【短編】父の名は。   作:ふくつのこころ

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好評だったので次のもひとつ。

短編だから、時系列とか関係なく好きなところを書いていってもいいよね?|ω・’)


騎士は徒手にて死せず

 デュラック・キリエライトと言うのは、わたし、マシュ・キリエライトの兄です。

 ちょっと過保護が過ぎてて、滅多に帰って来ないお父さんに代わって一緒に居てくれ、我が儘を言っても快く引き受けてくれる優しい兄です。

 そんな兄さんと出会ったのは、かなり前のことでした。兄さんとわたしは実は同じように実権の被検体という過去があり、秘密裏に行なわれていた実験が気づかれてしまったことで処分されかかったところをお父さんに兄さんは救われたと聞きます。

 わたしは、とある計画のために生み出されました。その計画の為、わたしの人生はあるのだと教わって育ってきました。

 そんなとき、噂になっていたのは円卓最強の騎士ランスロットの名前を持つ剣士が研究所各地をつぶしに回っていると言う噂。

 わたしがいた研究所もこの後のお父さんとなる人に潰され、兄さんと出会うことになりました。

 

 研究所に対する愛着、ですか?残念ながら、研究所の研究者たちとはあまりお話をすることはありませんでした。彼らにとって、わたしたち被検体はモルモットも同然、モルモットと会話することなんてないといわんばかりの雰囲気でしたし、わたしからも話しかけられませんでした。

 

『ぼくがかならず、まもってみせるから』

 

 初めて会ったとき、兄さんは泣いていました。

 

 そのときのわたしは兄さんが泣いている理由を知りませんでしたし、感情と言うものをよく理解していなかったのだと思います。

 お父さんは優しい表情で兄さんとわたしを見守ってくれていました。そのとき、わたしが幸せになれるようにと願いを込め、お父さんはわたしに「祝福」を意味する言葉からマシュと名づけてくれました。

 

 それからとはいうものの、兄さんやお父さんの周囲の人から色んなことを学ぶため、たくさんの人とお話をしてきました。

 そこで学んできたことと言えば、兄さんとお父さんほど過保護な人はいないということと、二人がわたしのことを大切に思ってくれていることです。

 兄さんは、本を読んだり勉学に励んでいるのを好きだからと言って学校に通ってはどうかと言ってくれました。わたしの体質のこともあり、渋る、お父さんを説得してくれ、女子の制服がとてもかわいらしい駒王学園に入学することができました。

 

 今でも、わたしはわたしのことを大切にしてくれる兄さんやお父さんのことが好きです。お父さんはほとんど家に帰ってこないので、「マシュを寂しがらせていることは許せない」という兄さんが穀潰しなんて呼んでますけど、本当は兄さんもお父さんが大好きなはずなんです。

 ただ、兄さんはそういう感情を出すのが苦手と言いますか、素直になりきれないだけで(でも、わたしに対して恥ずかしがらせるようなことを言うのはやめてほしいです)。

 

 お父さん、周りの人、そして兄さんがくれたものはとても大きなものです。真っ白だった、わたしの世界に色彩を齎してくれた兄さん。

 わたしと喧嘩をすると、すぐに諦める兄さん。もっと威厳を持ってください。

 女性にお父さんと同じくらいに弱い兄さん。

 わたしに何かあれば、目を真っ赤にして飛んでいく兄さん。

 

 兄さん、いつもありがとうございます。

 

 

====

 

 

「……デュラック・キリエライトだと?」

 

 青い髪にメッシュの入った教会のエクソシスト、ゼノヴィアは白髪にゆるいウェーブのかかった青年の名乗った名前に眉を吊り上げる。デュラック・キリエライトと言えば、かのランスロット・キリエライトの息子の名前ではないか。

 ランスロット・キリエライトと言えば、出自不明の養子が二人いる最強の剣士と言われる男だ。その娘のほうに昼間に会い、「出来損ない」と言ったが、この男は何をしにきたのだろうか?

 

「そうだ。僕の名前はデュラック・キリエライト。マシュが世話になったそうじゃないか」

 

「ふん、出来損ないの兄が何をしに来たかと思えば、お礼参りか。かのキリエライトも自分の名前に泥を塗る息子を持って大変だろう」

 

「……デュラック・キリエライトと言ったかな。ここは引き下がってもらえるかい?これは僕らの問題だ」

 

 デュラックがイライラしながら返すと、ゼノヴィアは鼻で笑った。金髪の少年が邪魔者を見る目でデュラックに返すが、そのアルビノの特徴的な容姿でデュラックが怒りで顔を歪ませると、まるで狂犬のよう。

 

 

「いいや、僕が引き下がるわけには行かない。僕の妹の名誉を汚された。それが一番の問題なんだ。僕の妹を出来損ない呼ばわりした、そこの青髪の女はさぞや勝ち組なのだろうな?……よりによって、あの人と同じ剣を持っているなんて」

 

「デュラック・キリエライト。まさか、君は……!」

 

「まあいい。二人まとめてかかって来い」

 

 ゼノヴィアが言うが早いが、デュラックは二人にとって信じられないものを武器にデュラックは持って戦っていた。

 

 照明を代えるにあたり、忘れていったのであろう古い照明である。

 

 

 それをゼノヴィアへと振るうデュラック、ゼノヴィアは持っていた「破壊の聖剣」の封を解き、受け止める。

 

「……円卓最強の騎士の息子は、狂戦士(バーサーカー)か?蛮族か?」

 

「あいにく、僕は騎士じゃなくてね。まあ、狂戦士かって言われたらそうかもしれないねえ!」

 

