントでもなければ数回の射撃で肩を壊しそうな衝撃に、後世の逸話による補正を呪いたくなった。
螺旋回転をしつつ200m程度の大気の層を貫いた13㎜徹甲弾が今まさに騎士王へと飛びかかろうとしていたワイバーンの腹を射抜く。鮮血が舞い、体内組織を滅茶苦茶に破壊した銃弾が背中側の甲殻を粉砕して飛び出していく。銃撃を受けたワイバーンが糸の切れた人形のように急降下していくことから脊椎などの重要部位を損傷させたらしい。
次弾装填、照準、発射。2発目の銃弾は回避行動もとらず真っ直ぐ突っ込んできたワイバーンの眉間に着弾。甲殻を粉砕し、脳髄を破壊されたワイバーンは加速した勢いのまま壁に激突し、脆くなった城壁を不気味に振動させた。
「済まない、送れた」
「ワイバーンを頼む、7.92㎜で装甲を貫けるか微妙だ」
「ツーショットライフルか。面倒な逸話もあったものだ」
隣でぼやくアーチャーの言葉を聞き流しつつ、対戦車ライフルを横に放った。
その代わりとしてMG08/15を取り出し城壁に固定、照準は突撃を続ける骸骨の集団の先頭。砦の前で隊列を組んだフランス兵に襲い掛かろうとセイバーやアーチャーが撃ち落したワイバーンを乗り越えて突入を続ける。フランスの隊列の最前列にはマシュとランサー、2人のマスター。そして旗を構える金髪の乙女。
あれは、サーヴァントか?まあいい、助けになってくれるなら有難いさ。
トリガーを引き絞ると分間400発の鉛の雨が骸骨の群れに襲い掛かる。肉がない為被弾面積は少ないが、それでもかつての大戦でおびただしい数の人命を奪った重火器は人の成れの果てを文字通りなぎ倒し、マシュとランサー、フランス軍の仕事は残党狩り程度のモノになってしまった。
金髪のサーヴァントとはルーラー、ジャンヌ・ダルクと名乗った。何やら込み入った事情があるらしく、砦から離れた森の中へと招待される。
「先ほどはフランスに加勢をしていただき、ありがとうございました」
「フランスの人には短い間だったけどお世話になったから。気にしないで。私は藤丸立花、こっちはマシュと」
「セイバーだ、真名はアルトリア・ペンドラゴン」
「マスターに2人のサーヴァント、2重契約という事ですか?」
「いえ、そもそも聖杯戦争には無関係ですし、私はデミサーヴァントに過ぎません。正規の英霊ではないのです」
怪訝な顔で首を傾げる救国の聖女に、フリッツは一つの仮説を提示する。
「もしかして、聖杯戦争の情報を持っていないのか?」
「…はい。それ以外にも本来なら与えられるサーヴァントに対する令呪、真名看破も出来ず、ステータスもランクが下がってしまっています。貴方は…」
「アヴェンジャー、フリードリヒ・フォン・シュミット。好きに呼んでくれ。こっちは私のマスター、藤丸立香」
「よろしく、ジャンヌ。名前が同じだから彼女は名前で、俺は名字で呼んでくれるとありがたい」
『自己紹介が終わったところで、情報を整理しよう。シャルル7世の死とオルレアンの占拠、この2つは確定したと言っていい』
「何処からともなく声が…今のは魔術ですか?」
『自己紹介がまだだったね、僕はロマニ・アーキマン。ドクターロマンと呼ばれてる』
「ロマン…なるほど、夢見がちな人なんですね!」とジャンヌの邪気一切なしの指摘が時代を超えてロマンに突き刺さったが、気を取り直してカルデアの目的と未来の惨事を伝える。
「世界そのものの焼却、ですか」
「それを防ぐために俺たちはここに来た。君は、如何したい?」
以前の戦いでは自分たちとジャンヌの目的は同じだった。竜の魔女を倒し、聖杯を奪還する。しかし、気がかりはあった。彼女、ジャンヌ・オルタ――今はまだそう呼ばれていないが――は何か大きな秘密があったはずだ。抜け穴だらけの記憶を線で結ぼうとするが上手く行かない。その他にも最大の障害として巨大な竜が立ちふさがり、龍殺しの英雄ジークフリートによって勝利を掴んだことは覚えているが、どこで合流したか等の記憶が思い出せない。
