ネージュがジマと対面する少し前
ハルとレオは人質が集められている広場近くの屋根の上にいた。
「見張りは…ぜんぶで12人か?多いね…」
「ああ…そうだな…」
レオに言葉を返すがその視線は人質に注がれていた。
────なんか引っかかるんだよなぁ…
そんなハルの心情を知らず、レオは会話を続ける。
「でもハル見てよ、そのうちほとんどは道の方を向いて立ってるから広場に降り立って内側向いている3人を周りに気づかれないように気絶させればなんとかいけるんじゃない?」
「っても気づかれない方法なんてあるか?」
「…」
しかも兵士たちは皆鎧をきっちり着てるため顔も首もガードしてあるため昼間ネージュがやったように首を殴って気絶させることもできない。
広場にはついた。しかし上手く兵士をさばき、レオに転送魔法の発動させるための時間稼ぎの案がない。
それこそでっかい花火とか上がってくれたら後ろから何とかできるんだけどな…
…ん?花火?
「…レオ、火薬とかって今持ってるか?」
「持ってるけど…どうしたの?」
「俺にひとつ考えがある、あのな…」
* * * * * *
「準備は?」
「おっけーだよ…けどハルあんまり無茶しないでね?」
「わーかってる。…じゃあ作戦どうりに、10秒後に始めるぜ」
「分かった。じゃあ僕も移動するね」
ハルは腰のダガーを軽く握り、屋根から近くの兵士の動きを伺いながらじゅう、きゅうと数え始める。
・
・
・
・
3
2
1
ゼロ!
パァン!!!!!
道のひとつでハルたちが設置したミニ爆弾が弾けた。
「なんだ?!」兵士の目線が自身の担当している持ち場から音のした方へ目線を向ける。
今だ!!!
ハルとレオはそれぞれの場所で兵士を指さし、同じ魔法を唱えた。
「「
2人が起こした風は対象の兵士達を包み込み、
「ん?なんだこの風…は…」
その場にゆっくりと崩れ落ちた。
対象を風の渦に包みこみ、眠らせる風魔法
効果時間が10分ほどと短いがほとんど魔力消費が少ないのが良点だ。
兵士を眠らした後、ハルは素早く移動をし次々に兵士の背後から
レオはというと別に仕掛けた爆弾を続けて発動し、兵士の目線を奪いつつ同じように魔法をかけていく。
やがて起きている兵士が元の半分に減った頃
「お、おい!他の兵士がやられているぞ!」
1人の兵士がやっと事態に気が付いた。
その声でハルは自身を風魔法で急上昇させて兵士の視界から逃げたが、
「あそこに男が1人いる!あいつだ!!」
「ひいぃ!」
「捕まえろ!」
そんな機動力がレオにあるはずもなく、残った兵士が一斉にレオに切りかかろうとして
「動くなよレオ!
声に気づいて振り返った兵士がいたが、おかまいなし。ハルのお得意の風魔法が炸裂した。
強風に煽られ、浮き上がる兵士、そこにレオが追い打ちで魔法を上乗せする。
「
先ほどの
風に煽られて騒いでいた兵士は1人、また1人と眠りに落ちていく。
やがて全員が眠ったころ、ハルはゆっくりと魔法を解除し、兵士たちを少し離れた位置に降ろした
* * * * * *
「よしいっちょあがり―」
「じゃあ僕は転送魔法の準備をするよ」
「ああ」
兵士を一通り眠らせた後、そうレオと会話をし、応援にやってくる兵士に対応するため人質となってる街や村の人に背を向けて────
「…ハル兄ぃ」
かぼそい声に振り向かざるをえなかった。
「どうした、ジャン」
その声は昼間にハルに盗賊が来たと伝えに来た村の少年。盗賊が来たときはそこまで怯えていなかった少年が今、何かに怯えるように震えて泣いていた。
レオが心配して近寄ろうとしたが、ハルは手で静止する。
その意図を察してかレオはうなずいて再び転送魔法の準備を始めた。
「おとうが、おとうが…」
ジャンはそれだけ言葉を絞り出すと、また泣き始めた。
「お
そう言いつつ人質を見まわして、やっと最初の違和感に気が付いた。
「ジャン、村や街の男の人たちはどこに連れていかれたんだ?」
────圧倒的に女子供の数が多いのだ。
確かに、男の姿もちらほら見える。そのほとんどはかなりの怪我をしたり、縛られたりしているが。だが圧倒的に男がいない。ここではないどこかに連れて行かれたと考えるのが自然だ。
「ジャン、頼む。教えてくれ。男たちは──」
どこに、と言いかけ、ジャンの目線が自分より後ろに向けられていることに気づく。
と、同時に
「ハル、危ない!」
ハルの視界の端に映ったレオが叫ぶ
同時にハルは左手を後ろにまわしていた。
そのまま後ろを見ずに魔法を発動させる。
「
「ぐっ」
後ろの方で重たいものが落ちる音がした。
振り返ると兵士の1人が剣を握ったまま倒れている。どうやら
今度は油断しないようにダガーを抜き、慎重に近づいて…………言葉を失った。
「なんで…なんでアンタがこの甲冑を…鷲が彫られた甲冑を着てるんだよ」
今度はハルの声が震えていた。
だって
それは
────────ジャンの父親だったから。
* * * * * *
な…長い……いつもの倍の字数を書いたよこれ…
どうも、弟月凌です。
なんといつもサボってばかりの弟月が5日で3話書きました…事件ですよこれ。
とは言いつつももう学業の方が始まってますしこれ以上短い間に更新はできそうにないですすみません。
そして本編ですけどもう少し進めて切るつもりがなぜか長くなったのでここで一回切ります、はい。
気になる続きは次回に!(その次っていつだよ、という突っ込みはやめてくださいね!)
そして魔法ですが竜巻を除く今回もフランス語オンパレードです。
竜巻だけは無理して変えるよりなじみのある方がいいかなーと英語でルビ振りました。
ちなみに竜巻はフランス語で『トルナード』と読むそうです。
まあトルナードの方がいい!って方はトルナードで読んでください(笑)
そしてお気づきの方がいるかもしれませんが、「風魔法なんて魔法分類になかったじゃねーか!!」というもの。
簡単に解説すると白器の属性は火・水・自然(木から変更)・雷・光。そして自然魔法という括りに風魔法、木魔法・土魔法などその中で細かく分かれてる…といった感じです。
また同じ効果でも範囲・規模が違うと微妙に名前が変わります。例としては
ですかね。
さて、次回はネージュ、ハル、レオが再び合流するのか?
ジマと戦っているネージュは大丈夫なのか?
そして村の一員であるはずのジャンの父はなぜ隣国の甲冑を身に纏っていたのか?
数多くの謎がありますがそれは次回で!
お楽しみに!!!