きっと次はテスト後ですかね?
早く読みたいって方、一言とかで急かしてもらえると喜んで書きます、はい←
2014/3/18
一部語尾等を変更しました
「…鼠が動き出したか」
街の役場を占領して静かに考えごとをしていたジマはふと顔を窓の方に向けた
恐らく街を取り戻すという馬鹿けた事を考えているのだろう
自分の居場所が割れていることも知らずに
まあいい、ここに来たら来たですぐに始末してやろう
机に置いた黒炎剣を手に伸ばし、静かに笑う
だがしかし今1人で考えているのは昔家に帰るとあいつらがいた時の遠い日
思い出に浸るほど感傷的になるジマではない
なのに何故…
「あれを思い出す?」
ぼそりとつぶやいた声に反応するように黒炎剣が怪しく光った
* * * * * *
なぜ今昔を思い出すんだろう?
街に向かって林の中を進みながらハルはそんな事を考えていた
きっとジマにあったせいだろうと思う
でもそれだけではないような気もする
何か重要な事がある気がするがーーーーーー
そう思いながら昔の記憶をゆっくりと辿って行った
* * * * * *
ジマにとって結婚とはどうでもいいことだった
結婚する気がなかった、と言った方が正しいか
元々軍人であるジマは妻を作る気は全くなかった
だから政略結婚の話が持ち上がった時も特に気にはならなかった
せいぜい帰る場所に人がいるかいないかの違いだけーーそう思ってた
そんな風にしか考えていなかった
そんな事を考えながら周りの意見に従い、ジマは妻を迎え入れた
やがて月日が経ち、子供が生まれた
これも跡継ぎがいた方がいいという周りの意見に従ったものだった
どうせ軍人である身
家にいることはほとんどなかったから子供が生まれても特に関心はなかった
それを聞いてジマの同僚は冷たい奴だと苦笑されたことは覚えている
ジマは家に対して何も言わず、最低限必要な金を渡す以外何もしなかった
妻も何も言わず、ジマに尽くした
家のことは妻が全て行っていた
それを聞いて同僚は
「俺んとこの嫁さんも見習って欲しいよ…俺手伝いさせられるのに」と悔しそうな顔をして言っていた
一度、ガキがうるさくて静かにさせろと言ったことがある
その時も言い争うことでもなく妻はすみません、そう言ってガキのところに行った
それ以降ガキの方から避けられたので都合が良かった
そう、言い争う事なんでただの一度もなかった
あの日以外は
そんなある日、ジマに国の上層部から命令がかかった
『最低限の武装装備をして城に集合せよ』
という簡潔な内容だった
城に着くと大勢の軍人が集められていた
ジマは1人壁にもたれかかり、腕を組んで静かに待っていた
「静粛に、今から重大な指令をいい渡す!」
どこぞの高官のジジイが宣言し、現国王の息子の副王がジマたちの前に現れた
それにジマは眉をひそめる
国王の命令で集められたのに話すのが副王では話が違う、と
副王が集めるんならまた命令の名称が違う
そこのところは面倒臭くてもキチンとやらなければならない
なのになぜ?
「あまり公にはできないが国王はただ今病に伏しておられる。よって我が国王に代わりそなたらに重大な命を言い渡す!」
そう、副王が宣言する
なるほど
副王が喋るが命令は国王のもの、ということか
それなら納得がいく
そう考えながらジマは副王の声に耳を傾けた
「今、あまり国の内情はあまり思わしくないのが現状だ。戦の長期化による精神的疲弊、募る我らに対しての不信感。国境では暴動も起こっていると聴く」
まだ20代そこそこの副王がゆっくりと話を始める
「だがそれの大半は根も葉もない噂ばかりである。本来なら誰も気にしないようなくだらない内容ばかりだ。…しかし、生活に対する不安で疑心暗鬼になっている我が国の民には耐え難いものだろう」
ここで副王は集めたジマたち軍人を見回し、
「だが!」
と語気を強める
「それに乗じて国を乗っ取り、敵国に差し出さんとする輩達がいるのだ!
彼らは怪しげな術を使い人々を不安に陥れ、操り、無益な争いを起こそうとしている!」
「ゆくゆくは王の座につくという馬鹿げた妄想を抱えて!だがそうなった時、術で操られれば、我らは家畜同然に扱われ、末の代まで蔑まされてしまう!」
ここで少し間をあき、副王が高らかに宣言した
「そのような奴らに、我々は報いを受けさせねばならない!!!!!」
こうして運命の歯車はまたひとつ、進む
黒い思惑に支配されながら
* * * * * *
「ハル!」
家の前で母さんが呼んでいる
どうしたんだろう?