そうやって自分が逡巡している間に、ジャンヌと共にオルレアンを奪還する方向で話がまとまったようだった。記憶通りの展開に一先ずは安堵する。
『一時契約と言う事で魔力の経路を繋いでおく方がいいね。立花ちゃんはすでにセイバーがいるし、藤丸君と契約してもらうのはどうだろう』
「ま、まさか魔力供給でくんずほぐれつのCGが」
「マスター!ダメです!オフィシャルじゃダメですぅ!」
『いや無いからね?!普通に一時契約するだけだから?!』
「あの、藤丸君。なぜ私の耳を塞いでいるのでしょうか?」
「極東には見ざる言わざる聞かざると言う言葉があってね。いや、ほんとマジでゴメン」
しかし、ここで問題が発生する。魔力の運用も詠唱も完璧であったはずなのに、藤丸との間に経路がつながらなかった。逆に、物は試しで立花と行ったところすんなりと契約できてしまったのだ。
「なんでさ」
『いや、ホントなんでだろうね?以前の償還でフリッツ以外のサーヴァントが召喚されなかったことに関係があるのかな?』
「大丈夫か?立花?」
「うん。魔力はカルデア持ちだし、何とかなるでしょ。蛇口がショボいのは認めるけどさ」
アハハと力なく笑う。騎士王と救国の聖女、通常なら一瞬で日干しになるほど燃費の悪いサーヴァント2人と契約した立花だが、戦闘がなければ身体的な疲労は無に等しい。カルデア式の英霊運用の利点をフルに生かした結果だった。
「さてと、それじゃあご飯にしようよ。という事で、よろしく料理長!」
立花が翳した令呪が淡く光り、「英霊はコックではないんだが」と眉間にしわを寄せた赤い弓兵が召喚された。
食事を終え、今後の方針に情報収集を加えつつ仲間を探す事を設定した一行は、テントを張って夜を過ごすことにした。生身であるマスター二人、それにデミサーヴァントであるマシュもサーヴァントがそれなりに揃っている今では休んだ方がいいという藤丸の進言により休むことになり、3人の英霊は寝ずの番として焚火を囲む。
「3人は眠りましたか?」
「ああ、慣れない野宿だろうにぐっすりだよ」
「そうですか…」
何か、考えを巡らせるようにジャンヌが黙り込む。こういう場合は本人が言い出すまで黙っておこうとしたフリッツだが、それへの問いかけは自分の隣から飛び出した。
「何か、まだ私たちに言っていない事があるんじゃないのか?」
「………」
「別に、詮索しようとは思わん。が、戦いの障害になるならばここで排除しておけ」
焚火の照り返しによって赤黒さを増したセイバーオルタのバイザーを数瞬見つめたのち、ジャンヌは己の心中を吐露する。
自分はまだサーヴァントの新人のような感覚だと、まるで生前の初陣のような気分だと。
「昼間の戦い、お見事でした。空を征くワイバーンを撃ち落し、地を征く骸骨を薙ぎ払う。それに比べて、私はまだサーヴァントとしての実感が持てません。このままでは私の方こそ、あなた方の足手まといになってしまうのでは、と」
パチリと薪が爆ぜる音が小さく響く。自分が情けなくなり顔を伏せたジャンヌに、英霊がかけた声は想像よりもずっと暖かな声だった。
「なんだ、そんな事か」
「え?」
顔を上げると、バイザー越しの騎士王と目が合ったような気がした。
「戦う以上、初陣は必ず経験しなければならない。英霊の座に時間の概念はないが、最初の1回目は存在する。貴様は、特殊な事情で最初の1回目の状態で召喚されたのだろう。しかし、生前の記憶はあるな?」
「はい、勿論」
力強く頷く彼女に、セイバーも軽く頷く。
「ならば、なにも問題はない。力不足というならば、マシュも、二人のマスターも同じだ。だが、人として、サーヴァントとして、騎士として膂力だけが全てではない」
チラリと顔を向けたほうには2組のテントが淡く照らし出されていた。
「彼らは、力が強いから戦っているわけではない。自分に出来ることを自分に出来る範囲で、当たり前のことを当たり前にやっているだけだ。貴様もそうだろう?