「ふざけた武器を……!邪魔しないでくれ、キリエライト!」

 

 木場は魔剣創造(ソードバース)で一振りの剣を作り出し、デュラックに脅しのつもりで突きを繰り出す。もちろん、先ほどのやり取りでデュラック自身が諦めるとは毛ほども思っていないが、頭に血が昇っていたといえばいいだろうか。

 

 しかし、狂戦士とゼノヴィアが言うようにデュラックの赤い瞳は、まるで獣のように煌々と光っていた。三つ巴の戦いの中、騎士は徒手にて死せずでその材質を強化させ、剣と渡り合えるほどには強化しているものの、そもそもの用途が違う。

 あえなく破壊の聖剣に破壊され、金属音のぶつかり合いが始まる。その音の主は、もちろん、木場とゼノヴィアである。

 

「そんな棒っ切れじゃ私は倒せないぞ、キリエライト!」

 

「わたしもいるんだからねっ!」

 

 栗毛のツインテールのゼノヴィアの相方、イリナもまた封を解き、擬装の聖剣の姿を現し、先端は剣の刃のまま、槍のように形を変え、白刃を煌かせてデュラックに突き刺さんとする。

 そのすれ違いざまにデュラックは自らの右手を――騎士は徒手にて死せずを発動させた右手を突き出し、擬装の聖剣を掴む。

 擬装の聖剣の姿の変化が能力によるものと見たデュラックは騎士は徒手にて死せずで擬装の聖剣を自分が使いやすいように“侵食”する。

 

「や……っ、なにこれ……っ!」

 

 イリナは自分の中になにかが蠢いているのを感じた。

 その蠢いているものは、触手のように這い回り、デュラックの手から擬装の聖剣の中に伸びているのが見えた。赤い線のようなものが槍へと変化した擬装の聖剣の上に浮かび上がり、デュラックは勢いのままに奪い取る。

 

「君はたぶん、マシュに何も言ってないんだろうね?」

 

「え、まあ、うん」

 

「じゃあ、関係ないね」

 

 擬装の聖剣を奪った上での急な問い、イリナは拍子抜けした。特に関係ないね、と言ったときのデュラックの顔が良い笑顔だったので、奪われた武器で切り捨てられるのかと思えば、そんなことはなく、イリナを無視してつばぜり合いの中にデュラックは突っ込んでいった。

 

「武器を奪い取る力を持つ者がいるとは聞くが、そこの狂犬がそうとはな。しかも、エクスカリバーを奪うことができるとは……!化け物のような容姿、その妙な力と叩き伏せてやる!」

 

 木場とのつばぜり合い中、そこから離れるようにして牽制の蹴りを入れた後、擬装の聖剣を身の丈以上ある巨大な棒にできないかと考えながら念じてみたところ、擬装の聖剣は槍から姿を変えた。

 デュラックのイメージ通り、しかし、どこからどうみても鉄柱にしか見えない魔改造ではあるが、騎士は徒手にて死せずの能力の作用を受けているからか、赤い線は持ち手から端から端へと伸びている。

 

 質量も変化したことにより、間合いを詰められまいと大きく鉄柱を振るったことにより、しかも、力任せであった為、風圧のおおきな風が吹く。

 

――このままではまずいな。

 

 ゼノヴィアは奥の手であるデュランダルの使用を考えていた。

 未だに扱いにくいので使うことが少ないが、しかし、デュラックの正体不明の能力の前では奪われる可能性もないとはいえない。

 

「考えている暇はあるのか!?持ってるんだろう!?アロンダイトと似た剣、デュランダルをさァ!」

 

 デュラックは、手に持っている鉄柱で破壊の聖剣を弾き飛ばそうと力いっぱいにぶつけてくる。力では現存するエクスカリバーの中でももっとも高く、そして脳筋傾向のあるゼノヴィアとは最も相性が良かった。

 猛るデュラック、赤い目と揺れる白髪の長髪とまさにバーサーカーの名前にふさわしい。髪を乱しながらも、何らかの手ほどきを受けていたのが見て取れる剣術は、ランスロット・キリエライトの指示によるものかと推測。

 破壊の聖剣を大振りで手から吹き飛ばした後、ゼノヴィアは、デュランダルの封印を解いて、破壊の聖剣を手から弾き飛ばしたデュラックの懐へと突貫する。

 

 さすがのデュラックも、騎士は徒手にて死せずを使っているとはいえ、擬装の聖剣はその特殊性から、担い手ではないデュラックでも扱いにくいものである。

 急な接近に思わず、擬装の聖剣を手から離してしまい、掴んだ武器を種類を問わずに自分が使えるようにする騎士は徒手にて死せずの効果はきれ、ただの剣に戻ってしまう。

 

 しめた、ここは正気とばかりにデュラックの喉元を狙うゼノヴィア、デュランダルの逸話がどのようなものかと知った上で、再度、騎士は徒手にて死せずを発動させる。

 手の甲の上に血管のような赤い線を浮かべ、その刃を掴んだ。

 

「……貴様……ッ!」

 

 手のひらは切り裂かれ、血を噴出しながらも、デュラックは笑いながら、向けられた刃を力ずくで地面に向けさせる。

 気味の悪い感覚がゼノヴィアのデュランダルから伝わってくる、これがデュラック・キリエライトの能力というところか。

 

「二度は言わないぞ。マシュに、僕の妹に謝れ、聖剣使い」

 

 バーサーカーは、赤い目を光らせながら脅した。 




絶対、デュラックの能力って木場と相性が悪いと思う(Zero並の感想)

お怒りおにいちゃん、ゼノヴィアしか見えてなかった模様(真顔)
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