ハルは遊んでいた近所の友達と離れタタタッと母の元へ向かった
「なあに母さん?」
「おいで、話があるの。今すぐに」
母さんがイライラしてる
ということは…
「部屋の片付けなら後でやるよー今は遊ばしてよー」
早めに謝ってしまうに限る
いつも通りハルはしょぼんとして母に懇願する
いつもなら仕方が無いわね、と言って済ましてくれる母さん
でもあの日はいつもと違ってた
「違うのよ、でも大事な話があるの…遊ぶのはこれが全部終わってからね」
と困ったようにほほえんだ
「ん〜。分かった」
せっかくタッくんとショウくんとヒーローごっこしてたのにな…
「急ぐの、早く家の中に入って!」
「はーい…タッくん!ショーくん!また今度ねー!!」
そう言って友達に手をふった
これが最後の別れになるなんて当時の自分は思ってもみなかった
家の中に入るといつもご飯を食べる机の上ぱんぱんに詰め込んだリュックと青い水筒、灰色の布が置いてあった
「いい?今から言うことをよく聞いてね」
そう母さんは念押しし、しゃがみ込むとハルの両肩に手をおいた
「今からあの机の上にあるリュックと水筒を持って1人でこの国から出なさい」
「母さん?」
「その時に誰の力も借りてはダメ。できるだけ話しかけないでとにかくここから離れて。いい?分かった?」
母さんの目がいつになく真っ直ぐだった
「わかんない。母さんはどうするの?なんで1人なの?」
「母さんも追いつけたら追いつくから…ね。さあリュックをかるって!」
質問にまともに答えてもらえず、ハルはただ母さんに無理やりリュックを背負わされ、水筒をぶらさげられた
そして母さんは最後に机の上にあった灰色の布をとるとハルにふわりと着せた
「このコートはハルを守ってくれるからね。絶対に取ってはいけないよ?それと、父さんに会っても絶対に近づかないこと。話すのもダメ」
なんてことを言う
コートはすっぽりと小さなハルの体を覆い、フードもかぶせられ、はたからみると誰か全くわからないようになった
言いようのない不安を感じ、ハルは必死に母に問いかける
「ねえなんで父さんには話しかけちゃダメなの?ねえ母さんは?」
途端に母さんは悲しそうな顔をする
「ねえ母さ」
まだ質問を続けようとしたハルを母さんは抱き寄せた
「母さん…?」
その肩が小さく震えていた
ハルの耳元で母さんが囁く
「いい?絶対に生き延びなさい。そして………幸せになって」
そう言ってゆっくり離れ
「裏口から出て!早く!」
とハルに向かって言った
「母さん、後から本当に来てよ!絶対だよ!」
言いようのない不安を胸に抱えたまま、ハルは母さんに急かされるまま裏口から出た
幼い息子を裏口から送り出した後、母は誰ともなくポツリとつぶやいた
「大好きよ、ハル…
……………さよなら」
* * * * * *
ジマは早足で帰路についていた
その左手には先ほど城でもらったビンを持っている
中に入ってる液体を家族全てに飲ませろ
それが副王が言った命令だった
ビンのなかの液体はジマのような普通の人間には効果がない
怪しげな術を使う一味には有毒になる、という優れもの、らしい
どうもその術とやらはある一定の一族の血を引くものが使えるのだそうで普通の人間は扱えないシロモノだそうだ
だからこそ国を乗っ取ろうなどと馬鹿な妄想を描くわけだ
さっさと家に帰って薬を飲ませよう
そして抵抗する者たちへの準備をしなければならない
そうこう考えているうちに家につく
玄関の前で一呼吸おいて一気にドアを開け放った
「あら、おかえりなさい」
裏口の方を向いていた妻がニコニコしながら振り返り、主人の帰宅を出迎えた
「ガキどもは?」
「近所の子たちと遊んでますよ?どうしたんですかそんな怖い顔をして?」
「呼んでこい、いま国で
ビンを机の上に起きながら椅子にどっかりと座る
「あらあら、そうなんですの?嫌ですわねー」
「こうしている間にも感染者が増える。いいからさっさと呼んでこい!」
少し苛立ちながら妻に言う
しかし妻はニコニコしながら言い放った
「でもこれは予防薬ではありませんよね?」
「…何?」
ジマの眉がピクリと動く
「いえ、
なぜそれを
事実を述べられ、固まったジマに目の前の女は言葉を続ける
「普通の魔法使いなら一発で騙せられるかもしれないですね。…でもどれだけ色んな薬品をまぜ、匂いを消そうとも完全には消せれないわ」
何を言っているのだ
嫌な予感を感じ、ジマはゆっくりと立ち上がる
「ガキどもはどこだ!」
そう言いながら階段を駆け上がる
いつもなら近くを通ることすら避ける部屋
その部屋の扉を大きく開け放つと小さめの机やベッドがある
だがそこに部屋の主はいない
「どこへ連れて行った!」
階段をドスドスと降りながらジマはいまだにニコニコしている妻、いや正体の分からぬ女に問う
「どこでしょう?」
「とぼけるな!」
「とぼけていませんよ。まあ、きっとここへは帰ってきませんけど」
ここで話していてもらちがあかない
ジマは腰から大剣を抜いて切っ先を向けた
ここで初めて、ジマは自分の家族に国家転覆を図る一味がいないと信じていたことに気づいた
だがその考えにかまっている暇はない
「薬を飲め、これは国の命令だ。そしてガキどもはどこへやった」
「飲みませんし話す気はありません」
「では国家反逆の罪でお前を連れて行く。抵抗するな」
「…お断りします」
大剣を向けられ、顔に近づけられてもなお、少し顔が引きつっているが笑顔を崩さずに目の前の女はそう言った
「そうか」
それでこそ、
ザクッ!
ジマは大剣の切っ先を下に向け、床に向かって勢いよく突き立てた
と同時に大剣が紫に瞬き、突き立てた場所を中心として紫色の結界が展開された
「…これはっ!」
女が驚きながら後ろに下がろうとする
だが、次の瞬間足をもつれさせ床に倒れこむ
「…闇の束縛魔法、なぜ」
それには答えずジマはベルトにつけてあった対魔法使い用の手錠を掴みながら倒れて身動きができない女に言い放った
「さて、一緒に来てもらおうか」
* * * * * *
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