「……有難うございます。少し気が楽になりました」
そう言って笑った顔は、聖女というよりも年頃の只の一人の少女のものに近かった。セイバー自身は己の顔が知らず知らずのうちに微笑を作っていることに気が付かず、唯一黙って話を聞いていた復讐者がそれを確認し、小さく笑みを浮かべた。
「………」
「頑張らないとね、マシュ」
「ひゃいっ?!お、起きてたんですか?!」
恐る恐る寝返りを打つと、何処かいたずらっ子の様な笑顔を浮かべたマスターと目が合った。「いやぁ、何となく寝れなくて」と小声で付け足す。
「自分に出来ることを出来る範囲で、か。私もちょっと心が軽くなったよ」
「マスター?」
「ほら、見て」
立花が上げた手は小刻みに震えていた。
「別に、寒い訳でもアルコールが切れてる訳でもないよ。臆病、貴方と同じ病気なだけ」
「………何時から、気づいていたんですか?」
「冬木で、セイバーオルタと戦った時から。帰還の時、手を握ったでしょ?」
「そう、でした。すみません、私は」
「謝らないでよ。それで、私は安心できたんだから」
意味が解らず硬直するマシュに、立花は小さく噴き出した。
「藤丸君は妙に肝が据わってるし、フリッツもあんなだし。最初は自分だけが怖がってると思ってた。マシュも、英霊と契約して進んで敵に立ち向かっていってさ。でも、違った。”ああ、この娘も怖いんだ”って、あの時思ったんだ」
立花の寝袋から延びた手が後輩の頬を撫でる。
「頼りないマスターだけど、頑張るから。おっかなびっくりでもいいから、一緒に歩いてくれる?」
「…はい、マスター」
自分の掌を立花の手に重ねる。二人のテントから寝息が聞こえるのに、そう時間はかからなかった。
「もっとも、残念だがこの先私は君ら以上に役立たずになるだろう。昼に機関銃でワイバーンを一頭落としたが、250発は必要だった」
「フン、途中から援護が止んだのはその所為か。もっと火力の有る武器を使え」
「宝具を乱発しなきゃ無理だ。しかも、その場合はマスターが干からびる」
「では、囮だな。あの煩い武器なら良く敵を引き付けるだろう」
「引き付けた後は助けてくれるんだな?」
「貴様ごとカリバる」
「ジャンヌ。彼女に慈悲と言う言葉を教えてやってくれ」
「あ、あはは…」
力なく笑うジャンヌをバイザーの下の目で一瞥し、手元の薪を火にくべる。
清廉を貫くために慈悲を利用した1度目、圧制を布くために慈悲を蔑ろにした2度目、そして幾多の聖杯戦争。流した敵の血。流してしまった味方の血。恩赦と粛清。変わらない結末。訪れる滅び。ああ、私は――――――
暗く澱みを抱えた金色の瞳は焦点の合わない視線を焚火へと向ける。どろどろとしたもので粘ついた頭の中にジャンヌがワイバーンの情報をフリッツへ伝える声がボンヤリと響いた。
――どうして、
この作品でのセイバーさんはこの路線で行きます
勘のいい方はお気づきでしょうが第5次に参加していません
え?英霊の座は世界線や時間軸に関わらない?
なるほど、勘の鋭い方だ。第6軍と共にスターリングラードへ行く権利を差し上げよう
闇落ち一歩手前の精神ズタズタ金髪美少女とかって良くな(聖剣×2+聖槍×2+いっぱい直撃
感想を頂ければ作者は狂喜しますので、どうぞお気軽に…
次は邪ンヌと顔合わせですかねー
邪ンヌのお気に入りのペット(竜)も強化しておきましょうか
マテリアル・エクストラ
マウザー M1918
種別:対人・対戦車火器
レンジ:500m(最大射程)
最大捕捉:1
第1次世界大戦中、ドイツ帝国で用いられた対戦車狙撃銃。100m先の25㎜の鉄板を貫通できる13㎜徹甲弾を発射する。満足な対戦車火器の無い当時、歩兵が戦車に対抗できる数少ない手段の一つ。とは言え、製造を急ぐあまり既存のライフルをそのまま拡大した様な構造であり、発砲には強烈な反動を伴う。
当時の冗談により逸話が補強され。一度の戦闘での発砲は2発までの制限が掛かっており、3発目を撃とうとすると自壊する。
所詮宝具ではなく火器であるため、これ単体では英霊に傷はつけられない