5分後
ハルの前には2つの山ができあがっていた
1つは盗賊団の山
もう1つは盗賊団の荷物──ハルが風で盗賊達から引っぺがした金やら道具やら──の山だ
「こ、このクソガキ…!」とお頭が言ったが声が震えてる時点で恐ろしさは半減している
「まだやるんスか?」とここまでやられているのにまだそう言えるお頭に心の中で感服しながらハルはちょっと面倒くさそうに言った
「そろそろ怪我だけじゃ済まなくなりまスよ?」
ニヤリと下っ端たちに笑いかける
もちろん目は笑ってない
「う…うわあああああ」
ついにハルの脅しに耐えられなくなった下っ端の1人が逃げだした
それにつられて他の下っ端も次々と逃げだす
「お、お前ら待て!クソッお、覚えてろよ!」と最後に下っ端どもに置いて行かれたお頭が捨て台詞を吐きながらヨタヨタと走り去って行った
「ありがとなハル!」
「毎度毎度ありがとうな!」
「さすがじゃのー」
盗賊団が見えなくなるとハルは口々に村人に賞賛された
「いいっていいって。これも仕事だし」と笑いながらハルが答える
「しかしワシら金持っとらんからのー。さっきの盗賊団が置いてった荷物、好きなだけ持っていってええぞ?」と村長の爺さんがハルに聞いた
「俺?俺は…これとこれだけでいいや」とハルは荷物の山から少しのお金とさっき気になってたお頭が持っていたシャムシールを手にとった
「おいハル、たったそれだけでいいのかよ?」と村長の息子が素っ頓狂な声を上げた
「ああ、いいさ。俺は時々酒が飲めるくらいの金があればな」そう言ってハルは今度こそ本当に笑った
* * * * * *
残りの盗賊団の荷物の分配を村長の息子に任せてハルは村からほど近い街に向かった
ハルの村からほど近いところにあるこの街は商業が盛んで宿所や酒場、旅人が開く露天商などいつ来ても賑やかだ
ハルは鞘に収めたシャムシールを手に持ったまま機嫌良く露天商の客引きの声が飛び交う中を歩いていた
せっかく臨時収入が入ったのだから酒場で一杯やろうと考えながら
「そこのお兄さん南国のフルーツで作ったお菓子なんてどうだい?」
(ビールに塩っ辛いつまみ…いいねぇ)
「ほらほら、冒険するんなら傷薬持たないと!今ならお安くしとくよ?」
(いや待て、今日は比較的手持ちが多いからワインでもいいな?)
「この防具さえあれば怪我なんてしないぜ?どうだい?」
(他の果実酒でもいいな!何飲もうかな〜)
「お、いい魔法道具持っていますね?見させてもらえませんかね?…ってハル?!」
「えっあっ…はい?」完全に意識が酒場に向かっていたハルは急に声かけられて慌てて声をかけた人のほうを向く
そこには地面に盾やら剣やらを置いたハルと同じくらいの年頃のメガネをかけた若い男が座っていた
学園時代に比べて少し痩せていたし髪の毛もボサボサだったがハルもすぐに気づく
「…もしかしてレオか?」
「やっぱりハルだ!久しぶりだね!!いつ以来だっけ?」と若い男──レオは勢いよく立ち上がりハルの両手を握ってブンブンとふった
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