「…やっぱり屋根の上を走るんだな」
レオを背中におぶって屋根の上を走るハルの横で
「だって速いし」
とネージュが並んで走る。
「まあ屋根の上には兵士がいないから静かにしてたら分からないよね。比較的堂々と動けるし」
なんてレオまでそんなことを言う。
「そう思うんならレオも降りて走れよ」
「いや、僕こんな足場が悪い所はちょっと…」
「ったく…」
そう会話をしつつチラリと町を見下ろす。
夜ということもありあたりは兵士のそばにある松明とところどころにある街灯しか明かりはない。
まあ数多の戦闘の痕が見えないのは都合がよかった。
「そろそろ人質が集められてる広場だ」
「それじゃ水魔法の姿隠しはレオさん、任せたよ」
「わかったよ。…うまくできるかは別として」
「俺よりできるから問題ねーって。ネージュは…危ないと思ったら身を引いてくれよ、こっちもできるだけ早く終わらせるから」
「ネージュさん…ご武運を」
「分かってるさ、2人ともうまくやれよ」
そういってネージュは隣の屋根に飛び移りハルとレオから離れて行った
* * * * * *
タタタタタッ、タンッ
ネージュは無言で屋根の上を走り続ける
────これが無事終わったらアイツらとゆっくり話をしてみたいなぁ。
ふと柄にもなくそんなことが頭によぎりフッと笑う。
まあ全員何事もなく
「嫌な予感が当たらないといいんだけどね…」
そうネージュがつぶやいている間にジマがいると思わしき建物近くまで来た。
さすがに最強の大将といえども警備は少なからずいるようだ。
「1、2、3、4、5人か…ま、大丈夫でしょっ」
ネージュは持っていた槍を握りなおすとそこで姿を隠してた魔法を解除、ふわりと兵士の前に降り立つ
「!?貴様何者だ!」
ネージュに気づいた警備兵が一斉に剣を抜き、切りかかる
が、
「遅いよ。
「な!?」
「うわあ!なんだこれ!」
「くそ、ほどけん!」
ネージュの水魔法により兵士たちは次々と水でできた縄に拘束されてゆく。
だが運よく魔法から逃れた兵士が2人こちらに向かってくる。
「はああっ!」
と威勢よく振り下ろされた剣を
「だから、遅いって」
「がっ…」
さらりとよけ槍の柄で首筋に一撃を叩き込む
「ひっ…」
ガツン!
恐怖のあまり固まって動けなかった残りの一人にも首筋に1撃を喰らわせて気絶させ、水縄で拘束する。
最初に捕まえた3人はあらかじめ水縄に仕込んでおいた眠り薬を口の中に入れたので既に眠りの世界に落ちていた。
ネージュは捕まえた兵士たちを一か所に集め、
「そんじゃ、ま、別のところでおねんねしててくださいな。
転送魔法で結界の外側付近まで飛ばした。これでしばらくこの辺一帯に兵士は来ないだろう。
さて、と
「建物からこっそり観戦…なんて趣味悪いんじゃないんです?」
両手をはたきながらゆっくり後ろを振り返り、
「『獄炎のジマ』さん」
ネージュは静かに声をかけた
「…真夜中の不意打ち奇襲をした者に趣味悪いと言われるとはな。やはり不気味な術を扱う一族は我々と感性が違うと見える」
明かりの消えた建物の扉がギイィ…と開き、闇の中からゆっくりとジマが姿を現した。
…さあて、どう切り抜けようか
冷や汗をかきつつ、ネージュはジマを足止めするべくネージュは武器を構えた。
* * * * * *
さてさて何が起きたのかわかりませんが、作者が執筆をさぼらず(オイ)短期間に更新をしましたよ!
…イヤ本当に奇跡ですね。はい。
ちなみに今回出てきた魔法について少々解説を
基本魔法名はフランス語です。え?なんでフランス語かって??
…とりあえず響きがかっこいいからじゃないですか!っていう作者弟月の勝手な趣味です。登場人物のネージュも実はフランス語から取りました。どういう意味かは調べてみてのお楽しみです。ヒントは白いもの…ですかね。
しかしなぜかジマだけポーランド語からとってしまったという…いったいどこから引っ張ってきたんだよ…自分…(ちなみにお酒の名前でもあるみたいです。こちらも意味が気になった人はzimaで検索してみるといいかも)
なんでも到着予定の位置に基準となる魔法道具を置いとくと少ない魔力で正確に移動させられるらしいです。そんなものをあらかじめ設置しておくとは…ネージュさん恐るべしです。
まああとがきはこの辺にして
次回はいよいよ見せ場の真剣バトルパートに行くか?
ネージュが言った『縛り』とは?
そして人質救出に行ったハルとレオの運命は?
お楽しみに!!